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為替フォーラム2019年2月22日 / 11:32 / 11時間前更新
消費増税円安、経験則が示す「ドル120円」シナリオ
鈴木健吾 みずほ証券 チーフFXストラテジスト
4 分で読む
[東京 22日] - 今年10月に消費税率10%へ引き上げが予定されているが、ドル円相場はどのような動きを見せるだろうか。過去の消費増税から考察してみたい。
日本では、1989年4月に初めて3%の消費税が導入され、その後1997年4月に税率5%、2014年4月に同8%と、消費税は段階的に引き上げられてきた。
導入時を含む過去3回の消費増税はいずれも4月に行われているが、その直前の3月末と増税後の6月末のドル円レート(月末終値、小数点以下四捨五入、数値はロイターより、以下同じ)を比較すると、導入時は1ドル=133円から144円へドル高/円安が進行。1度目の増税時は124円が115円へとドル安/円高に、そして2度目の増税時は103円から101円とほぼ横ばいとなり、まさに三者三様で一貫性がみられない。
ところが、同じく直前の3月末を基準として1年半程度へと時間軸を伸ばすと様子が変わってくる。消費税導入時のドル円は、1990年4月までの13カ月間で159円まで約20%程度上昇した。5%への増税時には1998年7月までの16カ月で145円へ約17%上昇。8%へ引き上げた際は、2015年5月までの14カ月で124円まで約20%程度、ドル高/円安が進行した。
いずれも期間にして1年数カ月程度、値幅にして15%─20%程度のドル高/円安という、似たような動きをしている。このロジックを今年10月の消費増税に当てはめると、2020年の年末から2021年初旬にかけて15%─20%程度のドル高/円安となり、足元の1ドル=110円を基準にすれば約130円超という数字が計算できる。
本当にそのようなことが起こり得るのかを検証するために、まずは過去それぞれの増税局面における環境や背景について振り返りたい。
<過去3度の共通点>
まず、消費税が導入された1989年は、1985年のプラザ合意を受けて円高不況に陥った日本経済が、政府の財政出動や日銀の金融緩和などによって反転し、1990年に向けてバブルに突入していく局面だった。導入に至るまでの為替相場の状況は、プラザ合意後、ドルが1985年序盤につけた260円から急落。1988年1月には120円台の史上最安値(円の対ドル史上最高値、当時)を記録したが、その後反転し、1990年に160円へと回復していく過程で消費税が導入されている。
その後、バブル崩壊による資金回帰や内需縮小による貿易黒字拡大、日米貿易摩擦の激化などを受けて、ドル円は1995年にかけて80円割れまで下落し、またも当時の史上最安値を更新した。しかしその後、日本が金融システム不安に陥る中で、米国は強いドル政策を打ち出し、ドル円は反転。1997年の5%への消費増税は、翌1998年に147円台まで反発するまでの上昇過程で実施された。
税率が8%に引き上げられた2014年の状況も、これと似ている。リーマンショックと欧州債務危機によってドル円は2011年に当時の史上最安値である75円台に下落。その後アベノミクスや日銀の異次元緩和などを受けて反発に転じており、2015年に125円台まで反発していく過程で増税が行われている。
いずれも消費増税の数年前にかけて発生した大幅な円高が不況をもたらし、政府の財政出動による財政赤字の拡大が、その後の増税の必要性を高める一方で、日銀の積極的な緩和が円安をもたらした。この結果、増税とその後のドル高/円安がリンクした可能性がある。
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ただ、今年予定する消費増税は、これまでのように、ドル円が史上最安値から反発する局面での実施ではない一方で、日銀による未曽有の金融緩和は続いている。過去の事例のように、環境面からドル高/円安につながるかどうかは微妙なところだ。
<物価上昇による為替影響>
また、消費増税と円安の関係として、よく指摘されるのが消費者物価の上昇だ。国際労働機関(ILO)の国際基準でも消費者物価には消費税負担も含まれるため、消費増税は消費者物価の上昇に直結する。そして物価の上昇は通貨価値の毀損(きそん)と同義だ。これにより円安がもたらされるとの理由は分かりやすい。
