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アマゾン、出品企業に値下げ強制の実態…GAFA、巨額利益あげる日本で見合う税金納めず
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27325.html
2019.04.03 文=浜田和幸/国際政治経済学者 Business Journal
アマゾンの倉庫(「Wikipedia」より/Asacyan)
この3月、自民党の競争政策調査会は「GAFA」と呼ばれるアメリカ大手IT企業を相次いで党本部に呼び、非公開でヒアリングを行った。GAFAとはグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン4社の頭文字を組み合わせた略称である。これら巨大IT企業は国家を上回る資金力を背景に世界中から優秀な人材を集め、AI(人工知能)やビッグデータの技術を進化させ、インターネット関連のビジネスを思うがままに牛耳るまでになっている。日本の消費者も企業もGAFAのサービスへの依存度は深まる一方である。
まさに「第4次産業革命」の旗手のような存在感を発揮している。特に、過去10年間の急成長ぶりは目を見張るばかりだ。フェイスブックの売上高は7億770万ドルから560億ドルへ拡大。グーグルの場合は240億ドルから1360億ドルへ。そしてアマゾンに至っては245億ドルから2330億ドルへと爆発的な伸びを記録している。各社ともこれまで一貫して売上増を達成しており、アマゾンは世界最大の小売業であるウォルマートの時価総額を3割も上回る勢いだ。
そのアマゾンは従業員数も使用するロボット数も、また買収した企業数もマルチメディアやクラウドコンピューティングへの投資金額でも、すべてにおいて他社を圧倒している。顧客数は3億人を軽く突破してしまった。顧客の要望にこたえるため、理由のいかんを問わず、「返金スピードの速さ」でもナンバーワンの評価を得ている。
と同時に驚かされるのは、働き方であろう。アマゾンの物流センターを訪ねると、至る所に掲げられる標語に目を奪われる。「Work Hard, Have Fun, Make History」。日本で話題の「働き方改革」とは真逆の発想である。実は、創業社長のジェフ・ベゾス氏は物流センターで働いていた期間が長く、「顧客満足度を左右するカギは物流にある」との考えの持ち主。創業から20年間は物流に120億ドルもの投資を行ったという。
要は、利益よりも物流に資金をつぎ込み、顧客の利便性を追求したのである。何しろ、自社の空港まで所有するほどの力の入れようだ。こうした独自の発想と実行力で他社を寄せつけないシェアを獲得したのが、アマゾンである。言い換えれば、電子商取引の世界を物流面で支えるという前代未聞の覇権を確立したといえるだろう。
また、フェイスブックの登録利用者数は23億2000万人という。これは世界の全人口のほぼ3分の1に達する。このフェイスブックの傘下に入ったインスタグラムも負けてはおらず、2018年に10億人の大台に乗った。インスタグラムのユニークな点は、「インスタ映え」を競う20代、30代をターゲットに「ファッション・パス」と銘打った洋服やアクセサリーのレンタルビジネスを立ち上げたこと。「同じ衣装でインスタグラムに登場したくない」というユーザーの願望をとらえた新種のシェアリングビジネスといえよう。
■利益の実態は闇の中
互いに競合する部分もないわけではないが、GAFAはそれぞれの強みを活かし、大躍進を遂げているわけだ。残念ながら、今の日本企業のなかにはGAFAに匹敵するスケール感は見られない。
しかし、日本企業が彼らの軍門に完全に下ったわけではない。たとえば、アマゾンにしても、日本のネット販売の物流代行会社であるイー・ロジットと提携することで日本市場でのサービス向上を確実なものにしている。日本の得意とする「おもてなし」や「もったいない」の発想はGAFAにとっても世界市場を開拓する上で欠かせないとの認識が生まれていることは間違いなく、日本企業の出番も当然あるだろう。
では、本題に入るが、自民党がこれら「超国家企業」4社からヒアリングを実施したのは、なぜなのか。
実は、GAFAはインターネット検索や通信販売の分野で急成長を遂げ、データの囲い込みを加速させているのだが、彼らの勝利の方程式の根幹をなしている個人情報の取り扱いや取引ルールに関しては、利用者や商品出店企業(ショップ)からさまざまな懸念や問題が指摘されるようになったからである。
なかでも今、問題視されているのが「アマゾン・ポイント」にほかならない。本年5月以降、全商品に1%以上のポイントを提供することが発表されたばかりである。問題は、このポイント還元の原資はアマゾンが負担するのではなく、ショップに負担させるという点だ。ショップからすれば、ポイントを提供しても、利用者がそのポイントで自社の商品を買ってくれる保証はないわけで、アマゾンの利用者囲い込み戦略のために実質的な値下げを強制されるに等しい。その意味では、「アマゾンによる中小出店企業泣かせ」と言われても仕方がないだろう。
さらに大きく問題視されているのは「GAFAは莫大な利益を計上していながら、それに見合った税金を納めていない」という指摘である。2018年10月〜12月期決算の最終利益は4社合計で388億ドルに達する。しかし、国内に支店や工場など恒久的施設がなければ、課税されない。ネットを通じて日本の消費者に商品を売り、大きな利益を上げていながら、原則として法人税を支払うことがない。これでは楽天やヤフーなど日本企業との公正な競争が阻害されることになる。
いうまでもなく、タックスヘイブンを使った節税対策はお手の物。しかも、「GAFAがどのような方法で利益を生み出しているのか」、そのメカニズムも不透明である。利用者の同意を得たわけでもなく、一方的に集めた購買履歴や検索履歴をもとに個人向けの「ターゲット広告」を打ち、企業から広告収入を得ているようだが、その実態は闇の中。
