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東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が32兆3179億円!? 異常に膨れ上がったワケとは?(wezzy)
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/514.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 6 月 01 日 23:06:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が32兆3179億円!? 異常に膨れ上がったワケとは?
https://wezz-y.com/archives/66251
2019.06.01 wezzy


公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会公式ホームページより


 スポーツのビッグイベントの開催や新しい商業施設のオープンなどのニュースが報じられる際、その「経済効果」に関するニュースも付随してよく聞かれます。最近では、元号が変わったことによってもたらされた経済効果の試算もされているようです。

 5月1日に元号が「平成」から「令和」に変わり、その前後は祝日が10日間連なる暦となりました。このようなスペシャルな行事が行われたとき、その経済効果がいくらであるかという報道がよくされます。関西大学の宮本勝浩名誉教授の調査によれば、改元に伴う10連休がもたらす経済効果は2兆1395億8969万円。例年の大型連休と比較しても破格の経済効果だそうです。

 またイベントだけではなく、キャラクターや新しい商業施設に対しても、その経済効果が計算されることがあります。

・くまモン:1244億円 

(2011年11月〜2013年10月 日本銀行熊本支店の試算)

・嵐の活動休止:3249億円 

(2019年〜2020年 関西大学 宮本勝浩名誉教授の試算)

・ラグビーW杯:4372億円 

(2019年 公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会の試算)


 発表される額がとても大きい上に、自身の経済活動に直接関わりがなければ実感することが難しいこの「経済効果」とは、いったい何なのでしょうか。

■「経済効果」のしくみ

 本来は厳密な定義があるのですが、簡単に言ってしまえば、「それを行うことで(もしくはそれが生まれたことで)動くお金の総額」ということになります。なお、マスコミが報道する「経済効果」は、厳密に言えば「生産誘発額」と定義される金額になります。

 身近な例として「ラーメン」を例に経済効果を説明しましょう。1杯500円のラーメンを売るという経済行動に対して誘発される生産活動を列挙していきます。

 ラーメンを作るためには、麺とスープが必要となりますが、1杯500円のラーメンに対して、麺に100円、スープの原料となる豚骨に200円がかかっているとします。さらに100円の麺に対して、原料の小麦に50円かかり、200円の豚骨の元となる豚に195円かかっているとします。このときラーメン1杯を販売するために動いたお金は、

 500+100+200+500+195=1045円

 となり、これがラーメン1杯を売ったときの「経済効果」となるのです。

 ちなみにラーメンに対して支払われる500円を「直接効果」、ラーメンを製造するために誘発される生産額300円(麺100円、豚骨200円)やその原料を製造するために誘発される生産額245円(小麦50円、豚195円)を「波及効果」と呼びます。

 このように「直接効果」と「波及効果」の合計が「経済効果」として発表されているのです。

■■■■■■■■■■■■

 総務省や各自治体は、さまざまな産業の経済活動を行うにあたって、どれだけのお金をどの産業に注ぎ込み、またどの産業にどれだけ販売したかというデータを調査し、それを「産業連関表」とよばれる一覧表にまとめています。生産誘発額は、この表の数値を「行列」(ラーメン屋の前にできる行列ではなく、数学(線形代数)で用いる用語)として演算し、求められます(日本の産業連関表は、総務省のサイトからダウンロード可能です)。

 さて、「500円のラーメンの経済効果が1045円」と聞かされて、みなさんはどのようにお感じになられるのでしょうか。1045−500=545円をラーメン屋さんが儲けているわけではないことは自明でしょうから、そう考えるとあまりピンとこないというのが正直なところでしょう。

 というのも、1045円にはラーメンの価格500円、麺の価格100円、小麦の価格50円が含まれているため、小麦部分が三重に加算されていることになります。つまり、生産額が「新たな経済価値の生産額」を如実に示しているわけではないことがわかります。

