http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/603.html
Tweet |
「HVのトヨタ」が本気でEVに力を入れ始めた理由
https://diamond.jp/articles/-/205567
2019.6.14 佃 義夫:佃モビリティ総研代表 ダイヤモンド・オンライン
Photo:AFLO
トヨタが
計画を5年前倒し
トヨタ自動車は6月7日、「〜トヨタのチャレンジ〜EVの普及を目指して」と題した記者会見を行った。トヨタの車両電動化への取り組み方針を解説する内容で、トヨタの先進技術カンパニーのプレジデント、寺師茂樹副社長が説明した。そこで、EV普及に向けたビジネスモデルの構築やEVのコアである電池の開発・供給拡大も含め、CASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric)&MaaS(Mobility as a Service)に象徴される自動車の先端技術や、新しいサービスに連動する試みを加速すると改めて強調した。
具体的にはまず、2017年12月に発表した電動車販売計画を5年前倒しした。つまり、2030年にHV(ハイブリッド車)・PHV(プラグインハイブリッド車)450万台以上、EV(電気自動車)・FCV(燃料電池車)100万台以上にするという計画を、2025年目標に前倒しし、より早く進展させることになった。
加えて、「MaaSにEVはシンプル構造で使いやすい。新ビジネスモデルの核はEVになるだろう」(寺師副社長)とし、自動運転やコネクテッド技術と相関性の高いEVを普及させ、「新しいビジネス」の仲間づくりを行って新時代をリードしていく姿勢を打ち出したのだ。
これまで環境対策としてHVを軸に展開してきたトヨタは、他社に比べると「EV戦略が出遅れている」とされてきた。
事実、近年のEVの開発は、日本では三菱自動車が軽自動車で初の量産化を実現し、日産自動車がゴーン体制下でEVのリーディングメーカーを目指すなど、他社に先行されている。
欧州メーカーもフォルクスワーゲン(VW)を筆頭に、EV戦略を積極的に進める動きを示している。米国ではGMが早くからEVを手掛けており、EVベンチャーのテスラが話題を集めている。
しかし、トヨタはHVを推進する一方で、EVの対策も着々と進めてきた。
それが今回の発表であり、電池の開発・供給やグローバルEV戦略、トータルEVビジネスモデルの構築までも明確に打ち出している。
トヨタをここまで本気にさせた理由は何か。
言うまでもない。厳しい燃費規制が世界の潮流となっているためだ。日本でも欧州並みの厳しい燃費規制が新たに打ち出されたように、米カリフォルニア州のZEV規制や中国のNEV規制といった環境車規制が世界各国に波及していることが背景にある。
欧州のEU規制は、2030年までに21年目標からさらにCO2排出量を37.5%も削減するというもの。日本でも30年度までにガソリン1リットルあたりの目標値25.4キロメートルを義務づけ、16年度実績よりも燃費を32.4%改善させるという燃費規制が打ち出された。一方、中国のNEV規制や米国のZEV規制は、新エネルギー車の比率を高めることを義務づけ、未達の場合は、達成したメーカーからクレジットとして買い取るか、販売台数が制限される。
このように環境車規制が加速する中、必然的にEV普及は不可欠となる。
繰り返される
電気自動車ブーム
EVは過去にも各メディアで「EV大転換時代、来たる!」などと一気に普及するような雰囲気で報道されては、やがて下火になるという歴史を繰り返した。
実際、2000年代初頭の「世界自動車大再編」といわれた時代には「環境車の本命はFCV(燃料電池車)」とされていた。トヨタやホンダが市場に投入したものの、水素スタンド展開の難しさやコストの高さなどが高いハードルとなり、FCVへの大規模投資は「単独の自動車メーカーではまかないきれない」いわれ、普及が遅れている。話題性で見てもやや下火となりつつある。
そして現在、再びEVに脚光が当たり、「環境車の本命はやはりEVだ」といわれている。
しかし、EVもいまだ電池の製造コストや性能、走行距離の問題など、多くの課題を解決できずに抱えている。
もう一度、トヨタの計画を見てみよう。
トヨタは2050年にCO2ゼロチャレンジを打ち出している中で、2030年に電動車全体で550万台以上とする計画を5年前倒しして2025年に再設定した。
この内訳はHV・PHVで450万台以上、EV・FCVで100万台以上とするが、トヨタは超小型EV、歩行領域者EVからコンパクト・ミディアム(SUV、クロスオーバー、ミニバン、セダン)、ラージSUVとさまざまなEV商品ラインナップをグローバル展開することを明らかにした。2025年にはトヨタからEVが100万台近く販売されることにもなりそうだ。
