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(回答先: 日銀、薄氷の景気判断維持 鍵握る年後半回復シナリオ 株式市場が急回復した理由と今後のシナリオ 投稿者 うまき 日時 2019 年 3 月 16 日 00:12:10)
為替フォーラム2019年3月15日 / 09:56 / 5時間前更新
地銀の「時限爆弾」、新リスク規制は再編促すか
大槻奈那 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト
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[東京 15日] - 昨年末、銀行に動揺が走った。一部の株や債券の価格が1週間で10%近く暴落する中、いくつかの銀行で、含み損のレベルがあらかじめ決まっていた「アラームポイント」に抵触したためだ。
問題はそこからだ。通常、このポイントにひっかかると、含み損の出ている証券を注視し、さらに損失が広がった場合、「ストップロス・ルール」により損切りをしなければならない。2003年に起きた「VaR(バリュー・アット・リスク)ショック」と呼ばれる債券相場の急落以来、多くの銀行でこうしたルールを厳格化している。
ところが今回、一部の銀行はアラームポイントや、ストップロス・ルールの執行を一時停止し、ポジションをキープしてしまった。久々のボラティリティー上昇に、なかなか踏ん切りがつかなかったようだ。
この結果、大手地銀7行の12月末時点の外債等の含み損益(評価損益の「その他有価証券」で「その他」に記載される項目)は、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)(8354.T) 以外の全行で悪化、コンコルディアFG(7186.T)と山口FG(8418.T)の含み損(山口は単体合算)は、9月末時点からそれぞれ3倍と2.4倍に拡大した。
その後、市場は若干持ち直したものの、ピークからはまだ遠い。この3月末には損切りを迫られる銀行が続出しそうだ。みずほFG(8411.T)が6日発表した「外国証券の含み損処理等」による1800億円の有価証券売却損もその一環とみられる。
本来アラームポイントやストップロスのルールは、リスク拡大を避けるために設けられたもので、安易に緩和すべきではない。今回は、結果オーライだったが、今後はこのような牧歌的な管理手法は通用しにくくなるとみられている。
<新たな金融規制「IRRBB」で何が変わるか>
金融庁は今月末より、地方銀行など国内のみで業務を展開する金融機関を対象に、国債や外債、預金、貸出などの金利リスクについて、「銀行勘定の金利リスク(IRRBB)」と呼ばれる新たな金利リスク規制を導入する。
銀行は、そもそも預かった資金を運用し、さや抜きでもうけるのが基本だ。短期預金をあまりに長期の貸し出しや有価証券で運用してしまうと、急に預金が引き出された時に手元資金が足りなくなってしまう。
このため銀行は、金利リスクテークをほどほどに抑えるよう、規制されている。かつて金利リスクといえば債券リスクに限った話だったが、08年のリーマンショック後、管理の範囲が貸し出しなど、「銀行勘定」の資産・負債全体に及ぶようになった。
この厳格なルールは昨年3月、まず大手行などの国際基準行に適用され、今年3月末から国内基準行にも適用範囲が拡大される。
具体的には、2つの点が大きく変更される。
第1に、リスクの測定方法が厳しくなる。これまで金融庁は、過去5年間の実際の金利変動からリスク量を計算することを容認していた。 ここ5年といえば、「毎日、金利が動かないことを確認するのが唯一の業務」などと円債関係者が揶揄(やゆ)されるような静かな市場だった。そのため、そこから計測されるリスク量は極めて限定的だった。
ところがルール改正後は、円建ての場合は金利が上下1%幅、ドル建ての場合は上下2%幅で変動した場合、どれだけの損失が出るかを算出しなければならない。この変動幅は通貨ごとに異なり、例えば、南アフリカランドであれば、4%の変動幅でリスクを計算する。
日本国債の金利が1%動くなどという仮定は、夢のまた夢のような気もするが、自己資本の十分性を保守的にチェックしようというのが、この改正の趣旨だ。
このように計算された「まさか」の時の損失が、自己資本の15─20%を上回った場合、金融庁が状況を分析した上で、金融機関と「深度のある対話」を行い、対応策を求める。さらに、改善策を履行しているかどうかを、同庁がフォローアップする。こうした改善に至るプロセスの明確化が変更の2点目だ。
