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会社にぶら下がる「働かないオジサン」問題 トヨタも悩む新50代問題 日経ビジネスからの提言は 50代は飛び越される世代、雇用改革の一丁目一番地 もうリストラでは解決できない「終身雇用難しい」 日本景気にリスクは見えるか?悪化する製造業と好調な非製造業 
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/449.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 22 日 21:59:37: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 


 
会社にぶら下がる「働かないオジサン」問題 トヨタも悩む新50代問題 日経ビジネスからの提言は・・・
2019年10月12日 | 本と雑誌
会社にぶら下がる「働かないオジサン」問題・・・。

いつの時代も中高年の処遇について、20〜30歳代の若手社員からの批判や不平不満が噴出しています。
毎日残業して一所懸命仕事しているのに、何で50歳代のオジサン、オバサンたちは楽してるの???

まあ、そう言いなさんな。
「働かないオジサン」たちだって君らの年齢の頃、ブラック職場の中で社畜として夜討ち朝駆けで仕事してたんだよ。
役職定年でポストがなくなり給料も下がり、定年・・・再雇用でさらに給料は減額・・・そりゃ、モチベーションは下がるわな。
「働かないオジサン」の言い訳、理屈です。

今週号の日経ビジネス誌の「目覚めるニッポン」特集は、「トヨタも悩む新50代問題」。
サブタイトルには、「もうリストラでは解決できない」とあります。
日経ビジネス創刊50周年と、50代の「働かないオジサン」をかけたということもあるのでしょうが、今ふたたび中高年にスポットライトが当たっています。

PART1 50代問題はこう変わった 「終身雇用難しい」トヨタ社長の焦るワケ

PART2 「目覚める中高年をどうつくる?」アンフェアを正せ 難題に一筋の光明

PART3 リカレント教育、副業、出向 外に出てキャリア再考

PART4 流動化で真の終身雇用へ 人口減少を奇貨に 独自の雇用モデルを

「働かないオジサン」問題の背景にあるのが、年功序列、終身雇用、企業内組合、職能資格制度、総合決定給といった「昭和」の仕組み。
この30年間、ニッポンの企業はほとんど成長せず、悲しいことに、その間、給料も上がっていません・・・。

日経ビジネスの論調・・・日本型のメンバーシップ雇用を欧米型のジョブ型に変えていかなければならないというのがベースになっています。
それを具体化したケースが紹介されています。

◆ソニー・・・役職定年後に社内兼業で輝く 週に1日は別の業務に携わる

◆日清食品・・・管理職復帰へ「抜擢」に50代参戦 中高年と若手を競争させる

◆サントリー食品・・・仕事は「おせっかい」新たな職務を開発 マネジメント経験者を若手の相談役に

◆SCSK、サトーHD・・・事実上の定年廃止 やる気があればいつまでも働ける制度

◆森下仁丹・・・第4新卒採用 10年後は50歳代採用?

◆連合会長・・・雇用の流動性を高められる安全網を

日生を経て60歳でライフネット生命を創業、70歳で立命館アジア太平洋大学の学長に就任した出口治明さんのコメントも紹介されています。

「人、本、旅」で今すぐ学びなおせ!
今までやってきた「メシ、風呂、寝る」から、「人、本、旅」・・・広い世界に出て、毎日コツコツと「人、本、旅」で学び続ければ人は変われますよ。Knowledge is powerですよ。

そして、この特集のまとめは、次のようになっています。
企業は年齢や性別を問わずフェアに雇用し、個人は会社にぶら下がることなく常に学び、自らキャリアを築いていく。この二点さえ押さえれば、雇用モデルに定型はいらない。各企業が自由な発想で、再び成長していくためのモデルを作ればいいはずだ。

なるほど。
すべてのサラリーパースンに読んでいただきたい今週の日経ビジネスです。
#働かないオジサン#日経ビジネス#50代問題#出口治明
https://blog.goo.ne.jp/tomitomi111/e/75c1d6242bf5b1672d8af868749cb9bf

 

50代は飛び越される世代、雇用改革の一丁目一番地とは?

島津 翔 他 2名
日経ビジネス記者
2019年10月22日
1 58%
全4158文字

日経ビジネスは10月14日号の特集「トヨタも悩む新50代問題」で、これまでのような人件費抑制では対応できない中高年の処遇に関する問題を指摘した。

特集でも触れた通り、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)や経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が終身雇用の限界について相次いで指摘している。今年に入って企業経営者がタブーを口に出した理由は何なのか。専門家に聞いた。

>>「目覚めるニッポン」記事一覧へ


大久保幸夫氏
リクルートワークス研究所所長
1983年一橋大学経済学部卒業。同年株式会社リクルート入社。1999年にリクルートワークス研究所を立ち上げ、所長に就任。2010〜2012年内閣府参与を兼任。2011年専門役員就任。人材サービス産業協議会理事、Japan Innovation Network 理事、産業ソーシャルワーカー協会 理事なども務める。専門は、人材マネジメント、労働政策、キャリア論
大久保幸夫氏(リクルートワークス研究所所長):正社員を簡単に解雇できないという、いわゆる「解雇ルール」は変えられません。いや、変えられないと思われてきました。「変えよう」なんて政治家が言ったら次の選挙で落選するくらいのタブーだったんです。国民は安定を求めており、解雇ルールは圧倒的な支持基盤を持っています。だからこれまで、思っていたとしても誰も公には口にしなかった。アンタッチャブルでした。

