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巨額減損のみずほが必死で消し去る「旧経営陣色」(週刊ダイヤモンド)
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/576.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 3 月 19 日 12:00:55: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

巨額減損のみずほが必死で消し去る「旧経営陣色」
https://diamond.jp/articles/-/197227
2019.3.19 週刊ダイヤモンド編集部  田上貴大:記者  


3月6日、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)が、業績修正の理由を報道陣に語った


銀行業界に波紋を広げたみずほフィナンシャルグループによる巨額減損の発表。その思惑をめぐってさまざまな見方が交錯する中、5日後に発表された役員人事には、就任2年目を迎える坂井辰史社長が、佐藤康博前社長(現会長)ら旧体制の色を必死に消そうとする思いがにじみ出ていた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 田上貴大)

「旧経営陣の判断の遅れなのか」――。3月6日、当初予想から9割減という業績の大幅な下方修正を発表したみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長に、記者会見で報道陣からこんな質問が飛んだ。

「過去の経営陣が課題として認識していたものを、今の私たちの管理手法の進捗に応じて、適切な時期に前倒しで処理したのが今回(の下方修正)だと思っている」。坂井社長はそう応じたが、言葉の端々に旧経営陣が課題を先送りし、負の遺産をいたずらに背負わされたとの思いがにじみ出ていた。

 それもそのはず。2019年3月期において、約6800億円にも上る減損処理を実行する予定で、そのうち約4600億円と大部分を占めるのは、坂井社長の上の世代が進めてきた次期勘定系システムを含むソフトウエア関連の費用だからだ。

 そもそも、みずほは02年と11年の2回にわたりシステム障害という大失態を演じ、旧行による激しい派閥争いを経る中で、12年からようやく次期システムの開発に着手している。

 度重なる開発の遅れを取り返し、昨年からは銀行の中枢機能をつかさどる基幹システムの移行に着手。一連の投資額は4000億円台半ばとされる。

 みずほは今回の巨額減損について、社内の会計基準を見直したことで、一連の投資に掛かる減価償却費の大半を前倒しで処理するためと説明しているが、本来であれば「佐藤康博前社長(現会長)の時代に処理をすべきだった」(業界関係者)はずの事柄だ。

 しかし、堅調な事業成長を重視する金融機関にとって、償却費用の一括処理は“荒療治”そのもの。それ故「佐藤前社長は一括処理を決断できず、段階的な償却を選んだ」(別の関係者)という。

 一方、ただでさえ三菱UFJGや三井住友FGに収益力で大きく引き離されている状況で、次期システムをめぐって800億円規模の費用が毎年掛かり、「償却負担が首を絞める」(みずほ中堅幹部)という事態は、何としても避けたかったはずだ。

「(損失の)一括処理がベストの選択だと確信している」。そう言い切った坂井社長の姿は、来期以降の反転攻勢を明確にし、さらに自らの業績連動賞与をカットするという身銭を切るかたちで、「負の遺産」の処理に踏み込んでみせたように映る。

55年組の退場で
年功序列の逆転を解消


 そうした坂井社長の思いは、11日に発表した役員人事にも色濃く表れている。

 昨年、佐藤氏(1976年入行)から坂井氏(84年入行)へと大幅な若返りを図ったことで、グループトップと中核ポストの年次逆転が生じていたが、その刷新に踏み切ったからだ。

 昨年、2人の副社長をFGから子会社の首脳ポストへスライドさせていたが、これに続き、今年はリテール部門の司令塔である岡部俊胤副社長と、次期システムの開発に深く関わってきた安部大作副社長の2人を、名誉職に近い副会長ポストに追いやっている。

 さらに、執行役専務では本橋克宣氏が退任。いずれも80(昭和55)年入行の実力者だが、次の4月に代表取締役に昇格する加藤純一執行役専務を除き、この「55年入行組」の旧体制派を、あらかた一掃したかたちだ。

 前述の副社長2人の後任は、新たに執行役専務に就く大塚雅広氏と石井哲氏という86年入行世代。特に石井氏は、佐藤前社長が掲げた人事改革に尽力した実力者で、社内外でも「表舞台に出てきた」(関係者)と注目を浴びる。

 坂井体制で起きた変化はほかにもある。それは、みずほ総合研究所やみずほ情報総研など、グループにおいてリサーチ業務やコンサルティング業務を担当する子会社のトップ人事だ。

 直前まで、子会社の社長ポストは、FGの有力ポストに就いた人物の“再就職先”という面が強かったが、ここを今回、みずほFGの役員が兼任するという形式を取ることで、「現役化」(みずほ幹部)を進めているのだ。

 このことからも、旧体制色が強い人材に代えて新しい血を入れようという、坂井体制の思惑が感じ取れる。

 かくして、次期システムと経営体制という両面で負の遺産処理に乗り出したみずほ。「手間がかかるほどかわいいというが、あの銀行だけは本当に心配」という不安の声が、霞が関からは聞こえてくる。マイナス金利やフィンテックの進展によって業界の収益構造が大きく変わる中、なおも続けてきた内向きの改革に終止符を打つことができるか。坂井社長の手腕がまさに問われる。









 

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