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誰が得する○○ペイ キャッシュレスの闇
全4回 2019年11月15日
原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
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政府が10月の消費増税に合わせて始めたキャッシュレス決済のポイント還元制度。中小店舗で買い物をした消費者に税込み価格の5%分を還元する仕組みだが、ここぞとばかりに、キャッシュレス決済事業者が利用者の囲い込みに動いている。クレジットカードに交通系ICカード、QRコード……。現金信仰のあつい日本にさながら「キャッシュレス祭り」が巻き起こる。だが、政府のポイント還元制度は2020年6月末まで。国によるポイント還元がなくなれば、消費者のお得感も薄れる。〇〇ペイが広がったとしても結局、誰が得するのか。そもそも日本でキャッシュレス決済は本当に根付くのか。本誌はあえて言う。今のままでは、この国では浸透しない。その理由を明かしていこう。(写真=imaginima/Getty Images)
(原 隆、庄司 容子、鷲尾 龍一)
CONTENTS
プロローグ
「キャッシュレス祭り」の裏に垣間見える闇
PART1
1万人調査で見えた官製キャッシュレス普及策の限界
PART2
キャッシュレス普及阻む“決済マフィア”
PART3
キャッシュレス決済を成長につなげる方法とは
日経ビジネス2019年11月18日号 32〜33ページより目次
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00276/
1万人調査で見えた官製キャッシュレス普及策の限界
原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
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全4108文字
本誌は今回、1万人を対象にした独自調査を実施、キャッシュレス決済の動向を探った。浮き彫りになったのは、官製普及策の限界だ。付け焼き刃の政策で現場は混乱。その間隙を縫うようにソフトバンクグループのPayPayが勢力図を一気に塗り替えていた。
キャッシュレス決済普及率47都道府県ランキング
47都道府県キャッシュレス決済普及率ランキング2020調査概要
調査期間:2019年10月10〜14日
調査企画:日経BP(日経ビジネス、日経クロストレンド)
調査委託先:マクロミル
調査方法:マクロミルの調査モニターを対象にしたインターネット調査・スクリーニングを主目的とした事前調査と、QRコード決済認知者を対象とした本調査の2段階で実施した。予備調査は全国47都道府県から均等に回答者を集め(212または213人)、合計で1万人から回答を得た。その上で、都道府県と年代の分布状況が日本の人口と同様になるようにウエイトバック処理をして集計した。本調査は、予備調査でQRコード決済サービスを認知している人を対象に実施。全国47都道府県から均等に回答者を集め(103人)、合計で4841人から回答を得た。予備調査と同様のウエイトバック処理を実施した。
[画像のクリックで拡大表示]
キャッシュレスで決済した人を対象に、税込み価格の最大5%分を還元する「ポイント還元制度」。2019年10月1日、消費税10%導入に合わせて開始されたこの制度は当初、海外と比べて低迷する国内のキャッシュレス決済比率の押し上げに大きく寄与すると期待を集めた。
だが、プロローグで紹介したように、決して、日本中で導入機運が高まっているわけではない。それは「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」が共同で1万人を対象に実施した「47都道府県キャッシュレス決済普及率ランキング2020」調査でも裏付けられた(調査結果の詳細は日経ビジネス電子版で公開予定)。
同調査ではポイント還元制度によってキャッシュレス決済の金額が「増えた」と答えた人は33.3%にとどまった。61.6%は従前と「変わらない」。ポイント還元によるキャッシュレス利用の後押し効果は限定的だったと言える。
都心と地方の差が鮮明に
キャッシュレス決済利用において、都心と地方の格差が広がっていることも調査で明らかになった。都道府県別で見たキャッシュレス決済比率のデータを見ると、広域関東圏(1都10県)は高いキャッシュレス決済比率を誇っているが、地方は現金決済が主流であることが見て取れる。特に、九州各県はランキングの下位に名を連ねているのが実情だ。
