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IMF19年世界成長3%に下げ、10年ぶり低調−日本20年0.5%に上げ IMF新専務理事、世界的な減速が広がる「深刻なリスク」見られる この先も大規模な金融緩和を継続、バランスシート拡大続く=黒田日銀総裁 日銀緩和に問われる円高防御力 難しさ増す「次の一手」 フィリップス曲線は死んだのか、ブラード総裁とミシュキン氏が論戦
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/398.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 16 日 16:47:50: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 


IMF19年世界成長3%に下げ、10年ぶり低調−日本20年0.5%に上げ
Jeff Kearns
2019年10月15日 22:00 JST
19年世界経済成長率予想引き下げは5回連続、米中の見通しも下げ
減速の同時発生と不確かな回復でグローバル見通しはなお不安定

国際通貨基金(IMF)は15日公表した最新の世界経済見通し(WEO)で、2019年の世界経済成長率予想を5回連続で引き下げた。貿易摩擦で経済成長が損なわれる中で、世界の主要国・地域で広く景気が減速していると指摘した。

  日本については今年の成長率予想を0.9%に据え置く一方、来年は7月時点の0.4%から0.5%に上方修正した。

  IMFの最新見通しによると、19年の世界経済成長率は3%と、7月時点の予測の3.2%を下回る見込み。20年の予想も3.4%と7月時点(3.5%)から下方修正した。見通し通りになれば、今年は世界経済が縮小した09年以降で最も低い伸びとなる。IMFは米国と欧州、中国、インドの予想成長率を引き下げた。

  IMFのチーフエコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は報告書で、「減速の同時発生と不確かな回復に伴い、グローバルな見通しはなお不安定だ。政策ミスの余地はなく、政策担当者が貿易摩擦と地政学的緊張の緩和で協調することが急務だ」と主張した。

  今週ワシントンで開幕するIMF・世界銀行の合同年次総会に先立ち公表された最新WEOでの見通し下方修正は、関税引き上げの経済的コストを浮き彫りにする。トランプ米大統領の貿易政策が引き続き最も大きなグローバルの脅威の一つとなる中で、各国当局者がIMF・世銀関連の一連の会議に集う。米中貿易協議の先週の「部分合意」によって、世界的な先行き不透明感が緩和されるかどうか投資家は見守っている。

  IMFは景気の勢いの鈍さや投資の弱さを理由に貿易量の増加ペースの見通しを「停滞に近い」1.1%と、昨年の3.6%から大幅に引き下げたが、20年には3.2%への回復を見込んでいる。

  報告書は「見通しではリスクが優勢に見える」が、多くの国で最近実施された金融緩和に伴い、「米中貿易摩擦が緩和されたり、英国の欧州連合(EU)からの『合意なき離脱』が回避されたりする場合は特にそうだが、需要が予想以上に押し上げられる可能性もある」と分析した。

  IMFのエコノミストらは米国の19年成長率予想を0.2ポイント引き下げ2.4%とする一方、20年については0.2ポイント引き上げ2.1%とした。

  ユーロ圏の成長率見通しは、今年が1.2%、来年は1.4%にそれぞれ引き下げた。ドイツとフランス、イタリア、スペインは今年と来年の予想がいずれも下方修正された。英国の今年の成長率見通しも1.2%に引き下げ。中国の成長率予想は今年が6.1%、来年は5.8%に下向き修正された。

原題:Trade Woes Push IMF Global Growth Outlook to Decade-Low of 3%(抜粋)

IMF’s Asian Economies GDP, CPI, Unemployment Forecasts (Table)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-15/PZE3AOT1UM0W01?srnd=cojp-v2

 
世界成長率3.0%に減速 IMF、貿易戦争で予測下げ
トランプ政権 貿易摩擦 経済 中国・台湾 ヨーロッパ 北米
2019/10/15 22:00 
米中の貿易戦争を受けて世界的に貿易や投資が減速している=AP

【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は15日改定した世界経済見通し(WEO)で2019年の成長率を3.0%と予測し、7月時点から0.2ポイント下方修正した。米中の貿易戦争を受けて世界的に貿易や投資が減速しており、金融危機直後だった09年以来、10年ぶりの低い伸び率となる。中国は20年の成長率が30年ぶりに6%台を割り込むと予測した。

