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(回答先: リニア 静岡県反応にJR社長不快感「いきなり否定ありえない」(全量戻せる計画か?) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2019 年 7 月 25 日 08:16:25)
記事ではリニアが「エコな最新技術」などともてはやし、環境悪化を批判する静岡知事を「禅問答だ」等と非難しているが。単独で黒字も出せずに、破砕帯も多い南アルプスに巨大トンネルを掘るリニア路線に懸念が無いといえるのか。
静岡知事の態度には疑問もあるが、狡猾に「元国営」企業のプロジェクトに対向しているとも見える。
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リニア建設を阻む静岡県――川勝知事の「禅問答」がもたらす、これだけの弊害
2019年07月23日 05時00分 公開
[冷泉彰彦,ITmedia]
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/news015.html
2027年の開業を目指してJR東海によって建設が進められているリニア中央新幹線だが、ここへ来て通過する静岡県部分の着工がストップするという事態に陥っている。地元・静岡県の川勝平太知事がリニア建設への協力の「代償」を要求するなど、現時点での着工に新たな条件を要求しつつあるからだ。
このリニア中央新幹線のルートと静岡県の関係だが、地図の上では県の突端部を「かすめる」だけとなっている。だが、県としてはこの部分に建設予定の、南アルプスを横断するトンネルが大井川の水系に影響を与えるほか、地元では工事車両の通行など負担を強いられるとしている。そこでJR東海は、トンネルからの湧水を大井川へ戻すための導水路トンネルを造るといった対策を、静岡県に対して具体的に提案している状況だ。そこへ改めて追加の「代償」が要求されたというわけだ。
川勝知事の発言はその都度変化しており、現時点では具体性を欠いている。ある時には、「代償としては中間駅を建設する場合の平均額ぐらい」という目安が示されたことがあった一方で、「南アルプスに値段をつけるなどとんでもない」などという言い方で要求を曖昧にしたこともあった。
川勝知事は、日本を海洋国家と規定して、文明論を交えた「比較経済史」を論じてきた元学者の知事であるから、禅問答のような交渉方法に県民は慣れているのかもしれない。もちろん「静岡県」としての利益を最大化するのが政治家としての仕事ではあるから、知事の考え方には一定の妥当性があることも否定できない。だが、工事を計画通り進めたいJR東海としては困った事態となっているのは揺るぎない事実だ。
そんな中で、こんな解説もある――。川勝知事の「真意」としては、県がかねて要求していた東海道新幹線における静岡空港新駅の設置を「交換条件」として狙っているのではないかということだ。
*photohttps://image.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/dk_shizuoka_0.jpg
リニア中央新幹線(ITmedia ビジネスオンライン編集部撮影)
●空港新駅を設置すれば「ダイヤ崩壊」
確かに、静岡県として静岡空港(富士山静岡空港)の利用率が伸びないという問題に頭を痛めているのは事実のようだ。そんな中、地理的に見れば、東海道新幹線は静岡空港の真下をトンネルで通過している。ここに空港新駅ができればというのが、県として悲願であるのは分からないではない。
だが、この空港新駅構想には大きな問題がある。新駅の位置は現在の新幹線駅でいえば、静岡駅と掛川駅の間にあたるが、その中間点より掛川方に寄っている。そのため、新駅と掛川の距離は約15キロしかない。ということは、各駅に停車する「こだま」の場合など空港新駅と掛川駅の双方に停車する列車は、発車後に十分に加速できないうちに、次の駅へ向けての減速を強いられることになる。
その結果、「こだま」の所要時間が延びることになるが、問題はそれだけではない。東海道新幹線では、2020年の3月から足の遅い700系が完全に引退して、N700A(a)系、そして3月には間に合わないようだが、20年7月にはこれに新型車両のN700S系が加わっての運転となる。つまり、東海道区間については、最高速度285キロで走行可能な車両に統一されるのである。その効果として、毎時「のぞみ12本、ひかり2本、こだま3本」という高密度運転が実現する。
ところが、仮に毎時3本の「こだま」が、空港新駅と掛川駅に連続停車するとなると、駅間が短かすぎて加速できない中で、この区間は全体として「ノロノロ運転」となってしまう。その結果、本線を後ろから4分間隔で「のぞみ」や「ひかり」の各編成が最高時速285キロで走ってくると、ノロノロ運転の「こだま」に追い付いてしまい、ダンゴ状態になってしまう。そうなると、東海道区間における高密度運転と速達性を実現したダイヤが一気に崩壊し、東海道新幹線全体の輸送力が激減してしまう。