 実際に儲かっている部分は、ラーメン屋においては500−(100+200)=200円、製麺所は100−50=50円、精肉屋は200−195=5円ということになります。この合計255円がラーメンを売ることで生じる「付加価値」となります。

 つまり「新たな経済価値を生み出した」という意味での「経済効果」を見るときは「付加価値誘発額」で検討する必要があるのです。

■東京オリンピック・パラリンピックの経済効果

 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。1964年以来、56年ぶりに開催されるこのビッグイベントに関しても、各所がその経済効果を開催決定当時(2013年)に試算しています。



 同じイベントでなぜこのような差が生まれるのでしょうか。それは、都の試算が選手村・新国立競技場などの五輪関連施設への整備費や大会運営費などに限定して行われたのに対し、森記念財団では、以下の効果を加えているからです。

●訪日外国人の増加や宿泊施設の建設増加などの大会開催に伴う直接的な需要の増加による効果
(生産誘発額1兆3664億円 付加価値誘発額 6749億円)

●交通インフラの整備など都市づくり事業の前倒し効果
(生産誘発額2兆4428億円 付加価値誘発額 1兆1972億円)

●新規産業の創出効果
(生産誘発額5兆780億円 付加価値誘発額 2兆7194億円)


 そのうえ森記念財団は、五輪が開催されることで国民のテンションが上がり、それが消費行動の拡大につながるという「ドリーム効果」に対して7兆5042億円(付加価値誘発額3兆7220円)を都の試算に上乗せしています。

 先に述べたように、経済効果は「それを行うことで動くお金の総額」なので、首都高速の再整備や雇用問題といった、五輪が開催されずとも必要となる生産誘発額を多分に含むように計算してしまうと、調査者のさじ加減ひとつで効果の額が大きく変動するのです。

 その傾向は、2017年に東京都オリンピック・パラリンピック準備局が発表した経済効果の額にも見られます。

 最新の試算による経済効果はなんと32兆3179億円。4年前に招致委員会が試算した額の10倍以上に跳ね上がっています。

 これにはもちろんカラクリがあって、まず分析対象期間が2013年から2030年までと、前回の調査時より10年ほど延びています。

 そして、大会運営に直接関わる直接的効果5兆2162億円以外に「レガシー効果」として街のバリアフリー対策、外国人留学生増加による需要増価額、国際ビジネス拠点形成、自動運転技術の普及拡大、ロボット産業の市場規模拡大など、大会をきっかけに活性化されるであろう産業による経済効果27兆1017億円が計上されているのです。

 この「レガシー効果」は、オリンピック・パラリンピックがなかったとしても日本のこれからを考えると必要となるものです。わざわざここに計上した理由を考えると、ある事情が思い浮かびます。

 それは、東京オリンピック・パラリンピック開催にかかる費用の増加です。招致当初、当時の猪瀬直樹東京都知事は「40年前の五輪施設をそのまま使うので、世界一カネのかからない五輪」になると豪語していました。

 2013年時点での開催費用予算は、大会終了までに7300億円で済むとしていました。しかし、2018年10月、会計検査院は2013〜2017年の5年間で国が支出した開催経費がすでに8000億円を超えてしまったと指摘しました。組織委員会と東京都も含めると、開催費用は3兆円を超える可能性があるとの指摘もありました。そのため、東京五輪には3兆円という莫大な支出に見合う経済効果があることをアピールする必要が生まれ、このような発表になったのではないかと邪推するのです。

■経済効果の分だけ本当に潤うのか

 経済効果は、プラスに働く箇所だけを列挙して試算する傾向があります。「ドリーム効果」によって、確かに五輪関連の消費は活性化するかもしれません。しかし、各家庭の収入の増加が見込めなければ、それ以外の消費行動が冷え込み、全体として景気に大きな変動が見込めません。