IMFは四半期ごとにWEOを改定している。下方修正は5期連続だ。世界経済は3%成長が好不況の境目とされる。IMFは「世界全体の90%の国・地域で経済が減速している」と指摘した。20年の実質経済成長率は3.4%に持ち直すと見込んだが、7月時点の予測と比べ0.1ポイント引き下げた。

世界景気が急減速する最大の要因は米中の貿易戦争で、19年の世界の貿易量の伸びは前年比で1.1%にとどまりそうだ。18年(3.6%増)から急ブレーキがかかる。米国は中国製品の制裁関税を積み増す可能性があり、IMFは「経済見通しのリスクは下方に傾いている」と警告した。

中国の成長率見通しは、19年が6.1%、20年は5.8%にいずれも下方修正した。18年の6.6%から減速し、天安門事件の直後だった1990年(3.9%)以来の低さにとどまる。金融緩和や財政刺激策で景気の失速を回避すると見込むものの、IMFは「企業と家計の債務は急増している」と金融面での不均衡にも警鐘をならした。

貿易戦争を仕掛けた米国も、19年の成長率見通しは2.4%と7月時点から0.2ポイント下方修正した。企業投資などが弱含み、18年の2.9%成長から減速しそうだ。20年の成長率見通しは、米連邦準備理事会(FRB)の利下げや連邦政府の歳出拡大で0.2ポイント上方修正したものの、潜在成長率並みの2.1%にとどまりそうだ。

日本は19年が0.9%、20年は0.5%と予測をほとんど修正しなかった。19年中は消費税増税の影響を需要喚起策でカバーするが、20年は家計支出が鈍化すると予測した。成長率の停滞は中期的に続きそうで、24年時点の伸び率も0.5%にとどまると見込んだ。

ユーロ圏も輸出依存度の高いドイツは19年の成長率が0.5%、20年も1.2%にとどまる見通しだ。英国も1%台前半の低い成長率を予測するが、欧州連合(EU)離脱の動き次第では下振れが避けられない。

新興国も軒並み下方修正となり、インドの19年の成長率見通しは0.9ポイントも引き下げられた。自動車販売などの個人消費に急ブレーキがかかり、大手ノンバンクが経営破綻するなど、金融面でも資金供給が収縮している。メキシコも緊縮財政の影響で景気後退の瀬戸際にあり、各国・地域とも政策のミスマッチが目立つ。

日米欧と中国など20カ国・地域(G20)は17日から2日間の日程で財務相・中央銀行総裁会議を開く。「世界同時減速」から抜け出すための政策協調を求められるが、米国は中国だけでなく欧州連合(EU)とも航空機の補助金を巡って関税合戦の瀬戸際にある。政治リスクの解消すらできないG20に国際的な政策協調はのぞめない。

FRBや欧州中央銀行(ECB)は金融緩和に打って出たが、金利政策や量的緩和の拡大余地は極めて小さい。ドイツなど一部の国は財政拡張の可能性があるものの、日本などは国家債務の積み上がりも深刻だ。金融危機後の10年間で政策余地を十分に取り戻せないまま、世界景気は「不況」の瀬戸際に立つ。

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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50995500V11C19A0MM8000/

IMF新専務理事、世界的な減速が広がる「深刻なリスク」見られる
Sarah McGregor
2019年10月9日 2:27 JST
ゲオルギエワ氏、就任後初の主要講演で悲観的な見方示す
貿易、英EU離脱、地政学的な緊張が景気を抑制
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は就任後初の主要な講演で、世界経済に関して悲観的な見方を示し、景気減速が深刻化した場合、各国政府は協調して財政による刺激措置を講じる必要性が出てくる可能性があると述べた。

  今回の講演は来週開催されるIMF年次総会の基調を打ち出すもの。IMFは10月15日公表予定の世界経済見通し(WEO)で2019年と20年の成長見通しを引き下げると、ゲオルギエワ氏は語った。IMFは7月に今年の成長率予測を3.2%、来年は3.5%にそれぞれ引き下げ、昨年10月以降で4度目の下方修正を行っていた。

IMF World Economic Outlook Press Briefing
ゲオルギエワIMF専務理事
  世界の機関やエコノミスト、投資家らは世界的な成長減速の主因として、関税を巡る米中の対立を非難している。ゲオルギエワ氏は8日のワシントンでの同講演で、貿易摩擦が製造業の落ち込みや投資減速の一因となっており、サービス業や消費といった経済の他分野に波及する「深刻なリスク」が生じていると指摘。世界の貿易の伸びは停滞状態に近いと、付け加えた。