 しかし、今年に入って、ついに豊田章男さんや中西宏明さんなどの企業経営者がこの問題を口にし始めた。少なくともこの問題についてより合理的に考えるのは政治家ではなく経営者だということでしょう。そして、タブーを口にしなければならないほど危機感が強くなっています。

 その危機感は、シニアの問題に起因しています。

 日経ビジネスが創刊した50年前、一般的な定年は55歳でした。年齢構成上、この55歳という年齢は合理的でした。その後、定年は60歳に延長されました。政府は多少強引にこの改正を通したのです。その後、多くの企業は55歳前後を「役職定年」としました。つまり、55歳から60歳までの5年間はサッカーで言えばロスタイム(アディショナルタイム)みたいなものでした。この状況がしばらく続きました。

 ところが2004年にさらに法律が改正され、企業に65歳定年を求めました。これに経済界は反対しましたが、結局、改正されました。この改正によって、多くの企業は60歳から64歳まで、再雇用という形で雇用を延長し始めました。ロスタイムがさらに延びたわけです。

 でも、企業はシニアの活用策をまだ詰めきれていません。実際に、できていないんです。そんな状況で「今後は70歳定年だ」という議論が始まっています。これに対して「冗談じゃない」というのが企業側の本音だろうと思います。

 終身雇用を含む日本型雇用は成長を前提にしたモデルです。高い成長率が続けば、質の高い労働力を安定的に得られるという点で非常に優れたモデルでした。だから1980年代までの日本には非常にフィットしました。

 ところがバブルが弾けると、日本型雇用は「放っておいたらコストが増えていく構造を持つ」と批判されました。給与が年功で膨らんでいくので、企業が成長しなければどんどん重くなっていく。いろんな人が疑問を持つようになりました。ただ、成功体験があるのでなかなか抜け出せなかったのです。

 その後、景気の山谷がある中で、日本型雇用は「限界を迎えている」「いや、再評価すべきだ」という声が行ったり来たりして、それが失われた20年の間、ずっと続きました。限界が見えつつ、次の最適解が見えないまま、建物で言えば増築改築を繰り返している状況です。

 ただ、今度こそシニアの問題が引き金になって、日本型雇用が崩れていくのではないか。私はそう考えています。

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50代は「飛び越される世代」
 私は現在58歳ですが、50代は大きな問題を抱えています。上は「逃げ切り世代」、下は「逃げ遅れ世代」と呼ばれていますが、私は50代を「飛び越される世代」と呼んでいます。

 パラダイムシフトが起こるときには、いわゆる世代のジャンプが同時に起こります。非常に若い世代が新しいサービスを生んだり、企業内でも世代がジャンプしてバトンが引き継がれたりしていきます。今の60代からバトンを引き継がれるのは、30代、40代の若い世代でしょう。デジタル化などによって競争環境が変わる中で、我々は「つなぎ目」としての役割をしっかり果たしていくというのが使命なのだと思います。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00067/101600047/?P=2&mds


「終身雇用難しい」発言の舞台裏 トヨタ社長が焦るワケ
「50代問題」はこう変わった


大竹 剛 他 5名
日経ビジネス副編集長
2019年10月11日
 

トヨタ自動車の豊田章男社長から飛び出した「終身雇用難しい」の真意とは何か。労使双方を取材すると、トヨタですら悩む「50代問題」の実相が見えてきた。銀行、電機、通信──。あらゆる企業が日本型雇用の限界に喘いでいる。

>>「目覚めるニッポン」記事一覧へ

50代は働かない?

出所:日経ビジネスの独自調査(コラム「独自調査の結果で見る 「働かない50代」のリアル」参照)(写真=左:時事、右:South_agency/Getty Images)
[画像のクリックで拡大表示]
 トヨタ自動車の労使交渉が異例の展開だ。10月に「春季交渉の延長戦」を開く同社史上初の異常事態である。

 春の交渉で、労使のかみ合わなさがあらわになった。13年ぶりに集中回答日まで決着がずれ込み、結局、一時金について年間協定が結べなかった。「夏季分のみ」という会社提案を組合がのみ、結論を先延ばしにした格好だ。

 混乱の経緯をひもとくと、雇用に対するトヨタの焦りが見えてくる。

 事業環境の変化による危機感を訴える経営側と、一律配分にこだわった組合側。一義的には両者の意見が真っ向から割れたことが原因だが、もう一つの背景がある。

 豊田章男社長の怒りである。

 きっかけは、その1週間前──。3月6日に開かれた第3回の労使協議会は、異様な雰囲気に包まれていた。「今回ほどものすごく距離感を感じたことはない。こんなにかみ合っていないのか。組合、会社ともに生きるか死ぬかの状況が分かっていないのではないか?」。緊迫感のなさに対して、豊田社長がこう一喝したからだ。