現在、JR東海が空港新駅の設置に難色を示しているのは、そのように具体的で切迫した問題があるからだ。
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JR東海は法律にのっとって環境アセスメントの手続きを終え、国からの「お墨付き」を得ているものの、工事は遅延している(JR東海のWebサイトより)
●静岡県自身が「静岡県の利便性向上」を阻害
ところで、27年にリニア中央新幹線が開業した場合、現在の「のぞみ」の持っている速達性という機能がリニアに移行した後は、名古屋以東の東海道新幹線は「静岡新幹線」と言っていいぐらい、静岡には利便性を提供できることになっている。
具体的には、東京=名古屋間の各駅停車タイプの「こだま」や、静岡県内での停車駅を増やした「ひかり」を増発できることになる。では、その時点で「静岡空港新駅」建設の可能性はどう考えられるのだろう? 一部には、リニアが開通していれば「のぞみ」を1時間に12本走らせるなどということは必要なくなっているはずで、ダイヤの面で新駅が大きな障害になることは減るという考え方もある。
だが、冷静に考えてみれば新駅設置が非現実的であることには変わらない。例えば、27 年以降の東海道新幹線では、「浜松=東京」の利便性、「静岡=名古屋」の利便性は高まるであろう。現在も新幹線での通勤・通学が見られる区間ではあるが、27年以降はより速達性と輸送力を高めることになろう。
その場合に、仮に「掛川=空港新駅」の間で「こだま」がノロノロ走っていれば、せっかくの「静岡新幹線」の利便性は低下してしまう。浜松と東京を、あるいは名古屋と静岡を結ぶ「ひかり」は、「こだま」に追い付いてしまって減速を強いられる。また、「こだま」にしても空港新駅と掛川間のノロノロのせいで、後ろに複数編成の「ひかり」を待たせたのであれば、掛川ないし静岡で何本も通過待ちを強いられて、「こだま」自体の所要時分も大きく延びてしまう。これでは「のぞみ」の輸送力の相当部分が「リニア」に移動しても、静岡県内の利便性は全く改善しないことになる。
つまり、空港新駅を無理に設置してしまうと、リニア開業によって静岡県内で東海道新幹線の利便性が改善するチャンスを、みすみす潰(つぶ)すことにもなりかねない。県として、そうした鉄道ダイヤのメカニズムを理解しているのであれば、空港新駅構想というのは「真意」ではないのかもしれない。
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すでに静岡県内には6つの東海道新幹線の駅があるため、空港新駅ができると東海道新幹線のダイヤに悪影響を及ぼす(リニアと東海道新幹線のルート、アイティメディア作成)
●「リニアへの誤解」
冷静に考えればそうだが、ではどうして川勝知事は「代償の要求」などという、言ってみれば「ケンカ腰」の対応を続けているのだろうか。その背景には、ある種の「リニア叩(たた)き」が一部のメディアで積極的に報じられるなど、「リニアへの誤解」がある。この「超電導リニア」技術を使った「中央新幹線」というプロジェクトの意義が、静岡県だけでなく、全国の世論に正しく伝わっていないという現状があるため、「リニアへの誤解」をベースとして落とし所のない論争が続けられているのである。
誤解というのは、多岐にわたっている。例えば技術的には「強力な電磁石の中を進むので、腕時計をつけて乗車すると時計が狂ってしまう(実際は強いシールドがされており、乗客が強い磁力にさらされる事はない)」や、「莫大な電力を消費するのでリニア推進派は浜岡原発を無理に稼働させたがっている」などといった誤解は、今でも世論の中にはある。あるいは「JR東海の葛西敬之名誉会長は、安倍晋三総理との人間関係を利用してリニアを推進している」などという報道も散見される。
与野党の力関係を巧妙に利用しながら三選を果たしてきた川勝知事には、こうした世論の中の「リニアへの誤解や偏見」も計算のうちというところかもしれない。もしかすると、論争を吹っかけておいて、最後は知事自身が否定している経済的な解決へと落とし所を持っていく腹づもりもあるのかもしれない。
そんなことは絶対にないものだと願いたいが、もしそうだとしたら……これは非常に悲しむべき問題である。
まずリニアの本当の意義というのは航空に対する代替である。仮に東京(品川)=大阪がリニアで結ばれれば、羽田=伊丹の航空路線は、国際線乗り継ぎ便以外は消滅するだろう。その場合、リニアの二酸化炭素排出は、航空と比較すると約3分の1まで減らすことができる。その意味で、リニアという乗り物は立派なエコなのである。
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リニアの二酸化炭素排出は、航空の約3分の1まで減らせる(山梨県立リニア見学センターのWebサイトより)