例外的存在が全国3位につけている沖縄県だ。2003年に全日本空輸(ANA)とビットワレット(現楽天Edy)が提携。移動手段を飛行機に頼る県民にとって、マイレージを効率的にためられる手段が魅力的に映り、県下で加盟店、利用者数ともに広がった。もともとあったこうした素地に、訪日外国人の増加も相まってキャッシュレス決済環境の整備が進んでいる。
キャッシュレス決済は利用可能な店舗と、利用できる手段を持つ消費者がそろって初めて実現する。ポイント還元制度で消費者、事業者ともに刺激しようとした「官製キャッシュレス祭り」の効果はいまひとつ。日本ではこのままキャッシュレス決済が一向に進まないのだろうか。
唯一と言っていい光明が、度重なる「祭り」を自ら開いて一気に勢力図を塗り替えた民間事業者がいることだ。ソフトバンクとヤフーが出資して18年10月に開始した「PayPay」だ。
次ページ1年でLINE、楽天を抜く
1年でLINE、楽天を抜く
PayPayはキャッシュレス決済事業者の中でもほぼ最後発といっていい。だが、この1年で最大20%、総額100億円をポイント還元するキャンペーンを計3回実施し、加盟店数、利用者数ともに急伸させた。
19年第2四半期(7〜9月)で、加盟店数は前四半期からほぼ倍増の154万店舗へ、登録者数は840万人から1474万人に拡大した。加盟店開拓、利用者獲得の双方に資金と人的資源を惜しみなくつぎ込んだ結果、決済回数も9612万回と前四半期から倍増している。
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https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00278/
キャッシュレス普及阻む“決済マフィア”
原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
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景気対策の側面から急ごしらえの準備でポイント還元制度を立ち上げた経済産業省。店舗側の対応が追い付かなかったことだけが、キャッシュレス化が進まない理由ではない。もっと深い「闇」が日本にはある。複雑すぎる業界構造そのものである。
キャッシュレス決済可能店舗は徐々に増えてきたが……(写真=小森園 豪)
「2025年までにキャッシュレス決済の比率を40%に高める」。こんな目標を経済産業省が打ち出したのは、18年4月のことだ。まだ、消費増税対策としてのポイント還元など政策課題にもなっていなかった時期。従来は27年の達成を目指していたが、2年前倒しした。
日本円での現金決済に慣れない外国人観光客への対応も狙いの1つだが、経産省が注力するのは、キャッシュレス化が生産性向上に役立つとみるからだ。
店舗なら営業終了後にレジの現金を数えたり、銀行に預けに行ったりする手間を省ける。銀行でも店舗間で現金を輸送したり、ATMに現金を補充したりといった業務の負担を減らせる。こうした現金決済を支えるためのコストは年1兆円を超えるとされる。キャッシュレス化が進めば、店舗の省人化や、決済データの利活用による新ビジネス創出にもつながる。徴税当局にとっては資金の動きが把握しやすくなる。
キャッシュレス決済の手段として既に普及しているのはクレジットカードだ。そのカード会社の担当者が経産省のキャッシュレス化に対する本気度を確信した出来事がある。
40%目標を掲げてから4カ月後の18年8月。経産省の担当者から「キャッシュレスパッケージのポイント」というタイトルの1枚の紙を差し出された。目標達成に向けた取り組みをまとめた資料だったが、そこにキャッシュレス決済が進まない一因として「加盟店手数料の高さ」が挙げられていた。
加盟店手数料とは、飲食店や小売店などのクレジットカード導入店舗が、決済額に応じてカード会社に支払う手数料のこと。カード会社は一般に決済額の3〜6%を徴収しており、収益源としている。経産省はこの手数料を下げろとカード会社に迫ったと、この担当者は受け止めた。
経産省の手数料へのこだわりは、今年10月に始まったポイント還元制度でも垣間見える。カード会社を含むキャッシュレス事業者に対して、手数料の上限を決済額の3.25%にすることを求めたのだ。この上限を守らなければ、還元制度には参加できない。
カード会社にとっては、収入が目減りしかねない条件だが、参加しなければ、利用者や加盟店がQRコードなど他の決済手段に流れる恐れがある。手数料収入の減少と顧客流出、どちらの損失が大きいか。結局は多くのカード会社が還元制度への参加を決めた。
経産省がキャッシュレス普及の阻害要因と決めつけているようにも見える手数料。その問題意識はあながち、的外れではない。
