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日本の就労者、サービス業が7割超に…“高度サービス業国家”化する日本の経済変貌
https://biz-journal.jp/2019/05/post_27921.html
2019.05.17 解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季 Business Journal
「日本企業には優れた技術があるが、マーケティングのノウハウがないために海外企業に負けてしまう」という解説がよく聞かれ、書店にはマーケティングに関する書籍があふれているなか、本連載ではマーケティングの基礎の基礎を解説している。これまで各テーマを解説する折に、サービス財について簡単に触れてきたが、今回はこのサービス財の特徴について立教大学経営学部教授の有馬賢治氏にもう少し掘り下げて説明してもらう。
■サービス財の主な特徴は「無形性」「同時性」「消滅性」「異質性」の4つ
――サービス財とは無形の商品であるとこれまでの連載で何度も説明してもらいましたが、その特徴をもう少し詳細に教えてください。
有馬賢治氏(以下、有馬) マーケティング視点でのサービス財の特徴には、物理的な姿・形を伴わないという「無形性」、生産と消費が同時に行われる「同時性」、保管・在庫ができない「消滅性」、対面する提供者による品質にバラツキを伴う「異質性」の4つがあります。こうした特徴に付加して、サービス財は、所有権がなく使用権しかないことや、その対照にあたる物財よりも模倣されやすいという特徴も持っています。
――NTTドコモが最大で4割安くなるというスマホの新料金プランを発表しました。実際の内容は肩透かし的なものでしたが、もし料金体系にインパクトを与えて他キャリアの顧客を奪えるほどのものだったとしても、他キャリアもそのプランをマネしたサービスをつくればいいだけの話だと。
有馬 はい。通信サービスや金融商品は、システムを単に模倣すればいいだけなので、革新的なアイディアを持ったサービス財が生まれたとしても、しばらくすれば横並びになりやすいという宿命があります。
――旅行やレジャー関連のサービスに代表されるように、トップシーズンとシーズンオフで料金等に違いが生まれるのもサービス財ならではの特徴ですか。
有馬 そうですね。需要変動によるタイミングの変化で、同じサービスでも異なる価格設定がなされます。高価格の設定は、高い需要に応じた価格にするという理由だけでなく、ピーク時の混雑を若干なりでも緩和させようとする意味もあります。
――ですが、繁忙期と閑散期で値段が違うからといって、受けられるサービスの質が変わることは基本的にはありませんよね。
有馬 消費者目線だと、有給休暇が取得しやすい環境になってきた昨今は、閑散期を上手に利用することでコスパのいいサービスを提供してもらえますが、かといってGWの10連休は各地が大変な混雑だったように、カレンダー上の休日にサービスを受ける層が減るわけではありません。売り手側は、繁忙期には通常よりも高いお金を取るわけですから、価格に対する納得感を伝えることが重要です。特に近年はSNSの普及で顧客が繁忙期と閑散期でリピートしてその比較を簡単にネット上へ発信できるようになっていますので、サービスを提供する側は常に同水準のサービスと顧客の納得感を提供する姿勢が求められます。
■生産効率の上昇、AI化の進行とともにサービス業も多様化
――サービス業界全体を見渡してみて、市場規模は広がっていますか?
有馬 そうですね。日本の就業者に占めるサービス産業(第3次産業)の割合は、1990年に59.9%だったのに対し、2014年は72.6%と12%以上も上昇しています。これはBtoC(Business to Consumer)企業だけのサービス業を指す数字ではないとはいえ、社会的にサービス業の割合が高くなっており、消費のサービス化が進展しているといえます。
――その背景は?
有馬 これも別連載のなかで何度か説明していますが、ノートPC、スマホ、タブレットが普及しきった今、所有に喜びを見出す「モノ消費」ではなく、経験価値を重視する「コト消費」を求める時代になったことで、それに比例してサービス業も増えているということでしょう。また、農業や工業の生産性が上がったことで、その分の人的コストが抑えられ、サービス業に人材が流れているとの見方もできます。
――ということは、もしAI化が進めば?
有馬 だいぶ先の話になりますが、農業や工業の現場でさらに無人化が進めば、その分サービス業が占める割合はますます上がるでしょう。もちろん飲食店のスタッフや宅配業者、バス、タクシーのドライバーといったもともとサービス業に分類される職種の人たちも機械に取って代わられる可能性が出てきたわけですが、その分新たに生まれる仕事は当然考えられます。それらがサービス業中心である可能性は依然として高いのです。結局、時代が進むごとに今以上にサービスは多様化していくと予想されます。
――ありがとうございました。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=武松佑季)
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