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中国を襲う高齢化、経済の歯車が逆回転
https://diamond.jp/articles/-/203350
2019.5.23 The Wall Street Journal ダイヤモンド・オンライン
Photo:iStock/gettyimages
――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
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中国はなぜこれほど急速に成長できたのか。重要な理由の一つは、世界に向けた経済開放のタイミングが極めて良かったということだ。
1978年に始まった「改革開放」は、中国の生産年齢人口の急増とタイミングが一致した。生産年齢人口は、2013年に10億人超となりピークを迎えた。これは当時の米国の総人口の3倍以上だ。この途方もない規模の若い労働力を世界のサプライチェーンに結び付けることで、中国のメーカーは世界の他の低付加価値の製造業者より価格面で優位に立つことができた。また同国が投資資金となる貯蓄を大きく積み上げることにも役立った。所得が急増した若い労働者たちは、不確かな将来を見据えて積極的に貯蓄した。その資本は、より多くの工場や世界有数規模のインフラへの投資に回され、中国の比較優位をさらに強化することになった。
こうした状況が今、すべて逆回転しつつある。
中国の15〜64歳の人口はすでに2013年を約1000万人下回っている。国連の予測によれば、同年比の減少幅は2035年には8000万人に達する。異常に高かった貯蓄率も2010年以降は低下している。同年には全人口に占める生産年齢人口の比率がピークに達した。人口動態以外の要因も作用している。金融危機以降、輸出の伸びは鈍化しており、企業の貯蓄を圧迫している。貯蓄の伸びはさらに鈍化する可能性が大きい。中国が高い経済成長率を維持するためには、外国からより多くの資本を導入するか、国内資本をより効率的に利用するか、その両方が必要となる。こうした事象が多くの人々の認識よりはるかに急速に進行している。
人口動態上の問題を抱えているのは中国だけではない。米国の2018年の出生数は32年ぶりの低水準に落ち込んだ。ただ中国に関して際立っているのは、生産年齢人口の膨張がいかに高度経済成長期と重なっていたか、そして13年以降の成長減速がいかに生産年齢人口の減少と重なってきたかだ。
幸運もあったし、当時の最高指導者・ケ小平氏とその側近が経済政策で適切な意思決定をしたという側面もある。中国が市場を開放したのは、人口動態上の優位性が、米国だけでなく他の開発途上国と比較しても頂点に近づきつつある時期だった。1990年から2010年までの間に、中国の生産年齢人口が全人口に占める比率は、既に高かった67%から75%近くに上昇した。米国での比率は67%を超えることがなかった。国連によると、同期間の他の全ての低所得国を総合した比率は約62%で頭打ちとなった。
しかし現在の人口動態のトレンドによると、2030年代終盤までに状況は逆転する。中国は他の途上国より高齢化が進み、米国とほぼ同等になる。農村部の住民の平均年齢は既に都市部のそれよりはるかに高い。中国は過去何十年にもわたり、付加価値の低い農業から高い製造業に労働者を移すことで生産性を上げてきたが、これも次第に難しくなる。加えて、貯蓄の伸びが低下することで、国家主導の投資拡大が維持できなくなるだろう。政府は2016年、長年続けてきた一人っ子政策を撤廃したが、期待された出生数の急増は実現できていない。
このため、巨額の貯蓄を使って世界的な次世代企業を生み出せる時間は限られている。急速に縮小し割高となる労働力で多くの高齢者を支える必要が生じる前に、それを行われなければならない。この観点からみると、非効率的な国家主導の金融システム――膨張した国有企業に貯蓄をつぎ込んで浪費し続けるシステム――が早急に修正されない限り、致命的な問題となりかねない。
時間が限られていることを中国の指導部が理解しているのは確かだ。しかし国家主導型のイノベーション施策は成否の入り交じったもので、現在では米国から強い反発を受けている。
成功を確実にするより良い方法は、動きの鈍い巨大国有企業を支援するために使われている膨大な資金を開放することかもしれない。企業家精神を持った野心的な人々がこうした資金を手にすれば、はるかに優れた仕事を行うことができるはずだ。
(The Wall Street Journal/Nathaniel Taplin)
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