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年金は「仕送り方式」という誤解…現役時代の“ポイント”次第で受け取る年金に大差
https://biz-journal.jp/2019/09/post_117090.html
2019.09.04 文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー Business Journal
「gettyimages」より
資産形成の重要性を説いた金融庁の報告書は、年金制度の不信を招き、参院選の争点にまでなりました。年金受給中の高齢者よりも、20代、30代といった若い人に年金不信の人が多いようです。「年金をもらえる確証がない」と、国民年金の保険料を払わない人も少なくありません。
それに対して、「年金制度は賦課方式なので、年金がなくなる心配はない」という識者からのコメントも多く見られます。日本の年金制度は、現役世代の保険料で高齢者の年金を賄う「賦課方式」、つまり仕送り方式となっています。ただ、この「賦課方式」という“誤解”が、年金制度への不信を招いているのではないかと、私は考えています。
■日本の年金制度は「賦課方式」
現役時代に保険料を払って、老後に年金を受け取る制度の仕組みには、大きく分けて「積立方式」と「賦課方式」があります。
積立方式は、現役時代に払った保険料を、保険の運営組織(国や保険会社)がプールしておき、老後にそれを取り崩しながら、年金として受け取ります。生命保険会社の保険商品である個人年金やiDeCoなどの確定拠出年金はこの方式です。
それに対して「賦課方式」は、現役世代の保険料を今の高齢者世代の年金に充当します。今の現役世代が高齢者となった時には、その時の現役世代の保険料を基に年金をもらいます。いわば、国全体での仕送りとなっているわけです。
■個々人の年金を考えると、「賦課方式」ではない
このように、国の年金制度は「賦課方式」となっていますが、個々人の視点で見ると、実は仕送りというよりは「積立方式」に近いといったほうがよいでしょう。
国民年金(基礎年金)は、収入にかかわらず保険料が一律です(2019年度は1万6,410円)。老後に受け取る年金は、保険料を払った月数に応じて金額が決まります。つまり、現役時代に払った保険料の金額に応じて年金額が決まるようになっています。
厚生年金は、収入によって保険料が違います。そして、老後に受け取る年金は、現役時代に保険料を払った期間と保険料の金額によって異なります。こちらも現役時代に払った保険料の金額で年金額が決まります。
「お金」そのものは、現役時代に払った保険料をプールしておくわけではありませんが、現役時代に払った保険料の総額によって老後に受け取る年金が異なるわけです。私は「ポイント方式」と呼んでいます。●●ポイントという言い方こそしませんが、どれだけ保険料を払ったかによって年金額が多くも、少なくもなるのです。
■国の年金財政よりも、自分がいくらもらうかが大切
将来受け取る年金額を決める最大の要素は、「現役時代にどれくらい保険料を払ったか」です。マクロ経済スライドや経済状況によって、年金の「基準額」が毎年変わります。しかし、そのことによる変化よりも、個々人のポイント(どれだけ保険料を払ったか)による違いの方がはるかに大きな差となります。
将来、老後の生活を賄えるだけの年金をもらえるか、それとも小遣い程度の金額にしかならないのかは、現役時代の保険料の支払い状況にかかっています。実際、現在の高齢者でも、公的年金(基礎年金と厚生年金)だけで年300万円以上ももらっている人もいれば、20万円程度の人もいます。
「賦課方式」で、現役世代の保険料が高齢者世代の年金に充当されている、というと将来の日本の経済状況や財政状況によって、自分が受け取る年金額が変わるようなイメージを持ってしまいます。確かに間違いではありませんが、年金の問題は国の問題ではなく、個々人の問題だと考えたほうがよいでしょう。
高齢者は現役世代に比べて、経済格差が大きい傾向があります。金融資産の多寡の差も大きいのですが、年金額の違いも大きいからです。年金額については、「基準額」の増減よりも、個々人が積み上げたポイントによる差のほうが、影響が大きいということを認識しておきたいものです。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)
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