●日本から「世界へ輸出」
リニアというのは、電力を消費しつつ高周波数で磁極のNとSがスイッチする機構、つまり電気モーターにおける回転する部分というのは、車体の側にはない。可変する電磁石は「ガイドウェイ」と呼ばれる両側の壁に埋め込んである。このガイドウェイに埋め込んだ電磁石は、特殊な合金を使用した技術の塊(かたまり)となっている。
また車両側にある超電導磁石というのは、極低温に冷却することで超電導現象、つまり電気抵抗がゼロになるという特殊な技術が使われている。どちらも、旧国鉄総研時代から日本が国策として積み上げてきた研究開発の成果である。だが、こうした先端技術の粋であるリニアの各部品は、東京=名古屋=大阪の区間だけではメーカーとして「十分なマーケット規模をもつ」とまでは言えない。
日本における成功事例を確立した上で、世界各国に採用されていけば、各部品メーカーの収益力を上げることができるし、その上で、各国のリニアが稼働し、必要に応じて車両やインフラを定期的に更新していくことによって、技術を後世に継承しやすくなる。つまり、リニア中央新幹線というのは、日本の技術の成果であると同時に、その技術を後世に伝えるための「持続可能なだけの普及規模」を獲得する、そのための「ショーケース」でもある。
また、1877年に新橋=横浜間の開業をして以来、蒸気機関車、ディーゼル、電気機関車、新幹線と積み上げてきた日本の鉄道技術に加えて、日本のエレクトロニクス産業や重電産業が積み上げてきた技術の集大成、リニアはそのように位置付けることもできる。現在の日本では、スマホやコンピュータなどの先端技術ではグローバルな競争と分業の中で、部品・素材産業の地位に甘んじているのが実情だ。また、航空機製造などかつては得意分野であった領域でも苦戦を強いられている。
そんな中で、この超電導リニアについては、大規模かつ長距離の輸送システムとしては、現在でも「世界のトップを走っている」と言っても差し支えないだろう。これを実用化し、更には海外へ売り込むことができれば、日本の技術に端を発した新たなビジネス可能性が生まれるだろう。だが、現実には、今回問題になっている通り、着工許可が出されないままプロジェクトは遅延し、時間だけが過ぎている。
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リニアは、車両に搭載された「超電導磁石」と、車体の外側、両側の壁に埋め込んである「ガイドウェイ」に取りつけられた電磁石が吸引・反発する作用を使い、車両を10センチ浮かせて走らせる(「リニア中央新幹線」Webサイトより)
●すでに実用化レベルに到達 望まれる「早期決着」
筆者は17年10月に、営業運転モデルの「一つ手前」にあたる「L0(エル・ゼロ)系」による試験運転に乗車した。その経験から言えば、リニア新幹線は既に安全性、耐久性だけでなく、乗り心地という意味でも完全に実用レベルに達していると感じた。確かに「振動」ということでは、完全に浮上して走行する中で微細な気流が発生するために、多少の揺れは残っていた。その意味では、現在のN700A系ほどではないが、初代「のぞみ」の300系よりは振動も車内騒音も抑え込まれている(関連記事「リニアの「徐行」は新幹線の最高速度だった」)。
筆者は現在工事が進捗している東京(品川)=名古屋間を、リニアが40分間で結ぶという未来が一刻も早く到来することを願わないではいられない。論点が曖昧なまま、禅問答のような押し合いが進む現状は憂慮すべき事態だ。静岡県との交渉については早期決着がされて、一刻も早く県内工区の着工が実現するよう望むばかりだ。
*photohttps://image.itmedia.co.jp/business/articles/1907/23/dk_shizuoka_5.jpg
超電導リニア開発の経緯
○著者プロフィール
冷泉彰彦(れいぜい あきひこ)
ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。最新刊に『自動運転「戦場」ルポ ウーバー、グーグル、日本勢――クルマの近未来』(朝日新書)。近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)など。メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。
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- リニア新幹線製造の日本車輌、脱線事故で配線ミス発覚…JR東海と東京メトロにも車両納入(リニアが事故なら即棺桶?!) 戦争とはこういう物 2019/7/25 09:37:15
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