 組合側からの「モチベーションが低い」などの意見を聞いての発言だが、重要なのはそのメッセージが、非組合員である会社側の幹部社員にも向けられた点にある。

「働かない50代」問題が顕在化
 労使交渉関係者は次のように証言する。「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」

 豊田社長の発言を受けて急きょ、部長などの幹部側が集まった。危機感の不足を議論し共有するのに1週間を要した。これが、会社回答が集中日までずれ込んだもう一つの理由だった。

 労使交渉の関係者などへの取材によると、トヨタにはいまだ、年次による昇格枠が設定されている。

 総合職に当たる「事技職」では、40歳手前で課長、40代後半で部長というのが出世コースで、このコースから外れると挽回はほぼ不可能とされる。

 「あぶれた50代も肩書が付く場合があるが、部下はいないし、与えられる仕事も大きくない。相当モチベーションは下がっている。それでも年収で1200万円はもらっているから誰も辞めない」と40代社員は言う。

 トヨタは、この「50代問題」を座して待っていたわけではない。例えば工場などの製造部門。同社の試算では、10年後には50代が数割増加する。

 これまでは、体力が低下しがちな50代は生産ラインの外での作業に職務を変更してきたが、人手確保のためにライン内での作業が必要になる。そのため、2012年から評価制度見直しや健康面の対策を講じてきた。若手が減るなかで、50代も戦力として計算に入れる必要があった。

次ページ動き始めた評価制度見直し
動き始めた評価制度見直し
 問題は総合職だ。関係者は語る。「リーマン・ショックまでは拡大路線が続き、働いていなくても職場の中で隠れていられた。最近はそうはいかず、中高年の『働かない層』が目立ち始めた」

 5月13日に豊田社長が日本自動車工業会の会長として発言した以下のコメントも、こうした50代問題の文脈で読むと違う景色が見えてくる。

 「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」

 トヨタ社内には「業界の課題としての一般論」との見方がある。だが、「だぶつく50代を意識しての発言」(トヨタから50代後半で転籍したグループ会社社員)と見る向きも少なくない。

 「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」──。

 奥田碩元社長のこの発言に象徴されるように、トヨタは終身雇用の象徴的存在だった。そのトヨタですら、もはや変わらざるを得ないということか。

 もっとも豊田社長は「我々のビジネスモデルも変えなければならない」「瀬戸際の時代だ」など、トヨタの現状を厳しく表現する発言を繰り返している。自動運転や電動化などを表す「CASE」や、次世代移動サービス「MaaS」などの新しい概念が自動車業界を揺さぶっており、危機感を社内に共有するのが狙いとされる。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00246/?P=2&mds

「終身雇用難しい」トヨタ社長発言でパンドラの箱開くか

北西 厚一
日経ビジネス記者
2019年5月14日
48 83%
全1499文字
 トヨタ自動車の豊田章男社長の終身雇用に関する発言が話題を呼んでいる。13日の日本自動車工業会の会長会見で「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べた。


トヨタ自動車の豊田章男社長(写真:共同通信)
 背景にあるのは、グローバルでのコスト競争の厳しさ。国境や業種を越える競争が激しくなるなか、企業は労働者に優しいとされる「日本的雇用」との向き合い方を模索せざるを得なくなっている。

 豊田社長は「今の日本をみていると、雇用をずっと続けている企業へのインセンティブがあまりない」と指摘した。経団連の中西宏明会長も「企業からみると(従業員を)一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」と話し、雇用慣行の見直しを唱えている。

 終身雇用は年功序列と並び、日本企業における特徴的な雇用制度とされる。また、懲戒解雇に該当するような理由がない限り、日本では解雇することが難しい。「新卒で採用された会社に定年になるまで働き続ける」という働き方は徐々に変わってきてはいるが、今もなお、日本の人材の流動性は諸外国と比べて緩やかだ。

 ただ、グローバル化と急速な技術革新により、日本的雇用の前提は崩れ始めている。トヨタの場合、連結の新車販売台数の国内比率は25%。「100年に一度の大変革期」(豊田社長)にあっては、今後の競争力維持のためにはコネクテッドや自動運転など「CASE(参考記事はこちら)」への対応が不可欠で、研究開発費などのコストも膨らむ。

 米ゼネラル・モーターズが北米5工場の閉鎖を発表するなど、ライバルは大胆なコスト圧縮で新たな時代への適応を図る。自動運転分野などでは米グーグルなど、世界中の頭脳を集めるIT(情報技術)大手との競争も本格化する。豊田社長は「世の中が日々変わる中、全ての変化に神経を研ぎ澄ませる必要がある」と語っており、今年の春闘では、回答日当日まで労働組合とのギリギリの交渉を繰り広げた。

 今のところ、自動車業界や電機業界の労働組合に、豊田氏や中西氏の発言を受けた動きはない。ただ、ある上場企業の元人事担当役員は「終身雇用は新卒一括採用や春闘など、日本的な雇用制度の根っこにある。グローバル経営を突き詰めれば、労働組合も人事部もいらなくなる」と指摘する。

