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先の参院選で躍進したれいわ新選組の山本太郎代表は、消費税の5%への減税を来る衆院総選挙に向けた野党共闘の共通政策とする考えとの事だ。
筆者は、只でさえ消費しない民族の日本人には消費税は相性の悪い税制と考えており、消費税減税に賛成の立場だが、もし本気でそれを実現させるつもりなら、来る総選挙で、若しくは総選挙後に保守層の一角を巻き込まなければ実現しない。
先ずそのためには、参院選でれいわ新選組や立憲民主党等の掲げた「最低賃金の大幅引き上げ」や「奨学金返済チャラ」等は、少なくとも「出来たらベースの公約」とし3年間は実施しないとする等と謳う必要があるだろう。
さて、肝心なのは減税財源である。2018年度の消費税収は約17.7兆円(地方消費税含む約22.5兆円)であり、10%への増税・軽減税率適用後の消費税収見込み約21兆円(地方消費税含む27兆円)の半分、地方消費税を含む約13.5兆円の財源をどうやって捻出するかが課題である。
これについて、消費税減税をすれば経済成長するのだから取り敢えず全額国債増発で賄うという考えや、通貨発行で賄って問題なしとするMMT(現代貨幣理論)もあり、また全額法人税や所得税増税等で賄うという考えもあるが、その実効性はともかく何れも保守層も含めた多くの賛同を得る事は難しい。
そのため、現実政治を考えれば、財源問題に一刀両断のスパッとした策は有り得ず、色々な所に痛みを分散せざるを得ないと思われる。
以下に、私案として財源案を示す。( )内は各財源見込額。
●消費税の一部「贅沢税」への組み替え(2兆円)
筆者は、消費税の一部「贅沢税」への組替は財源としても有効と考える。実際的には、消費税率を基本5%に減税すると同時に、例えば1人5千円以上の外食に15%、1万円以上の外食や、50万円以上の高級ゴルフクラブセット、100万円以上の宝飾類、400万円以上の高級自家用車等に対しては20%へ増税する等が考えられる。
一定以上の富裕層は、ある程度の間接税増税では消費を抑える事はしないので、「贅沢品」の線引きや、税率の設定によっては、税収面でそれなりの期待は出来るのではないか。
「贅沢税」ではないが、マレーシアのマハティール首相が昨年6月の消費税廃止し、売上税・サービス税を復活させ財源の一部に充てた事は、一つの参考にはなるだろう。
●国・地方の公務員人件費の減額(4兆円)
国・地方の2019年度公務員約290万人の人件費約26兆円のうち、自衛官約25万人分、警察・消防約45万人分を除き、2割カットすると約4兆円の財源が出てくる。
なお、適材適所の配置転換等をした上で、もし全体として人員不足なら、例えば3割カットで1割増員する等のバリエーションも有り得るが、それでも民間平均給与を下回らないと思われる。
●その他行政改革(2兆円)
例えば各省庁の行う経済系の調査は重複が多い。その他の行政事務にも同じように重複するものがあると考えるのは自然だ。
また、各種補助金申請受付、審査業務等も、そもそも基となる法律が複雑な申請基準を設けているものが多い、これらを立法からしてスマートで合理的な基準に改めれば行政事務はかなり削減されるだろう。
その他、旧民主党の事業仕分けに懲りずに視点を変えれば、行政改革による経費削減の余地はあると思われる。
●法人税・所得税等の増税(2兆円:地方税含む)
法人税や所得税を上げ過ぎると、今在るのか無いのか分からないジャパニーズ・ドリームが完全に息を止められて、企業や起業家の海外逃避が始まるので程々にはする必要があるだろう。
なお、れいわ新選組は先の参院選で法人税への累進税率導入を唱えたが、これは企業が節税対策で分割を行う事を誘うから上策ではない。増税をするなら租税特別措置の整理と次善の策としての直球勝負の税率UPで行うべきだ。
●国債増発(3.5兆円)
上記合計で10兆円。減税財源約13.5兆円に未だ3.5兆円足りない。消費税減税は消費をダイレクトに刺激し経済効果が高いので、将来の経済成長とそれに伴う税収としてのリターンを期待して、この程度の国債増発は実験としても有権者の許すところではないか。
以上、実際に財源を見積もるには、データを基にして条件を変えた何種類もの精緻なシミュレーションが必要だろう。しかし日本は、財務省主導の下に消費税増税在りきでここまで来たのだから、消費税減税在りきで考える逆転の発想があってもよい。
内政最大の課題は少子高齢化であり、これに消費税増税を続けて対処するのはイタチの追いかけっこに過ぎず、老人も健康を保って働ける自立社会への変革とそれをサポートする仕組み作りが必要だ。
筆者はそれへの梃子とするためにも、消費税減税はやり遂げねばならないと考える。
佐藤総研 http://blog.livedoor.jp/ksato123/
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