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WEDGE REPORT
二拠点居住というライフスタイルは現実的か?
1年以内に実感するメリットがデメリットを超えられるかがカギ
2019/02/19
馬場未織
ただの変人ライフスタイルがトレンドへと躍進した背景とは
“デュアラー”という言葉をご存知だろうか。まだ聞き覚えのない人も多いだろう。2018年末にリクルートホールディングスが発表した『2019年のトレンド予測』で挙げられた言葉で、「デュアル=2つの」という言葉を使った造語だという。都市と田舎の2つの生活を楽しむ二拠点生活者を示している。
刈った竹や草で焚き火をする。何時間見ていても、火は飽きない(筆者撮影、以下同)
デュアラーは、果たしてトレンドになり得るのだろうか。二拠点に家を持つなんて大変じゃないか?本当に続けられるのか?といった疑問の声も、さまざま聞こえてきそうだ。
筆者は、2007年から「平日は東京/週末は千葉県南房総」という暮らし方を家族で続けている。始めた当時は、親戚や知り合いから変わり者扱いされ、きっと長くは続くまい、と思われていた。そんなライフスタイルが世間から注目されるようになったのは、2014年に『週末は田舎暮らし』という本を書いた後、2年ほど経った頃だと記憶する。当初は、「二地域居住」「二拠点生活」「デュアルライフ」「マルチハビテーション」などと呼称も定まらなかったが、じわじわと社会に浸透し、トレンド予測に挙がるまで昇格してしまった。
その背景には、働き方改革や副業解禁の動きなど社会情勢の変化がある。定年まで仕事一筋に生き、会社はその人の一生を面倒見る、といった“固く閉じた信頼関係”が現実的に崩れていく状況下で、生き延びるための新たな方法を見出そうとする人々が出てきたのである。彼らは、仕事も拠点もコミュニティも複数持ちながら変化しやすい社会に柔軟に対応していく、といった“ゆるやかに多様につながる関係”を求め、つくろうとしている。
この流れの中で、二拠点生活は「人生の選択肢として、アリではないか」と思われ始めたのだろう。実際、都市部からのアクセスが良い千葉県房総半島界隈では、二拠点生活者がここ数年で急激に増えている。毎月新宿で開催される南房総二拠点サロンには、多くの都市居住者が参加している。特殊な考えを持つ変人の暮らしとは、もはや言い難い。
二拠点生活が続けられるかどうかは、最初の1年で見えてくる
とはいえ、まだまだ一般的にはハードルの高そうな暮らしに見えるようだ。「どうすれば二拠点生活が続けられるのですか。コツがあれば教えてください」という質問をよく受ける。
周囲の期待を裏切って12年以上二拠点生活を続けている身で振り返ってみると、コツなどはなく、むしろ「特にこの暮らしが終わる気がしないな」と確信できる時期があることに気付く。そして、それは意外にも早く、開始から1年を過ぎた頃と考える。春夏秋冬を暮らし、生活のリズムや家計の収支状況などもちょうど掴めてきた頃だ。当然、トラブルもいくつか経験しているだろう。
この頃、メリットの実感が、デメリットのリアルを超えているかどうかが分水嶺となる。
それでは具体的に、どんなメリットやデメリットがあるか、いくつか例を挙げてみたい。
【メリット】
@確実に定期的にリフレッシュする
平日の仕事疲れを引きずる暇もなく、まったく別の場所でまったく別のことをする。これが実は、疲労回復を早める場合がある。“アクティブレスト(積極的休養)”とも言う。田舎暮らしは自然と身体を動かす機会がたくさんあるため、心身がバランスよく整う。
A消費一辺倒ではない過ごし方ができる
「外食しよう」「買い物に行こう」と、休日らしく楽しもうとするとお金がかかる都市生活。一方、田舎では消費せずに楽しめることが見つけやすい。畑仕事、野草摘み、焚き火、自然観察、DIY、釣り、サーフィン……狩猟本能を満たしたり、スキルアップにつながったりと、暮らしを深める楽しみに満ちている。
B“本当に新鮮な食材”に感動する
畑を始めれば採れたて野菜の桁違いな美味しさがすぐ分かる。海に近ければ新鮮な魚が日常の食卓にのる。食は命の源。ひとたびいい食材のあり方を知ると、なかなか後戻りはできない。舌鼓を打ちながら、都市部の高級スーパーの値札が脳裏をかすめることも。