 ある労組幹部は豊田社長の発言について、「これまでのやり方では生き残れないという危機感の現れだと思っている」と話す。働き方改革が進む日本だが、世界の競争原理は「茹でガエル状態」(前出の元人事担当役員)を許してくれない。豊田社長の発言は、雇用維持への政府支援の必要性を訴えているようにも映る。「パンドラの箱」が開き始めているのは確かなのだろう。

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https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/051400346/?i_cid=nbpnb_arc


トヨタも悩む 新50代問題 もうリストラでは解決できない
全4回 2019年10月11日

大竹 剛

他 5名
日経ビジネス副編集長

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00245/g1.jpg

バブル崩壊から平成の30年間、その綻びが指摘され続けてきた日本型雇用。かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を支えたモデルが、いよいよ行き詰まった。背景にあるのは、少子高齢化とデジタル化というパラダイムシフト。ひずみが最も顕在化しているのが、バブル入社組を含む50代の社員だ。会社にぶら下がる「働かないオジサン」は、いつの時代にも存在する。だが、今度の「50代問題」はわけが違う。雇用モデルを刷新するときが来た。

CONTENTS
PART1
「50代問題」はこう変わった
「終身雇用難しい」発言の舞台裏 トヨタ社長が焦るワケ
トヨタ自動車の豊田章男社長から飛び出した「終身雇用難しい」の真意とは何か。労使双方を取材すると、トヨタですら悩む「50代問題」の実相が見えてきた。銀行、電機、通信──。あらゆる企業が日本型雇用の限界に喘いでいる。
>>「目覚めるニッポン」記事一覧へ
50代は働かない?

出所:日経ビジネスの独自調査(コラム「独自調査の結果で見る 「働かない50代」のリアル」参照)(写真=左:時事、右:South_agency/Getty Images)

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 トヨタ自動車の労使交渉が異例の展開だ。10月に「春季交渉の延長戦」を開く同社史上初の異常事態である。
 春の交渉で、労使のかみ合わなさがあらわになった。13年ぶりに集中回答日まで決着がずれ込み、結局、一時金について年間協定が結べなかった。「夏季分のみ」という会社提案を組合がのみ、結論を先延ばしにした格好だ。
 混乱の経緯をひもとくと、雇用に対するトヨタの焦りが見えてくる。
 事業環境の変化による危機感を訴える経営側と、一律配分にこだわった組合側。一義的には両者の意見が真っ向から割れたことが原因だが、もう一つの背景がある。
 豊田章男社長の怒りである。
 きっかけは、その1週間前──。3月6日に開かれた第3回の労使協議会は、異様な雰囲気に包まれていた。「今回ほどものすごく距離感を感じたことはない。こんなにかみ合っていないのか。組合、会社ともに生きるか死ぬかの状況が分かっていないのではないか?」。緊迫感のなさに対して、豊田社長がこう一喝したからだ。
 組合側からの「モチベーションが低い」などの意見を聞いての発言だが、重要なのはそのメッセージが、非組合員である会社側の幹部社員にも向けられた点にある。
「働かない50代」問題が顕在化
 労使交渉関係者は次のように証言する。「社長は、若手が多い組合側よりも、ベテランを含むマネジメント層に危機感を持っていたようだ」
 豊田社長の発言を受けて急きょ、部長などの幹部側が集まった。危機感の不足を議論し共有するのに1週間を要した。これが、会社回答が集中日までずれ込んだもう一つの理由だった。
 労使交渉の関係者などへの取材によると、トヨタにはいまだ、年次による昇格枠が設定されている。
 総合職に当たる「事技職」では、40歳手前で課長、40代後半で部長というのが出世コースで、このコースから外れると挽回はほぼ不可能とされる。
 「あぶれた50代も肩書が付く場合があるが、部下はいないし、与えられる仕事も大きくない。相当モチベーションは下がっている。それでも年収で1200万円はもらっているから誰も辞めない」と40代社員は言う。
 トヨタは、この「50代問題」を座して待っていたわけではない。例えば工場などの製造部門。同社の試算では、10年後には50代が数割増加する。
 これまでは、体力が低下しがちな50代は生産ラインの外での作業に職務を変更してきたが、人手確保のためにライン内での作業が必要になる。そのため、2012年から評価制度見直しや健康面の対策を講じてきた。若手が減るなかで、50代も戦力として計算に入れる必要があった。
次ページ動き始めた評価制度見直し
動き始めた評価制度見直し
 問題は総合職だ。関係者は語る。「リーマン・ショックまでは拡大路線が続き、働いていなくても職場の中で隠れていられた。最近はそうはいかず、中高年の『働かない層』が目立ち始めた」
 5月13日に豊田社長が日本自動車工業会の会長として発言した以下のコメントも、こうした50代問題の文脈で読むと違う景色が見えてくる。
 「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」
 トヨタ社内には「業界の課題としての一般論」との見方がある。だが、「だぶつく50代を意識しての発言」(トヨタから50代後半で転籍したグループ会社社員)と見る向きも少なくない。
 「経営者よ、クビ切りするなら切腹せよ」──。
 奥田碩元社長のこの発言に象徴されるように、トヨタは終身雇用の象徴的存在だった。そのトヨタですら、もはや変わらざるを得ないということか。
 もっとも豊田社長は「我々のビジネスモデルも変えなければならない」「瀬戸際の時代だ」など、トヨタの現状を厳しく表現する発言を繰り返している。自動運転や電動化などを表す「CASE」や、次世代移動サービス「MaaS」などの新しい概念が自動車業界を揺さぶっており、危機感を社内に共有するのが狙いとされる。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00246/?P=2&mds