現在でも、金融機関が過度な金利リスクを負った場合、当局が相応の対応を促すことは可能だ。しかし実際には、リスク量が小さく出るため、それに抵触する金融機関は、ほとんどなかった。新たなルールでは、潜在的なリスクが浮き彫りになり、高いリスクを抱える金融機関に対して、抜本的な改善策を促す仕組みが確立する。
なお、この規制議論の過程では、金利リスク量が規定を上回った場合、即刻是正を強制すべきとする強硬意見もあった。しかし、これは国債のボラティリティーを高めかねないとの配慮から却下され、資本賦課(ふか)を求めない「第2の柱(Pillar 2)」と呼ばれる緩やかな枠組みに落ち着いた。また、現在ゼロとされている先進国の国債のクレジットリスクを引き上げるべきかどうかという点も並行して議論されていたが、あまりにセンシティブであるため、一旦棚上げされた。
<地域金融機関の金利リスクは>
18年3月にIRRBBが先行して導入された国際基準行の場合、金利リスク量は問題のない水準だった。メガバンクの中で最もリスク比率が高かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)(8306.T) でも同年3月末時点で10.6%、それ以外の大手行も4─10%程度と、国際基準行の上限である15%を余裕でクリアした。
では、地域金融機関ではどうか。これらの銀行では、金利リスク量の上限が20%と、国際基準行よりは甘い。
だが、日銀が昨年10月に公表した金融システムレポートによれば、地銀や信金の自己資本に対する平均金利リスク比率は円貨だけで30%を超える。
実際には、コア預金などさまざまな計測方法の違いで、これよりは小さくなるとみられるものの、円貨のほかに外貨の金利リスクもある。日銀は、これが大手行、地銀ともに約5%程度と試算。中には、もっと高い金融機関もあるとみられ、IRRBB規制は大手行ほど影響がないとは一概に言い切れない。
<厳しい状況に陥る地域金融機関は>
仮に、規定の上限をオーバーした場合、どの程度ポジションを圧縮しなければならなくなるのだろうか。
3月15日、銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだが、この点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている、とマネックス証券の大槻奈那氏は説く。都内で2016年撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)
現在、地銀の金利リスク量は、貸出と債券投資で、2対1程度の割合になっている。単純計算では、自己資本の30%を超える金利リスクを負った地域金融機関が、同比率を20%以下に圧縮するには、全ての保有債券を売却する必要に迫られる。
地銀が保有する国内債券の総額は、2018年9月末で60兆円程度となっている。さほど大きくはないが、地元企業の私募債などがこれ以上引き受けにくくなるというだけでも、局地的に大きなインパクトを与える可能性がある。
では、どんな地域金融機関が厳しい状況に陥りやすいのだろうか。IRRBBとは異なる算出方法ではあるが、現在でもショック時の金利リスク量は年次ベースで開示されている。新庄信用金庫や高知信用金庫など一部の信用金庫で18年3月末の自己資本に対する比率が17─30%に達するなど、相対的に高い水準にある。
地銀でも、同3月末で10%前後の銀行が散見される。
これら金融機関の共通点としては、預証率が高く、有価証券利回りが高いなどの点がある。特に、地方の信金については、地元に有力な貸し出しが少ない場合などは有価証券の運用にプレッシャーがかかっている可能性が高いとみられる。
銀行が保有している有価証券の平均利回りは、かつて購入した高金利の債券が満期を迎えるにつれ、じわじわと低下している。欧米でも金融政策の正常化を停止している状況下では、日銀の緩和政策にも出口は見えないだろう。
だが、この2、3年間、新たな収益源として狙いを定めた投融資先は、さまざまな理由から、ことごとく下火になっている。エネルギー向けのプロジェクトファイナンス、クレジットカードローン、投資用マンション融資、そして外債などがその例だ。
銀行に残された収益の防衛手段は、経費構造の抜本的見直しだ。その点、地域金融機関は大手行から大きく遅れをとっている。
最大の施策はやはり業界再編であろう。マイナス金利導入から4年目を迎える来年度は、いよいよ地域金融機関の再編が活発化すると予想する。
*本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
