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不動産バブル崩壊は本当か、マンション契約率悪化の背景を探る
https://diamond.jp/articles/-/197737
2019.3.25 長嶋 修:株式会社さくら事務所創業者・会長 ダイヤモンド・オンライン
物件価格は上がっている一方、建築コスト低減のために設備や共用部分などの質の低下が見られる昨今の新築マンション。しかし、過去のような「市場崩壊」は起こりにくい状況だ Photo:PIXTA
不動産バブルがいよいよ崩壊か――昨年12月の首都圏の新築マンション契約率の大幅悪化を受けて、業界では悲観的な声が上がった。しかし、過去の不動産バブル崩壊時と現在とでは、かなり状況が異なる。(さくら事務所会長 長嶋 修)
過去の不動産バブル崩壊時と
現在の状況は大きく異なる
今年1月、不動産市場に激震が走った。不動産経済研究所によれば、12月の首都圏新築マンション契約率が49.4%と、業界関係者の予想を大幅に下回ったためだ。契約率とは、その月に販売された住戸のうちどれだけ契約に至ったかを示すもので、70%が好不調を占うラインだ。これを受けていくつかの報道や識者のコラムなどでは「不動産バブル崩壊か?」といった論調がみられたが、実態はやや異なる。
12月に契約率が大幅に悪化したのは、発売戸数を争う数社が、年内に前倒しして新規売り出しを大幅に増大させたため。結果として住友不動産の18年発売戸数が7377戸と、5年連続でトップの座に輝いた。翌1月の契約率は67.5%に回復している。
そもそも新築マンションから不動産市場のバブル崩壊が起こることはない。1990年のバブル崩壊や2008年のリーマンショック時には、常に70〜80%の市場シェアを占めたジャスダックやマザーズ上場のマンションデベロッパーの販売が不調となり、投げ売りが始まりつつ資金繰りが悪化、多くのデベロッパーが破綻した。またこうした小粒のデベロッパーの分譲在庫は当時、より都心部から遠く、駅から遠いもので、かつ高値で用地を仕入れたものだった。
筆者は当時、マンションデベロッパー有志の勉強会を定期開催していたが、2007年末の忘年会で「残念ながらおそらくここにいる皆さんの半分は、もうすぐいなくなるでしょう」と予言したところその通りになってしまった。後に破綻したデベロッパーの在庫の中身を知っていたことと、アメリカではサブプライムローン問題が浮き彫りとなり、その余波が日本に訪れるのは確実だとみたためだ。2009年3月期には多くのデベロッパーが過去最高売上高・利益を達成したが、数ヵ月後にバタバタとつぶれていった。
翻って昨今の新築マンション市場は、約半数が三井・三菱・住友といった、いわゆる「メジャーセブン」と呼ばれる大手によるものであり、事業ポートフォリオの一部に過ぎないマンション在庫を、物件によってはもちろん一定の値引き販売には応じるものの、売れ行きが悪いからといって資金繰りのために投げ売りする状況にはない。
またその中身も「都心」「駅近・駅直結」「大規模」「タワー」といったワードに代表される、いわゆる「売れ筋物件」が主流で、必要以上に価格を下げて販売せざるを得ない質の在庫ではない。むろん販売現場によっては苦戦しているものも見受けられるが、そこから市場が崩壊するといった状況は起こりにくい。
価格上昇でも質は低下
販売戸数低迷の原因
とはいえ、かつてと比べれば発売戸数は大幅に減少。2001〜05年に8万戸台だった首都圏新築マンション発売戸数も2018年には3.7万戸と、かつての半分以下の水準となった。
2012年の民主党から自民党への政権交代以降、上昇を続けてきた新築マンション市場は、アベノミクスによる量的緩和や低金利の追い風を受け底上げされたのは間違いないが、都心、駅近といった売れ筋の、値が張るマンションの比率が高まり、「郊外」「駅遠」「小規模」といった相対的に割安なマンションの比率が低下したことも大きい。
いずれにしても2018年の平均契約率は62.1%と、好不調の目安である70%を3年連続で下回っている。リーマンショックの2008年は62.7%、バブル崩壊の1991年は58.3%だった。
売れ行きを悪化させているのには、新築マンションの「質の低下」もある。市場を定点観測している筆者から見れば、かつて3LDKといえば70m²台が当たり前だったのが、今では60m²台が主流となっている。また、キッチンなどの設備や、エントランスなどの共用部分がかつてよりチープになるといった現象が顕著だ。
自動車保有率が低下し、共働き世帯が増加し続けるなかで、居住快適性や空間の広さより圧倒的に「都心までの距離」「駅からの距離」といった利便性、つまり「時間」が重要視される昨今、首都圏平均で5871万円、都区部に至っては7142万円(不動産掲示研究所)と、価格水準は確実に上がっている。グロス(物件総額)は上がっているのに、建設コストを低減させるために質を落とすといった状況も、売れ行き悪化の一因ではないかと筆者は考えている。
加えてブレグジットや日中貿易戦争など、世界の政治経済には不透明感が漂う。夏には参議院議員選挙、10月には消費増税が控えるなどイベントが盛りだくさんだが、新築マンション購入で住宅ローンを利用する場合には、引き渡し時の金利が適用される。大規模マンションやタワーマンションなどは契約から引き渡しまで2年以上かかるといったことも珍しくないが、数年先の金利動向を予想するのは困難であることも、購入をためらう一因となっているのだろう。
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