次ページなぜ、手数料は高いのか
なぜ、手数料は高いのか
そもそも決済額の3%超を手数料として取られれば、中小や零細企業は立ち行かなくなる。中小企業庁の「中小企業実態基本調査」によると、17年度の中小規模の小売業の売上高営業利益率は1.44%にすぎない。キャッシュレスによる合理化効果はあったとしても、多くの中小・零細企業にとって手数料の負担は重い。
では、なぜ、手数料は高くなるのか。浮かび上がるのは、決済事業で稼ぐ多種多様な“決済マフィア”の存在だ。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00279/?P=2&mds
キャッシュレス決済を成長につなげる方法とは
原 隆 他 2名
日経ビジネス副編集長
2019年11月15日
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全4078文字
「官製キャッシュレス祭り」の綻びが早くも露呈する日本。それでもキャッシュレス決済の利点を無視することはできない。事業者も消費者もキャッシュレスの恩恵を引き出すにはどうすればいいのか。
国内に約1100店舗を構えるイタリア料理チェーン、サイゼリヤ。8割以上の店では現金しか受け付けていないことで知られる。QRコード決済はおろか、クレジットカードも使えない。国を挙げて推進する「キャッシュレス祭り」も、サイゼリヤにとってはどこ吹く風。堀埜一成社長が理由を語り始めた。
サイゼリヤの堀埜一成社長は「人手不足や働き方改革で現場は疲弊している」と指摘する。時機を間違えればレジでの混乱を招きかねないキャッシュレス化には慎重にならざるを得ない(写真=竹井 俊晴)
別に、キャッシュレスを未来永劫やらないわけではありません。最終的には乗っかるんですよ。でも、究極の後出しじゃんけんをするつもりなんです。
というのは、我々はハード(端末)の開発速度を見ている。1000店以上あると、ハードのコストがバカにならない。クレジットや電子マネーだけでなく、PayPay(ペイペイ)が入ってきたりと、端末自体今後どう変わっていくか分からない。だからそのハードに金を使いたくないのです。
実際、今回の助成でもハードが問題になっていたでしょう。製造が間に合わなくて。だから仮に今、うちの1000店に入れてって言っても入らない。そろそろやるかな、という気はしてたんですけど、今じゃない、となりました。
実は堀埜社長には「日本はまだ現金社会だ」と確信させた出来事があった。
米アマゾン・ドット・コムがやってきたんですよ。(キャッシュレスを)急いでやらなくてよかった、と思ったね。
サイゼリヤは今年7月、お釣りをアマゾンで使えるギフト券で渡すキャンペーンを都内2店舗で始めた。お釣りの額に2%分を上乗せした金額をアマゾンのネット通販や動画配信サービスで使えるようにするものだ。この話はアマゾン側から持ち掛けられた。
一気にキャッシュレスが進んだ中国と違って、アマゾンは日本はキャッシュ信仰が続く前提なんですね。キャッシュレスでいろいろなトラブルもあったし、確信したんちゃうかな。やっぱり日本は現金だと。
アマゾンの狙いは、現金を入り口にして、アマゾンのキャッシュレスに持っていくことでしょう。うちは単なるチャージ機です(笑)。彼らはほんとに頭がいい。よくここまで考えると思いますよ。まだ2店舗だから分からないけど、これから何をやってくれるか楽しみなんです。彼らが見る日本像が分かるわけですから。
サイゼリヤにとっても利点はある。お釣りが減るため、用意する現金を少なくできる可能性があるからだ。集金のコスト削減や店舗に大量の現金を置かない安全性といったキャッシュレスのメリットを決済手数料なしで享受できる。
とはいえ、堀埜社長は日本には現金信仰が残るものの、キャッシュレスも同時に普及することは否定していない。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00280/?P=2
躍進するPayPay、社長が「決済」の未来図を語った
鷲尾 龍一
日経ビジネス記者
2019年11月18日
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検索サービス「ヤフー」を展開するZホールディングスと、対話アプリのLINEが経営統合に向けた交渉を進めている。両社の背中を押した要因の一つが、スマートフォンを使った決済市場での競争激化。顧客囲い込みに向けた費用がかさみ、各社とも体力勝負の様相を呈している。実際のところ、スマホ決済を含めたキャッシュレス決済の利用状況はどうなっているのか。「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」は共同で、キャッシュレス決済の利用状況などを探る1万人調査を実施した(調査結果は日経ビジネス11月18日号特集「誰が得する〇〇ペイ キャッシュレスの闇」でご覧になれます)。