  同氏は「世界経済は今、同時減速の状況にある」とし、世界の90%で成長が減速しているとIMFでは見積もっていると発言。一方、2年前は世界全体の4分の3で景気が同時に上向き、成長が加速していたと付け加えた。

  さらに、「貿易や英国の欧州連合(EU) 離脱を起因とする不確実性、地政学的な情勢緊迫が潜在的な経済力を抑制している」とも指摘。それにとどまらず、経済的な対立は「長期にわたり続き」、自己中心的な貿易といったシフトが起こる可能性があると話した。

原題:
New IMF Chief Sees ‘Serious Risk’ Global Slowdown Will Spread(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-08/PZ2DBM6TTDS201


 

最新経済ニュース2019年10月16日 / 15:06 / 4分前更新
この先も大規模な金融緩和を継続、バランスシート拡大続く=黒田日銀総裁
Reuters Staff
1 分で読む

[東京 16日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は16日午後、参院予算委員会で、日銀のバランスシートについて「この先も物価安定の目標の実現に向けて大規模な金融緩和を継続する考えで、バランスシートの拡大は続く」との見通しを示した。

ただ、2%の物価安定の目標を達成した際には「当然、大規模な金融緩和を継続する必要はなくなるので、日銀のバランスシートの規模も見直していく」とも語った。

浅田均委員(維新)の質問に答えた。

*この記事の詳細はこの後送信します。新しい記事は見出しに「UPDATE」と表示します。 (志田義寧)
https://jp.reuters.com/article/idJPT9N26N01V?il=0

物価モメンタムより注意必要、失速懸念高まれば追加緩和-日銀総裁
伊藤純夫
2019年10月15日 9:40 JST 更新日時 2019年10月15日 10:19 JST
海外経済中心に、経済・物価の下振れリスク大きい
台風災害の実体経済への影響把握、金融・決済の円滑確保
日本銀行の黒田東彦総裁は15日、都内の本店で開かれた支店長会議であいさつし、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、「躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」と語った。

  その上で、物価のモメンタムは「より注意が必要な情勢になりつつある」とし、30、31日の次回金融政策決定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」考えを表明。政策金利については「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定している」とした。

  日本経済は「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けるとみられる」としたが、「特に海外経済の動向を中心に経済・物価の下振れリスクが大きい」と警戒。最近は「海外経済の減速が続き、その下振れリスクが高まりつつある」との認識を示した。

  足元の消費者物価(生鮮食品除く)の前年比は「ゼロ%台半ば」と、日銀が目指す物価2%目標には依然として距離があるが、先行きは需給ギャップのプラス継続や中長期的な予想物価上昇率の高まりに伴って「2%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えられる」とした。

  また総裁は、広範な地域に被害をもたらした台風19号について「災害の実体経済への影響を把握するとともに、金融機能の維持と資金決済の円滑の確保に努めていく」と語った。

キーポイント
金融システムは安定維持、金融環境は極めて緩和した状態
物価モメンタム損なわれる恐れ高まる場合躊躇なく追加金融措置講じる
物価の先行き、2%に向け徐々に上昇率を高めていくと考えられる
災害の実体経済への影響を把握、金融機能の維持と資金決済の円滑確保に努める
(第2段落以降に総裁発言を追加し、見出しも差し替えて更新しました)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-15/PZE156T0G1KW01?srnd=cojp-v2

中国の生産者物価、9月に下げ拡大−消費者物価は13年以来の伸び 黒田総裁の日銀、債券保有縮小も−現行ペースでテーパリング継続なら 物価モメンタムより注意必要、失速懸念高まれば追加緩和
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/394.html
投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 15 日 18:24:14: CYdJ4nBd/ys76 6dw  
(回答先: 台風を期に公共投資「所得倍増」を! 台風・増税で企業は景気後退を視野に「補正2兆円規模」の試算も 日銀の景気判断、8地域… 投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 15 日 18:02:01)