グローバル戦略では、2020年に中国を皮切りに自社開発の量産型EVを本格導入する。以降、トヨタとレクサスブランドで各国にEV展開を拡大する。中国に加え、日本・インド・米国・欧州に順次展開する。
「新しいビジネスの仲間づくり」の面では、EV普及に向けて「協調」の姿勢で多くの「仲間」を募り、新しいビジネスモデルの構築を図る。超小型EVを活用した新ビジネスモデル構築は日本でスタートさせる。すでにEVの市場ができつつある地域に向けては、市場ニーズに応じたさまざまなタイプのEVを低コストで効率的に開発していく。
またEVの商品力向上や普及には、高性能な電池の開発と供給体制の整備が欠かせない。これについては、中国の電池大手CATLとの提携など、多くの電池メーカーと連携していくという。
多面的なパートナーづくり
新しいビジネスモデル構築
もっとも、これを機にトヨタは環境対策車の開発を「EV1本に絞り込む」というわけではなさそうだ。
トヨタはこれまでもHVを中心とした環境対策車の戦略を採りつつも、実はPHVやFCVなどの多様な環境対策車の開発を全方位的に続けてきた。
「トヨタのEVに対する姿勢が変わったか」という問いに対しても、寺師副社長は「特に変わったということではない。従来考えていたものが欧州燃費規制のように世界中に広がっていることで、本格的にEVもやるし、FCVもないがしろにしない」と回答している。
とはいえ、トヨタのEV開発は今後、ますます加速することは明らかだろう。それは、ここへきてのEV開発体制を見れば明らかだ。
2016年10月の「EV事業企画室」は、2018年11月に「トヨタZEVファクトリー」に発展した。寺師副社長も「当初は4人でスタートし、現在290人体制となった」と言う。これに2017年10月にEV基盤技術合弁会社である「EV CAスピリット」(社長を寺師トヨタ副社長が兼ねる)をマツダやデンソーとともに設立している(ここにはダイハツ・日野・スバル・スズキ・ヤマハ・いすゞも加わり、各社から選任エンジニアが出向し、EVコモンアーキテクチャーを共同開発している)。
すでにEV専用のe-TNGAのEVユニット・モジュールを開発しており、スバルとはミディアムSUVの専用EVユニットを共同企画、スズキとダイハツとはコンパクトEVを共同企画している。
一方、EVのコアである電池の開発・供給については、次世代電池の本命といわれる全固体電池の開発を急ぐとともに、従来のEV市場見込みを大幅に上回るペースで電池の需要が拡大している(2025年には現状の約20倍へ)ことから、電池調達および協業体制づくりを世界で広げる。
従来からのパートナーであるパナソニックとPEVE(プライムアースEVエナジー、パナとの合弁)に加えて、先述したように世界最大手電池メーカーである中国CATLとの提携や中国BYDに、日本のGSユアサ、東芝(インドでスズキと連動して電池を供給)といった電池各社と協業し調達先を拡大することで、電動車の急速な普及に対応していくことになる。
EV戦略を一気に加速することについて、トヨタは環境性能を走行時だけでなく、発電所などの源流にさかのぼって評価する「ウェル・ツー・ホイール(油田から車輪へ)」の観点で、ゼロ・エミッション車のステップとすることも強調している。
EV事業化において、EV車両の開発、電池の安定的供給や耐久性能の向上、使用後のリユースなど多面的なパートナーづくりで新しいビジネスモデル構築が急務としている。
(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
トヨタは、超小型EVを活用した新ビジネスモデル構築は日本でスタートさせる。すでにEVの市場ができつつある地域に向けては、市場ニーズに応じたさまざまなタイプのEVを低コストで効率的に開発していく。佃義夫さんのコラム。https://t.co/TefFBQUrEm
— 石川一敏 (@ik108) 2019年6月13日
EVを飛び越えてFCVに行こうと思ったが想像以上に解決すべき問題が多く、EVでかなりの遅れを取った。
— uehara (@uehara1300) 2019年6月13日
「HVのトヨタ」が本気でEVに力を入れ始めた理由(ダイヤモンド・オンライン) https://t.co/vLuF12PyNF
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民132掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民132掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。