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トヨタ、月額4万円台〜“車乗り放題”は得or損?週1利用ならタイムズのほうが割安?
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27427.html
2019.04.10 文=森口将之/モビリティジャーナリスト Business Journal
トヨタの「プリウス」(「トヨタ公式サイト」より)
トヨタ自動車が昨年11月、ユーザーとクルマの新しい関係を提案するとしたサブスクリプションサービス、つまり定額利用メニュー「KINTO」の内容が2月に明らかになった。トヨタの100%子会社であるトヨタファイナンシャルサービスと住友商事グループの住友三井オートサービスの出資で同名の新会社を設立するとともに、サービス内容を発表した。
3年間で1台のトヨタ車に乗れる「KINTO ONE」と、3年間で6種類のレクサス車を乗り継ぐことができる「KINTO SELECT」の2種類のサービスがあり、いずれも支払いや登録諸費用、自動車税、任意保険、定期的なメンテナンスが含まれた月額定額サービスとなっている。販売店だけでなく、専用ウェブサイトからも申し込み可能であることも特徴だ。
気になる月々の支払額は、KINTO ONEではプリウスが4万6100〜5万5400円、アルファードが7万9000〜9万4500円など。一方のKINTO SELECTは一律18万円で、昨年デビューしたES300hやUX250hなど6車種を6カ月ごとに乗り換えできるという(いずれも税別)。
参考までに、筆者が所有する車両価格240万円、排気量1.2リッター、平均燃費リッター15kmのフランス車を年間1万km乗ると、税金や保険を含めて月額約5万円という数字になった。なので、上記の数字はさほど高いとは思わない。
いきなり200万円クラスの買い物をすることを考えれば敷居は低いし、メーカーにとっては自社の顧客であり続けてもらえるし、ほかの業界のサブスクリプション同様、双方にメリットのあるサービスといえる。
ただ、トヨタ車を対象としたKINTO ONEは期間が3年間で、既存のカーリースに近い。定額なので任意保険が高くなりがちな若い人にはお得感があるものの、シーンに合わせてクルマを乗り換えできるというイメージではない。
レクサス車を対象としたKINTO SELECTのほうが、多くの人にとって定額制をイメージしやすいのではないだろうか。では、そのメニューはお得なのか。既存の定額制サービスと比べてみた。
■カーシェアのほうが割安になるケースも
クルマのサブスクリプションサービスは、国内ではIDOM(いどむ/旧ガリバーインターナショナル)が2016年から展開している「NOREL」がパイオニア的存在である。同社は中古車の買い取り事業で有名であるが、最近は買い取った車両を販売する事業も伸びていることから、NORELでは、まずこの中古車を使った定額制メニューを提示した。
新車のサブスクリプションサービスを始めたのは昨年10月。同社がBMWやミニのディーラーを経営していることを生かし、BMWとミニの新車の乗り換え放題サービスを始めた。車格によって7万9800円から20万円(税別)までの4コースがあり、期間ではなく、走行距離が5000kmに到達したら乗り換えとなっている。
車格や価格が近いレクサスと比べると、コンパクトクロスオーバーのUXに近いBMW X1は7万9800円、ミッドサイズセダンのESに近い4シリーズ・グランクーペは15万円となっている。
一方、米国ではキャデラックやメルセデス・ベンツなどがサブスクリプションサービスを実施しており、ジョージア州アトランタでは、あのポルシェが「ポルシェパスポート」という名前で展開している。
こちらは登録費用が500ドルで、月額2000ドルと3000ドルの2つのメニューがあり、前者ではボクスターやマカンなど、後者では911やパナメーラを含めた全車種に乗れる。オフィシャルサイトによれば、月曜日はSUVのマカン、金曜日はスポーツカーの911という使い方もできるようで、自在度が高い。しかも、自宅までコンシェルジュがデリバリーしてくれるというサービスもつく。
KINTO/NORELとポルシェパスポートでは、方向性が違うことがわかるだろう。KINTOにもポルシェパスポートのようなメニューを用意してほしいところだが、まだスタートしたばかりなので今後に期待したい。
ただし、1週間に1回しかクルマに乗らないような人は定額制ではなく、従量制のカーシェアリングのほうが割安だ。この分野で我が国最大手のタイムズカープラスではBMWやミニを借りることができるプレミアムクラスがあるので、月4回、1回3時間の料金を計算すると約2万円に収まった。
このカーシェアリングも、我が国で展開が始まったのは21世紀になってから。つまり、クルマとの付き合い方の選択肢が最近になって一気に増えつつある。どのサービスが自分に合っているか、個々のユーザーの選ぶ能力も必要とされているのである。
(文=森口将之/モビリティジャーナリスト)
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