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“五つ星”はカネで買える 揺らぐアマゾンの信頼
消費者だます「やらせレビュー」蔓延、首謀者が全告白
吉野 次郎
日経ビジネス記者
2019年11月22日
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世界最大の通販サイト、アマゾンで商品を絶賛する「やらせレビュー」が横行している。大勢の消費者を惑わす者の正体を追って中国・深圳の雑居ビルにたどり着いた。不正対策に年間400億円超を投じるアマゾンをあざ笑う首謀者が、ついに全手口を明かした。
やらせレビューに手を染める中国・深圳のネット販売業者のオフィス(左)と倉庫(右)
IT関連メーカーが集積する中国・深圳。その中心部から10kmほど北の坂田(バンティエン)地区に足を踏み入れた。牛肉や豚肉のおいしそうな匂いを漂わせる飲食店、零細の物流会社、家族経営の商店が混然と立ち並ぶ。
現地を案内してくれた深圳在住の王宇航氏(仮名)が流暢な日本語で切り出した。「坂田地区には、アマゾンにIT関連製品を出品する、私たちのようなネット販売業者が集結しています」
王氏とはフェイスブックを通じて知り合った。チャットで取材交渉を重ねること1カ月。現地で初対面した王氏は社交的な20代の若者だった。
「今から向かう勤務先の同僚たちにはあなたの来訪目的を伝えていません。のちほど真相をすべてお話ししますから、職場では決して余計な詮索をしないようお願いします」
そう念押しして、路地に建つ雑居ビル内のオフィスに招き入れてくれた。2フロアに分かれて50人ほどが働いている。多少雑然としてはいるが、いかがわしさは感じられない。
自社開発したワイヤレスイヤホンや携帯型スピーカーなどのIT関連製品を、日本、米国、英国、ドイツ、フランスに輸出し、アマゾンを通じて現地で販売している。各国のアマゾンに開設した「ストア」と呼ばれるオンライン店舗を、現地語を操る従業員が運営していた。日本語を勉強した王氏は、日本向けのストアを任されている。一見したところ何の変哲もない、一般的なネット販売業者である。
しかし一皮むけば、ここは秘密裏に遂行される捏造の中枢だ。ストア運営者は全員「やらせ」に手を染めている。担当国の協力者を操って、アマゾンで自社商品を絶賛するレビューを量産している。王氏は、日本の消費者向けのやらせレビューを担う首謀者である。
「私たちだけではありませんよ。この辺りのネット販売業者はどこでもレビューを操作しています」
王氏はそうささやいた。坂田地区は世界最大の通販サイト、アマゾンに偽のレビューを蔓延させる“汚染源”だった。
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ネットの評判は死活に直結
「商品が届きました。品質がよく、しかも安い。コスパ最高!」
「料理はどれもおいしく、接客も行き届いていました。大満足です」
通販サイトや口コミサイトにずらりと並ぶ高評価のレビューを信頼し、商品を購入したりサービスを選択したりする人は多い。三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)が、SNS(交流サイト)の利用者を対象に実施したアンケート調査では、ほぼ全員が商品やサービスの購入時にレビューを参考にしていた。他人のレビューを「とても参考にしている」もしくは「ある程度参考にしている」と回答した比率は合わせて95%を占める。
合計95%がレビューを参考にする
●商品やサービスの購入時にレビューを参考にする割合
注:三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ。調査対象は過去1年にSNSを閲覧した508人
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00082/g1.jpg
「レビューを確認するのは、特にどのような商品やサービスを購入するときか」との問いに対して最も多かった答えが「白物家電、AV家電、カメラ」で、46%に達した(複数選択可)。2位は29%の「パソコン、携帯電話」だった。1位と2位の製品群は、日本のネット通販業界では、アマゾンが抜群の販売力を誇っている。
サービス業の中で「特にレビューを確認する」ことが最も多かったカテゴリーは「飲食サービス」で、22%に上った。飲食業ではカカクコムが運営する口コミサイト、食べログのレビューが最も権威があると見なされている。
圧倒的な影響力を持つ「レビュー界」の両雄といえるアマゾンと食べログ。アマゾンに出品するネット販売業者や、食べログに掲載された飲食店は、少しでも評価を高めようと必死だ。MURCの調査では、レビューがよくなかった場合に「購入を取りやめる」あるいは「購入を取りやめることの方が多い」とした者は、合計76%に達した。ネット販売業者や飲食店にとってレビューの良しあしは死活に直結する。
「これは戦争です」
職場から少し離れた喫茶店で、王氏はアマゾンのレビューが販売に与えるインパクトを口にした。
「同業者を上回る評価を獲得しなければ、販売競争に負けてしまいます」
飲食店もレビューに振り回されている。最近まで東京都内でレストランの店長を務めていた川崎理明氏は振り返る。
「食べログでは2年前にレビューの集計方法が突然変わったため、店の総合得点が一気に下がったことがありました。その影響でお客さんからの予約はぴたりと止まりました」
現在、川崎氏は飲食関連のコンサルタントとして活動している。
「クライアントの中には、食べログの点数が下がったせいで、月商700万円が600万円まで落ち込んだ飲食店があります。損益分岐点が月商600万円のお店だったので、店主は頭を抱えています」
わずかな点数の変化で売り上げが大きく増減するストレスから逃れようと、禁断のやらせに手を出そうと思う飲食店経営者が増えるのも無理はない。そうやってやらせレビューに頼る競合店が増えていけば、「正直者がバカを見る」傾向は強まっていく。
坂田地区は正直者がバカを見る段階を通り過ぎている。やらせレビューで攻勢をかける競合相手にやらせで対抗していった結果、もはや正直者は見当たらなくなった。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00082/?P=2&mds
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