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国のキャッシュレス推進で、カード詐欺被害激増…サイトへのカード番号登録保存は危険
https://biz-journal.jp/2019/12/post_131119.html
2019.12.08 文=柏木理佳/城西国際大学大学院准教授、生活経済ジャーナリスト Business Journal
「Getty Images」より
消費税増税に伴い政府がキャッシュレス政策を推進し、クレジットカード利用者が急激に増えています。それに伴いフィッシング詐欺の件数が、9月だけで前月の4倍以上の436件になり、被害金額は約4億2600万円と、1カ月で昨年1年間分と同じ金額にまで膨れ上がっています。
フィッシング詐欺とは、インターネットバンキングの口座から預金が不正に送金されるもので、最近では数千円から数万円の少額の詐欺被害が増えています。その理由は数万円程度の詐欺なら、請求書がきても気が付かないこともあるでしょうし、訴訟しない人も多いためです。
銀行やカード会社を装ったメールを送信して個人情報を入力させるフィッシングなら、「メールを開かない」「万が一、メールやリンク先をクリックしても、個人情報を入力しない」という対策がとれます。偽サイト(フィッシングサイト)に誘導して銀行口座情報やカード情報などを入力させる方法ですので、気になることがあるなら、銀行支店に出向いたりカード会社に電話して対応できます。
しかし、最近は「ファーミング」という詐欺手法が増えています。フィッシングの一種ですが、スパイウェアやウイルスなどにより侵入し、正規サイトを模してつくられた偽装サイトの IP アドレスを設定するもので、利用者が正しいURLを入力しても、自動的に偽のサイトに誘導されてしまいます。正規の URLと同じものが表示された本物そっくりのサイトに誘導されるので、いつものように暗証番号やカード番号など個人情報を入力すると、まんまと詐取されます。
ファーミング被害者は、自身が被害に遭ったことさえ気が付かないことが多いので、ネットショッピングでは運営会社に電話で発注や申込ができたかどうかを確認してもらうことが大切です。また、メールも証拠になります。発注後、自動的に送信される請求金額、引き落とし金額を確認するだけでなく、1度は確認のために直接メールでやりとりをすることです。SSLを導入していないサイトは利用しないことも重要です。最近ではアドレス・バーが緑色になるEV SSLを導入しているところもあります。
■詐欺に遭わないための対策
かくいう私も、恥ずかしながらファーミングにひっかかりそうになったことがあります。海外の英語翻訳会社のサイトで毎月2000円支払う1年間契約にカード番号などを入力、クリックした瞬間、画面が切り替わり、5年間契約で毎月2万円支払う設定になったのです。知人は1個5000円の商品を購入し、1回しかクリックしていないのに、10回もクリックしたことにされ5万円の請求がきました。
私は、先方の会社と何度もメールで交渉し、年間購入を申し込んでいない旨を連絡。また、クレジットカード会社に電話し、すぐ解約して使用できないようにしました。さらに翌日、引き落とし口座の銀行に出向き、「詐欺にあった可能性があるから、すぐこのクレジットカード会社からの引き落としを止めてほしい」と告げ、そのカードからの自動引き落とし停止書類に記入して提出しました。翌日から引き落としが停止されました。その後、1カ月間は口座を記帳して確実に引き落としされていないかを確認しました。
クレジットカードは、解約を申し込んでから実際に解約されるまでにタイムラグがあります。特に、海外からの引き落としでは、カード会社に解約したことを電話で確認しても、その前後で引き落としがされていることがあります。
クレジットカードの被害額は増加中で、2018年1〜9月の被害額は181億円で、そのうち8割が暗証番号盗用によるものです。決済サービスの本人認証に不備があるためです。特に、セキュリティ対策が弱いショッピングサイトは利用しないことです。対策は以下にまとめましたが、ウイルスソフトを利用したり、できる限りネットショッピングを利用しないことです。また、OSやブラウザのバージョンアップをしていないと、脆弱性を突かれて不正侵入による感染がされやすくなります。常に更新して最新の状態を維持することが大切です。
【詐欺に遭わないための対策】
・ネット注文時には、電話でも確認する
・パスワード、IDを毎月、頻繁に変える
・ショッピングサイトにカード番号など登録保存しない
・注文後は、引き落としされる金額を確認する
・変だと思ったらカードを解約すると同時に、引き落とされる銀行で「自動引き落とし停止」の書類を提出する
・セキュリティソフトを利用する
・ソフトを最新版にバージョンアップする
・SSLを利用していないサイトは避ける
被害はますます拡大することが予想されるため、十分な対策をすべきです。
(文=柏木理佳/城西国際大学大学院准教授、生活経済ジャーナリスト)
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