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5人に1人が就業不安、減量経営が生む低賃金労働者の膨大な「供給プール」 広く捉えれば総就業6600万人のうち42%
http://www.asyura2.com/19/hasan132/msg/106.html
投稿者 うまき 日時 2019 年 4 月 11 日 18:25:53: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

2019年4月11日 野口悠紀雄 :早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問

5人に1人が就業不安、減量経営が生む低賃金労働者の膨大な「供給プール」

零細小売業やサービス業には低賃金の就業者がおり、しかも、企業の減量経営で人員削減の対象とされている。
 これらの労働者が、他の部門に雇用され、低賃金労働の供給源になる。
 その数を推計してみると、法人企業統計がカバーしていない零細企業や個人事業も含めれば、狭く考えても1260万人だ。つまり、総就業者の5人に1人だ。
 広く考えれば、2800万人と推計される。すなわち、総就業者6600万人のうち、実に42%だ。

「減量経営企業」で解雇される人々が
低賃金労働者となる

 一般に、つぎのような人々が低賃金労働の供給源になると言われている。
 第1に高齢者。とくに、定年退職後に、低い賃金で再雇用される人々だ。
 第2に女性労働者。とくに、これまで専業主婦だった人がパート等の形態で雇用される場合。
 そして、第3が外国人労働者だ。
 本コラムでこれまで指摘したのは、このほかにもう1つの重要な低賃金労働の供給源があるということだ。
 それは、小売業、飲食サービス業などの零細企業で働いている人々だ。
 企業の経営が難しくなって減量経営を行なうため、これらの労働者が解雇されるからだ。
 経営が難しくなる原因としては、売り上げが伸びないことや原価の高騰などがある。
 ところで、このような状況は、小売業や飲食サービス業に限定されたものではない。
 では、経済全体を見た場合に、そうした条件に直面している就業者は、どの程度いるだろうか?
 この推計は、簡単な課題ではない。
 以下では、「減量経営企業」としてつぎのような2つの概念を設定し、そこに雇用されている人員の数を調べる。
 ここで、「減量経営企業」とは、これまで人員削減を行なってきたか、将来行なう可能性が強い企業である。
 第1は、狭義の減量経営企業だ。これは、売上高が停滞ないしは減少する、あるいは原価の上昇率が高い業種の零細企業である。
 第2は、広義の減量経営企業だ。これは、零細企業だ。
 「どの業種であるかにかかわりなく、規模が小さいと減量経営せざるを得なくなるので、人を削減する」と考えられるからだ。
 ただし、人員が顕著に増えている業種は除くことにする。

法人企業統計の範囲では
狭義で383万人、広義で827万人

(1)狭く捉える場合
 まず、法人企業統計がカバーしている範囲で、上で書いたような就業者数を推計する。
 最初に、狭義の減量経営企業を見る。これは、具体的には、製造業、小売業、物品賃貸業、宿泊業、飲食業における資本金が1000万円以上2000万円未満の企業だ。
 ここに就業している人員の合計は、図表1に示すように、2018年10〜12月期で、383万人だ。

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https://diamond.jp/mwimgs/2/5/-/img_25c7c78896c9d53dfdcfd15323b0029f56752.jpg

(2)広く捉える場合
 つぎに、広義の減量経営企業を見る。
 人員が顕著に増えている業種とは、具体的には、医療介護、その他のサービス業、生活関連サービス業、教育、学習支援業だ。
 そこで、これらの業種を除いた資本金1000万円以上2000万円未満の企業が広義の減量経営企業であると考えよう。
 ここに就業する人員の計は、図表2に示すように、18年10〜12月期で、827万人である。これは、狭義の場合の人員数の2倍を超える。

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https://diamond.jp/mwimgs/a/d/-/img_ad7f60a6a069c14be4b9f3b1d49850f549827.jpg

法人企業の範囲外に
就業者はどのくらいいるか?

 以上は、法人企業統計がカバーしている範囲内の企業や就業者だが、これは企業や就業者のすべてをカバーしているわけではない。法人企業でカバーしていない部分がある。
 まず、それがどの程度の規模なのかを見ておく。
 図表3に示すように、労働力調査によると、就業者の合計は6656万人だ。他方で、法人企業統計での人員計は3667万人だ。
 この差は約3000万人だ。

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https://diamond.jp/mwimgs/3/f/-/img_3fc72bef8465003bd44e62b57786154776781.jpg

 このように、法人企業統計における人員計は、労働力調査における総就業者の55%しかカバーしていていないことになる。
 図表3のB/A欄に示すように、法人企業統計のカバー率は、産業によってかなりの差がある。
 情報通信では、法人企業統計は労働力統計の99%をカバーしている。製造業では86%だ。これらの業種では、カバー率はかなり高い。
 他方で、カバー率は、建設業では62%、卸売業、小売業では76%などと低くなる。宿泊業、飲食サービス業では47%しかカバーしていない。
 労働力統計では、業種を図表3で示す以上に細かく分割できないのだが、仮にさらに分割して、「卸売業、小売業の中の小売業」や、「宿泊業、飲食サービス業の中の飲食サービス業」だけを見れば、カバー率はもっと低くなっていると思われる。