PART2
「目覚める中高年」はどうつくる? 
アンフェアを正せ 雇用の難題に一筋の光明
カゴメの人事制度がここ数年でがらりと変わった。仕掛けたのは「フェアであれ」がポリシーのプロ人事マンだ。苦悩しながらも日本型雇用にメスを入れた事例に、光明を見る。

写真左:カゴメでCHO(最高人事責任者)を務める有沢正人常務執行役員。4社を渡り歩いた人事のプロ。写真右:※年収はイメージ(写真=吉成 大輔)

[画像のクリックで拡大表示]

 カゴメのある営業部員の評価シートを見て、有沢正人常務執行役員は驚いた。同社に転じたばかりのころだ。
 上司からのコメントは「よくできている」の一言だけ。それでも評価は「B」だった。他の部員も同様に定性的なコメントが並んでいた。まるで、小学校の通信簿じゃないか──。
 有沢氏は、典型的な日本型雇用の会社を次々と改革している「人事のプロ」だ。カゴメに入社したのは2012年1月。半年かけて国内外の拠点を回り、数えきれないくらいのヒアリングを重ねて、こう確信した。「こりゃ、良くも悪くも典型的な日本企業だな。今までであれば良い企業。でも、時代遅れだ」
 絵に描いたような年功序列だった。年間の人事評価ではAが5ポイント、Bが4ポイント、Cが2ポイントで、累計16ポイント獲得すると次のグレード(等級)に昇格する。当時、社員の85%がB評価でC評価は数人だけ。つまり、同期なら同じように4年に1段ずつ階段を上がる。結果、50代が多くのポストを押さえ、下の層が滞留していた。
 役職定年制度もなく、どうしたらこの状況を変えられるか。現場をけん引する30〜40代のモチベーションを考えると、「50代の処遇をどうするかが、喫緊の課題だった」(カゴメ関係者)。
役員から「ジョブ型」へ転換
 有沢氏の仕事人生は波瀾万丈だ。1984年に協和銀行(現・りそな銀行)に入行し、米国で経営学修士(MBA)を取得した後、長らく人事・経営企画畑を歩いた。転機は2003年。経営難に陥ったりそなホールディングスの会長に就いた細谷英二氏から「人事こそが悪の権化だ」と名指しで指摘された。
 人事部副部長兼総合企画部副部長という肩書で経営の中枢にいた有沢氏は、平均4割の給与カットと1100人のリストラの計画を立て、実行した。尊敬する先輩や、目をかけていた後輩……。最後の1人が辞めると、有沢氏はその責任を取って辞表を出した。
 この経験から、有沢氏はプロの人事マンとして3つのポリシーを決めた。
 一、現場に足を運ぶ
 二、改革は経営トップから
 三、フェアであれ
 その後、光学部品メーカーのHOYA、AIU保険会社と渡り歩き、抜本的な改革を実行。そして今、カゴメでCHO(最高人事責任者)として辣腕を振るう。ゴールはどれも同じ。「ジョブグレード(職務等級)制度」の導入だ。
 日本企業の多くが採用しているのは職能資格制度など、「人」に給与を支払う方式だ。経験とともに個人の能力が上がるという前提に立ち、年功序列に陥りやすい。
 対照的に、職務等級制度は「仕事」に給与を支払う。営業部課長、生産部部長といった仕事の中身を分解してグレードを分け、それに応じた報酬を決める。欧米では主流で、「ジョブ型」と呼ばれる。
 12年夏、有沢氏は経営陣にこう宣言した。「まずは役員陣から職務等級制度を導入したい」。そうしなければ現場は納得しないからだ。
 カゴメのポストは役員が20、部長が80、課長が270。合計370の「仕事」の内容を8項目のスキルを軸に分析し、12のグレードに格付けした。その上で、13年に役員、14年に部長、15年に課長と、上から順に導入。典型的なジョブ型の制度に3年でがらりと変えた。
 評価も是々非々で判断する枠組みに見直し、年齢ではなく成果に応じた昇給とした。
 年功的要素の廃止で、「50代問題」は理論上なくなった。職務に見合う仕事をしている50代は引き続き要職に残り、子会社の社長などに若手が抜擢されるなど、年齢を問わずフェアな人事が実行されるようになってきた。
 立教大学経営学部の田中聡助教は「年齢主義を廃止すれば、そもそも50代問題は起きなくなる。だが、カゴメほど抜本的にジョブ型に移行した事例は日本ではまだ少ない」と話す。
 雇用改革は個人の人生を左右するほどの重みがある。有沢氏のような外部出身の“プロ”ならしがらみはないが、多くの企業は現実解を導き出そうと試行錯誤中だ。ここからは一筋の光明を見いだした5社の事例を見ていこう。
全7340文字