C多様な人達とつながれる
田舎の人間関係について心配されることがあるが、お隣さんの親切に感謝したり、お裾分けに感動するという話の方がよほどよく耳にする。さらに、移住者やデュアラー、漁師さんに猟師さん、そして農家さんと、都市で家と仕事場を往復している時よりも圧倒的に多様な人達とつながれるチャンスがある。
自分でつくった野菜を食べるのは、とりわけ楽しい
では次に、ネガティブチェックをしてみよう。
【デメリット】
@移動のコストや時間がかかる
環境を変えるためには、どうしても移動時間がかかる。毎週末の移動を考えると、片道2時間以内が適切だろう。往復で4時間。ガソリン代や高速代もしっかりとかかってくる。ちなみに筆者の場合は1往復約7000円×月3回程度=21000円の交通費がかかり、1時間半の移動中は家族の好きな音楽を聞き合うことが多い。
A家賃、生活雑貨、趣味の道具や燃料などにお金がかかる
当然だが、2つ家を持つと2ヶ所に生活必需品が必要で、借家なら家賃もかかる。古民家や農機具など時にプロのメンテナンスが必要な物もある。これらを必要経費として確保できるか。例えば、都市の住まいをコンパクトにして家賃を抑えたり、上記メリットAとのプラスマイナスを考えて、辻褄が合うか見ていくことになる。
B家族の予定を合わせるシフターが必要
やれこどもの行事だ、やれ仕事の付き合いだと週末にも都市生活の予定は入ってくる。これらをうまく整理して、家族の中で行く週末/行かない週末、行く人/残る人、などと見通しを立てる。もっとも気苦労の多い局面とも言える。公平性や自由意思の尊重が大事であり、話し合いが必要な場面も増えるだろう。
Cやることがたくさんあってのんびりしていない
「のんびり田舎暮らし」をしているデュアラーに会ったことがない。大抵、貴重な週末2日間をフル活用して野良仕事や大工仕事に精を出し、それでも時間が足りないと言っている。なぜなら、デュアラーの田舎暮らしは“暮らすことそのものを楽しむ”ところに意味があるからだ。買えば一瞬で手に入る野菜をつくり、安く買える家具を丹精してつくり、コンクリートで固めてしまえば生えない雑草を年中刈りながら、自然を愛でる。もし便利に合理的に暮らしてしまえば、都市生活と一緒になってしまう。より濃く暮らそうとするから、手間暇がかかるのだ。
二拠点生活は、向こうからはやってこない
1年後、「お金が…」「時間が…」と言っている場合は、きっと長くは続くまい。でも、ひとたび二拠点生活を始めた人の中で、そうした愚痴をこぼす人はほとんど見ないといっていい。いや、「お父さんに引きずられて仕方なく」という家族のメンバーがいたら、そんなことを言われるかもしれない。その人は早晩やめてしまうかもしれないが、家族の中にも多様性があっていい。
二拠点生活は誰に頼まれてするものでもなく、自分で好き好んで始める暮らしである。好きなことは続けたい。続けるためにはデメリットを乗り越える努力をする。だから結果として、このライフスタイルは「アリ」となる。初動には少々パワーを要するが、始めてみると、始める前とはまったく違う風景が見えてくるから、やめられない。
春の訪れを告げる、フキノトウ。食べられる野草を探すのも田舎暮らしの楽しみだ
次回は、二拠点生活を長期間続けた時にこそ見える風景とは何か、気付く重さは何か、挙げてみたい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15366
橋や家の梁も……旧ソ連のミサイルで建てられた村 アフガニスタン
2019/02/18
BBC News
旧ソビエト連邦がアフガニスタンに侵攻してから30年がたった。
ソ連軍は1989年2月15日にアフガニスタンから撤退したが、この戦争でアフガニスタン人100万人近くと1万5000人のソ連兵が命を落とした。
アフガニスタン北部の村では今も、とても変わった形でこの戦争の爪あとが残されている。村全体が不発ミサイルで作られているのだ。
提供元:https://www.bbc.com/japanese/video-47276478
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/15396
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