http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/657.html
Tweet |
大東建託の闇…家主を不幸に落とす強引営業の手口、契約解除めぐり消費者団体が是正申入れ
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27193.html
2019.03.24 文=兜森衛 Business Journal
大東建託が本社を置く品川イーストワンタワー(「Wikipedia」より/江戸村のとくぞう)
賃貸住宅大手の大東建託のアパートの建築請負契約をめぐり、特定適格消費者団体「消費者機構日本」が先月27日、解約時に申込金等の返金を受けられないトラブルが起きているとして、実態を把握するため同様のトラブルを抱える人に情報提供を呼びかけたのだ。同機構に話を聞いた。
「申込金というのは、最初に申込書を提出する際に必要になる30万円です。実際に建築請負契約をするまでの予約時に支払うお金です。契約を結ぶ前に解約した場合には、返金されない定めになっていましたが、私どもが申入れを行った結果、基本的には全額返金、地盤調査等を行った場合にはその金額を控除して返金すると約款が改善されました。
また、建築請負契約をする際には一定の金額を契約時金として支払うのですが、これも契約解除の際に契約時金に加えて損害を賠償するという定めになっていました。損害賠償金に加えて契約時金も戻ってこないという定めです。これも、私どもが不当だと申し入れて改善されました。
申込金に関しては2018年5月8日以降、契約時金に関しては同年4月1日以降に改善されました。それ以前に契約を解除して返金されていない人への返還を要請したのですが、それについては返還しないという回答でした。理由は消費者契約法は適用されないからということでした」
04年に設立された消費者機構日本は、全国に19ある内閣総理大臣が認定した適格消費者団体のひとつ。07年6月に施行された改正消費者契約法の団体訴訟制度により、消費者の利益を擁護するため、「不当な勧誘」「不当な契約条項」「不当な表示」などの差止請求権を認められている。また、16年10月から導入された新制度により、内閣総理大臣が認定した特定適格消費者団体は、金銭面の被害回復を求めて集団訴訟を起こすことができる。消費者機構日本は、消費者支援機構関西及び埼玉消費者被害をなくす会と並ぶ3つしかない特定適格消費者団体のひとつだ。
『大東建託の内幕 アパート経営商法≠フ闇を追う』(三宅勝久/同時代社)
昨年6月に『大東建託の内幕』(同時代社)を上梓したジャーナリストの三宅勝久氏に、詳しい話を聞いた。
■クレーム続出の背景
「大東建託と契約する前には、まず申込金として手付けの30万円を支払います。さらに、請負契約を結ぶと、契約時金として通常工事代金の2%、1億円なら200万円を、先に払った注文金30万円を差し引いて支払うことになっています。契約が解約になるのは銀行の融資が通らない場合などです。同業他社は融資が通る見通しを立ててから契約するのが一般的ですが、大東建託の場合は先の見通しがなくても、とにかく業績を上げるために、銀行融資より先に契約を取ってしまうのです。
そのため、契約は取ったものの、融資が付かなくて最終的に解約になるケースが発生します。その場合には、注文金30万円はまず返しません。契約時金も地盤調査などに使ったなどという理由で返さなかったり、わずかしか返金しないことがよくあります。それでクレームが相次いでいるのだと思います。
この手のトラブルが増えたのは、スルガ銀行のかぼちゃの馬車事件でサブリース商法(一括借り上げ家賃保証)に批判が高まり、銀行融資が厳しくなったのが一因だと思います。また、アパートが供給過剰になってしまい、契約をしたもののずっと融資が付かないまま塩漬けになっているケースが相当数あるようです。それらを解約すると、契約高が売上に計上されているので業績が下がる。それを嫌がって、絶対解約に応じるなと現場に圧力をかけて、塩漬けの契約をどんどん先送りしてきたと聞いています」
大東建託広報部に話を聞くと、以下のようなコメントが返ってきた。
「約款の変更は18年からですが、それまでも、合意解約についてはオーナー様に返金しております。確かに約款には返金しないとの記載がありましたが、それはオーナー様の都合でキャンセルになった場合です。融資が不調に終わるなどお客様の要因でないキャンセルについては、諸経費を差し引いた申込金、契約時金をお返しする対応をずっとしてきております。最近はアパートローンに対する銀行の審査が厳しくなっているのは事実ですので、そういうケースが増えているのは確かでございます。
