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「値上げの許容範囲を超えた」大戸屋、連続客数減地獄で危険信号…復活は困難かもしれない
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128205.html
2019.11.20 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
大戸屋の店舗(「wikipedia」より/Asanagi)
定食店「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)は11月5日、2019年4〜9月期の連結業績を発表した。本業のもうけを示す営業損益が1億9000万円の赤字に転落する。従来予想は4000万円の黒字を見込んでいた。中間決算に営業赤字になるのは01年に店頭市場に登録、現在のジャスダック上場以来初めて。
客離れで既存店売上高が低迷し、連結業績の下方修正を余儀なくされた。売上高は従来予想から7億円引き下げて123億円とした。最終損益は1000万円の黒字を見込んでいたが、一転して1億 8000万円の赤字に転落する。
同社は下方修正の理由として、4月にメニュー改定を実施したが売り上げが計画に届かなかったことや、既存店客数の回復が遅れていることなどを挙げた。
合わせて20年3月期通期の連結業績予想も下方修正した。売上高は従来予想の275億円を250億円に見直した。営業損益は4億8000万円の黒字からゼロに、最終損益は2億9000万円の黒字からゼロに、それぞれ下方修正した。
同社は4月23日のメニュー改定を機に、定食メニューのうち12品目を10〜70円値上げした。「しまほっけの炭火焼き定食」を70円引き上げて1040円(税込み、以下同)にしたほか、「ロースかつ定食」を40円値上げし950円にするなどした。こうした値上げが敬遠され、客離れが起きた。
4月以降の客数は大きく落ち込んでいる。4月は前年同月比8.0%減、5月が6.4%減だった。4〜9月はすべての月がマイナスで、マイナス幅は各月4〜8%と大幅減が続いている。
値上げが客数減につながったわけだが、安価で人気があった「大戸屋ランチ」(720円) をなくしたことも大きく影響したとみられる。同商品は、4月の改定後のメニュー表からは消えていたのだ。
代わりとしてか、新たに「大戸屋おうちごはん定食」(870円)を売り出している。だが、同商品は大戸屋ランチの竜田揚げを肉団子に代えただけにすぎない。それ以外の食材に大きな違いはないのだ。それにもかかわらず、大戸屋ランチより150円も高い。これに対してネットでは不満の声で満ち溢れた。
値上げと大戸屋ランチの廃止で「大戸屋は高い」というイメージが定着してしまった。こうした価格帯の引き上げで4〜9月期の既存店の客単価は前年同期比1.6%増と伸びたものの、客数が6.5%減と大きく落ち込み、売上高は5.0%減と沈んだ。
■コスト上昇への対応
近年は外食店において食材費や人件費などコスト上昇が頭痛のタネとなっている。コスト上昇を吸収できなければ、値上げで対応せざるを得ない。だが、外食チェーンは需要の価格弾力性が大きくなりがちなため、少しの値上げでも需要は大きく減少してしまう。
需要の価格弾力性とは、価格変化に対して需要がどの程度の割合で増減するかを示す概念だが、ほかで代替しやすい商品ほど需要の価格弾力性が大きくなりやすい。
外食チェーンはほかで代替しやすい商品を扱うことが多いので、需要の価格弾力性は大きくなりやすい。大戸屋は店内で調理をするなど手間暇かけて商品をつくるなどして「おいしい」との評判を得ているため、外食チェーンのなかでは需要の価格弾力性は小さいほうだろう。ただ、価格の高さに対する許容範囲は当然存在する。
大戸屋はこれまで値上げを繰り返し実施しており、許容範囲を超えているといえるだろう。現在、定食のグランドメニューはほとんど800円以上となっており、1000円を超えるものも少なくない。定食店のなかでは高いほうだ。また、大戸屋ランチを10月から復活販売しているが、790円に値上げしており、お手頃感はすっかりなくなっている。
値上げを回避するにはコスト削減が欠かせない。外食チェーンの場合、店舗網拡大で生まれるスケールメリットによるコスト削減が大きな威力を発揮する。店舗網の拡大による大量仕入れ・大量販売により食材費の低減が期待できるほか、本社や工場にかかるコストなど固定的なコストの割合の低減につながるためだ。
だが、ここ数年、国内店舗数は350店あたりで横ばいで推移している。スケールメリットを生かしたコスト削減がしづらい状況になっているのだ。
ただ、「牛角」や「かっぱ寿司」などを傘下に収める外食大手のコロワイドから10月に出資を受けたため、これをきっかけに共同仕入れを行うなどコロワイドから支援を受けられる可能性もあり、スケールメリットを生かしたコスト削減が期待できるだろう。
一方で、店舗運営におけるコスト削減も欠かせない。作業の従業員への割り当ての効率化や無駄な作業の削減といった地道な方法から、IT(情報技術)やロボットなど先端技術を活用した方法まで、あらゆる手法を検討・駆使してコスト削減を図っていく必要がある。
■バイトテロの甚大な被害
大戸屋における客離れは価格の高さが大きな要因だが、今年2月に世間を賑わせた「バイトテロ」の影響も大きいだろう。アルバイト従業員が店舗内で配膳用のトレーで裸の下半身を覆う様子が映った動画がインターネット上で確認され、それにより当該従業員はもちろん、大戸屋も世間の批判を浴びた。それも客離れにつながった。
このバイトテロが世間に広く知れ渡った2月は、客数が前年同月比6.4%減と大きく落ち込んだ。翌3月は、再発防止に向けた従業員教育のために店舗の休業を実施したこともあり、10.8%減と大幅減となった。こうしたことから、バイトテロによるイメージ低下の影響が、客数減に少なからず影響したと考えるべきだろう。
バイトテロが起きた月の客数が大きく減った外食チェーンは大戸屋だけではない。回転ずしチェーンの「くら寿司」でも同様の事象が起きている。
くら寿司は、アルバイト従業員が食材の魚をゴミ箱に捨てた後にその魚をまな板に戻して調理しようとする様子が映った動画がネット上で拡散し、世間から批判を浴びるというバイトテロに見舞われた。このバイトテロが世間を賑わせた2月の客数は6.1%減、翌3月が5.2%減と大きく落ち込んでいる。バイトテロによりイメージが低下し、客足が遠のいたといえるだろう。
近年は商品の均質化が進んでいるため、商品以外の要素の重要性が相対的に高まっている。なかでも、「イメージの良さ」がより重要になっている。
「骨肉の争い」を演じた大塚家具や、「ブラック企業」との批判を受けたワタミがイメージ低下により消費者から敬遠されるようになって業績が悪化したが、これらはイメージの重要性を物語る典型例といえるだろう。今の時代は、イメージが良くなければ消費者から選ばれにくくなっており、それは大戸屋やくら寿司も例外ではない。大戸屋もバイトテロによりイメージが低下し客離れが起きたといっていいだろう。
いずれにせよ大戸屋は19年4〜9月期に営業赤字に陥る見込みで、抜本的な対策を早急に講じることが求められている。まずはコロワイドと協業できるかが焦点となりそうだが、動向を注視していきたい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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