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レジ袋も有料化…最近の「エコの過激化」にも「アンチエコ」にも疑問を拭えない理由
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128965.html
2019.11.26 文=トイアンナ/ライター Business Journal
「Getty Images」より
レジ袋が2020年から有料化するというニュースには、いささか驚いた。生ごみは毎回レジ袋に入れて捨てていたからだ。といっても、これからはお金を出して別途ポリ袋を買うことになるだけで、生活に大きな変化はないだろう。
私はお惣菜をよく購入する。そこについて回るのがプラスチック容器だ。そしてプラスチックは今、最もバッシングされる素材となった。かつて紙を無駄にするとアマゾンの森林が減っていく話をされたように、今はプラスチックの削減がブームらしい。
こんな書き方をすると、世間からは「アンチエコ」に見えるかもしれない。残念ながら、私にはそこまでのポリシーもなく、ただひたすらに怠惰な人間をやっている。刺身の乗るトレイが紙だろうが、プラだろうが防水なら問題ない。それくらいの、無関心な一般人である。が、エコとアンチエコの戦いが激しくなるなかで、「無関心」ではすまされなくありつつある。
■エコの過激派、グレタさんの登場
エコの過激派といえば、スウェーデンの少女・グレタさんだろう。グレタさんは環境を省みない世間に怒りを抱き、学校をボイコットした。そこから知名度が上がり、2019年には国連でスピーチを行い、「この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのもの」と強い口調で語り波紋を呼んだ。トランプ大統領、プーチン大統領など名だたるメンツが彼女を批判したが、そのたびにグレタさんはスマートな切り返しを行い、さらなる話題を呼んだ。
これまで、環境活動家はそれなりに存在してきた。しかし、グリーンピースなど一部の団体を除いては、そこまでの過激派はいなかった。ましてや、少女がここまで先鋭的な立場を取ることはなく、普段は環境問題をトップニュースにしない日本のメディアも、一斉にグレタさんを扱った。その面では、グレタさんの手法が成功したといえる。
■アンチエコの反発は、過激派から生まれた
そして、グレタさんの過激な発言へ呼応するように、反対派の“アンチエコ”も生まれた。どんな団体もそうであるように、エコな人にも、過激な思想を持つ層はいる。家からプラスチックをなくすことに躍起になったり、スターバックスやコカ・コーラを人類の敵とみなしてみたり。下手をすると「コーラをペットボトルで飲むなんて、この人でなし!」と怒られるかもしれない。
エコの過激派には「確かにエコになることは素晴らしいけれど、いきなりプラスチックを全部やめようなんて無理だよね」という中庸な考えは通用しない。ましてや私のように料理が面倒だからとお惣菜(プラスチック容器付き)を買う人間など、悪の枢軸に見えるだろう。
ところが、エコ過激派が増えると「過激派に辟易するあまりに、エコが嫌いになる人」が出てきてしまう。それがアンチエコだ。
アンチエコの目的は、エコロジストを挑発することだ。小泉進次郎氏は、国連気候行動サミットの最中に牛肉のステーキを食べた。しかし、これは小泉氏が環境相という立場の割にはあまりに無知で、牛肉がCO2を大量に排出していることすら知らなかったせいだろう。これは、アンチエコではない。ただの愚鈍だ。
アンチエコは必要もないのに冷暖房を全力でかけ、二酸化炭素を多く輩出する牛肉を選び、プラスチックの皿を毎食使って捨てる。牛肉は高いし、電気代はかさむからアンチエコ活動にはお金もかかるのだが、「あえてアンチエコを」やる。ただ怠惰なだけの私には、そこまでの気力もない。
が、どんなにアンチエコへ躍起になっても地球が温暖化している事実は変わらない。そこでやけになって温暖化に協力するのは、借金返済をストレスに感じたあまり、高いフレンチを食べに行くようなものだ。もう少し現実的になってもいい。
■どちらにも乗せられず「中庸」を
確かに現在のプラスチックごみは、海洋汚染をはじめとする多数の問題を孕んでいる。しかし、だからといってプラスチックを全廃するなど極端な行動の変化は、ムーブメントにはなっても定着しないものだ。
一般市民としては「お、プラ以外の食器もあるじゃん。今日はこっちにしよう」くらいの態度で削減を始めればいい。エコの過激化は周りへ環境保全を押し付け、むしろアンチエコを生みかねない。
逆に、わざわざ反発して牛肉を食べることもない。鶏肉だって美味しいし、何より価格がリーズナブルだ。肉を減らして野菜を増やすのは、海洋汚染以前に自分の健康にもよさそうだ。中庸のまま、できることから始めよう。誰かの扇動に乗るだけでは、視界は曇る。自分ができる範囲で、やりたいと思えるレベルから行動を始めよう。すべてはそれからだ。
(文=トイアンナ/ライター)
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