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パナソニック、遠のくソニーの背中…役員大幅削減で「ポスト津賀社長」争いが熾烈化
https://biz-journal.jp/2019/10/post_124829.html
2019.10.28 文=編集部 Business Journal
パナソニックの津賀一宏社長(写真:ロイター/アフロ)
パナソニックは10月1日、人事制度を見直し、49人いた執行役員の数を3分の1の16人に減らした。執行役員はグループ全体の経営に専念し、個別事業は社内カンパニーの役員が担当する。経営を担う執行役員を絞り込むことで、1人ひとりの責任を明確化する。
49人いた執行役員のうち、16人はそのまま。退任する1人を除く32人はカンパニーの上席副社長などとして現場を指揮する。この32人を含む約140人を「事業執行層」と新たに位置付け、将来の役員候補として育成する。
今回の措置は、就任8年目に入った津賀一宏社長の人事改革の一環。就任から1年で人事改革に着手。13年6月に、取締役との兼務者を除く執行役員の数を21人にまで減らしたが、9月時点で43人(取締役との兼務を含めた執行役員総数は49人)に激増していた。
パナソニックは、家電や住宅といった製品・サービスごと、中国・北東アジアといった地域ごとに特化して事業展開を行うカンパニー制を取っている。執行役員として残留したのは、カンパニーの社長と最高財務責任者(CFO)や最高技術責任者(CTO)など全社を率いるトップ・オブ・ザ・トップだ。それ以外の個別事業の執行責任だけを負う執行役員は、新たなポストである事業執行層に組み込んだ。
これにより、2020年2月にも内定する抜本人事をにらみ、「ポスト津賀」の最終レースの号砲が鳴った。
■戻ってきた樋口泰行氏
津賀社長は「ポスト津賀」をにらんだ布石を打ってきた。17年の役員人事で取締役を17人から12人に削減。専務取締役以上の役員全員に代表権を付与していたのを見直し、代表取締役を11人から4人に絞った。代表取締役会長の長榮周作氏、代表取締役副会長の松下正幸氏から代表権を外した。会長、副会長に代表権がなくなるのは、パナソニックの歴史のなかでも珍しい。
17年の人事の最大の目玉は、元日本マイクロソフト執行役員会長の樋口泰行氏が、4月1日付でパナソニックの専務役員に就任したこと。樋口氏が担当したのはAVCネットワークス社から名称を変更した社内カンパニーのコネクティッドソリューションズ社。カンパニー社長として陣頭指揮を執るのに加え、6月29日付で代表権を持つ取締役にも就き、4人の代表取締役の一角を占めた。
樋口氏の経歴は、実に多彩だ。「渡り鳥人生」そのものといってもいい。1980年、大阪大学工学部を卒業後、松下電器産業(現・パナソニック)に入社。配属先は溶接機事業部でアーク溶接機の設計を担当した。10年後の90年に、社費でハーバード大学経営大学院に留学。卒業後はあっさり松下を退社。ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピュータ、コンパックコンピュータを渡り歩き、2003年、45歳の若さでコンパックを買収した日本ヒューレット・パッカードの社長に就任した。
2005年、産業再生機構の要請を受け、経営再建中のダイエーの社長となる。07年にはマイクロソフトの日本法人の経営トップにスカウトされ、15年に会長に。そして17年4月、パナソニック専務役員に返り咲いた。
「津賀最高経営責任者(CEO)−樋口最高執行責任者(COO)」の布石か。こうした観測が社内外を駆け巡った。
■「ポスト津賀」は誰なのか
現在、パナソニックの代表取締役は4人。社長執行役員の津賀一宏氏(62歳)、副社長執行役員の佐藤基嗣氏(63歳、コーポレート戦略本部長、US社社長)、専務執行役員の樋口氏(63歳、コネクティッドソリューションズ社社長)、専務執行役員の本間哲朗氏(58歳、中国・北東アジア社社長、中国・北東アジア総代表)。
創業者である松下幸之助氏が社長を退いた66歳が「社長定年」という不文律がある。津賀社長と同世代の佐藤氏と樋口氏の昇格はありえない、といわれている。本間氏は、新設の中国・北東アジア社社長に就いた。津賀社長が「中国で勝たなければ将来はない」という重点地域で、家電や住宅で攻め込む。本間氏は経営企画部で津賀社長の改革を支えていた。
今年4月の人事では、社内カンパニーのトップに複数の50代の役員が昇格した。家電の社内カンパニー、アプライアンス(AP)社の社長には品田正弘氏(53)が就いた。品田氏は住宅関連のエコソリューションズ(ES)社で赤字事業の太陽電池事業を担当。米テスラと太陽電池工場を米国で運営するが、18年夏、テスラに独占供給する方針を転換し、収益確保の道筋を開いた。AP出身でブラジル事業やテレビ事業を立て直した実績がある。
4月に新設したオートモーティブ社は楠見雄規氏(54)が社長に就いた。トヨタ自動車と共同出資会社を設立し、関連工場を新会社に移す際の交渉役が楠見氏だった。歴代社長を輩出したAV(音響・映像)機器部門に在籍し、18年1月から車載電池の事業部長を務める。2人とも次期社長の有力候補だ。
■ソニーに大差をつけられる
5月9日に発表した22年3月期までの3カ年の新中期経営計画(新中計)で、役員体制の最適化を図るとした。新中計では固定費の削減に努め、1000億円の利益の創出に向け他社との協業を加速させる。だが、戦略投資額や最終年度の売上高、営業利益の具体的な数値目標は明記されていない。
「創業100周年を迎える2019年3月期の売上高10兆円」を掲げていたが、16年3月、この目標を撤回。利益を重視する方針に変換。19年3月期までの中期経営計画(新中計)は売上高8.8兆円、営業利益5000億円という目標を立てた。
19年3月期の連結決算(国際会計基準)の売上高は前期比0.3%増の8兆27億円、営業利益は8%増の4114億円。中計の目標は売り上げ、営業利益とも大幅に下回った。新中計では数値目標を明らかにしていない。
かつてのライバルであるソニーは19年3月期の連結営業利益(米国会計基準)が前期比22%増の8942億円と過去最高を更新した。パナソニックは半分以下の4114億円にとどまった。両社の時価総額は、これまでは拮抗していた。だが、10月9日の終値時点でソニーのそれは7.8兆円。対するパナソニックは2.1兆円。3.7倍の大差がついた。
ソニーに追いつき、追い越すために、「ポスト津賀」を誰にするのか。津賀人事の最大の見どころである。
(文=編集部)
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