基本的には契約をしないと金額が確定しないため、実際に融資を申し込むのは契約後となります。ただし、当然ながらある程度の試算ができておりますので、金融機関に事前の打診をして、融資の可能性を確認してから契約しております。しかし、基本的にはお客様からの情報を基に打診をするので、実際の融資申し込みの際に、別の借り入れがあったりして、融資が下りないというかたちで契約が不調に陥ることもございます。融資が不調に終わった場合でも、不必要な引き延ばし等はしていないと思っております」
■一方的に管理契約を解約できる取り決め
大東建託といえば、強引な営業手法が有名だが、それが契約解除の増加とどう関係しているのだろうか。
「大東建託では半年とか1年とかの一定期間内に契約を取れない長期無実績の営業マンには、あるエリアを1軒ずつ回る飛び込み営業を延々とやらせます。携帯電話のGPSで居場所を見張らせるなどして、ノイローゼで自殺した社員もいます。長期無実績になると、給料も下げられて、休みも取れずにきつくなって辞めていく。逆に契約を取って着工中の物件が完成すればインセンティブが入る仕組みです。
しかし、完成するまでの間も新規の契約を取り続けないといけません。新規の顧客を開拓するのは簡単ではないので、過去に建てた実績のあるオーナーに2棟目、3棟目を建てさせます。リピート客と呼ばれます。それでも業績が足りなければ、なかには架空契約をする社員が出てきます。最初から無理だとわかっていながら地主に頼み込んで形だけの契約を取るのです。契約さえ取れば当面のノルマは達成し、会社にいることができます。申込金の30万円を社員が立て替えることがよくあります。形だけの契約なのに、上司が解約を嫌がり『地主を説得して建てさせろ』などと言いだしてトラブルになるケースも珍しくありません。
架空契約も、契約から半年ほどすると『保留』と呼ばれる塩漬け状態となり、解約しなければならなくなります。しかし解約すると業績が落ちるので、契約内容を変更して解約を先延ばしにすることがよくあります。そうやって無理をして業績を維持してきたものの、もはやどうやっても解約せざるを得ない事態がここ何年間で相当増えてきているのだと思います」(三宅氏)
レオパレス事件では建物の欠陥に加えて、家賃の引き下げをめぐるトラブルが頻発したが、大東建託でも同様の事案はないのだろうか。
「家賃に関しては30〜35年間の一括借り上げで、『10年間家賃は変わりませんよ』『空き部屋があっても保証しますよ』『銀行のローンも安心ですよ』というのが大東建託の売り文句です。でも、10年過ぎればほぼ例外なく家賃は下がります。事業試算書というシミュレーションを書いてオーナーに説明するんですが、『家賃がここから下がりますよ』ということは言わない。『返済が終わったら家賃が全額収入になりますよ、だから大丈夫ですよ』と言うので、みんな契約するわけです。
しかし事業試算書の下には、小さく『家賃をはじめとする各種収益・費用等の金額は、現在の賃料相場、税制に基づき試算したものであり、その金額を継続保証するものではありません』と書いてある。10年過ぎて突然家賃を下げられたときに、オーナーはやっとこの注意書きに気づくわけです。
一括借り上げ契約は大東建託の子会社である大東建託パートナーズと締結しますが、契約書の中に、10年を過ぎると大家と大東建託パートナーズが協議の上で家賃の見直しができるという条項があります。協議が成立しない場合は大東建託側が一方的に管理契約を解約できるようになっていて、それが一番の問題です。
建前上はオーナーと大東建託子会社が対等の立場で契約を結んでいます。しかし気に入らなければ一方的に破棄できるのですから、大東建託が圧倒的に有利な契約です。大東建託は大企業ですが、法律上はアパートの入居者と同じなんです。だから『家賃がこんなに高いなら出て行くよ』という話になるんです。大家はそれをされると困るので、言いなりになるしかない。だいたい10年過ぎるとトラブルが起きます」(三宅氏)
■家主による訴訟も続出
レオパレスで施工不良が問題になったが、大東建託の物件でも同様の事例はあるのだろうか。
「レオパレスで問題になったのは天井や屋根裏の界壁ですが、大東建託は屋根の施工に問題があるのか、雨漏りする物件がたくさんあった。屋根を葺く際に、鉄板を打つ釘が短かかったため強風時に屋根ごと飛んだこともあると聞いています。雨漏りなどのトラブルが起きると大東建託パートナーズに苦情が入り、同社の社員が対応します。経費を抑えるために社員自身が修理することが多いようです。その程度では直らないときは業者に依頼しますが、オーナーが費用を負担しなければなりません。
