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ビジネス2019年3月6日 / 16:13 / 5時間前更新
焦点:
中国に忍び寄る「灰色のサイ」、試される金融緩和効果
森佳子
3 分で読む
[東京 6日 ロイター] - 企業債務の膨張が中国経済を圧迫し、世界経済のリスク要因として意識され出した。5日から始まった全国人民代表大会(全人代)で、李克強首相はばらまき型の景気刺激策を取らないとしたが、金融政策は既に穏健な緩和から、大胆な緩和へと転換している。
背景には企業部門の債務膨張があり、緩和策の強化で中国景気を支える姿勢を鮮明にしたかたちだ。
ただ、中国の過剰債務問題は「灰色のサイ」とも呼ばれ、金融リスクが表面化するような事態になれば、「中国発」の世界経済後退の懸念が高まり、隣国である日本にも、大きな衝撃が打ち寄せて来かなねない。
<債務膨張の危険性>
中国経済に過剰債務の圧力がのしかかっているというデータがある。国際決済銀行(BIS)によると、中国の企業債務(金融機関除く)の名目GDP比率は、2008年3月末の142%から、昨年6月末に253%まで急膨張した。
BISは、中国の債務水準や上昇ペースの速さは、かつて金融危機に陥ったり、バランスシート調整により景気急減速を余儀なくされた国々に匹敵すると注意を喚起する。
この債務膨張は、利払い費の増大で企業の支払い能力を悪化させ、金繰りが急速にきつくなっている。同じような資金繰りの悪化は、地方の自治体にもみられ、取引相手先への支払いが延滞しているケースも出ていたと、中国ビジネスを展開している日本企業の幹部は話す。
<大胆な金融緩和に転換>
2019年の中国の金融政策方針では、18年の「穏健中立」から「中立」が削除され、「合理的で潤沢な流動性供給」が追加された。
全人代初日の5日の演説で李首相は、金融政策について「引き締め過ぎず、緩め過ぎないように維持する」と表明した。
だが、最近の金融データは、金融緩和が「穏健」を逸脱し、大胆な緩和に転じたことを示唆する。
金融システムから経済に供給されたネット資金量を示す「社会融資総量」は、今年1月に4兆6353億人民元と前年比51%の増加となった。同総量の内数の「新規人民元建て融資」とともに過去最高を記録した。融資の内訳では、企業向け貸出比率が1月に前年比43.3%と大幅に拡大した。
みずほ証券・投資情報部、シニアエコノミストの吉川健治氏は、民間企業に対する大規模な流動性供給について「景気低迷に対する現政権の危機感を表している」と話す。
足元で中国企業のマインドは悪化し、リストラや賃金の伸び悩みで消費者マインドも冷え込んでいる。そこに米中摩擦による景気下押し圧力も加わり、中国全体の需要は急激に落込んだ。
実際、中国汽車工業協会によると、中国の自動車生産台数と販売台数は昨年11月から前年比で2桁の減少が続く。中国内需の急減速は、周辺国の対中国輸出の急減にもつながった。日本の中国向けの輸出は1月に金額ベースで17.4%、数量ベースで20.8%減と一段と悪化した。
吉川氏は「予想以上の景気減速の勢いに直面した政府は、マインドの低下を抑止するために、大胆な金融緩和と積極財政の強化に乗り出した」と分析している。
具体的には、中小・零細企業に的を絞った資金繰り支援策を打ち出し、大手商業銀行による小規模企業への貸出を今年30%以上拡大する方針も示した。
また、先の日本企業幹部は、中国ビジネス最前線における金融引き締まりは鮮明で、年明けの緩和策でようやく「一息」ついているという。
ただ、中国では金融仲介・信用仲介機能そのものが働いていないと国際通貨研究所・開発経済調査部、上席研究員の梅原直樹氏は指摘する。「中国の中小規模銀行が、中小零細企業向けにしっかりとした金融仲介サービスを提供できていれば良いが、不十分なままにとどまっている」と分析する。
<忍び寄る灰色のサイ>
習近平国家主席は1月21日に中央・地方政府のトップを招集し、金融リスク問題に関し「灰色のサイ」を防止しなければならないとした。
灰色のサイとは、高い確率で存在し、大きな問題を引き起こすにもかかわらず、軽視されがちな問題を指す。
周小川人民銀行前総裁は退任前の2017年11月、債務問題に警鐘を鳴らすため灰色のサイを引用し、18年1月には楼継偉・元中国財政相が「中国で金融システムリスクが発生する確率は、09年の米国の金融危機発生前よりもさらに高い」と指摘した。
「灰色のサイはまず金融市場で認知され、大幅な通貨安・株安が起き、金融システムを揺るがすだろう。金融不安は中国経済の失速を招き、世界経済は同時不況に陥ることになる」とみずほ証券の吉川氏はいう。
ある国内証券のストラテジストは、灰色のサイが姿を現した場合、中国の需要に依存する企業の株価から先行して下落。さらに資金繰りに窮した中国国内の市場参加者が米国資産を売却すると予想され、その結果として米債価格の下落とドル安/円高が進み、日本株はさらに下落するシナリオがあり得ると述べている。
*見出しを修正しました。
編集:田巻一彦
https://jp.reuters.com/article/china-economy-idJPKCN1QN0LX
コラム2019年3月6日 / 17:38 / 5時間前更新
中国の国防予算、心配の種は「非公式な軍事力」
Pete Sweeney
2 分で読む
[香港 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の国防費が今年の予算全体に占める割合は低下する。昨年は派手に使ったが、今年の購入ペースは減速するだろう。
だが、海上で活動する民兵を含む血気盛んな漁船団に加え、非通常兵器に対する予算外の投資により、アジアの軍拡競争は今後も一触即発状態が続くことになる。
2019年予算に国防費が占める割合はわずか5.9%にすぎず、前年比7.5%増の1.2兆元(約20兆円)となる。昨年は大幅な増額が注目を集めたが、予算全体に占める公式的な国防費の割合は1990年代以降、徐々に低下している。
米国の場合、2017年に国防総省に充てられた予算は全体の9%近くに上り、中国のそれを上回っている、とストックホルム国際平和研究所は試算する。とはいえ、中国は年間の金額ベースで世界2位の軍事大国であり、敵対国を懸念させる一方で、実際にはもっと使っているのではないかとの疑念も生んでいる。
確かに、南シナ海における領有権を巡り争いを繰り広げているベトナムやインドネシアのような近隣諸国にとって、中国の非公式な軍事力は心配の種となっている。
例えば、向こう見ずな漁船団の台頭も、対立の原因となっている。領有権を巡る対立は、割り当て制の導入を困難にしている。乱獲や汚染により、漁船は領有権の主張する範囲を超えて活動することを余儀なくされている。沿岸水域に迷い込んできた中国の漁船は、インドネシア海軍によって、またある時はアルゼンチン海軍によって沈められた。中国漁船団はまた、同国海軍や沿岸警備隊と協力して活動する海上の民兵とも手を組んでいる。
また別の懸念もある。1つは、東南アジアの通信網構築に中国企業が関与することで、政府のウェブサイトや送電網を標的としたサイバー攻撃が促進されること。もう1つは、中国が人工知能(AI)や無人航空機への研究を行っていることで、大量の軍事ドローンが生み出される可能性だ。
中国の国防費が書面上は後退したからといって、アジア海域の波風が静まるわけではないのだ。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/bv-column-china-defence-idJPKCN1QN0VM
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