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月収180万円なのに毎月赤字！高収入夫婦を待ち受ける「老後危機」
https://diamond.jp/articles/-/200919
2019.5.6 横山光昭：家計再生コンサルタント ダイヤモンド・オンライン
将来、老後貧乏になる人は、自分が贅沢していると認識していない可能性があります Photo:PIXTA
収入は十分あるはずなのに、お金が残らない。そういうご家庭は意外と珍しくないものです。年収1000万円以上のご家庭をはじめとして、高収入な仕事に就く人たちにもたくさんいらっしゃいます。
せっかく稼いだお金です。大切に使えばもっと豊かな暮らし方ができるにもかかわらず、車や骨とう品など目の前のぜいたく品に目がくらんだり、ささいな無駄遣いがかさんだりすれば、肝心なときにお金を用意できなくなります。そういう人は、生活にかかる必需品などについても「ちょっといいもの」ではなく、「とてもいいもの」でそろえる傾向があるようです。
月収180万円で支出は220万円！
衣服はブランド物、食材は高級スーパーで購入
私が最近、もったいないお金の使い方をしている典型的な人だなと思ったのが、人気のある歯科医院を経営する歯科医のＢさん（51歳）です。毎月の収入は、180万円を超えています。これだけを聞くと、さぞかし裕福な暮らしをしていて、かつ貯蓄も十分にあって将来の不安はないだろうと思ってしまうかもしれません。ですが、実際の暮らしはそのようなものではありませんでした。
Ｂさんは、これだけ頑張って稼いでいるにもかかわらず、貯蓄が増えないことに悩んでおられました。なんと、私のもとへ相談に来られた時の貯蓄額は、たった620万円。この収入から考えれば、驚きの少なさです。
「自分は三日坊主だし、きっとお金の使い方を間違えているに違いありません。きちんとお金の使い方を見直して貯蓄を増やし、年子の子どもを大学に行かせる準備もしたいと思っています」
そんな真面目な思いを持って、奥さんと共に家計相談にいらっしゃいました。自分の三日坊主な性格をよく理解しているため、家計簿などは奥さんに頼みたいと考えて一緒にお越しになったようです。
実のところ、奥さんも自分たちの家計の状況をよくわかっていませんでした。そこでまずは1ヵ月間、面倒でも支出を記録してもらいました。食費が20万円近くかかり、洋服代や娯楽費、装飾品代、自動車維持費などもろもろで、毎月の支出は220万円前後になっていることがわかりました。しかし、当の本人には特に無駄遣いをしている意識はなく、奥さんも「こんなものだと思っている」と言わんばかりの口ぶりでした。
「ブランド志向」が強い性格のようで、子どもを含め、バッグや洋服、靴などはすべてブランドもの。食材などはいわゆる「高級スーパー」で買うため、同じものを買うにしても必然的に高くなってしまうようです。ただ、この状況が当たり前になっていること自体、大きな問題です。
Ｂさんの場合、支出は生活必需品だけではありません。学会費や研究など、仕事にかかる支出も含めると多額に上り、そのため毎月の収支は赤字になってしまうのです。しかし、周りのお宅と変わらない買い物をしているだけなのに、なぜだろう、と奥さんも首をかしげます。
「生活は華美ではなく、普通」。Ｂさんはそう感じていましたが、こうして家計簿をつけることで意外にも支出が多く、毎月赤字であることにびっくりしていました。
ところが、毎月こんなにもかかるのかと驚きつつ、家計簿は継続してつけ続けていますが、状況は変わりませんでした。
子どもの大学進学で貯蓄は200万円に
改善できなければ老後貧乏まっしぐら！
そうこうしているうちに2年ほどが経過し、上のお子さんが大学に入学。次いで翌年には下のお子さんも大学へ入学しました。2人とも私立大学に進学したため、貯蓄はわずか200万円ほどにまで減ってしまいました。
その間、自動車や仕事で使う高額なパソコンの買い替えを検討しましたが、すべて断念。自動車は10年目の車検を通すことにしたそうです。
Ｂさんが危機感を持たなくてはならないのは、家計簿を記録して支出が多いことがわかっているのにもかかわらず、改善できない日々の暮らし方です。50代になり、普通であれば定年を意識します。Ｂさんは自分で開業しているので、仕事を長く続けられる安心感があるのかもしれませんが、今のような生活を続けていれば、老後資金を作ることもできません。
やはり生活の仕方を改め、支出を減らす努力をしなくてはいけません。今までの生活習慣を変えるのは大変なことかもしれませんが、頑張らなければ老後の暮らしもままならなくなるでしょう。
私としては、継続して家計簿を見せに来てくれているうちに、行動の変化が起きることを期待しています。
Ｂさんのような「ブランド志向」の生活習慣やモノを選ぶ感覚、そして「みんなと同じにしているだけ」というメリハリのない支出が、高収入でもお金がたまらない体質を作ります。
こうなる原因は、もったいないお金の使い方です。いつまでもお金が入ってくると思わず、将来に向けて備えることが何よりも重要です。高収入の人が老後貧乏になるか否かは、今のお金の使い方にかかっているといっても過言ではないでしょう。
（家計再生コンサルタント 横山光昭）
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