 「こんなことを経験できる場所は世界のどこにもない」
 シェフの美しい盛り付けを再現するロボットの開発に関わるソニーの向井暢彦シニアエレクトロニクスエンジニアは充実した表情を浮かべる。向井氏の本業は生産技術の開発。所属は製造子会社だが、ソニーコンピュータサイエンス研究所が取り組む、食の世界にAI(人工知能)やロボットを応用するプロジェクトで「社内兼業」している。

ソニーの生産技術部門で統括部長を務めていた向井暢彦氏(56歳)は役職定年後、本業に加えて週に1日はソニーコンピュータサイエンス研究所のロボット研究プロジェクトに携わる(写真=吉成 大輔)
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00247/p4.jpg

 メンバー間の公用語は英語。向井氏は「工場では使わなかった技術に触れ、今まで出会えなかった人たちと仕事をするのは刺激的」と話す。
 社内兼業の一番の収穫は、転職も含め、キャリアの選択肢が広がったと感じられることだ。人材の流出につながりそうなものだが、人事センターEC人事部の大塚康統括部長は意に介さない。「活躍の場がソニーの中か外かに限らず、皆が自分を成長させようと挑戦している状態が理想」だからだ。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00247/?P=2
PART3
リカレント教育、副業、出向…… 外に出てキャリア再考
 「あなたたちは定年同期です」──。
 2019年7月18日、東京・西新宿にあるテルモ東京オフィスの会議室に集まった28人の同社社員は、こう言われて互いの顔を見合わせた。共通点は今年50歳の誕生日を迎えることだけ。部署も役職もバラバラだ。参加者は、ニックネームで呼び合うのがルールだ。定年を迎える「同期」として現実と向き合わせるのが目的だ。
 テルモが50歳になる社員を対象とする1日半の研修を始めたのは昨年から。19年度は約200人が対象で年6回に分けて実施する。社員アンケートから、50歳前後の社員がキャリア形成の不安を抱え、成長意欲が低下している様子も浮かび上がっていたからだ。
 研修では「社外に通用する得意分野を持っているか」「周囲の人たちはあなたの判断を信頼しているか」などの設問に答え、人生の充実度の推移をチャートにするなどしてキャリアを棚卸しする。「研修で自身の価値観や能力、可能性に気づいてもらいたい」と人財開発室の神田尚子課長代理は期待する。

テルモが7月に実施した50歳を迎える社員向けのキャリア研修資料。キャリアの棚卸しを促す
 会社から与えられてきたキャリアを、自ら切り開くものとして再定義しなければならない──。そんなパラダイムシフトが中高年社員に訪れている。
 環境に応じて変幻自在のキャリア(プロティアン・キャリア)を築くことを提唱する法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔教授は、「会社の名刺や肩書は一時的な借り物にすぎなかったと自覚するために、まずは『解毒』が必要だ」と話す(下図参照)。

日経ビジネス電子版で全文掲載(写真=竹井 俊晴)

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 キャリア研修はその第一歩となる。国も中高年向けのキャリア形成支援に乗り出す。20年度から全国でキャリアコンサルティングを実施する予定で、関連費用17億6200万円を20年度予算概算要求に盛り込んだ。
 こうしたキャリア研修を経て解毒した中高年社員が向かう先は、会社の外での自己研さんだ。その一つが学び直し、いわゆる「リカレント教育」である。

 東京・中野にある社員数百人の建築設計会社に勤める秘書室長の小林幸隆氏(仮名)は今年、56歳になり役職定年の対象になった。昨年、会社が定年制を廃止。今夏、上司に「長く働きたいなら社会人大学にでも行ったらどうか」と勧められた。小林氏は「最初は戸惑った。でも、いつまでも働き続けたいとの思いは前からあり、チャンスだと考えた」と笑顔を見せる。外での学びも生かし、これまでの経験やノウハウを部下に継承していきたい考えだ。
 一方、役職定年など厳しい現実に備え、早めに学び直してキャリアを磨き直そうという人もいる。大手化粧品メーカーに勤める高橋博氏(仮名)は、47歳で自身の専門性を深掘りするために社会人向け大学院に入学した。「それまで現場で培ってきた暗黙知を、理論的に体系づけたかった。そうしないと会社がグローバル化を進める中で、この先、社内外で通用しなくなる」と話す。
 学び直しを実践する社会人の割合は、ほかの先進諸国に比べて日本は極端に小さい。経済協力開発機構(OECD)によると、日本ではわずか2.4%。14〜15%台の米英と比べると雲泥の差で、OECD平均の10.9%にも程遠い。
教育機関で学ぶ日本人(25〜64歳)の割合は国際的にみて低い
●教育機関で学ぶ者(25〜64歳)の割合

注:調査年は2012年または15年(OECD“Education at a Glance”)
(写真=Mark Reinstein/Getty Images)
https://cdn-business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00248/p3.jpg?__scale=w:500,h:283&_sh=0ca050f005