実際、消費税導入時には、消費者物価が前年比プラス1%程度から同プラス3%程度に上昇し、これを追いかけるように円安が進んでいる。2度の税率引き上げの際も、消費者物価が上昇。やや時間差を置いて円安が追いかける構図となっている。
加えて、物価が上昇すれば、政策金利から物価上昇率を引くことで求められる実質金利が低下する。実質金利低下も通貨価値下落の理由とされやすく、実際過去3回の増税局面でも、実質金利低下後に円安が進行した。
増税による可処分所得の減少が日本経済に下押し圧力を加えたこと自体も、為替市場では円安圧力につながる。
今回の消費増税では、軽減税率など、悪影響を緩和するための措置の導入が予定されており、過去の例とは違うとの見方もある。しかし、これまでも増税率の違いや、それによる物価上昇率の違いが存在したが、いずれの場合も、相場の動きを振り返れば、前述の通り、1年数カ月かけて20%程度のドル高/円安が進んだ、という事実もある。
今回の消費増税でドル円はこう動く、とズバリ予想することは正直難しい。しかし、背景となる経済環境や実質実効為替レート面での違いも含め、過去の平均をそのまま単純に当てはめた「2020年末から2021年初にかけて130円を超えるドル高/円安」の示顕は正直難しいと考えている。しかし、消費者物価の上昇、実質金利の低下、景気の下押し圧力や日銀の緩和継続などは、一定程度のドル円上昇圧力になるだろう。
ざっくりとした物言いで申し訳ないが、今回の消費増税による消費者物価の押し上げ効果はおおよそ1%程度と、前回増税時の約2%の半分程度になると予想されていることもあり、ドル円の上昇率も約半分の10%程度、現状に当てはめれば1ドル=120円程度を目指す原動力になる可能性は十分にあるのではないかと考えている。
鈴木健吾氏(写真は筆者提供)
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。
*本稿は、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいています。https://jp.reuters.com/article/column-suzuki-kengo-20190222-idJPKCN1QB06B
超長期債が下落、フラット化の修正売りで−長期金利は一時今年最低に
三浦和美
2019年2月22日 8:00 JST 更新日時 2019年2月22日 16:15 JST
債券市場では超長期債相場が下落。前日に超長期ゾーン主導で利回り曲線のフラット(平たん)化が進んだ反動の売りが出た。一方、日本銀行がこの日に実施した国債買い入れオペで需給の引き締まりが示されたことを受けて、長期金利は今年の最低水準に並ぶ場面があった。
新発30年物61回債利回りは、日本相互証券の前日午後3時の参照値より1ベーシスポイント(bp)高い0.575%。新発40年物11回債利回りは1bp高い0.645%
長期国債先物3月物の終値は前日比横ばいの152円90銭。一時は153円00銭まで上昇
新発10年物353回債利回りは一時マイナス0.05%と、1月4日以来の水準に低下
市場関係者の見方
パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
超長期債はフラット化の修正が入りやすい金利水準の上、来週の流動性供給入札に向けて利益確定の売りが出た
一方、30年など超長期ゾーンの利回りをコントロールすることは困難で市場に任せた方がいいと思われ、日銀オペはいつ減額されてもおかしくないが、今日は変更なしで期待外れ
日銀買いオペ
買い入れ額は5−10年が4300億円、10−25年が1800億円、25年超が500億円、物価連動債が250億円と、いずれも前回と同額
応札倍率は物価連動債を除く全ゾーンで前回から低下
SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト
オペ結果は特に20年ゾーンがしっかりで売りにくくなっている
備考:過去のオペ結果一覧
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債
-0.180% -0.180% -0.045% 0.395% 0.575% 0.645%
前日比 +0.5bp 横ばい 横ばい -0.5bp +1.0bp +1.0bp
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-02-21/PNARQ36TTDS101?srnd=cojp-v2
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