ほかにも、金融当局の関心を集めているのは、GAFAが進めるプラットフォームを利用した顧客の特性に合わせた金融商品やサービスの提供である。すでに既存の金融機関はクラウドサービスの活用を拡大しており、基幹業務はもとより金融商品の販売にもGAFAに依存する度合いが増してきた。銀行や証券会社がGAFAに飲み込まれる日も近いかもしれない。アップルの場合は、2019年からクレジットカードのサービスを始めた。しかも、「年会費なし」だ。物流でも金融決済でも地殻変動が起きている。
■「デジタル課税」
こうした指摘を受け、日本政府は本年6月末に大阪で開催されるG20首脳会議を機会に、世界的な巨大IT企業に対する「デジタル課税」に関する国際的なルールづくりを主導する考えである。今回の自民党によるヒアリングはそれに向けての提言をまとめるためのもの。具体的には、「巨大IT企業の監視機関の創設」「中小企業に対する不公正取引の防止策」「不当な個人データ収集の適正化」が提言の柱になる見込みだ。
日本政府は経済産業省、公正取引委員会、総務省が合同で「デジタル・プラットフォーマーを巡る取引環境整備に関する検討会」を発足させており、本年6月までにGAFAの規制策を取りまとめ、わが国の成長戦略に盛り込む方針を固めている。公正取引委員会では年初から「デジタル・プラットフォーマーの実態に関する調査」を始めており、中小企業からの情報提供を求めている最中である。
要は、GAFAのような巨大企業がデータを独占し、中小企業を圧迫し、公正な競争環境を阻害している、との危機感が沸き上がっているわけだ。このままでは、ネット上の競争において、日本企業はプラットフォームを海外に握られ、すべてのビジネスがGAFA経由でなければ成り立たなくなりかねない。実に由々しい事態といえよう。
と同時に、GAFAが巨大な資金力を背景に有望な新興企業を相次いで買収し、傘下に収めていることも無視できない。たとえば、グーグルはユーチューブを、フェイスブックはインスタグラムを買収。ライバル企業を買収することで本来あるべき競争を回避し、寡占化を加速させているわけで、消費者の選択の幅を狭めていることは間違いないだろう。
とはいえ、自民党の要請に応じてヒアリングに臨んだGAFA各社の担当者は一様に疑念や批判を否定し、「意図的に独占的な対応をしているわけではない。競争相手は多い。透明性と公正性に配慮し、企業努力を続けている」と自己弁護を繰り返した模様だ。
しかし、こうした巨大企業が圧倒的に有利な立場を利用し、取引企業に対して不公正な契約を強要していることの裏付けは、枚挙にいとまがない。日本政府は独占禁止法の「優越的地位の乱用」条項を適用することで規制を図ろうとしている。加えて、独禁法を補完する方向で、「重要な取引条件には開示を義務付ける」ことや、「違反した場合の課徴金の引き上げ」も検討中である。
■日本企業はリアルデータで勝負せよ
では日本企業がGAFAとの勝負に勝つにはどうすればよいのか。日本政府が公正な競争環境を整えるのは当然のこと。とはいえ、政府が日本企業を保護するがゆえに、外国の企業を独禁法で排除するようなことになってはまずいだろう。肝心なことは日本企業の国際競争力を高めることである。
幸い、日本は世界規模で展開中の「第4次産業革命」のうねりのなかで独自の路線を追求できる立場にある。即ち、GAFAが得意とする「バーチャルデータ」の分野と対極にある「リアルデータ」の収集と蓄積で勝負をかけることが、日本のIT企業の生き残りを決することになる可能性が高いと思われる。
具体的には個人データではなく、産業データの活用を図る道である。GAFAが手をつけていない分野で日本が先行しているのは「個人の健康・医療・介護データ」や「製造工場の稼働データ」など、個人のネット売買とは異なるリアルデータである。こうした分野では日本の優位性は抜群といえよう。日本の基幹産業を形成する「自動車等の製造業」や「ヘルスケア」の分野では日本企業の持つデータはGAFAをはるかに凌駕しているからだ。日本発のプラットフォームを形成するには昨年閣議決定された「未来投資戦略」にも合致するリアルデータでの勝負に賭けるべきである。
しかし、残された時間は少ない。なぜなら、ヘルスケアのリアルデータを取得し、新たなビジネスの中心に据えようとする動きをアマゾンが始めたからだ。彼らの動きは速い。シアトルの病院と提携し、患者のデータを収集、分析し、自動診断や個別治療薬の開発に着手したという。
と同時に、注目すべきはグーグルの動きだ。一度は撤退した中国市場への再参入に舵を切ったといわれる。グーグルが狙うのは14億人という中国人のビッグデータにほかならない。中国にはGAFAと肩を並べるBATが存在する。バイドゥー、アリババ、テンセントの3社で、中国版プラットフォーマーだ。日本がまごまごしていれば、米中のプラットフォーマーによる覇権争い、あるいは合従連衡が進み、日本は瞬く間に飲み込まれてしまうことにもなりかねない。
グーグルの創業社長で今やグーグルの持ち株会社アルファベットの取締役を務めたエリック・シュミット氏の言葉が重く響く。
「AIに関していえば、2019年の時点では、アメリカはまだ優位といえるだろう。しかし、『中国製造2025』が実現する頃には、たぶん米中は肩を並べている。いや、ひょっとすると、中国に先を越されているかもしれない」
トランプ大統領もペンス副大統領も事あるごとに、中国脅威論を振りかざしている。しかし、政府の規制がどこまで功を奏するのだろうか。GAFAもBATも国家の枠を超越した存在となりつつある。彼らが手を組むことになれば、アメリカ政府も中国政府も手を出せない。そんな超国家企業の時代が迫っている。
(文=浜田和幸/国際政治経済学者)
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— biz-journal (@biz_journal) 2019年4月2日
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