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大手銀行のATM激減で進行する“ずっと硬貨が下ろせない”問題が深刻化
https://biz-journal.jp/2019/10/post_121208.html
2019.10.04 文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト Business Journal
「gettyimages」より
鳴り物入りでキャッシュレス・ポイント還元事業がスタートしたが、キャッシュレスに舵を切りたいのは国ばかりではなく、銀行も同じである。現金を扱うATM維持コストの重さにあえぎ、自行ATM自体を減らす方向に進んでいるからだ。
野村総合研究所の2018年のレポートによると、ATM運用にかかわるコストは年間約7000億円にもなる(「キャッシュレス化推進に向けた国内外の現状認識」より)。17年には、新生銀行が行内のATMをセブン銀行ATMに置き換えた。あおぞら銀行も、18年よりゆうちょ銀行ATMへと移行している。
メガバンク自体も動きを模索しており、三菱UFJ銀行と三井住友銀行は19年9月22日より店舗外ATMの共同利用を開始。台数自体が減少していく可能性は高い。
ATMで現金を下ろしてもらうより、デビットカードやスマートフォンのデビットアプリを使ってほしいというのが銀行の本音だろう。マイナス金利政策もあり、すっかり儲からなくなった銀行ビジネスがコストカット一択に動くしかないのは理解はできる。
しかし、自行ATMがなくなることで利用者にとって大きなデメリットがあることはあまり言われていない。銀行側もあえて口にしない。ゆうちょやセブン銀行ATM、そしてコンビニATMにすべてが置き換わると何が起きるかを述べていきたいと思う。
■記帳ができず小銭が下ろせなくなる?
まず、自行ATMでないと通帳の記帳はできない。昨今は電子通帳だけで不便がないという人もいるが、仕事の都合もありデジタルではなく紙で残したい人も多いだろう。自行ATMがなくなると、記帳をしたい人は窓口に行くことになる。
それよりもっと困惑するのは、硬貨の取り扱いができないことだ。セブン銀行やイオン銀行などをはじめとするコンビニ系ATMで入出金するしかないネット銀行の場合は、以前からそれが問題だった。いや、自前のATMであるセブン銀行の口座所有者であっても、1000円未満の硬貨をATMで下ろすことはできない。そもそも、そういう構造になってはいないのだ。
もし、セブン銀行の預金を1円単位で下ろしたいとすると、硬貨が扱える大手銀行や地銀にある自分の口座へ振り込むほかない。1000円単位で下ろせるように計算して差額を入金するという方法も考えたが、ダメだ。入金も1000円単位となっており、硬貨が機械に入らないからだ。
「千円札で入金しているなら端数など出ないじゃないか」と思うかもしれない。しかし、残念なことにゼロ金利とはいえ普通預金には若干の利息がつく。また、デビットカードで決済していると1000円未満の端数が発生する。さすがに買い物まできっちり1000円単位で……とはいかない。
今でこそ、大手銀行の自行ATMでは1円単位の入出金ができる(出張所などではできないものもある)。しかし、あおぞら銀行や新生銀行の顧客は、それがもうできなくなった。筆者は新生銀行の口座があり、提携しているゆうちょ銀行ATMではもしや硬貨が扱えるのではと期待して下ろしに行ってみたが、やはりダメだった。
先に述べた三菱UFJ銀行と三井住友銀行の相互ATMも同じだ。お互いのATMでは相手方の通帳・硬貨は「ご利用いただけません」と、ホームページにはっきり書いてある。
■“休眠硬貨”が大量発生か
たかが1円、10円と笑ってはいけない。自分のお金なのに決して下ろせないお金があるという状況は正常とはいえない。自行ATMを廃止してコンビニATMに置き換えの動きは進んでいく。すると、今は普通に下ろせる1円単位の預金が1000円単位でないと受け付けられなくなるのだ。
19年より発生している「休眠預金」を思い出してほしい。09年1月以降に10年間出し入れ等のない預貯金は「休眠預金等」として扱われることになった。いったんそうなると、「休眠預金等活用法」の定めにより預金保険機構に移管され、民間公益活動の促進に活用されることになる。
もし、ずっと使っていない口座に数百円が残ったまま忘れていたとして、休眠預金になりそうだからとあわてても、ATMが対応していなければその残金は引き出せないことになる。この先、人員削減で銀行の支店がどんどん減り、自行ATMまで廃止されていけば、こうした「休眠硬貨」がどんどん発生することにならないか、と危惧するのだ。
なお、いったん休眠預金化しても申し出をすれば取り戻すことはできる。しかし、数百円を取り戻し、またそれを下ろすためにいちいち手続きを取るかといえば、あきらめてしまう人も多いのではないだろうか。
■ネット銀行の預金硬貨を下ろす方法
現在でも、ネット銀行の預金を中心に、この「硬貨は下ろせません」問題は発生している。では、実際にそれを下ろしたいと思ったらどうすればいいのか。
ひとつは、硬貨扱いのある自行ATMを持つ銀行の自分の口座に振り込む方法。給与口座が大手銀行という人は多いだろうから、現在のところ、これが一番有効だ。たとえば、セブン銀行に1621円の残高がある人は、三菱UFJ銀行の自分の口座に621円を振り込んで、三菱の自前ATMからそれを下ろすというやり方だ。
また、逆に他行から差額を振り込んで残高が1000円単位になるようにする手もなくはない。ただし、どちらも振込手数料は発生するので、そこは注意しよう。一定回数振込手数料がかからない銀行をキープしておくのがベターだ。
それ以外は、デビットカードをまめに利用し、なるべく数円単位まで使い切ることだろう。うまく偶然が働けば、タイミングよく1000円未満の残高がきれいになくなるかもしれない。かなりの幸運と計算が必要だけれども。
どんな手を使うにしろ、カードをATMに入れて数字を押せばハイ完了、という時代に比べると、なんとも難儀なことだ。引き出しだけではない。この先、もしコンビニATMがすべての銀行のATMに取って代わっていくと、自分では下ろせない小銭が日本中でどんどん増えていく。さらには、この先支店の窓口も縮小されれば、貯金箱の小銭を預けることもままならなくなる。銀行がその方向に進む以上、利用者の我々にそれを解決できる妙案はない。
現金をなくそうとする銀行と政府は、この下ろせない硬貨問題をどう考えているのだろう。「大丈夫です。たとえ下ろせずとも、最後は公の活動のために有益に使わせていただきますから、安心してくださいね」なんて、まさか言われはしないと思うのだが。
(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)
●松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。Facebookページ「消費経済リサーチルーム」
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