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トランプ大統領による対中関税発言
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/53113010.html
2019年05月06日 在野のアナリスト
トランプ米大統領が突如「中国の交渉は遅い。関税は25%に上がるだろう」とTweetし、世界的に波紋が広がります。今はまだブラフですが、一度でも口走ってしまえば後戻りは難しい。米朝交渉も同様ですが、トランプ政権の交渉術は1か0ではなく、+10か-100か、です。交渉に成功すると米国が得るものも大きいですが、失敗すると米国の損失は桁外れに大きくなる。強気を支持にむすびつけるため、安易な妥協もできず、かといって高めに放たれたボールは、米国にも大量の返り血を浴びせることになります。 トランプ氏はFRBに利下げを要求しますが、仮に中国製品に25%の関税をかけると、米国のインフレ率は跳ね上がるでしょう。そうなるとFRBは利下げではなく、利上げに転じないといけない。先のFOMCでFRBは利下げではなく、様子見を決めた。インフレ率の落ち着きは一時的、との認識を示し、米株や為替相場にも影響を与えましたが、インフレ率の上昇が利下げを織りこんでいた市場に大量の冷や水を浴びせるでしょう。 むしろ、中国の交渉術としては「米中交渉が上手くいく」で米株を買っておいて、上手くいかなくなったら売り浴びせればいい。そうするとトランプ政権は慌てて、対中交渉をまとめようとするでしょう。株価を成果とするトランプ政権にとって、それが痛撃だからです。今の株価は上がるから買う、買うから上がる、という循環しか働いていない。金余りで、それ以外のことが見えなくなっているのですが、急落により何十兆$が吹っ飛んだ、と報じられることがあるように、金余りの解消は一瞬です。相場が一斉に下落すると、ばらまいた金が紙くずどころか、露と消える。中国がその引き金を引くのかもしれません。 そこまでいけば死なばもろとも、となるでしょうが、交渉材料としてダウを数千$下落させるぐらいなら、世界経済へのダメージも少ない。何しろ、この環境で最高値圏にある米株は明らかに高すぎる。米中貿易協議が上手くいき、世界経済はさらに成長する、というシナリオを覆すだけで数千$の下落もストーリー的に成り立ってしまう。そしてそれはトランプ政権を痛撃するのですから、中国の対米交渉の一つの手段に、米株を操作する可能性もでてきてしまう。そして今や中国に、それだけの力があるのが問題です。 そもそも折り合いがつかない、とされる補助金ですが、米国とて5G の覇権を握るために補助金をだすとの報道もある。日本だって研究開発費に政府が金をだす。補助金は、実は世界的に行われていることであり、中国だけ規制するのはおかしな話です。その規模に関しても、何をどこまで政府主導ですすめるか? によっても変わってくるでしょう。結局、この話が折り合うことはない。それは国の政策として当たり前に行うことを規制するのですから、主権を放棄するのと同じです。それは米朝交渉でも同じで、他国なら規制もなく行えるミサイル実験を、安保理決議に違反するとして北朝鮮には禁止する。米国の示す条件を北朝鮮が受け入れれば、米国は大勝利ですが、それは北朝鮮が主権を放棄するのと同じことなのです。 果たして、今はトランプ氏もブラフでしょうし、市場が動揺すれば見直しがかかるかもしれませんが、米中協議がそう簡単に解決することはない、という認識が広がったことが、今回最も懸念される問題となるのかもしれません。市場には冷や水かもしれませんが、米中経済頼みの日本だけは、この動きによって煮え湯を飲まされることになるのかもしれませんね。 |
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