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東急と東急不動産統合→大・東急「不動産」発足との観測も…三菱地所に肉薄
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123579.html
2019.10.17 文=編集部 Business Journal
東急本社(「wikipedia」より/ウェルワィ)
9月2日は東京急行電鉄の創立記念日だった。創立101周年の同日に合わせ、社名から「急行電鉄」を外し、東急に変更した。10月1日付で分社化された鉄道事業子会社の名称が東急電鉄になり、社員の8割にあたる3500人強が東急電鉄に移った。
新生・東急は不動産事業へ主軸を移す。株式市場では東急グループ内の有力企業、東急不動産ホールディングス(HD)との統合観測が駆け巡る。「スケールメリットを追求できる」との声が上がる。
東急のルーツは新1万円札の顔となる「日本資本主義の父」、渋沢栄一が1918年9月2日に設立した田園都市株式会社である。高級住宅街、田園調布(東京・大田区)の開発に携わった。この会社の設立日が東急の創立記念日となっている。1922年、目黒と蒲田を結ぶ路線、目黒蒲田電鉄が発足。36年、五島慶太が社長に就任し、次々と企業を買収。「強盗慶太」の異名がついた。39年、社名は東京横浜電鉄、42年に東京急行電鉄となる。小田急電鉄、京浜電気鉄道(現・京浜急行電鉄)などと合併し、大東急と呼ばれた。戦後はそれぞれの会社を分離した。
1953年、東急電鉄から不動産事業が分離独立し、東急不動産が生まれた。当初は電鉄は東急沿線を中心とした開発、東急不動産は沿線以外の市場開拓という役割分担があった。しかし、バブル期の不動産ブームで事業拡大し、用地の取得や入居テナントの誘致を競い合い、関係がギクシャクした時期もあったが、現在では対立色は薄まっている。18年10月、東急電鉄は東急不動産HD(13年にグループ3社が統合し持ち株会社体制に移行)の公募増資に応じ、約16%の出資比率を維持し、筆頭株主となっている。
■東急は「渋谷の大家さん」になる
東急社長の高橋和夫氏は9月2日の記者会見で、2030年度(31年3月期)の営業利益を19年3月期比1.8倍の1500億円、純利益を同1.7倍の1000億円に引き上げる長期目標を掲げた。営業利益に占める不動産事業(ホテル・リゾートを除く)の割合を39%から45%程度に高め、経営の中核に据える。
不動産事業の柱である渋谷の再開発は、12年開業の「渋谷ヒカリエ」を皮切りに、19年11月の「渋谷スクランブルスクエア」東棟の開業で一定のメドがつく。30年に向けては渋谷駅から半径2.5キロメートル圏の「グレーター渋谷」の再開発に取り組む。不動産投資額は4500億円になる見込みだ。
三菱地所が「丸の内の大家さん」、森ビルが「港区の大家さん」と呼ばれるように、東急は「渋谷の大家さん」を目指す。競合大手は東京都心各所で大規模開発を手掛けているが、東急は渋谷に集中する。市場関係者が目を向けるのが、東急不動産HDとの経営統合だ。「重複事業が多い」と指摘されている。
■小が大を飲む統合
だが、外野席がはやし立てるほど、ことは簡単ではない。不動産事業では、専業の東急不動産に一日の長があるからだ。
不動産事業の力関係は歴然としている。売上高にあたる営業収益は東急不動産が東急の3倍(東急はホテル・リゾートを含む)、営業利益は2.3倍だ。東急不動産HDの株式の約16%を握る筆頭株主とはいえ、東急が東急不動産を吸収合併すれば、小が大を飲むかたちになり、東急不動産がそれを受け入れるかが注目される。共同持ち株会社を設立して、東急不動産と東急の不動事業を一本化した不動産新会社と、鉄道会社をぶら下げる方式も考えられる。
■「大東急」は三井、三菱、住友の御三家に肩を並べる
東急の不動産事業と東急不動産HDの統合が魅力的なシナリオであることは間違いない。不動産御三家に肩を並べることができるからだ。
東急の不動産事業とホテル・リゾート事業、東急不動産HDを合算した売上高は1兆2048億円、営業利益1151億円。売上規模では住友不動産を抜き、三菱地所に迫る。ただ、営業利益が住友不動産の約半分しかなく、収益力で劣るのは難点だ。それでも、不動産御三家から四天王の時代を迎える、またとないチャンスであることは確かだ。東急の高橋社長のリーダーシップ力が問われることになる。
(文=編集部)
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