黒田総裁の日銀、債券保有縮小も−現行ペースでテーパリング継続なら
masaki kondo、藤岡徹
2019年10月15日 12:34 JST
• 日銀の債券保有残高、来年10年ぶり縮小見込み−ブルームバーグ分析
• 2020年8月に日銀の保有残高が減少し始める公算
日本銀行は歴史的な転換点に向かっている。 ブルームバーグ・ニュースの分析によると、日銀の債券保有残高は来年、10年ぶりに縮小する見込みだ。
  日銀は金融政策の軸足を長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)に移した2016年以降、債券購入を着実に縮小させてきたが、それでも年間80兆円をめどに保有残高を増やすとのガイダンスの廃止は拒否してきた。
  ブルームバーグの分析によれば、日銀の保有残高は来年8月に減少し始める公算で、同月に日銀の購入額が償還額を下回る。これは理論的に、利回りに対する下押し圧力を軽減する。
  世界的な債券相場上昇によりマイナス利回りの日本国債が増える中、黒田東彦総裁にはイールドカーブをスティープ化させるための長期債の購入縮小(テーパリング)を促す力が働く。
In Search of Steeper Curve
BOJ has been cutting purchases of ultra-long bonds aggressively

Sources: Bloomberg, Bank of Japan
Note: The chart shows BOJ's gross monthly purchases of bonds
   BNYメロン・インベストメント・マネジメントのシニア・ソブリンアナリスト、アニンダ・ミトラ氏は「テーパリングは日銀が資産購入目標の強調をやめ、イールドカーブ・コントロールという主要な政策枠組みに注力せざるを得ない必要性をあらためて示すものだ。将来的には、インフレ目標を達成するため特定の年間金額の資産購入を継続する姿勢すら完全に捨てる必要がある」と話した。
  債券保有残高が減少する見通しは、日銀にテーパリングの再考またはガイダンスや政策枠組みの見通しを迫るかもしれない。ただ、日銀も同様に保有残高減少を想定しているかどうかは不明だ。市場は今月末の政策決定会合で日銀が成長てこ入れ策を強化する可能性があるとみている。
  ブルームバーグの計算によると、日銀が今年1−9月と同じペースでテーパリングすれば、来年の総購入額は49兆4000億円になる可能性がある。同期間には少なくとも55兆9000億円が償還される。

Down, Down, Down

BOJ's bond holdings have kept falling since introduction of yield curve

Sources: Bloomberg, BOJ
Note: Bloomberg estimated the 2019 and 2020 holdings, without accounting for amortization
原題:Kuroda Is on Course to Shrink the Bank of Japan’s Bond Holdings(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-15/PZE7TW6S972801?srnd=cojp-v2

 

 


為替フォーラム2019年10月15日 / 15:39 / 6時間前更新

日銀緩和に問われる円高防御力 難しさ増す「次の一手」

植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト
5 分で読む

[東京 15日] - 今月末の日銀金融政策決定会合を前に、追加緩和の是非や手段を巡る議論が活発化している。現在、選択肢と考えられているのは以下に列記する5つの対策だが、採用された場合、それぞれがドル円相場にどのようなインパクトを与える可能性があるのか。是非論も含め、そのシナリオを検証してみたい。

<短期マイナス金利の深掘り>

日銀が短期金利の誘導目標を現行のマイナス0.1%から更に引き下げるという手段。この政策が採用された場合、海外短期筋が金利の高いドルを借りて円買い投機を仕掛ける際に負担する金利コストが重くなるほか、日本のFX取引でドル円をショートにする際のスワップポイントのマイナス幅も拡大する。国内投資家による対米証券投資の為替ヘッジコストを上げたり、海外投資家が日本株を購入する際の円売りヘッジの誘因になったりするため、他の条件が一定ならば円高抑止にある程度の効果が考えられるだろう。

ただ、日銀が単純に短期マイナス金利の幅を広げた場合、金融機関の収益が一段と圧迫され、預金金利の実質マイナス化などの副作用が強まりかねない。よって、日銀がマイナス金利の深掘りに動く場合は、日銀オペの利率をマイナスに下げたり、マイナス金利適用残高を減らしたりするなどの「副作用緩和策」とセットで実施されるとの見方が多い。

だが、日銀がそのような副作用緩和策を採用しても、中小の金融機関にはあまり恩恵がないほか、銀行貸出し金利の引き下げ競争を助長するリスクもある。「マイナス金利深掘りの副作用軽減策による副々作用」も懸念され、賛否両論を呼ぶだろう。為替円高の抑止効果と金融機関経営に与える副作用を天秤にかけた慎重な判断が必要だ。

