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誇大広告の裏で労働者をこきつかうブラック家庭教師派遣会社! 働き始めてわかったホームページと全然ちがう労働実態
https://lite-ra.com/2019/10/post-5013.html
2019.10.07 ブラ弁は見た!ブラック企業トンデモ事件簿100 第40号 誇大広告の裏で労働者をこきつかうブラック家庭教師派遣会社! リテラ
今回は、家庭教師を派遣する福岡の会社である。K氏の相談は、2回の減給、突然の解雇、残業代・最後の給与及び解雇予告手当不払い、離職に伴い120万支払う念書を理由に数万払った、というものだった。
他県在住のK氏の入社のきっかけは、知人から、同県で支店を立ち上げれば、売上の一定割合を払うと誘われたためである。K氏は条件にひかれ、研修で福岡へ。社長から、労働時間は12時〜21時30分、休憩50分、日祝休みと説明。1日8時間40分・週6日の点で労基法31条1項・2項、8時間超労働で1時間休憩でない点で34条1項、賃金明示がない点で施行規則5条1項3号違反。我が国の労働者教育がお粗末なため、K氏は逃げることができなかった。
研修中、支店はなしと告げられ福岡で働くよう誘われたK氏は、混乱のあまり承諾。社宅に引っ越し、奴隷のような扱いが始まる。
初日、経理の手伝いと人事の担当を指示され、教師と約200人の顧客の管理調整、教師の研修など膨大な業務を担当することに。その結果、K氏は、毎日、11時30分から22時まで、最低11時間働かざるを得なかった。休日に研修や顧客と教師との連絡の仲介を担当させられることもあったそうである。
K氏が働き始めて気付いた会社の実態は、ホームページ等であたかも九州一円にリーズナブルな価格で専門の家庭教師を派遣できるかのように謳いながら、家庭教師のアルバイトを希望する学生に交通費も出さず遠方の家庭教師を押し付けながら利益を出しているというものであった。K氏は、嫌がる学生に遠方の派遣を押し付ける役回りをさせられたのが一番嫌だったそうである。
K氏の賃金は、基本給14万、精勤手当2万、皆勤手当1万、当初払われた変動制の業績給(数万)を入れても、労働に見合うものではなかった。しかも入社10カ月、営業でないのに賃金変動はおかしいと、業績給が2万に下げられた。
勤続1年、ある営業の獲得した客の解約が続いた際、K氏は責任者でないのに、社長から始末書を書くよう要求された。反論すると責められると思い、始末書を提出。
勤続2年、突然3カ月4万の減給。K氏は元に戻らないと感じ上司に引継後の退職を申し入れると、社長から「給与を貰ってから言うのはどうなんだ。」と即解雇。給与支払いは会社の義務であり(労基法24条2項)、労働者に退職の自由がある(民法627条)ため、社長のパワハラ体質が窺えよう。しかも、解雇の際「お前のせいで120万損害が出た。」と言われ、毎月1万払うとの念書へ署名を強要された。K氏は「署名しないのであれば、親を呼べ。」と脅迫され、署名。恐喝(刑法249条2項)なので、口実をつけ110番通報してほしかった。K氏は支払義務ありと誤解、数カ月払った。義務教育で「何かあったら弁護士に相談を」と教えてほしいと切に願わざるを得ない。
受任後、減額前の賃金を前提に解雇予告手当、最後の賃金、残業代及びパワハラを理由とする損害賠償を請求する内容証明を会社に送った。すると、K氏は受託者にすぎないので、一切の支払義務が存在しないと回答された。
K氏に、労働審判か訴訟しかない、前者は後者に比べ早く解決させやすいが、パワハラのような主張に開きがある場合前者の手続きで慰謝料は期待できない、証拠が少ないので前者では解決金が低額になる可能性が高いと説明。それでも早く解決したいとのことだったので、労働審判を申し立てた。
■労働審判でタイムカード提出しない会社側に、“彼女の手帳”で対抗
残業代について、求人情報や営業時間に関するネット上のページを印刷したもの、本人の陳述書、一部の出退勤時刻を窺わせるK氏の彼女の手帳により立証するとともに、会社にタイムカードの提出を求めた。
