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米国、ファーウェイ制裁の裏に「自由競争では中国企業に勝てない」という判断か
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28101.html
2019.06.03 文=大ア孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer Business Journal
ファーウェイのスマートフォン(写真:Featurechina/アフロ)
アメリカによる中国の通信機器メーカー・華為技術(ファーウェイ)への制裁が本格化している。その要因として、安全保障の問題がたびたび指摘されている。ファーウェイの機器を通じて世界的に情報が収集され、中国政府に漏えいするリスクがあるといわれている。
もちろん、こうした危険性は否めないだろうが、アメリカによる制裁の本気度を見ると、安全保障のリスク以上に、それほどまでにファーウェイには通信機器メーカーとしての底力があるのかと感じる。
もちろん、多くの報道機関が取り上げているように、これまで欧米企業からの盗用などがあったかもしれないが、2018年度に国際出願された特許の件数でファーウェイは世界1位になっている。しかも特許数は5405件と、2位の三菱電機(2812件)の2倍に迫る数字となっている。そのほか、技術、生産、販売などにおいても、我々の予想をはるかに上回り、アメリカをはじめ世界的大手通信機器メーカーを凌駕する底力を持っているといえるだろう。
■政治に対する経済の無力さ
現在、通信機器の国際市場において日本企業は強い存在感を示せていないが、過去には大きな力を保持していた時代もあった。たとえば、日本企業の携帯電話端末は1980年代の国際市場においての半数近くのシェアを持っていた。また、現在、通信規格で話題の5Gの3世代前である2Gにおいて、日本発の規格であるPDCは欧州発のGSMに対してなんら遜色はなかった。しかし、技術的優劣ではなく政治的な要因によって、GSMが国際標準となり、以降、日本の携帯電話端末も国際市場において影響力を失っていった。
また、現在、国際的にOSを支配しているのは、アメリカの企業であるマイクロソフトのウィンドウズであるが、当初は坂村健氏により開発された日本初のOSであるトロンのほうが先行していた。しかしながら、アメリカ経済への悪影響を危惧したアメリカ政府の干渉により、日本の文部省(現文部科学省)が学校に配布する教育用パソコンへのトロンの採用を取り下げるといった事態が生じるなど、トロンは勢いを失ってしまった。
このように、政治の力の前に経済は実に無力だ。経済はルールに従って行動しなければならないが、政治はそのルール自体を自由につくり変える力を有している。
今回、アメリカが政治の力を利用してファーウェイを叩こうとしている事実は、もはや経済における自由競争では米国企業に勝ち目がないと判断していることの裏返しかもしれない。
■「一帯一路」構想を声高に叫ぶことは正しいのか
「一帯一路」は、2014年に中国・習近平国家主席が提唱した経済圏構想である。こうした壮大な構想は、共産党による一党支配により長期政権が約束されている中国だからこそ打ち立てられる素晴らしいものであると評価することもできるかもしれない。しかしながら、ここまで声高に叫ぶ必要があったのだろうか。いたずらに中国脅威論を助長させ、現在のアメリカとの制裁合戦、さらには今回のファーウェイ問題にも悪影響を与えることになってしまったのではないだろうか。構想を掲げたとしても、大きくアピールすることなく粛々と進めるほうが、はるかに利があったのではないだろうか。
たとえば、一帯一路構想には東南アジアも含まれている。筆者が暮らすフィリピンはもちろんフィリピン人により統治されているが、経済においては華人が極めて大きな影響力を保持している。ついでに言えば、スペイン人の末裔もいまだに勢力を保っている。こうした状況は、フィリピンに限らず、ほかの国々でも見られる。
本来、こうした事態は、各国において大きな問題となってもおかしくはないが、いたずらに力をひけらかすようなことはせず、寄付をはじめ社会貢献活動などに注力することによって、批判をうまくかわしているように思われる。たとえば、筆者が勤務する大学の図書館は、華人によるフィリピン最大の財閥であるSMの寄付によるものである。
こうした華人たちは何世代にもわたり現地に暮らし、国籍も現地の国のものになってはいるが、それでもなお多くの華人は中国語を話し、中国の文化や習慣を尊重した生活を送っている。
「血は水よりも濃し」という言葉もあるように、たとえ共産党の一党支配に批判的であっても、中国という国に対しては多くの華人が特別な思いを抱いている。一帯一路などを掲げるよりも、粛々と現地で強い影響力を有する華人たちと関係を深め、事業を展開していくほうが、よほど利があるのではないだろうか。
一帯一路をはじめ、中国が自らの力をいたずらにひけらかすようなことをしなければ、米国との制裁合戦やファーウェイ問題なども、回避もしくは少なくとも少しは緩和できたかもしれない。
(文=大ア孝徳/デ・ラ・サール大学Professorial lecturer)
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