 だが、変化の兆しはある。MBA(経営学修士号)など上位層のビジネスパーソンを対象にしてきた大学院だけではなく、平均的なビジネスパーソンの学び直しを支援する方向へと裾野が広がってきている。文部科学省の調査では、03年度以降に1万〜1万3000人で推移していた大学への社会人入学者数は15年度以降は1万5000人を超えている。文科省担当者は「転職や社内でのステップアップのために学ぶ人は確実に増えている」と話す。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00248/?P=2
PART4
人口減少を奇貨に独自のモデルを
雇用の流動化で真の「終身雇用」へ
 企業向けにインターネットサービスを手掛けるガイアックスは今から7年前、ある事件をきっかけに日本型の雇用モデルと決別した。

日本型雇用システムと決別したガイアックス。「社員総会」にも外部から自由に参加できる。右端が上田祐司社長(写真=吉成 大輔)
 「この会社を自分のものにしたい」。発言の主は、スマートフォンなどについての総合サイトを運営するAppBank事業を担当していた村井智建氏。2012年当時はガイアックスの一事業部だったが、株式会社として独立する「カーブアウト」を希望した。
 当時の経営陣の大半は、社員のわがままな主張にあぜんとした。ガイアックスはメディアマーケティングやシェアリングエコノミーの領域で多数のサービスを展開する。村井氏の独立を許し、社員がそれぞれ同じようなことを言い出したら組織が空中分解しかねない。
 ただ、上田祐司社長は別のことを考えていた。「担当者が事業を持っていってもいいんじゃないか? もう企業が雇用を維持する時代じゃない」
 経営陣で議論を重ねたが平行線をたどり、最後は上田社長がゴーサインを出した。
 「あり得ない」
 上層部約20人のうち半数以上が、この決断に反発しガイアックスを去った。だが、上田社長に悔いはない。
 この“事件”を機にガイアックスは、「自律的にキャリアを築こうとする個人」を前提にゼロから組織をつくり替えていく。その結果、これまでの常識に囚われない“自由すぎる”制度が、続々と誕生した。

 全ての事業部長に稟議(りんぎ)なしでの独立権を認め、事業のカーブアウトを制度として全社に展開した。
 キャリアは個人が自立的に築くもの、という前提に立った場合、給与の金額はどうやって決めるべきか。突き詰めると、社員自らが決めるのがベストだ。5〜6年先の中期目標を自身で設定し、成果に応じた給与を上司と相談して事前に決める。年功序列は消滅し、究極の成果主義になった。
 それぞれの仕事について、社員として取り組むか、業務委託の形で個人事業主として取り組むかも、自由に決めていい。社長に事業をコントロールする力はほぼなくなり、別の事業の担当に異動させるといった人事権も消え失せた。上田社長は、「経営者も執行役員も、社員という『個』に対するメンター役くらいに捉えている。もはやどこまでが社員かすら、把握が難しい」と話す。
 会社に忠誠を誓う代わりに安定した雇用を保証してもらうという、日本型雇用の関係性はそこにはない。逆に言えば、ガイアックスは雇用の流動化がなければ成り立たない組織になった。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00245/

 

日本景気にリスクは見えるか?悪化する製造業と好調な非製造業

鹿野達史:三菱UFJ モルガン・スタンレー証券 景気循環研究所 副所長
政策・マーケット DOL特別レポート
2019.10.22 5:00

製造業は景況感が悪化
一方、非製造業は堅調
 製造業と非製造業の経済活動や景況感がかい離する状態が続いている。企業の景況感を示す日本銀行の「短観」の業況判断DIを見ると、製造業のDIは、中小企業を含む全規模ベースで、2017年12月調査でプラス19まで上昇していたが、その後低下基調となり、19年9月調査ではマイナス1まで低下している(図1上段点線参照)。
 業況判断DIは、景気が「良い」とする企業の比率から「悪い」とする企業の比率を差し引いたもの。業況判断DIがマイナスであることは、景気が「悪い」とする企業が相対的に多いことになり、「不況」とも判断される。こうした状況は、12年の景気後退後の回復期に当たる13年9月調査以来となる(同)。
 一方、非製造業の業況判断DIは、同じく全規模ベースで見ると、18年3月調査以降、ほぼ横ばいで推移。19年9月調査でもプラス14と、景気が「良い」とする企業が、依然として「悪い」とする企業を大幅に上回っている(図1上段実線参照)。
 製造業の景況感の悪化は、世界経済の減速に伴う輸出や生産活動、企業収益の弱含みによりもたらされたといえるが、輸出が落ち込む一方、国内需要(内需)は堅調である(図1下段)。こうした中、非製造業の景況感は底堅く推移し、製造業と非製造業の景況感は対照的な動きになっている。

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 経済全体の成長ペースを見ると、18年10−12月期は、前期比年率でプラス1.8%、19年1−3月期が同プラス2.2%、4−6月期は同プラス1.3%となっており、輸出や生産、製造業が不調だが、内需や非製造業の活動が堅調で、経済全体の成長が保たれている格好になっている。
 過去を見ると、輸出や生産活動、製造業部門の落ち込みがその他に波及し、経済全体が弱含むのが景気悪化の典型的なパターンだったが、今回は製造業の不調と非製造業の好調の並走が比較的長く続いている。政府の景気判断を示す月例経済報告でも、政府は10月に「輸出を中心に弱さが長引いている」との判断を示しつつ、全体としては、「緩やかに回復している」との見方を維持している。