法人企業統計外での供給源
狭義で860万人、広義で2000万人

 法人企業統計でカバーされていない企業は、どのような企業か?
 これは、資本金が1000万円未満の法人企業と個人企業である。
 これらの企業は、売り上げなどの状況について、法人企業統計で見た資本金1000万円以上2000万円未満の企業と同じか、それよりもさらに厳しい状況に直面していると考えるのが、自然だ。
 ここで、法人企業統計でカバーされていない企業を、つぎの2つのグループに分けて考えることにしよう。
(A)賃金が高い業種の企業:製造業、建設業、運輸業の企業。これらの企業の就業者の合計は、図表3のA−B欄から390万人だ。
(B)賃金が低い業種の企業:農業、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、医療福祉、サービス業(他に分類されないもの)。
 これらの企業の就業者の合計は、図表3のA−B欄から1793万人だ。
 法人企業統計では、Bのうち、生活関連サービス業と医療福祉以外が、人員を減らしている業種だ。
 そして、これらの業種の企業が、上で書いた狭義の減量経営企業であり、潜在的な低賃金の供給源になっていると考えられる。
 その業種の従業員の総数は、つぎのとおりだ。
 1793万人−932万人(医療福祉+生活関連サービス業)=861万人
 まとめれば、法人企業統計でカバーされていない範囲で、減量経営企業での就業者数は、狭義で考えても、およそ860万人だ。
 広く考えれば、法人企業統計との差である約3000万人から、医療福祉と生活関連サービス業の合計約1000万人を除く、約2000万人ということになる。
 以上をまとめて概数で示すと、図表4のようになる。

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https://diamond.jp/mwimgs/8/4/-/img_84f8ac1119287a52ed348a77836bbd7832507.jpg

 全体で言えば、狭く捉えても1260万人。つまり、総就業者の19%、5人に1人の人たちが、低賃金労働の潜在的供給源になる。
 広く捉えれば、2800万人となる。すなわち、総就業者6600万人のうち42%だ。
 ここで見た低賃金労働の供給プールは、狭く捉えたとしても、普通言われる低賃金労働の供給源、すなわち冒頭で述べた、高齢者、女性、外国人と比べて、圧倒的に大きい。
 外国人労働者の増加が、賃金上昇の足を引っ張ると、しばしば指摘される。
 そうした効果があり得ることは否定できないが、賃金が上昇しない原因としてそれより重要なのは、経済全体の成長率が低いために、ここで述べたような供給源が存在することである。

業種別と規模別を考慮することで
はじめて見える問題

 ここで「減量経営企業」と呼んだ企業の就業者の賃金が非常に低いことは、よく認識されている。
 しかし、彼らは、低賃金であるだけでなく、就業状況が不安定なのである。
 企業の減量経営のために解雇される(個人事業の経営者であれば、廃業せざるを得なくなる)危険に直面しているのだ。
 そして、過去6年間を見ると、法人企業統計におけるこれらの部門の就業者は、実際に減少している。
 ただし、日本経済全体は人手不足に直面しているために、放出された労働者は、失業することはない。他の企業で雇われるのだ。
 だが、前の職場より賃金が上昇することはまずないだろう。このようにして、日本全体の平均賃金が伸び悩むこととなる。
 以上のような事実は、これまで明確には認識されてこなかった。
 こうした人々の存在は、ここで行なっているように、業種別と資本金規模別の両方を考慮することによって、初めて見えてくるものだ。
 なお、ここでは、地域別の分析は行なっていない。仮に、業種別、資本金規模別の他に地域の区分を考慮すれば、さらに詳細な現実の姿が浮かび上がるだろう。
 売り上げ不振のために現業経営を余儀なくされる企業は、大都市よりも地方部において比較的多く存在することが、おそらく分かるだろう。
(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問 野口悠紀雄)

https://diamond.jp/articles/-/199368
 

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コメント
1. 2019年4月11日 18:36:15 : OO6Zlan35k : L3FGSWVCZWxFS3c=[47] 報告

>「減量経営企業」と呼んだ企業の就業者の賃金が非常に低い
>前の職場より賃金が上昇することはまずないだろう。このようにして、日本全体の平均賃金が伸び悩む

成熟産業で、過当競争に陥れば、利益は出ず、業界内部で転職したところで

賃金も抑制されるのは当然のことだし

将来市場が縮小していくとなれば、利益を溜め込んで、投資(人件費)に回さないのも

普通の経営者であれば当然の判断

もし経営者が過剰に利益を得ていると思うなら、

自分が、その業種で起業すれば良いだけのこと

起業が怖いなら(だから経営者や政治家に文句を言うしかないのだろうが)

その一方で、賃金が上昇し続けているセクターも当然あるのだから

待遇改善を希望するなら、斜陽産業の経営者に文句を言うよりも、

自分が変わる方が、遥かに合理的だ

2. 2019年4月11日 19:10:35 : O8HL2KZeN6 : R3B5aGZLdXlFWW8=[210] 報告
選べない 安い給与の 仕事しか
3. 2019年4月13日 12:35:00 : qu3KBca8IA : YnZIcTNXbUx2NU0=[12] 報告
>>1
>もし経営者が過剰に利益を得ていると思うなら、
>自分が、その業種で起業すれば良いだけのこと

非公開の同族企業など勤務実態のない家族や親族にも給与を払ってるところあるぞ。
自分が起業すればっていうけどな、そういう世界は閉鎖的なんだよ。開放されていて自由に起業できれば他業種から参入するだろう。それをシャッタアウトしてるからやっていける。

>待遇改善を希望するなら、斜陽産業の経営者に文句を言うよりも、
>自分が変わる方が、遥かに合理的だ

自己啓発セミナーかよ。気持ち悪い。
洗脳された人間がよく言う言葉。

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