会社は、第1回期日直前、タイムカードを提出せず、主位的にK氏の労働者性を否定、120万払うとの念書は有効と反論し、仮にK氏が労働者だとしても時間外労働が存在せず懲戒解雇は有効と反論。
会社が提出した、出退勤や業務経過や営業結果の報告を義務づけ稼働日が所定数未満の場合に所定賃金を払わない旨の就業規則、業務の改善に言及するK氏への書面、その始末書、固定給を根拠に、労働者性につき第2回期日にて再反論。
会社は、最後まで、K氏は出退勤自由な営業受託者だったとし、タイムカードを提出しなかった。第2回期日に、本件解雇直前にK氏を手伝うため1人雇われたことを指摘、K氏の業務の過重性を明らかにした。また、元同僚の陳述書を提出、K氏の出退勤時刻及び業務内容の立証を試みた。その上、残業代計算の際、繁忙に応じ、始業を遅くとも会社で業務を開始していた午前10時又は午前11時30分、少なくとも会社にいた午後10時を終業、特定の日時が不明な業務は算入してないと再度説明。なお、元同僚の陳述書については、元同僚が県外にいるなど様々な事情が重なり、弁護士が完成させた陳述書を元同僚に送り署名押印し送り返してもらう時間的余裕はなかった。そこで、第2回期日に間に合わせるため、K氏の手書きの陳述書をそのまま提出した。すると、法曹資格を持たない審判委員から「弁護士が陳述部分をすべて入力し、最後に陳述者本人に作成年月日と氏名を記入押印させたのではなく、陳述者本人がすべて手書きしているため、非常に信用できる。」と言われた。いつもデーター入力した陳述書を提出している弁護士としては、陳述書が手書きであることが有利に働いたのは想定外であり、複雑でもあった。
会社は、減給、解約ないし懲戒解雇を裏付けるため、K氏の「始末書」及び退職届に加え、新たにその怠業に関するH氏の陳述書を提出。これに対し、H氏は、K氏解雇後雇われた人物のため信用できないと指摘。そもそも、念書により離職の際120万支払義務を負わせられたK氏が未だ無職のため解約と認めるのは不合理、同氏が解雇後数回払ったのは支配から解放されるまで数カ月要した、社長が100万円超の債権につき何ら手続きしていない経緯をも指摘。
社長は、営業時間と労働時間の矛盾、就業規則から窺われる様々な労務管理、約120万の念書強要による墓穴を自覚したのか、第3回期日に現れなかった。同期日にて、委員会が調停不成立であれば会社に一定支払いを求める審判をせざるを得ないと会社の代理人に告げると、代理人が社長と長時間電話のやり取りをし、約60万円を支払うとの和解が成立した。
当方が労働実態を一貫して主張したのに対し、会社にタイムカードを提出させないうえ場当たり的に事実に反する主張をさせる会社代理人の対応から、かえって労働者側の主張の信ぴょう性が増した事案であったと思われる。「正直者は救われる」が現実化した事案であった。
【関連条文】
労働時間 労働基準法31条
休憩 労働基準法34条
労働条件明示義務 労働基準法施行規則5条
賃金の支払 労働基準法24条
期間の定めのない雇用の解約の申入れ 民法627条
恐喝 刑法249条
(弁護士 城戸美保子/ざっしょのくま法律事務所 https://zassyonokuma-lawoffice.com
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ブラック企業被害対策弁護団
http://black-taisaku-bengodan.jp
長時間労働、残業代不払い、パワハラなど違法行為で、労働者を苦しめるブラック企業。ブラック企業被害対策弁護団(通称ブラ弁)は、こうしたブラック企業による被害者を救済し、ブラック企業により働く者が遣い潰されることのない社会を目指し、ブラック企業の被害調査、対応策の研究、問題提起、被害者の法的権利実現に取り組んでいる。
この連載は、ブラック企業被害対策弁護団に所属する全国の弁護士が交代で執筆します。
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