<長期金利の下振れ容認>

日銀が現在採用している長短金利操作で長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」であり、許容される上下の変動幅については黒田総裁が当初述べていた0.2%を厳密に解釈する向きが多かった。だが、昨年秋以降の米長期金利低下の影響を受け、日本の10年国債利回りは断続的にマイナス0.2%を割り込む場面も観測されている。日銀が長期金利の下振れを容認する形で事実上の緩和強化に追い込まれているようにも映る。

米国発の長期金利低下の圧力が日本に押し寄せてきた際に、日銀が金利下振れを許容する態度を示せば、米日金利差の縮小に伴い発生する円高圧力を一部減殺する効果がある。日銀が「長期金利の誘導目標からの下振れは認めるが上振れは許さない」という非対称的な市場調節を行えば、円高抑止のアナウンスメント効果はそれなりに強化されるだろう。

日本の長期金利の低下余地は米国に比べて限られるので、日銀が長期金利の下振れを黙認しても円高抑止効果は限られるとの見方もある。しかし、筆者はそう思わない。

過去に購入した高利回りの日本国債が次々と償還され、その結果、多額の運用原資が日本の国内機関投資家の手元に戻ってきている。しかし、現在の日本の長期金利の水準はあまりにも低過ぎるため、単純な国内債への再投資だけでは組織の運営に必要な利息収入を確保できない。そうした国内投資家が累増し、円高局面での米債投資を検討せざるを得ない立場に追い込まれていくからだ。

ただ、日銀が現在の極めて低い長短金利の誘導目標を維持する期間が長引けば長引くほど、金融機関の経営体力を蝕む副作用も時の経過とともに一段と強くなる。日銀の長短金利操作の累積効果による円高抑止力が、「生命の危険」を感じるほどの運用難に直面している国内投資家の苦悩に比例して強まっていることを忘れるべきではない。

<国債買い入れの増額>

日銀が「量的・質的金融緩和」の一環として行っている長期国債の買い入れ額を増やすという手段だが、日銀の長期国債購入残高の伸びは、直近9月末の実績で前年比22兆円増というレベルまで鈍化しており、「年80兆円程度」まで拡げられた国債保有残高の増加枠は既に形骸化している。現行の長短金利操作を約3年前に導入した後、日銀の金融政策の主な操作目標は「量」から「金利」に移っており、長期金利が誘導目標の下限前後を徘徊しているような状況で、国債の購入を無理に増やすような政策は採用しにくいだろう。

もちろん、政府が巨額の財政出動に踏み切って国債を大量に増発すれば、長期金利を過度に下げずに日銀が国債の購入を増やすことは可能になる。政府・日銀がそのような政策協調で足並みを揃えた場合は一定の株高・円安効果がありそうだ。

ただ、日本の財務省は伝統的に野放図な財政拡張に反対の立場であり、政府の放漫財政を中央銀行が国債購入で支える日本の施策を是認する学説として最近注目されている「現代貨幣理論」については、黒田日銀総裁も「全く賛同できない」との見解を示している。現時点でこのオプションが採用される可能性は低そうだ。

<上場投資信託(ETF)購入の増額>

日銀による株価指数連動型のETFの購入枠を現行の「年6兆円程度」から更に拡大するという手段。「中央銀行が民間企業の株式を期限を定めず買い続ける」という政策は世界的にみても異例であり、更に増額された場合は株高・円安の初期反応を呼びそうだ。

ただ、日銀が現行の「量的・質的金融緩和」を導入した当初、「年1兆円程度」だったETFの購入枠は、その後一連の追加緩和で3倍、更に2倍に拡張されて現在に至っている。政府の財政出動とセットでやれば購入量を増やせる国債と違い、民間企業が発行する株式の購入には自ずと限度がある。

また、日銀が民間の上場株をほぼ無差別に購入し続けるという現在の施策は、「優勝劣敗」、「信賞必罰」を原則とすべき資本市場の機能を阻害するリスクがある。あくまで私見だが、日銀によるこれ以上のETF購入の増額は、技術的にも道義的にも問題含みだ。

