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米経済に広がる「独占」が問題である理由
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190413-00026648-forbes-bus_all
Forbes JAPAN 4/13(土) 11:00配信
Denis Linine / shutterstock.com
米国はいつの間にか、独占企業の国になっていた。国内経済のうち成長を続けているのは、ほとんど競争にさらされていない一握りの企業に「占有」されている分野だ。
こうした企業には、より良い製品の提供や効率の向上への動機になるものがない─真の資本主義が根付いていれば、こうしたことは起きていないはずだ。
どの業界を見ても、米国は独占企業の国になっている。
・3社がモバイル通信市場の約80%を支配している。また、クレジットカード市場の95%は3社が占め、航空市場では4社が国内便の70%を運航。検索サービスは60%をグーグルが提供している(英誌エコノミストより)
・4社がブタの66%、肉食牛の85%、ニワトリの50%の食肉処理を行っている(2015年時点、オープン・マーケット・インスティテュートより)
・4社がトウモロコシ種子の売上高の85%、ダイズ種子の売上高の75%を占めている(米農務省より)。さらに、(農作物種子を扱う)米国企業のデュポンとモンサントは、その他のどの企業よりもはるかに大規模だ。
企業は通常、競合他社より低価格でより良い製品を提供することによって利益を増やす。これは、競合する各社のいずれかが脱落し、新たな競争相手が登場し続けるというダイナミックなプロセスだ。
経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、これを「創造的破壊」と呼んだ。厳しい表現だが、経済成長のためには不可欠なものだ。しかし、その創造的破壊は現在、起きていない。そして、企業が死を拒み、独占する者たちが向上を拒む中、緩やかな経済成長さえもが困難になっている。
非創造的な破壊
創造的破壊が起きることは、企業が廃業に追い込まれ、労働者が失業することを意味する。最終的には新たに登場した競争相手がこれらの労働者を雇用するだろが、失業に苦しむ人たちが出るということだ。
政治家らはこうした状況を何とかしようとするが、適正なバランスを見つけることは難しい。これに関して現在、主に責任を負っているのは中央銀行だ。米国の連邦準備制度だけではない、各国の中銀だ。
「安い資本」が破壊をなくした
理由は何であれ、彼らは量的緩和やゼロ(またはマイナス)金利といった短期的な景気刺激策をあまりにも長期にわたって続けてきた。その結果として市場に供給される資金が増えたことが、創造的破壊のプロセスが回避されることにつながったのだ。
米配車サービス大手のリフトやその他のユニコーン企業の新規株式公開(IPO)に関するニュースを聞いている人は多いだろう。これらがニュースになるのは、上場が珍しいことになっているからだ。
上場する企業の数は、(a)安い資本がより長期にわたって非公開企業でいることを可能にし、(b)上場ではなく、より規模が大きく業績が好調な競争相手に事業を売却することで「イグジット」する創業者やベンチャーキャピタルが増加した、という2つの理由で減少している。
競争相手にイノベーションで勝るよりも、「買う」方が簡単で安上がりな経済は、高い確率で停滞に向かっている。
筆者の友人で大抵は弱気な見方をするヘッジファンド・マネージャーのダグ・カシュは先ごろ、アマゾン・ドット・コムの株価について、数年内に3000ドル、2025年には5000ドルになるとの見解を示した。その見通しを聞いて筆者は、スケールについて考えた。どうすればアマゾンの規模と競えるというのだろうか?
それはちょうど、小規模の農家が姿を消していくのを見るようなものだ。私たちは農家のことを心配するが、市場は規模を要求する。地元産の野菜を提供する小規模の農家は生き残ることができるだろうか?もちろんできる。だが、それはニッチ市場においてだ。
世界はより少ない企業による競争と大企業に占められる方向に進んでいる。それが現実だ。私たちは、変化する世界に対応していくほかない。
John Mauldin
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