http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/255.html
Tweet |
大塚家具、経営危機が最終局面に…1年で店舗3分の1が閉鎖、ヤマダ電機との提携に孕む危険さ
https://biz-journal.jp/2019/02/post_26778.html
2019.02.23 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
有明本社ショールーム(「Wikipedia」より)
経営再建中の大塚家具が2月15日に発表した2018年12月期の単独決算は、最終的な儲けを示す純損益が32億円の赤字だった。通期での最終赤字は3年連続となる。業績悪化が続く同社だが、出口は見えてこない。
売上高は前期比9.0%減の373億円、本業の儲けを示す営業損益は51億円の赤字だった。減収は3期連続。営業赤字も3期連続となる。また、開示された決算短信には「継続企業の前提に関する重要な疑義」の注記が付いた。これは経営に黄色信号が灯っていることを意味する。投資家に注意を促すものだ。この注記は18年1〜6月期から付いている。
大塚家具は同日、日中間の国境をまたぐネット通販を手がけるハイラインズや米系投資ファンドなどによる第三者割当増資などで資金を調達すると発表した。発行費用などを差し引いた手取り総額で最大74億円の調達を予定している。
併せて、ヤマダ電機との業務提携で基本合意したことも発表した。ヤマダ電機の住関連事業の顧客に大塚家具の商品を販売したり、ホテルや旅館への家電や家具の納入で協業することなどを検討するという。
今回の出資受け入れや業務提携で、財務基盤の強化と販売の強化が一定程度実現することになるが、それでも厳しい状況であることに変わりはない。現金枯渇の懸念が完全に消えたわけでもないからだ。
大塚家具の18年12月末時点の現預金は、わずか31億円。15年12月末には109億円あった。現金流出が続き、3分の1程度の水準にまで落ち込んだ。また、投資有価証券の切り売りで、これまで現預金を補充してきたが、それも尽きようとしている。投資有価証券は15年12月末時点で72億円あったが、5億円(18年12月末時点)にまで減った。第三者割当増資などで資金を確保したとしても、利益をためることができなければ現金はいずれ枯渇する。早急に収益を上向かせなければならない状況だ。
■法人向け営業に注力
もっとも、同社はただ手をこまねいてきたわけではない。法人向け販売を強化することで突破口を開こうとしてきた。
大塚家具は昨年3月、イタリアの高級家具ブランド「ポルトローナ・フラウ」を専門に扱う店舗を東京都港区に出店した。ブランド特化型の専門店の出店は、大塚家具では初という。大塚家具は「ポルトローナ・フラウ」の日本総代理店として06年から販売している。同店を拠点とし、ホテルなどの法人に対して売り込みたい考えだ。
昨年には、神戸市のホテル「ラ・スイート神戸ハーバーランド」のスイートルームに「ポルトローナ・フラウ」の家具を納入してもいる。
大塚家具は、これら以外でもホテルやレストランなどの法人に家具を納入している。たとえば、16年7月に開業した東京都千代田区のホテル「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」の全客室やレストランなどに家具を納入した。08年11月にオープンした高齢者向けマンション「サンシティパレス塚口」(兵庫県伊丹市)のレストランや共用スペースなどにも家具を納入している。これらは一例で、ほかにも数多くの法人に家具を販売している。
大塚家具にとって、ホテルへの販売は特に重要だ。20年の東京オリンピックに向けてホテルの新規開業や改装が今後も増えるとみられており、家具を販売するチャンスが増えるとみられるためだ。
ヤマダ電機との提携もホテルへの販売を想定している。ただ、ホテルに頼った法人営業は危険だ。
東京オリンピックに向けてホテル需要が特需の様相を呈しているが、東京オリンピックが終わってしまえば大幅な売り上げ減は避けられない。東京オリンピック後が心配されるが、とはいえ、今のところ法人向け販売はそれなりに成果が出ている状況だ。コントラクト(法人向け販売)の18年の売上高は、前年から60.4%も増えている。
だが、成長はしているものの、売上高は32億円と全体の1割に満たない規模だ。もちろん無いよりはあったほうがいいが、今後の見通しを考えると過度な期待はしないほうがいいだろう。
やはり、重要となるのは店舗での小売り販売だ。しかし、店舗販売は回復の兆しが見えていない。1月の全店ベースの店舗売上高は前年同月比24.8%減、昨年12月が15.1%減と大幅減収が続いている。11月と10月こそ、9月28日から11月25日まで続けた「在庫一掃セール」が売り上げを押し上げたため、それぞれ増収となったが、9月までは14カ月間連続で前年割れだった。既存店売上高も同様に厳しい状況となっている。
■成長戦略の切り札でも閉店続出
販売不振で店舗の閉鎖も続いている。1月末時点の店舗数は14店。1年前から7店減った。3分の1が消えたことになる。閉店ラッシュが止まらない。最近では昨年末に3店閉鎖し、19年1月には2店閉鎖している。わずか2カ月で5店が消え去った。
最近の店舗閉鎖で注目したいのが、昨年末に新宿と有明のアウトレット店を閉鎖したことと、19年1月にソファ専門店「ライフスタイルショップ柏の葉T-SITE」を閉鎖したことだろう。この3店の閉鎖に関しては、通常の大塚家具店舗の閉鎖とは意味合いが大きく異なる。なぜなら、不振から脱却を図るための切り札として開業した店舗だったからだ。
大塚家具は、中古品市場が拡大していることもあり、16年から中古家具の買い取りや下取り、販売を本格的に始めた。東京や横浜、大阪などにアウトレット店を次々と開業していった。しかし、販売は振るわず、店舗の閉鎖が続いている。現在アウトレット店は大阪にある1店のみとなっており、中古家具販売事業は大幅な縮小を余儀なくされている。
閉店したソファ専門店も、成長戦略における切り札だった。大塚家具は拡大している単品買い需要を取り込むため、分野を絞った専門店を開発していった。ソファ専門店のほか、眠りの専門店や照明専門店を生み出している。「ポルトローナ・フラウ」もブランド特化型の専門店として開発されたものだ。これらは専門性が発揮できるとともに店舗を小型化することで都心部でも容易に出店できるように設計されている。
現社長の大塚久美子氏は、父親と経営権を争う「お家騒動」を経て15年1月に復帰のかたちで社長に就いた。以降、お家騒動によるイメージ悪化の影響などで急激に悪化した業績を回復させるため、アウトレット店や専門店を展開するなど、さまざまな対策を講じてきた。しかし、これまでに示してきたように、施策の一部が失敗に終わるなどで目立った成果は出せていない。また、施策が軌道に乗るメドもたっておらず、暗雲が立ち込めている。
ハイラインズや昨年業務提携を発表した中国で「イージーホーム」のブランド名で家具を販売する「居然之家」との提携では、中国市場の開拓が期待できる。だが、これは日本市場での成長に直接的につながるものではない。また、ヤマダ電機との提携は、得られる効果が限定的だろう。いずれも抜本的な解決策にはならないのではないか。
やはり、日本での復活が期待されている。久美子社長もそれを望んでいるはずだ。日本において傷ついたブランドイメージをいかにして回復させるのか、そして、いかにして成長を実現するのかが改めて問われているといえそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。