躍進ぶりが目立ったのが、ソフトバンクとヤフーが立ち上げた「PayPay(ペイペイ)」だ。1年前と比べると認知率は57.3%から98.9%に、利用率は2.8%から37.2%に上昇した。同じQRコードを用いた決済サービスの「LINE Pay」や「楽天ペイ」を一気に抜き去り、存在感を高めている。PayPayをけん引する中山一郎社長執行役員CEO(最高経営責任者)にデジタル化で変革期を迎えている決済の未来図を聞いた。(編集部注:インタビューは11月7日に行いました)
中山一郎(なかやま・いちろう)氏
1969年生まれ、愛知県出身。94年国際デジタル通信(現IDCフロンティア)入社、13年に社長就任。16年ヤフーに入社、18年にPayPay社長執行役員CEOに就いた。(写真:陶山勉、以下同じ)
2018年10月にPayPayがスタートして1年が過ぎました。「日経ビジネス」と「日経クロストレンド」が実施した調査では、PayPayの認知率が98.9%、利用率は37.2%となり、同じQRコードを用いた決済サービスの「LINE Pay」や「楽天ペイ」を一気に抜き去りました。手応えはいかがでしょうか。
中山一郎・PayPay社長(以下、中山氏):想定を上回るスピードで広がったのは、ひとえにユーザーとストア(加盟店)の皆さんのおかげです。また、国が熱心に推進しているのも大きい。キャッシュレスが進んでいる国は、国が何かしらの政策を打っています。今回のポイント還元制度に関しても、開始1カ月前の9月ごろから普及が加速したと感じます。ただ、認知率が98.9%。100%まで1.1%足りない。これを埋めるために何ができるかという思いが強いですね。
スマートフォン決済アプリとしては後発でありながら、利用率首位となった原動力はどこにあるのでしょうか。
中山氏:キャッシュレス全体が盛り上がる中で、PayPayはPayPayにしかできないことをしてきました。
1つはマーケティング。後発だったので、知ってもらうために2018年12月に(100億円かけた)キャンペーンを行った。その後、2〜5月に100億円キャンペーンを再び行い、ユーザーに利用を促せた。それに伴って、ストアの加盟も増え、それが今も続いていると思っています。
SNSやツイッターで「これは手放せないよね」「スマホ1台で外に出かけられて便利だよね」という意見を見ると、本当にありがたい。今後、使い続けてもらうには、利便性の追求は大切だなと思います。
第2に営業力。全国20カ所に営業拠点を設け、数千人の従業員が加盟店を開拓する活動も、PayPayにしかできなかった。そして今でもPayPayしかやっていない営業活動です。
3番目は開発力。18年10月にサービスを開始してから、アプリの使いやすさの改善を進め、既に70回ほどアップデートしています。週1回を超えるペースです。来年の今ごろには、今の使い心地、アプリの画面を忘れてしまうくらい進歩したいと思っています。
アプリの表示画面だけでなく、目に見えない裏側も改善してきました。例えば、PayPayに入金するための銀行口座の登録なら、以前は銀行のウェブ画面にたどり着くまで20超のステップがあり、15〜20分かかっていました。今はそれを6ステップ程度にし、1〜2分に短縮しました。
こうしたスピード感で提供される決済サービスは、日本で今までなかったのではないでしょうか。社員みんなでPayPayを使って意見を出し合い、また、ソーシャルの(SNSなどに書き込まれた)意見も参考にしながら、アプリの文言や、操作順序を変えてきました。(技術面や営業ノウハウで提携しているインドのスマートフォン決済大手の)「Paytm(ペイティーエム)」の協力を得ながら、アプリをPayPay社内で改善できているのが、スピード感につながっています。
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「使い方」を広げる
そんな中、他社も普及のためのキャンペーンなどに力を入れている。今後の競争をどう勝ち抜くのでしょうか。
中山氏:あまり競争と思ってないですよ。競争より、皆さんでキャッシュレスを一緒に盛り上げることが大事だと思います。現金に対して、どう使い勝手をよくするかということに、PayPayはフォーカスしていますし、たぶん各社もそうだと思います。
言い換えれば、まだ「対現金」の段階ということでしょうか。
中山氏:そうだと思います。まだまだですよね。
PayPayは認知率が98.9%で、利用率は37.2%。この差はどう感じられますか。
