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年金炎上から垣間見える「老後不安社会」ニッポンの残念なリアル
https://diamond.jp/articles/-/209152
2019.7.19 5:40 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
年金不安が連日大きく報道されている。大きな不安感が社会を覆い始めた背景には、どのような要因が潜んでいるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA
大炎上した「老後2000万円」問題
なぜ漠然とした不安を感じるのか
「年金不安」が連日大きく報道されています。国の公式見解としては現在の年金制度は「100年安心」であり、また一時期話題になった「豊かな老後を送るための資金が2000万円足りない」という報告は誤ったものである、というものです。
その通りであれば老後の心配などまったくないはずですが、現実にはさまざまな局面で年金や老後生活についての不安を多くの人々が語っています。大きな不安感が社会を覆い始めた背景には、どのような要因が潜んでいるのでしょうか。我々に「未来の不安」を感じさせる要因を探ってみたいと思います。
今の70代の方が30代で最も脂がのっていたころ、つまり1980年ごろの日本と2020年の日本はどう違うのでしょうか。そう考えて、1980年ころの日本社会を振り返ってみることにしました。
1980年の日本社会では、会社を定年退職になる年齢は55歳でした。55歳の誕生日になると、「お疲れ様」と職場の社員たちから花束をもらって退職する。これが当たり前の光景でした。
その当時の日本人男性の平均寿命は73歳。定年後は5年くらい再雇用先を見つけて働き、60歳からは年金生活に入って、大体13年後に寿命を迎える。その間、それほど生活に困ることは考えにくく、安心して老後を過ごすことができた時代でした。
なぜ、その当時は老後の生活についての不安が小さかったのでしょうか。年配の方に要因を訊ねてみると、以下のような点で当時は今とは社会が違っていたことがわかります。
(1)人生は70年と考えていた
(2)55歳の退職時には子どもの教育投資が終わり、住宅ローンも完済していた
(3)年功序列・終身雇用型の日本企業では、定年退職時にそれなりの蓄えができていた
(4)会社員ではない自営業の場合も、自宅兼店舗が手に入って70歳まで働くことができた
(5)子どもたちが平均して2人いたので、いざというときは同居して養ってもらえた
(6)その結果、身の回りで見かける「生活困窮者」は例外的な存在だった
簡単にまとめると「そのような感覚」だったそうです。確かにこうして述べてみると、1980年代の高齢者は老後生活に極度の不安を感じていなかったといわれたことが、不思議には感じません。
日本は過去40年の間に
「老後不安社会」になった
では、それと対比する形で、現在の70代の方の不安を考えてみましょう。
(1)70歳の日本人の平均余命を前提に考えると、男性は86歳、女性は90歳まで年金生活が続く
(2)バブル時に高い住宅を購入して失敗した、ないしは住宅取得を諦めたなどの理由で、持ち家のない層が4割もいる
(3)会社人生の晩年は思ったほど給料も増えず、退職金もその前の世代ほどは出なかった
(4)自営業の場合、大手チェーンに押されて80年以降は商売がずっと下り坂であり、続けていても実は利益は出ていない
(5)老後を支えてくれる子どもがいない
(6)身近な年上の知り合いに、生活困窮者が何人もいる
これはあくまで、統計資料などから私が整理した情報を基にした、主観を交えた記述です。それでもこうして整理してみると、日本が過去40年で老後に不安を感じる社会に変化していることは、実感できるのではないでしょうか。
男性の場合で考えれば、「老後」の意味が13年なのか26年なのかでは、期間が2倍違います。老後の期間が倍なら、かかるお金も2倍になります。それだけを考えても、年金や医療費といった社会保障費が社会問題になった理由は明白です。
そのような社会において、持ち家がない人も結構多いのが現実。中でも地価の高い東京都の場合は、持ち家比率は5割を切っています。
さらに「十分な老後資金を蓄えている高齢者」の数となると、持ち家比率以上に低い。つまり1980年代と比べると、自分自身が2020年代に生活困窮者に陥るリスクははるかに大きく、老後不安は多くの人にとって「自分ごと」なのです。
年金をもらい始めて感じる
「これはヤバい」というリアル
「そして65歳ないしは70歳になって初めて、自分がもらえる年金がいくらなのかというリアルを体感することになる」「ここで老後人生最初の衝撃が走った」――。私の身近にいる高齢者の方は、まさにこう語りました。
