http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/817.html
Tweet |
「郵便局では保険に入らない」と決めていい理由
https://diamond.jp/articles/-/211062
2019.8.7 5:30 山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 ダイヤモンド・オンライン
かんぽ生命保険の不適切販売問題で頭を下げる日本郵便の横山邦男社長(左)、日本郵政の長門正貢社長(中央)、かんぽ生命の植平光彦社長 Photo:JIJI
アフラックのがん保険も販売を自粛すべき
かんぽ生命保険による不適切販売問題の拡大が止まらない。先週、本連載で原稿を書いた時点では、過去5年間に不適切販売の疑いがあるとされたケースは9万件だったが、その後すぐに18万件に倍増した。また、かんぽの商品だけでなく、アフラック生命保険のがん保険でも、契約者に保険料の二重払いをさせてしまうリスクがあるという報道も出た。
本稿執筆時点でアフラックのがん保険については販売自粛の対象になっていないと報じられているが、これは不適切だ。
そもそも、今回の問題は保険商品の問題ではなく、かんぽ生命とその販売委託先である日本郵便の保険販売の問題なので、販売に関する点検が不十分な状態で保険商品を売らせるべきではない。また、保険を売ることで郵便局員の報酬が増える仕組みが残っているのだから、かんぽ生命等他社の保険が売れない中で、例外的に売れる保険があるとすれば、営業勧誘が集中する可能性がある。郵便局の保険販売は全商品を自粛する必要があることを再度強調しておこう。
また、生命保険販売だけではなく、ゆうちょ銀行から日本郵便が窓口販売業務の委託を受けている投資信託の販売にも不適切な事例があったことが報じられている。販売に関わる社員にとって、「商品を売れば報酬があり」かつ「ずさんな売り方が放置されている」わけだから、投信でも不適切なケースがあるのは当然だろう。
「19万件」が明らかになった後も、次々と不適切な事例が出てくるのは、おそらく関係者の告発によるものだろう。販売の現場等には、相当に不満が溜まっていると推測される。問題を出し切って、業務のやり方を根本的に変えなければ職場は良くならないのだから、問題を告発することは全く正しい。
記者会見の「防衛ライン」は刑事告発回避
さて、7月31日(水)に日本郵政、日本郵便、かんぽ生命、3社の社長が一堂に会して記者会見を行った。
会見の基本方針は、経営者たちの保身の最終防衛ラインを、「かんぽ生命の株式売り出し前に私は(われわれは)大規模な不適切販売を認識していなかった」という点に置いて、不適切な事例の把握が遅れたことと、そもそも不適切な販売が起こるような経営をしていたことについては、大いに陳謝する、というものだったように見えた。
日本郵政の社長である長門正貢氏は質疑で「(29日の)郵政民営化委員会での岩田一政委員長のほか、日本取引所グループの清田瞭グループCEO(最高経営責任者)もかんぽ株の売り出し時に経営陣が(不正を)知っていたのではないかとの文脈で発言していた。冗談じゃないと申し上げたい」と言っている。
最終的に誰かが社長を辞任するくらいはガス抜きのために仕方がないが、刑事被告人になることは避けたいという思いなのだろう。三氏いずれも金融業界のご出身なので、個人のリスク管理には敏感なはずだ。
今やこれだけの事態になりながら、日本郵政グループが2020年3月期の業績予想を下方修正しないことは異様に思えるが、不適切販売が業績に大きく影響するほどの問題だと認識していなかったと事後的に言い逃れるための予防線なのかもしれない。
その後、保険料の全額返還が17年4月から19年3月までの2年間で1097件あったことが、「こうした数字は部長らが出席する社内会議で共有されていた」(「日本経済新聞」8月6日)と報じられた。不適切販売はかんぽ株式売り出しの前から認識されていたことになり、経営陣は説明が必要だと記事は指摘している。
こうした社内情報が報道されることを見ると、社内からも疑問の声が上がっていることがうかがえる。それこそ、知らなかったなんて「冗談じゃない」と言いたい向きがいるのかもしれない。
さて、3社長は逃げ切れるのだろうか。
世間相場的には、刑事責任を問われるような事態にならなければ、社長を辞任しても何らかのポストはあてがわれるだろうし、ほとぼりが冷めたら転職も可能だろう。多少の挫折ではあっても、人生設計的に大きな問題はなさそうだ。
全件調査の「問い合わせを待つ」姿勢は卑怯
一方、契約者にとっては、不利益を受けたケースの回復が可能なのかどうかが問題になる。
会見では、かんぽの3000万件の契約全てを調べる方針が示され、そのうち契約者の不利益が既に疑われている19万件については、8月中に書面が送付されて、問い合わせがあったケースについて、コールセンター等が対応するとのことだが、この調査方法には疑問がある。
そもそも、契約者は保険料二重払いや無保険状態のリスク、予定利率の悪化など経済的な不利益について理解できなかったから、こうした状態に至った公算が大きい。日本郵便だから、手紙を送るのは得意かもしれないが、契約者の多くは当惑するだろう。