*大槻奈那氏は、マネックス証券の執行役員チーフ・アナリスト兼マネックスユニバーシティ長。東京大学卒業。ロンドン・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)取得後、スタンダード&プアーズ、メリルリンチ日本証券などでアナリスト業務に従事。2016年1月より現職。名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学客員教授、クレディセゾン社外取締役、東京海上ホールディングス社外監査役を兼務。財政制度審議会財政制度分科会委員、東京都公金管理アドバイザリー会議委員などを務める。
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編集:下郡美紀
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-nana-otsuki-idJPKCN1QV0UT
ビジネス2019年3月15日 / 18:47 / 5時間前更新
日銀、生産・輸出を下方修正 総裁「景気拡大メカニズムは変化なし」
Reuters Staff
2 分で読む
[東京 15日 ロイター] - 日銀は、14─15日に開いた金融政策決定会合で、現行の金融政策維持を決めた。生産や輸出、海外経済の判断を下方修正するなど、海外経済を起点とした不透明感は高まっているが、黒田東彦総裁は「景気拡大の基本メカニズムに変化は生じていない」と述べ、現行の金融緩和政策を継続することで物価安定目標2%達成を目指す姿勢を改めて示した。
日銀は、生産や輸出、海外経済の判断を下方修正したが、総括判断の下方修正には踏み込まなかった。
景気の総括判断は「緩やかに拡大」を据え置きつつ、「輸出・生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの」という文言を付け加え、足元の弱さを表した。先行きについても「緩やかな拡大を続けるとみられる」との見通しを維持しながら「当面、海外経済の減速の影響を受けるものの」との文言を加えた。
総括判断を維持したのは、日銀内で、先行きを「もう少し見極めたい」という声が強いためだ。現状で景気が減速しているのは中国や欧州だが、「中国は大規模な景気対策がすでに決定し、実行されつつあり、どんどん減速していく状況にはない」(黒田総裁)という認識にあるほか、排ガス規制など欧州の一時的要因の剥落、ITサイクルの回復などにより、年後半に回復するという見方を基本としている。こうした見方に沿って推移すれば、生産や輸出の落ち込みも一時的なもので終わり、足元堅調な内需に悪影響を及ぼすこともない。海外経済がどんどん減速し、内需にも波及することの「リスクはあるが、メインシナリオとして予想されるものではない」と黒田総裁は述べている。
中国など海外経済の悪化が企業マインドに悪影響を及ぼすかは、4月に発表される「企業短期経済観測調査」(日銀短観)も重要な点検材料となる。
個別項目では、1月の生産や輸出が落ち込んだことを受けて、生産については「足元では弱めの動きとなっているが、緩やかな増加基調にある」、輸出については「足元では弱めの動きとなっている」とし、それぞれ「増加基調」としていた判断を引き下げた。また、海外経済についても「総じてみれば着実な成長」から「減速の動きが見られるが、総じてみれば緩やかに成長している」に下方修正した。
こうした判断を受けて、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を賛成多数で決定した。反対したのは、原田泰審議委員と片岡剛士審議委員。片岡委員は「先行きの経済・物価情勢に対する不確実性がさらに強まる中」と従来以上に強く警戒感を示した上で「金融緩和を強化することが望ましい」との考えを示した。
麻生太郎財務相は、2%の物価安定目標について「少し柔軟にやってもおかしくない」などと述べているが、総裁は「2%目標は日銀政策委員会が自ら決定したもの。物価安定という日銀の使命を果たすためには、これを実現していくことが必要」と述べ、達成に向けて強い決意を示した。
また、2%の物価目標をできるだけ早期に達成するという方針についても「これを変更する必要があるとか変更が好ましいとは思っていない」との考えを示し「現在の政策委員会のメンバーも同じ意見だと思っている」とした。
総裁は、2%の物価目標に向けた「モメンタムは維持されている」と繰り返したが、目標達成には「なお時間を要する」という状況が続いている。
清水律子
https://jp.reuters.com/article/boj-mpc-idJPKCN1QW1A3
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