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上海「3大日本人村」も消滅、日本企業は中国でサバイバルできるのか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/425.html
投稿者 赤かぶ 日時 2019 年 3 月 08 日 09:29:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

上海「3大日本人村」も消滅、日本企業は中国でサバイバルできるのか
https://diamond.jp/articles/-/196089
2019.3.8 姫田小夏:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン


「東櫻花苑」は、躯体のみを残して再建築のさなか売り出されていた。看板の「售楼処」とは「販売センター」の意 Photo by Konatsu Himeda


約4000人規模の“日本人村”が消えた

 むかしむかし、中国の上海に3つの“日本人村”がありました――。

 といっても、1930年代の租界の話ではない。それは、対中投資が旺盛な2000年代、日系デベロッパーが開発した3つの駐在家族向けマンションの話だ。2000年代初頭から、日本企業の対中投資が第3次ブームを迎える中で、この3物件は日本人駐在員たちの生活の舞台となった。

 虹橋空港の近くで大東建託が開発した「上海ガーデンプラザ」(約564戸、一部一戸建てあり)、松下電工が開発した浦東エリアの「東櫻花苑」(482戸)、フジタが開発した虹橋開発区の「虹橋公寓」(272戸)がそれだ。これらは当時、日本語対応や日本人学校へのシャトルバス運行などの「日式管理サービス」を提供し、駐在員向け住宅の“御三家”として一世を風靡した。

 もちろん、それ以外にも日本人が集まる物件は市内に点在していたが、その人気とサービスは“御三家”にはかなわなかった。この3物件を合わせると実に1318戸、1世帯あたり3人家族として計算しても約4000人の日本人が生活をしていたことになる。

 当時、世界一のホットスポットといわれた上海で、領事館に在留届を提出する日本人は増加の一途をたどった。2007年10月、上海の在留邦人総数は4万7794人、そのうち3ヵ月以上の長期滞在者数(永住者を除く)は4万7731人を数え、都市別ではニューヨークとロサンゼルスを抜いて1位となった。在留を届けていない日本人も含めれば、「上海には日本人が10万人はいるだろう」といわれたほどだった。
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 だが、状況はガラリと変わっていった。「上海ガーデンプラザ」は2007年に米ゴールドマン・サックスに売却され、その後2010年に上海復地集団が購入。現在は、中国人富裕層向けの超高級物件として完全に建て替えられていた。

 ビジネスコミックの“有名人”である島耕作氏も上海赴任時代に住んだと設定される「東櫻花苑」は、2016年に中国資本に売却され日本人居住者が退去させられた。その現場にはすでに当時の面影はなく、クラブハウスは取り壊され、躯体のみを残したツインタワーはリノベーション工事が急ピッチで進行し、高級マンションとしての販売も始まっていた。

「虹橋公寓」は、契約満了を迎えた世帯から立ち退かせていく形で、2016年に全入居者を退去させ、中国・韓国資本に1棟売りされた。2018年は買い手となった中国資本の阜興集団が債務危機に陥ったという話もあり、プロジェクトが滞った時期もあったようだが、現場では静かにリノベーションが行われていた。

 その後、上海の在留邦人総数は2012年10月の5万7458人をピークに減り始め、2016年同月は4万3455人と2007年当時を割り込んだ。その上海で、1300世帯を集めた“三大日本人村”は消滅していた。「兵(つわもの)どもが夢の跡」――とはまさにこのことだった。


築20年の「虹橋公寓」は全居室の窓枠が外され、一棟まるごと、内部リノベーションが進められていた Photo by K.H.

対中投資は増えているが

 一方で興味深いのは、日本企業の対中投資がここに来て増えているということだ。中国商務部の資料から過去10年を追うと、2012年に過去最高の約74億米ドルをつけた日本企業の対中投資は、人件費の上昇や反日デモの影響などを受け翌年から下落し、2016年には2012年の半分以下の31億米ドルにまで落ち込んだ。ところが、2016年を底に2017年には33億米ドル、2018年には38億米ドルと持ち直しているのである。

 一体、どのような業種が増えているのだろうか。日本貿易振興機構(JETRO)の海外調査部中国北アジア課の宗金建志氏に尋ねると、「日本の財務省統計によると、製造業における構成比が増加傾向にあります」という。資料からは、製造業の構成比は2015年の60.5%から2018年上半期は66.2%と伸びていることがわかる。宗金氏によれば、「中国が製造業の高度化を図るうえで、日系工場からの基幹部品の調達を高めている可能性があります」という。

 製造業の中でも輸送機械器具が2015年14.2%から2018年上半期21.9%と大きく伸びている。自動車関連の近年の投資には、GSユアサによる自動車用鉛蓄電池工場の新設(天津市、新工場稼働時期は未定)、日本ガイシによるガソリン車用のPM(粒子状物質)除去フィルターの生産工場の増設(江蘇省蘇州市、2019年12月に生産開始予定)や積水化学工業による自動車内装用ポリオレフィンフォームの生産会社新設(江蘇省無錫市、今年4月から本格稼働)がある。積水化学工業の広報によれば「自動車の天井・ドア回りの内装材にグレード感が求められている」という。

