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https://jp.reuters.com/article/autos-selfdriving-safety-idJPKBN1XB30M
2019年11月4日 / 08:11
[30日 ロイター] - 衝突回避技術の急速な発達に伴い、自動車メーカーとカー用品店の間で修理の安全性をめぐる新たな衝突が生じるようになっている。自動車の整備や修理を行うアフターマーケットの規模はおよそ8000億ドル。メーカーと用品店のあつれきは、この巨大市場の主導権をめぐる争いにもなっている。
車線維持支援、自動ブレーキ、死角監視などのシステムが空前の進化を遂げていることを踏まえて、多くの自動車メーカーは、純正パーツや自社系列ディーラーによる修理でなければ安全性は確保できないと主張している。
これに対して、現在ではアフターマーケットで優位に立っている独立系のカー用品店やサプライヤーは強く反発。純正品・サービスの数分の1のコストでパーツの製造や自動車の修理ができる自分たちが締め出されるのはおかしい、という言い分だ。
たとえばスバルの場合、顧客に対して、「アイサイト」システムに関してサードパーティの交換部品を用いて何か問題が生じても保証の対象外であると告げている。「100%スバル純正品で、あなた自身とあなたの投資を守りましょう」。
スバルだけではない。ロイターが先進運転支援システム(ADAS)の修理・調整に関する自動車メーカーの姿勢を検証したところ、日産とその高級車ブランドであるインフィニティ、それにボルボは、やはり認可ディーラー以外によるパーツ及び修理は保証に影響するとしていた。
一方、ゼネラルモーターズ(GM)やホンダは、安全性を確保するためには純正パーツと系列ディーラーによる装着・修理が重要であるとしながらも、保証に影響するとの警告には至っていなかった。
<米では政府や議会の介入も>
アフターマーケットに関する議論が沸騰しているのは米国である。独立系のカー用品店やパーツメーカーは、消費者保護を担当する政府機関である連邦通商委員会(FTC)と連邦議会に介入を求めている。
彼らが求めているのは、自動車メーカーが純正のADASパーツやサービスの利用を保証の条件とすることを禁止し、この新技術についても従来の自動車部品に関するルールに合わせることである。また彼らは、最新の診断データを車載ソフトウェアから取得することも望んでいる。
独立系のサプライヤーをまとめる米国自動車部品工業会(MEMA)のポール・マッカーシー会長は、「自動車産業は、安全性と修理可能性は二律背反であるかのような誤った論法を生み出している」と言う。だが自動車産業の側では、新技術の先進性のレベルゆえに、アフターマーケットの状況は変わった、と主張する。
自動車メーカーを代弁する米国の業界団体であるオート・アライアンスは、自動車メーカー側では必要な訓練と情報を提供できるが、独立系の店には、そうしたリソースや専門能力が不足している場合が多い、と話している。
「テクノロジーは安全性という点で偉大な進歩を可能にしている。だから、技術者は最新の情報に精通していなければならない」と同団体の広報担当者は言う。
FTCは修理問題に関して業界の見解とパブリックコメントの募集を続けているが、コメントは拒否している。
どちらに理があるかはさておき、運転支援ソフトウェアの発達は自動車セクターを変貌させつつあり、争うべきパイは大きい。業界団体とアナリストによれば、米国の自動車アフターマーケット・修理産業は年間3900億ドル規模であり、世界全体ではその2倍以上である。
この争いに勝利すれば、予想される自動運転革命から利益を得る最も有利な立場を占めることになろう。ADASの機能は、そうした革命の先触れと見なされている。
<複雑で高コスト>
米国の路上を走る自動車のうち、ADAS搭載車は現在では10%にすぎないが、自動車メーカー各社は2020年までに、前方衝突アラームや市中速度自動緊急ブレーキをほぼすべての新車に装備すると公約しており、その数は急速に伸びると予想されている。
アフターマーケットの囲い込みは、このところ売上高の低迷に悩んでいる自動車メーカーにとってはカンフル剤になる。だがそれは潜在的に、米国における修理の大半を担い、数百万人の雇用に結びついている小規模経営の独立系カー用品店のネットワークを荒廃させてしまいかねない。
新たなシステムは、バンパーやフェンダー、ミラー、フロントガラスのなかにカメラやレーダー、超音波センサーを仕込んであり、単にミラーをこすった程度でも、これまでより修理が複雑・高額になる。