個々の契約者ごとに全契約の履歴を調べると、保険料二重払い、新契約拒否による無保険状態、告知義務違反などでの新契約の契約解除、特約で対応可能なものを新契約に導いたケース、無保険期間が生じたケースなどは十分認識できるはずだが(だから19万件という数字があるのだろう)、これらのケースについて契約者が「問題を知りながら、敢えて望んだ」ということは想像しにくい。
それこそ、積極的に辞退する契約者を除いて、問題のあるケースの契約者には全件経済的な損失を補填するべきだろう。もちろん、かんぽ生命以外の会社の保険についても、同様に対応する必要がある。
契約者の問い合わせを待つのは卑怯だ。
契約のデータは必ず存在するはずなので、第三者に調査してもらうのがいいのではないか。
問題は「ノルマ」でなく「手当」
会見の質疑で日本郵便の横山邦男社長が明らかにしたが、「渉外社員の年収における手当は全体の中央値で25%くらい」だという。中央値で25%だから、「優績(ゆうせき、販売実績が優れている人を指す保険業界用語)」と呼ばれるような社員に至っては、年収の相当部分が保険販売の手当で占められていたものと推測される。
もちろん、「ノルマ」(営業目標)にも影響はあったろうが、理解の乏しい顧客に不利益を与えながらも保険を売りつけることによって社員は自分の収入を稼いでいたのだから、個々の社員にあっても厳しい反省が必要だ。「無理なノルマを押し付けられて、保険を売らされている、かわいそうな郵便局員さん」というイメージを持つのは報道機関も郵便局の顧客もやめた方がいい。
不正販売に関わった郵便局員については「過去に築かれた郵便局への信頼を背景に、顧客の無知や不安につけ込んで不利益な保険の販売を行って、自分の収入を稼いだ人」が正しい認識だ。
こうした「手当」によるインセンティブの構造を改めない限り、ノルマだけを隠しても、不適切な販売はなくならないはずだ。ノルマの有無に問題を矮小化するなと、再度申し上げておく。
給与水準を大きく上げて、保険販売に伴う手当を廃止する、というくらいの荒療治をしないと、郵便局は顧客にとって安全な場所にならない。それでは経営が立ちゆかないということなら、根本的な経営構造が間違っているのだ。
自発的に保険に入りたいという顧客がいた場合にのみ、丁寧に説明した上で保険を売る。投資信託についても同様に対応し、せいぜい「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)」の普及に努める、というくらいの、手数料稼ぎから遠い良心的な郵便局像を求めたい。
「人間」から保険や投信を買うリスク
顧客が取るべき対策は、先週指摘したことと変わらないし、今後も変える必要がないだろう。郵便局では保険に入らないと決めることだ。ついでに申し上げておくと、読者本人だけでなく、読者の親御さんにも同方針を徹底するようご注意申し上げたい。高齢者は、営業のターゲットにされやすいからだ。
ところで、今回の日本郵便のケースほどずさんではないとしても、保険会社や銀行、証券会社などの営業職員のインセンティブ構造(経済的な誘因の構造)は保険を売っている郵便局員と変わらないはずだ。
「人間」から保険や投信を買うことのリスクと不利益の可能性については、郵便局以外の場所でも、同様に警戒するほうがいいことに賢明な読者は既にお気づきだろう。
(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)
本当にひどい話だ。少なくともかんぽ生命には入りたくないですね。https://t.co/8AsstGMyhq
— sakuramothi (@sakuramothi10) 2019年8月7日
「郵便局では保険に入らない」と決めていい理由 ダイヤモンド・オンライン
— 運送ガイド (@Unsou_Guide) 2019年8月6日
かんぽ生命保険による不適切販売問題の拡大が止まらない。そうした中で私たちが取るべき対策は、一貫して変わらない。「郵便局では保険に入らない」と決めることだ。https://t.co/VOEL4lqMu7
#山崎元 氏は「#アフラック のがん保険も販売を自粛すべき」と書いているが、 #日本郵政 はアフラックに2700億投資していずれ持分法適用にしようとしているくらいだから無理だろうな
— 朝塩 (@asashio7777) 2019年8月7日
「郵便局では保険に入らない」と決めていい理由 | 山崎元のマルチスコープhttps://t.co/eO7PlabI90
最低やな😠ノルマ違うて😠😠😠😠https://t.co/rX24lDAzGA
— 橋本龍馬5令和元年㊗️🇯🇵🎌🇯🇵㊗️ (@Y2xndCP4XKFCvz1) 2019年8月7日
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民132掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民132掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。