修理費用をめぐってオーナーと会社の板挟みになった社員がうつ病になってしまい、会社の働かせ方に原因があるとして労災が認められたケースがあります。施工に問題があることはよく知られていますが、それでも東証一部上場企業でテレビCMを派手にやっているせいか、年配の方は営業社員の話をすぐに信用してしまうようです。
サブリースという業態は、建築と融資、その後の管理の問題がセットですが、これを包括して監督する制度が事実上ありません。建築に関しては国土交通省の管轄ですが、借り上げに関しては監督官庁がない状態です。国が監督する制度をきちんとつくるべきです。新聞やテレビも警鐘を鳴らさないといけないのに、多額の広告費をもらう立場なので報じられない。NHKがサブリースの問題を以前やりましたが、そのときも社名は出ませんでしたからね。最近になって朝日新聞が少しやりましたが、それも一時的です。
家主が大東建託を訴えている訴訟がいくつも起きていますが、家主側はなかなか苦戦しています。裁判所は、家主は消費者ではないと判断しがちだからです。コンビニエンスストア本部とフランチャイズ加盟店オーナーの関係に似ています。圧倒的にオーナーが弱い立場ですが、契約上は本部とオーナーは対等な関係なので、お互いが納得して契約しているものだと見られてしまうからです」(三宅氏)
今回は消費者団体が動いているが、どのような場合に家主が消費者に当たるのかどうかは、今後慎重に検討されることになる。
「当機構では一定数の苦情・相談が確認できたので、裁判外の申し入れをして不返還条項の差止を求め、その点は改善されたということです。今は契約解除に伴う申込金や契約時金の返還について、新たな情報の提供を募っているところです。今後については、現時点で予断を持ってどうこうとは言えません。当機構が活用できる制度は、消費者と事業者間の契約にしか適用されませんので、情報提供の内容や数だけではなく、契約者の消費者性をどのように考えるかといった、検討すべき重要な事項があります。」(消費者機構日本)
■銀行の責任
大東建託でアパートを建てて、ローンを無事に完済して、悠々自適の生活をしているオーナーは果たしてどれくらいいるのだろうか。
「ふつう家主はローン完済前に亡くなり、子どもがアパート経営と借金を相続します。建物が古くなると修繕が必要になり、またお金がかかります。家賃を下げられて収入が減り、銀行融資の返済も苦しくなって、ついには返済不能になってしまった二代目のオーナーを何人も見てきました。成功した例がどれほどあるのかはわかりません。
私は本当に悪いのは銀行だと思っています。銀行は低金利の中で貸出先がなく、そこで見つけたのがこのアパートローンだった。土地を持っていればほいほい金を貸して、大東建託はずいぶんと儲けたわけです。だけど、そのアパートが30年〜35年間ちゃんと家賃が入って借金を返済できる見通しをもって融資した例がどれほどあるのかというと、疑問です。いま、スルガ銀行の問題が起きてアパートローンの問題が表面化した。この期に及んで金融庁がようやく調べ始めて、銀行は融資に慎重になった。あまりにも遅すぎます。
こうした動きに伴って、大東建託では契約したけど融資がつくメドのないものがどんどん解約されているということです。融資は後回しにして、ひたすら契約を取るよう社員を追い詰めて業績を伸ばしてきたのですが、もう限界です。解約が増えれば過去に積み上げた売上が減っていくわけで、それがもう始まっているということです。大東建託のアパート建築の売り上げ額は今後かなり落ちるのではないでしょうか」(三宅氏)
大東建託の業績は一見すると絶好調だ。昨年は過去最高益を更新し、19年3月期決算見込みも増収増益を予想する。しかし、今年1月30日に行われた19年3月期第3四半期決算説明会で、同社の熊切直美社長の口からキャンセル率についてこんな説明があった。
「受注単価につきましては、前年対比で598万円増の1億546万円になりました。約6%増ということで、1億円の大台に乗りました。半面、融資の審査の厳格化を含め、キャンセル率が大幅に上昇しております。18年12月末現在のキャンセル率が22.2%で、(前年度対比で)3.9ポイント増加している状況でございます。これについては、今後の継続的な課題となります」
直近3年のキャンセル率の推移は17.4%→18.3%→22.2%。熊切社長の退任もすでに決まっているが、新体制でもこれまで通りの数字を出せるのか。
(文=兜森衛)
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。