過去は製造業の悪化が全体に波及
今回も同じパターンとなるか

 先行きについては、強弱の見通しがあるが、輸出・製造業と内需・非製造業の対照的な動きが、いずれ崩れるとの見方で一致している。弱めの見方については、先に述べた、輸出・生産の落ち込みが他に波及する典型的な景気悪化のパターンを辿るとの予測だが、ここにきては、世界全体の製造業の景況感を示す、製造業景況指数(PMI)が、8、9月と上昇するなど、世界経済の悪化に歯止めがかかる中、輸出が持ち直している。
 貿易統計を基に推計した月次の実質輸出(筆者推計)は、5月にボトムをつけており、四半期では4−6月期に前期比でほぼ横ばいとなった後、7−9月期は前期比で1.3%増加している。世界経済が持ち直した背景の1つとして、次世代通信規格「5G」の普及に伴う半導体需要の拡大が予想以上となっていることが挙げられる。
たとえば、大幅に落ち込んでいた日本製の半導体製造装置の販売額は、6月をボトムに増加に転じており、7−9月期は前期比で11.5%増(筆者推計の季節調整値)と急回復している。
 輸出の減少が内需に波及する経路として、輸出企業を中心とした製造業の設備投資の抑制が考えられていたが、輸出に持ち直しの動きが見えるなか、機械設備投資の先行指標である機械受注(製造業・内需)は増加している。製造業からの受注額は、月次では3月にボトムをつけており(図2点線参照)、四半期ベースでは4−6月期が前期比2.5%増、7−8月平均は4−6月期比で1%増えている。
また、9月値まで発表となっている工作機械受注(内需)を見ると、7月以降急増しており、9月までの3ヵ月間で22%近く増加している(図2実線参照)。

https://diamond.jp/mwimgs/3/d/-/img_3d2d781e0e4ea0a6f743261b8a553e47185397.jpg

 輸出の減少を起点とした景気の下押し圧力は、輸出の持ち直しで製造業の設備投資に増加の兆しが見えるなど、和らいでいる。むしろ足元では、景気が上向く動きを支える可能性が出てきているとも言えるが、こうした中、懸念されるのは、やはり10月に実施された消費税率引き上げの影響となる。

懸念される消費税率の引き上げ
中規模の補正予算編成が必要

 消費税率引き上げ後は、引き上げ前の駆け込みの反動に増税効果が加わる形となる。駆け込み需要については、税率の引き上げが14年4月に比べて小幅なほか、軽減税率の導入もあって相対的に小規模となるものの、一定程度は発生している。
 まず住宅着工を見ると、持ち家の着工戸数は、前回の税率引き上げ前の13年10−12月期の前年比19.7%増に対して、19年4−6月期は同9.6%増となっている。乗用車販売は、前回の税率引き上げ直前の14年1−3月期に前年比でプラス20.9%まで上昇したのに対して、足もとの19年7‐9月期は同プラス7.5%となっている。
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、大型小売店などの週次の販売額を、SRI一橋大学消費者購買指数でみると、14年3月第4週に前年比で23%近い増加となっていたのに対して、今回は19年9月第4週に同13.3%増となっている。
 増税効果は、税率の引き上げが小幅なことに加え、引き上げに合わせた教育の無償化・社会保障の充実や経済への影響の平準化に向けた施策などが実行されることから、相対的に小さくなると見られている。
負担増の規模について、政府は税率引き上げによる負担増が5.7兆円程度、たばこ税などの見直しによる財源確保による負担が6000億円程度で、合計6.3兆円程度としている。これに対し、軽減税率導入などによる負担減やその他の施策の規模の合計は6.6兆円となり、規模としては釣り合う形となっている。ただ、経済への影響の平準化に向けた施策には、税率引き上げ直後に効果がフルに表れないものもあると見られており、やはり一定程度は経済へのマイナス効果が残ると考えられる。
 こうしたなか、政府は19年度の補正予算を編成する方針を示しており、「令和元年台風19号」の被害からの復旧・復興に加え、追加経済対策を併せて盛り込むことを検討している。消費税率引き上げのマイナスの影響が一定程度残ることに加え、米中摩擦の激化への懸念は根強く、世界経済の持ち直しの動きが盤石とは言い切れない状況にある。大規模とまではいわないものの、中規模な補正予算の編成が必要と言えよう。
(三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所副所長 鹿野達史)
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https://diamond.jp/articles/-/218235?
 

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コメント
1. 2019年10月23日 00:15:45 : HmMURyrUhk : WC5xMjFoNGczZFU=[58] 報告
モルガン・スタンレー    ハゲタカの代表会社 カネの亡者

日経ビジネス        安倍政権、経団連いいなりの御用メディア

2. 2019年10月23日 17:58:53 : FDiBKXCH1E : Z3JGL1V2WGpKMEk=[2] 報告
企業の人事制度や賃金制度の問題だよな。
そりゃいったん管理職にして現場離れた人たちが、
役定後簡単に実働に戻れるかと言ったら難しい。
3. 2019年10月23日 19:01:08 : bLbVVSfKBo : Q0txSzNoeHg1TG8=[206] 報告
士気下がる 夜討ち朝駆け 続いたら

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