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軽減税率対象の新聞、消費増税便乗で“こっそり値上げ”の不可解な論理
https://biz-journal.jp/2019/10/post_121163.html
2019.10.01 文=編集部 Business Journal
「gettyimages」より
1日から消費税が10パーセントになった。テイクアウトか、イートインかでコンビニエンスストアのレジが大混乱する中、ひっそりと値上げされていたものがある。本来、軽減税率が適用されているはずの新聞各紙だ。実は新聞各社は、10月の消費税増税を視野に2年ほど前から着々と購読料の値上げを実施してきていたのだ。軽減税率の適用になるのは月極定期購読の場合のみだ。駅売りやコンビニで1部だけ買う場合は軽減税率の適用外になる。今回は月極購読料を値上げした社を調べてみた。
■ステルス値上げした新聞社
17年から今年10月1日までに購読料の値上げを実施した新聞社を調べた結果は以下の通りだ。
2017年
4月 静岡新聞
11月 日本経済新聞、岩手日報
2018年
5月 千葉日報
2019年
1月 読売新聞、岩手日日新聞
2月 茨城新聞、山陰中央日報
3月 佐賀新聞、愛媛新聞、下野新聞、上毛新聞、福島民報、福島民友
4月 秋田魁新報、東京新聞、日刊県民福井、山梨日日新聞、宮崎日日新聞、島根日日新聞
5月 四国新聞、西日本新聞、南日本新聞
6月 河北新報・同夕刊
7月 北日本新聞、福井新聞
8月 信濃毎日新聞・同夕刊
※夕刊紙以外はいずれも朝刊。夕刊は価格変更がない場合は無表記
20〜30代の若年層の「新聞」離れに伴う部数減、広告収入の減少などで新聞業界は厳しい状況だ。そこに商品である新聞を製作するために必要な紙代、インク代の値上げや、世界的な原油価格上昇に伴う輸送費の高騰もある。ランニングコストがかさみ経営が厳しいため、軽減税率の恩恵を受けてもなお、値上げが必要なのかもしれない。
■「販売店の労務環境改善のための値上げ」
ところが、業界最大の発行部数を誇る読売新聞は昨年12月、25年ぶりに今年1月からの値上げを発表した際、次のように理由を説明した。
「改定に伴う増収分の大半は、販売店の労務環境改善に充てる。民主主義を支える戸別配達網を維持し、ご自宅に毎朝、新聞をお届けするため、誠に心苦しいところですが、ご理解をお願いいたします」
この論理は新聞業界に衝撃を与えた。これ以降、各社は値上げの理由を読売と似たような論法で説明し始めた。例えば、東北6県のブロック紙河北新報は次のように発表した。
「購読料の本体価格を1994年1月以来、25年間据え置いてきましたが、この間新聞製作の原材料費や輸送コストの上昇など業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。新聞販売店の配達員不足も深刻です。高齢者の見守り支援活動など地域の安全に配慮しながら戸別配達網を維持するため、販売店の安定した人員確保が急務になっています。
河北新報と販売店は徹底した合理化と経費削減に努めてきましたが、購読料金改定に踏み切らざるを得ないと判断しました。誠に心苦しい限りですが、新聞を毎日確実に届けるために何卒ご理解をお願いいたします」
確かに、全国約2万店の新聞販売店の労務環境の悪化は業界で問題視されている。配達員の高齢化と人員不足、販売店主の後継者不足などから労働環境は悪化の一方だ。特に人口減少の著しい地方では時給1300円以上で募集しても、必要人数が集まらないことはざらの状況だ。
だが、そもそも販売店と新聞社は別会社だ。販売店の配達員や拡張員の給料を新聞社が払っているわけではない。新聞の利益構造は少々複雑だ。新聞の売り上げはすべて新聞社に入る。新聞社は新聞代収入の半分以下を配達手数料として販売店に支払う。当然、それだけでは足りないので、販売店はこれに加えて折り込みチラシなどで収入を賄っている。当然、折り込みチラシの収入は配達部数に大きく左右される。
■値上げの本当の理由は?
千葉県内の全国紙新聞販売店の店主は話す。
「販売部数を増やすことが販売店にとっては至上命題です。折り込みチラシの減少を防ぐにはそれが一番です。値上げによって万が一にも部数減になることは望ましくありません。値上げ分の利益がすべて転嫁されても、販売店の経営や労働状況が変わるのか疑問が残ります」
実は今回の値上げに関して、ある地方紙では労使間で賛否をめぐるやり取りがなされていたという。同地方紙の労組幹部は話す。
「会社上層部から『読売が値上げに舵を切った。弊社も同じ理由で消費増税前に購読料値上げを行う必要がある』と経営協議会の席上、説明がありました。入社以来ベアゼロが続く10年目の社員がいるくらい社の経営は厳しい状況なのですが、それ以上に販売店の状況は悲惨です。販売店の社員は労組組合員ではありませんが、これを機に購読料値上げと合わせて、販売店の労働環境改善を図ってはと提案をしたんです」
ところが、会社側の返答は驚きのものだったという。
「会社側は『販売店は別会社だ。その経営や労務に新聞社が口を出すことはルール違反だ。支援はするが介入はしない』と言うのです。じゃあ、何のために値上げをするのか。この状況下で購読料を上げれば、読者の新聞離れが一層進むのではと懸念を伝えました。それは会社にとっても、販売店にとっても将来的にプラスになりません。
つまるところ今回の値上げは、バブル世代より上の世代の人件費が大きな負担になっているので、早急にそれを賄わなければいけないということです。そもそも好景気の時に入社し毎年ベアのあった世代です。リーマンショック以降に入社した社員とは明らかに生涯賃金が異なります。
子供を私立の学校に入れ、大きな一軒家を買っていれば、いくらあっても足りないでしょう。経費削減や早期退職、退職金抑制なども行われているようですが、それでも回らないということです。
実際に編集や制作、営業の実働部隊の氷河期世代以下の若手や中堅は今回の値上げを冷ややかに見ていますよ」(前出の労組幹部)
■「値上げしないでがんばります」
消費増税前日の9月30日、Twitter上では朝日新聞の関連会社が製作した販売店用の折り込みチラシが話題になっていた。チラシには「朝日新聞は値上げしないでがんばります」と書かれていた。
これに対して、ネット上では次のような指摘がなされた。
「軽減税率対象内でこれを言っちゃうと確かにつっこみ不可避ですね」
「消費税上がるのに据え置きでがんばる企業が複数あるので、ここは控え目にしていて欲しかったです」
だが、本当に指摘されるべきなのは上記の表にあるような、軽減税率対象内にもかかわらず実質的に値上げを行った社なのではないか。今回の値上げが、各社の主張する配達網の維持につながるのか継続的に見ていく必要がある。
(文=編集部)
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