自動車車体部品協会のエグゼクティブ・ディレクターを務めるエドワード・サラミー氏は、独立系のサプライヤーは、ADASのパーツをメーカー純正価格の25〜50%で製造できると話している。
米国道路安全保険協会(IIHS)のデータと、米国内の整備ショップ11社のオーナーらにロイターがインタビューしたところでは、アフターマーケットにおけるフロントガラスの平均価格は、純正品に比べ約420ドル安くなっている。
だが、一部の自動車メーカーは、低価格のパーツには安全性の点でリスクがありうると警告している。センサー類にはキャリブレーション(較正)を行わなければならない。スペースと水平な地面、特殊な照明、ソフトウェアにアクセスするための純正スキャンツールを必要とする、コストの掛かるプロセスである。
業界の専門家は、消費者は不適切な修理に伴うリスクにほとんど気づいていないと話している。
調査会社JDパワーの保険事業調査担当マネージングディレクター、カイル・シュミット氏によると、過去2年間のあいだにADASを装備した車の修理を受けた消費者500人を対象とする調査では、15%が先進的な安全装備がうまく機能しない、あるいは修理前と動作が異なるなど、修理が適切でなかったと回答していた。
修理に関して把握されている問題の件数は、独立系カー用品店ではディーラーの4倍に達している。
一例としては、IIHSが行ったテストにおいて、メーカー認定のないフロントガラスは、センサーの正常な動作を妨げる場合があった。
<データをめぐる対立>
アフターマーケット業界団体は、この対立を安全性の問題としても提示している。彼らの主張によれば、ドライバーたちは必要な修理であっても費用がかさむとなれば先送りしてしまう可能性があり、メーカー系列のディーラーには、増え続けるADAS搭載車に対応するほどの余裕がないという。
4月、MEMAはFTC宛ての書簡のなかで、米国の路上を走る車のうち少なくとも3000万台が、メーカーがアフターマーケット企業による修理を妨害しているせいで、ADAS関連の修理を制限されている、と述べている。
整備ショップ11社のオーナーによれば、メーカー純正のスキャンツールがなければ、カー用品店ではADASが出力するエラーコードの20─30%を解読・解決できず、ディーラーにその車を移送せざるをえなくなるという。
だが、こうしたツールを入手し、修理に必要なデータにアクセスするためには、最大10万ドルもかかる。用品店のオーナーらによれば、これは多くの店にとってとても手が出ない金額だ。この金額については、自動車メーカーの側からも特に否定する声はない。
米国自動車保険大手のオールステートは、こうした懸念の一部に同意する。
オールステートのテックコア研究・衝突修理センターでシニアマネジャーを務めるリチャード・ベックウィズ氏は、自動車メーカーはADASに関して十分なデータを提供していないと話す。同氏は自動車産業に対し、小規模な用品店でももっと容易にデータを入手できるようにすることを要求している。
<見えてきたチャンス>
自動車分野を専門とする弁護士4人がロイターに語ったところでは、ADASに関する責任問題もほぼグレーな領域にあるという。テクノロジーが法律分野における前例を追い越してしまい、これまでのところ、修理後のADASの動作不良をめぐる明白な訴訟例がないからだ。
キング&スポルディングのパートナーとしてワシントンを中心に活動するジャッキー・グラスマン弁護士は、「理屈の上では、修理指針を明らかにしていれば、メーカー側としては合理的な抗弁が可能だ。だが現状ではケースバイケースということになるだろうし、多くのシナリオが生じてくる可能性がある」と語る。
ビジネスチャンスを窺っている企業もある。
スマートエクスプレスやアズテックといった新規参入企業は、メーカー純正のスキャン・較正ツールに投資し、ハイテク満載のバンに社員を乗せて国内の用品店に派遣するという移動サービスを提供している。
スマートエクスプレスのジェフ・エバンソン最高業務責任者は、かつてテスラでグローバル投資家対応(IR)担当バイスプレジデントを務めていた。同氏は、ますます自動運転志向を強める自動車産業においては、アフターマーケットのツールや部品では安全上の要件を満たせないだろうと話す。
さらにエバンソン氏は、「自動車産業では、自ら生み出した問題について十分に考えていないが、こうしたシステムの複雑性やハッキングを受けるリスクを考えると、車両の安全性・セキュリティを確保するために、自動車メーカーは修理情報を封印しておくべきだということになる」と言う。
(翻訳:エァクレレーン)
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