 JETROが行った中国に進出する日系企業の実態調査(有効回答数752)によると、今後1〜2年の事業展開の方向性について「拡大」と回答した企業の割合は、2018年度で48.7%に達した。過去10年で最も低かった2015年度の38.1%からすると、その割合は年々増加している。

増える「日本人ナシ」の現場

 かつて、日本人とその家族を対象にしたさまざまなサービスが発展した上海だが、再びその勢いを取り戻す日が来るのだろうか。対中投資が盛り返す中、これまで多くの日本人と向き合ってきた市内有名クリニックの院長に尋ねた。

「日中関係が友好ムードを取り戻したとはいいますが、これだけ物価や人件費が上がり、どこもかしこも人手不足な中で、果たして採算の合うビジネスができるかどうか。上海のみならず、他のエリアでも日本人を積極的に駐在させるのは難しいかもしれません」

 日本人駐在員が通う中国語教室で教える講師は、「シビアなコスト削減を行う日系企業は、家賃の手当が十分にできないという理由から、若手の単身社員を派遣する傾向が強くなっています」と語る。また、某日系企業で働く中国人従業員が「うちの総経理は中国人、従業員も中国人なので、ある意味コストダウンができています」と語るように、すでに上海の現場は「日本人ナシ」で回転するようになっている。

 市場として成熟する上海では商業イベントがめじろ押しだが、日系企業をクライアントにしたイベント事業者は「昨年の売り上げは、前年の10分の1になってしまっ」とため息まじりだ。もとより日本人マーケットは縮小傾向をたどってきたが、そこに中国の不景気も重なり、視界不良が続く。

 そもそも、日本企業は中国で生き延びられるのか、という議論もある。「中国は人海戦術ができたからこそ進出の意味があった」と振り返るのは、90年代に進出した工場で奮闘してきた元工場長だ。今は自動機で製品をつくる時代だが、「自動機を入れることは中国資本の工場でも生産できることを意味し、その瞬間に日本企業の価値がなくなる」(スマートフォンの精密部品メーカーの駐在員)というジレンマを抱える。

 生き延びられるのは、「中国にない技術を持っている日本企業だけ」ということになるが、「形ある完成品の生き残りは難しい」という声もある。その一方で、素材・化学業界が元気だ。産業機器の販売で上海に駐在する日本人は、「工程管理が難しい素材・化学業界はまだまだ行ける。材料の微妙な配合がカギを握るこの業界は、細やかさを得意とする日本の力が今なお生かされている」と力強い。

「中国投資」をまったく異なる目線で見ている日本人もいる。2000年初頭から上海で不動産投資を繰り返してきた日本人Kさんの嗅覚は鋭い。

「胡錦濤から習近平への政権交代が行われてから間もなくして、私は手持ちの不動産を売却しました。上海に流れる空気は明らかにそれまでのものとは異なることを感じたからです」

 これまで中国では政経分離が進められてきたが、時代は明らかにそれへの“逆行”が進んでいる。今後はコストや採算だけでなく、“空気感の見極め”も必要となりそうだ。


「上海ガーデンプラザ」は、この看板のように、外観さえ異なる超高級物件に建て替えられており、すでに中国人富裕層の購入者たちがそこで生活していた Photo by K.H.

日本食材も消えていく

 筆者は、十数年前に住んでいた古北新区のマンションを訪ねた。ここも日本人が多く住む住宅地の1つで、敷地内の小さなスーパーには日本からの輸入食材が豊富に取りそろえられていたものだった。だが今では、商品のほとんどは韓国食材に取って代わられていた。このとき、店で扱われていた日本ブランドは、江崎グリコの「ビスコ」だけだった。

 あらゆる商機を求めて、日本人が大挙してこの地を目指したのは、今は昔となってしまったようだ。振り返れば“日中ビジネスの黄金期”は、日本人と中国人が共に試行錯誤した古き良き時代だったが、それはあまりにも短い時間だった。

 日本と中国の間には友好ムードが到来しているというが、日中のビジネス文化を融合させ、かつ日本企業や日本人にも発展空間をもたらすことにつながるだろうか。消滅した“日本人村”を見たとき、これが“日中ビジネス史”における最終章なのか、はたまた、これから先に続く長い物語の始まりなのか、しばらく考え込んでしまった。

(ジャーナリスト、アジア・ビズ・フォーラム主宰 姫田小夏)









 

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コメント
1. 2019年3月08日 11:53:56 : b0SqwlEVzM : OWtRZXlYN0piVUU=[1] 報告
ただ単に金持ち駐在員が減ったというだけの話ではないか。中華圏でビジネスを展開している日本企業は増える一方だ。

2. 2019年3月08日 19:14:16 : o4ZxWSpuaU : cmp4OUZBQlJQcUU=[338] 報告
異国の地 兵(つわもの)どもが 夢の跡
3. 2019年3月09日 13:51:13 : GrnqIRic9c : TGtxcWRQRXJvQU0=[10] 報告
昔は海外駐在10年すると一財産築けるほど手当が出たが。
今はリストラで海外赴任手当も大幅に減らされている。
第一行きたがる人が少ない。

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