中山氏:61.7%の方はご存じいただいているのに使ってもらえていない。この人たちの声を聞かなくてはならない。1つは、使い方が分からないということがあるかもしれません。株主であるソフトバンクの携帯電話は全国のショップで販売されており、そこでPayPayの使い方を教える仕組みを始めています。また、初めて使う人やあまり使っていない人向けに表示される「PayPayはじめてガイド」も充実させようと進めています。そういった地道な活動も大事と思います。
PayPayを導入したが、1カ月の間、一度も使っていないという地方の店舗もあります。
中山氏:僕たちのデータだと、全国で使われています。もちろん、人口が多い東京の頻度が高いのは確かで、場所によってまだ差があります。地域で一番人が来るスーパーにPayPayが導入されていたら、頻度も高いとか。先ほど申し上げた、使い方が分からない、という課題があるのかもしれません。
政府はキャッシュレス決済比率を2025年に40%に高めるとしています。将来は80%というさらに高い目標も掲げています。今後、普及の加速には何がポイントになるでしょうか。
中山氏:現金と取って代わらないといけない。現金にできていないことを提供する必要があります。僕たちは、生活のあらゆる不便を便利に変えたいと思っています。現在はリアル店舗の開拓に集中していますが、(インターネット通販など)オンラインで使える場面も増やしたいですし、個人間送金も増やしたい。投資商品の販売や個人向け融資も行う中国の「支付宝(アリペイ)」やPaytmのアプリのような「スーパーアプリ」は海外では既にあります。
来年6月に国のポイント還元制度が終了した後、利用率は減るでしょうか。
中山氏:そういうふうには考えていません。一度使って、便利なら使い続けたいと思うのではないでしょうか。(ポイント還元がなくなっても)その利便性を犠牲にして元に戻れますか? 僕はもっと利便性を追求するタイプです。
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官民議論に参加したい
今後、さらにPayPayを成長させるためにどんな手を打っていきますか。
中山氏:まず使えるお店が限られていたら、現金と代われない。現金が使えるところは、全てPayPayが使えるようにしたいですね。現金に限らず、ほかの(決済アプリやクレジットカードなど)支払い手段が使えて、PayPayは使えないところも全て使えるようにしたい。
銀行同士の送金のように、決済インフラとして成長するなら、別々のスマートフォン決済アプリ同士の送金は考えていませんか。
中山氏:面白いですね。利便性を考えれば、あるかもしれません。
キャッシュレス、ひいてはフィンテックが進むために期待する規制緩和などがあれば教えてください。
中山氏:ペイロール(編集部注:電子マネーによる給与支払い。現行の労働基準法では認められていない。政府内で解禁に向けた議論が始まっている)は関心があります。議論を見守っています。奇抜なことは考えていませんが、もし(給与の入金先の)一部がPayPayになるなら、わざわざチャージしなくてすむ。(アプリで支払いをするまでの)ステップが1つ減るので、利便性は高まるでしょう。
あとは、KYC(編集部注:事業者による顧客確認。銀行口座を開く前の身元確認などを指す)などはどうでしょうか。色々便利な新たなサービスが出てきても、使い始めるときに毎回KYCが必要になる。これを共通化できれば、利用者も手間が省けますし、事業者側もコストが減らせてうれしい。これは一事業者でできることではないので、官民で議論が交わされるなら是非参加したい。もちろん、全て1つに統一することがいやな人もいるでしょう。そこは選べるようにすればよいと思います。あちらこちらでKYCが求められるのは、いかにも日本だなって感じがします。
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ま
まっすぐな視線と意欲の伝わるgood interview。
2019/11/18 05:28:192返信いいね!
Kevin58
肩書なし
同感です!
2019/11/18 07:01:24いいね!
Kevin58
肩書なし
☆老夫婦で共にPayPayを利用している。
指紋認証のセキュリティー機能をはじめ使い易さを評価しているが、今一歩頑張って「IDタッチ決済機能」を是非とも導入して欲しい、ドコモの使用権?がネックであってもユーザー指向でトライされたい!
2019/11/18 07:01:261
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/111400051/
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