厚生労働省が発表するデータの平均値でいえば、元会社員の高齢者が受けとっている年金の平均額は月15万円だそうです。月15万円の年金がもらえてかつ持ち家があれば、老後の生活が困窮するリスクはそれほど大きくないと感じるかもしれません。しかし、この数字については後述する問題点があるので、そこはよく覚えておいてください。
一方で、厚生年金に入っていない人はどうでしょう。自営業の方や、ブラック企業で会社が厚生年金を払ってくれていなかったようなケースでは、多くの方が国民年金しか受け取れません。その満額の受給額は月額6.5万円、平均では5.5万円です。
最近ニュースで話題になったのがこのようなケースの高齢者で、月5.5万円の収入では到底生活が成り立たちません。しかも、後期高齢者になってからその事実に気づくため、それからではどうにもなりません。「『年齢を問わず』とある求人に応募しても全部断られた」と、ニュースに出ていた高齢者は途方に暮れていました。
さて、話を先ほどの月15万円という平均的な元会社員に戻してみます。ここにも実は、「平均値の誤謬」という統計の罠があります。よく知られた統計に「日本人の平均貯蓄額は1800万円」という数字がありますが、これはたくさん持っている人と一緒に平均するから、そうなるわけです。
この統計の場合、中央値(つまり全人口の真ん中あたりの人)で見ると1000万円くらいの数字だし、そもそもの問題である「ほとんど貯蓄を持っていない人」が結構いるわけで、平均で見ることは実態上、正しくないわけです。
年金の数字にもこれと同じ平均値の罠があって、会社がきちんと厚生年金を支払ってくれていて、40年間会社勤めをした結果、月15万円の年金を受け取れるのは、現役当時の平均月収が40万円の人に限られるのです。これは「逃げ切り世代」の平均であったとしても、現役世代の平均だとは到底いえない水準です。
「月9.7万円で暮らせるのか」
高齢者が直面する非情な現実
では、「もっと平均的なこれからの日本人」の場合はどうなるのでしょうか。
会社勤めで平均月収が15万円の人、いわゆる年収180万円の新下流といわれる人の場合、年金を満額もらえる場合のモデル受給額は、国民年金と厚生年金を合わせて月9.7万円程度です。つまり、これから40年先の高齢者たちは、この「月9.7万円で暮らせるのか」という問題に直面するわけです。
加えていえば、これでは生活が成り立たないということなら、生活保護を受けることが制度上は可能です。この生活保護は月額13万円超と、なかなかよい条件です。しかし問題は、生活保護を申請しても、自治体によっては財政状況が芳しくなく、断られるケースも少なくないということです。
そもそも1980年代には、「自分の生活が困窮する可能性」など多くの国民にとって考える必要のないことでした。しかし人生100年時代を迎えたとたん、その可能性が逆に多くの国民にとって現実味を帯びてきました。
そして、自分の未来をシミュレーションしてみると、そのリアルさがわかる。詳しく調べれば調べるほど、不安になる――。そのような現実が、多くの方が老後生活に不安を感じるようになった最大の原因なのではないでしょうか。「老後資2000万円」問題は、そんな国民の不安な心理に油を注ぎ、燃え上がらせてしまったといえます。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
後から気づいて慌てても遅い。大人しく頑張っていれば何とかしてもらえる、そんな甘い国ではないのだから。 年金炎上から垣間見える「老後不安社会」ニッポンの残念なリアル | 今週もナナメに考えた 鈴木貴博 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/fFbhkKKcdR
— (Ken) rock_forever☂☂ (@rock_forever) 2019年7月19日
年金炎上から垣間見える「老後不安社会」ニッポンの残念なリアル(ダイヤモンド・オンライン) https://t.co/nBInkAyVXJ
— Takashi_cv (@tks0810) 2019年7月18日
この記事の数字は現実。平均40万を約40年継続で厚生年金15万円は本当にそう。しかも現行のレートで。若年層はもっともらえないでしょ。
会社勤めで平均月収15万円の人(年収180万円の新下流)は、年金を満額もらえる場合のモデル受給額は、国民年金と厚生年金を合わせて月9.7万円程度。これから40年先の高齢者たちは、この「月9.7万円で暮らせるのか」という問題に直面する。鈴木貴博さんのコラム。https://t.co/UFuTA0LEFm
— 石川一敏 (@ik108) 2019年7月18日
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