 また公共施設建設による経済効果が語られるとき、自治体が税金で負担する額に関することや、イベント終了以降に見込める収益とその維持に関する議論がなされていないと感じます。果たしてオリンピック・パラリンピック開催は、本当に日本の景気や経済を活性化させてくれるものなのでしょうか。1998年に長野で開催された冬季オリンピックを事例として検証してみましょう。

 オリンピック終了後の1998年12月に長野県情報統計課が発表した経済効果によれば、長野県内での経済効果(生産誘発額)は2兆4548億円、付加価値誘発額が1兆2497億円となっています。つまり、オリンピックを開催したことで長野県内に1兆円以上の「儲け」が出たと試算しているのです。確かに長野県に新幹線が開通し、高速道路や道路が整備されたことによって、流通業や観光業をはじめ、長野県の産業に大きなメリットをもたらしたことは事実です。

 しかし、大会運営費や関連施設費は当初の予算に比べてかなり膨大になってしまったようで、大会運営費は当初400億円の予算に対し、実際は1080億円ほどに達しました。

 また、オリンピック誘致に際して「新規の施設はなるべく作らない」と閣議決定されていたにもかかわらず、結果的に多くの新規施設が作られ、その費用は2000億に達したといわれています。それらの施設は広域にわたって建設されたため、道路のインフラ整備にも2500億円が費やされたようです。その費用は県や市町村が負担しました。その結果、長野五輪開催が決定した1991年と比較すると、大会終了時には県の負債が1兆円も増加し、その後も施設の維持管理に多額のお金が費やされたと見られているのです。

 さて東京オリンピック・パラリンピックでは、長野オリンピックと同じ轍を踏むことはないと言い切れるのでしょうか。

 「景気は気から」という言葉があるように、経済効果の額を大きく発表することで、国民の経済活動に対する意欲を高揚させたいという気持ちはわかります。しかし、労働によって付加させた価値に見合う賃金がしっかり支払われる労働環境整備がなければ、それらは机上の空論で終わってしまうのではないでしょうか。



鳥越規央

統計学者。江戸川大学社会学部客員教授。筑波大学卒業。筑波大学大学院数学研究科修了。野球の選手や戦術を統計学的見地から分析し、評価するセイバーメトリクスの第一人者であり、スポーツ統計学全般の研究を行っている。また、アイドル業界にも精通し、テレビ・ラジオ番組の監修や「AKB48選抜じゃんけん大会」の組み合わせ監修といったエンターテイメント業界でも統計学をベースにした理論を構築するなど幅広く活動する。JAPAN MENSA 会員


 

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コメント
1. 2019年6月02日 01:06:47 : YrIvANlmTQ : Tk1yMmUwWWU3UWM=[5] 報告
>東京オリンピック・パラリンピックの経済効果が32兆3179億円!?

取らぬタヌキの皮算用とは、このことを言う。
 

2. 2019年6月02日 01:11:29 : YrIvANlmTQ : Tk1yMmUwWWU3UWM=[6] 報告
森記念財団ってなに?
シンキロウの税金逃れのための似非財団か?
 
3. 2019年6月02日 01:27:37 : kMWidN0s9c : Z3BJUHdLNlg0cW8=[62] 報告
人間、イベントがあろうがなかろうが食う量は変わらない。

外で食えばその分、家で食う量は減る。

4. 2019年6月02日 11:50:27 : 05COWJ2Yqg : alpqWnE3Uk15dFU=[165] 報告
でもぶっちゃけ本当の経済効果はマイナス。
5. 2019年6月02日 18:57:10 : 1hFwhl5XF6 : dXZTY1pyS01GUXM=[82] 報告
利権のオコボレを貰うには、法螺が大きいほうが見返りも大きい。
なぜなら、それだけ多くの税金を投入できるからだ。
6. 2019年6月02日 19:46:35 : D0QUl32qUN : OWczZmhIbUhDL3c=[99] 報告
効果より 遥かに多い 副作用

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