<フォワード・ガイダンスの変更>

日銀が現在採用しているフォワード・ガイダンスでは、少なくとも来年の春頃まで現在の長短金利の水準を維持する方針が示されているが、これを変更して市場の緩和期待を高めるという手段。具体的な方法としては、現在の低金利政策の継続期間を延長したり、物価目標2%の達成にリンクさせたり、政策金利の水準を「維持する」だけでなく「下げる」可能性を明記するなど、様々なやり方が考えられる。

このオプションが採用された場合、金融政策の操作目標を変えずに市場の緩和期待を強めることができる。声明文の文言を変更するだけの作業で済むため、最もコストが低い政策オプションと言えそうだ。ただ、比較的容易に採用できそうな印象がある分だけ、市場が驚くほど強い表現を日本語や英語訳で工夫しないと所期の効果は薄いかもしれない。

以上、現時点で想定される日銀の追加緩和メニューと為替インパクトに関する論点整理を行った。どのオプションを選んでも賛否両論を呼ぶのは必至だが、何も選ばず株安・円高が進んだ場合も賛否両論にさらされるだろう。

追加緩和の余地が限られる中、「究極の金融緩和措置」であるヘリコプターマネーでも採用しない限り、能動的な円安誘導は難しくなっているが、既存の手段による追加緩和でも過度の円高を防御力は強化できそうだ。

本稿執筆時点のドル円相場は1ドル=108円台で取引されている。残り少ない「緩和カード」を切るのか、それとも温存するのか、日銀は難しい判断を迫られている。

*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

植野大作氏 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト(写真は筆者提供)
*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。
https://jp.reuters.com/article/column-boj-daisaku-ueno-idJPKBN1WU0I0


フィリップス曲線は死んだのか、ブラード総裁とミシュキン氏が論戦
竹生悠子
2019年10月16日 12:45 JST
米セントルイス連銀のブラード総裁は15日、フィリップス曲線の死を巡って元同僚のフレデリック・ミシュキン氏と論戦を交わし、この現象が消えたかどうかで意見を対立させた。

  ブラード総裁が20年にわたる経験的証拠で失業率とインフレ率に相関関係がないことが示されたと先に主張した点について、米連邦準備制度理事会(FRB)元理事のミシュキン氏は州と地方のデータはその逆を示唆していると指摘。

  ロンドンで開かれたマネタリー・ファイナンシャル・ポリシー・コンファレンスで発言したミシュキン氏は、「フィリップス曲線がこれまでと同様に強力であることが実際に示されている」と指摘した。フィリップス曲線が死んだと想定するのは危険であり、「景気を良くし続けても、それについて心配することはない」という見方を助長すると付け加えた。

Bullard Spars With Mishkin Over Lifeless Body of Phillips Curve
フィリップス曲線の死について論戦したセントルイス連銀総裁とミシュキン元FRB理事
  このやり取りで米金融政策を共に議論したころを思い出したと言いつつブラード総裁は、自身のデータの解釈は正しいとなお信じていると言明。過去20年間のより良い金融政策が曲線の平たん化につながったとの認識をあらためて示した。

原題:
Bullard Spars With Mishkin Over Lifeless Body of Phillips Curve(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-16/PZG1NDDWX2PS01?srnd=cojp-v2  

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コメント
1. 2019年10月16日 19:57:29 : bLbVVSfKBo : Q0txSzNoeHg1TG8=[44] 報告
なぜ上げた? きっともらった 袖の下
2. 2019年10月18日 06:31:19 : lCyTGbMeUg : dXNjTXV1UVdvekU=[5] 報告
金子勝氏
「【トランプのポチではお終いだ】IMFの年2回の経済見通しが、米中の報復関税からアメリカ、中国、EU、日本のG4経済の成長がリーマンショック後最悪になると警告。とくに製造業の見通しが悪く、G4の中でも日本の2020年の成長見込みは0.5%以下と最悪の予測。」
https://twitter.com/masaru_kaneko/status/1184748195844255744

    今 年→来 年
中国… 6.1→5.8%
インド…6.1%
米国… 2.4→2.1%
韓国… 2.0→2.2%
フランス…1.2%
ドイツ…0.5→1.2%
日本… 0.9→0.5%
シンガポール…0.5%
香港… 0.3%
イタリア…0.0%
http://japan.hani.co.kr/arti/economy/34655.html

とにかく中国、インドが突出。
米、韓がそこそこ。
あとはヒドイなぁ…

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