http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/169.html
Tweet |
レオパレス→オーナー&取引先“連鎖倒産”の最悪シナリオ…破綻していた「30年家賃保証」
https://biz-journal.jp/2019/02/post_26710.html
2019.02.15 構成=長井雄一朗/ライター Business Journal
レオパレス21本社(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
賃貸アパート大手のレオパレス21(以下、レオパレス)の施工不良問題が一向に収束する気配を見せない。法令違反が疑われる複数の不備が新たに発覚したことでレオパレスの信用は地に落ちるとともに、株価がストップ安を記録するなど経営にも大きなダメージを与えている。2月8日に発表されたレオパレスの2018年4〜12月期連結決算は最終損益が439億円の赤字(前年同期は128億円の黒字)で、同期間の赤字額としては過去最大を記録した。
東京商工リサーチの『「レオパレス21 国内取引状況」調査』によると、レオパレスの取引先総数は仕入先合計が2364社(重複除く)、販売先合計は306社(同)で、レオパレスグループと直接取引している1次仕入先(615社)のうち建設業が335社(構成比54.4%)と過半数を占めている。レオパレスと取引先の今後はどうなるのか。東京商工リサーチ情報本部の坂田芳博氏に話を聞いた。
■レオパレスを襲う財務不安
――レオパレスの一連の問題について、どう見ていますか。
坂田芳博氏(以下、坂田) 通常であれば取引先への悪影響を注視するのですが、今回はオーナーや入居者などの個人にも影響を及ぼしている点に注目しています。たとえば、天井が耐火基準を満たしていない641棟のアパートに住む7782人に対し、レオパレスは「危険性がある」として来月末までの引っ越しを求めています。そして、その費用はレオパレスが負担するとしていますが、総額は不透明で財務面への影響が懸念されます。
また、今は建設の需要が増しており現場は人手が不足しています。レオパレスは工務店側から足元を見られて、通常よりも高い補修工事費を要求される可能性もあるでしょう。さらに、レオパレスに不信感を抱き、受注自体を敬遠する工務店もあると予想されます。
――レオパレスの広報資料からは何が読み取れますか。
坂田 全棟調査のうち、調査優先物件対象の「ネイルシリーズ」の調査進捗率は99.01%。当初、補修工事は1月末までに完了する予定でしたが、1月28日時点で進捗率は32.5%と遅れています。913棟を調査し、「界壁不備なし」はわずか6棟でした。また、「6シリーズ」の調査進捗率は90.93%。補修工事は10月末までに完了を目指すとしていますが、レオパレス関係者からは「難しいかもしれない」との声もあがっています。こちらは、1万4370棟を調査し「界壁不備なし」は1745棟でした。ネイルシリーズと6シリーズのいずれにも多くの不備が見られ、多すぎるという印象です。
確かに両シリーズとも調査進捗率は高いですが、これはあくまで調査優先物件が対象です。また、どの現場も業者の確保が困難であることから、補修工事がスムーズに進むかどうかはわかりません。補修が長引けば入居者への補償も必要になってくるため、財務的に耐えられるかというのがポイントになります。
リリースによれば、18年12月末日の現金預金(連結)892億円、自己資本(同)1069億円、自己資本比率35.2%で十分な水準にあるとしています。しかし、今後は金融機関の対応も注目点になります。運転資金とは別に補修工事や引っ越し、家賃保証などの資金需要が発生しているため、レオパレスとしてはつなぎ資金を確保したい。しかし、借り入れを要請しても金融機関がリスクを考えて足踏みする可能性があります。そうなると、当然ながらキャッシュアウトで手持ちの現金がどんどん減っていくことになります。
――サブリース契約の「30年間家賃保証」は成立していたと思いますか。
坂田 基本的に30年間の家賃保証はうまくいかないと思います。近くに他社物件がなくて建物が老朽化しないのであれば可能かもしれませんが、実際には他社が参入するし、建物も古くなります。そうなれば、当初の家賃を30年にわたって保証するというビジネスモデルは難しいでしょう。入居者としては、同じ家賃であれば新築や住みやすいエリアの物件に住みたいと思うはずです。そのため、実際にはオーナーの家賃収入は年々下がり、差額はオーナーが負担を強いられることになってしまいます。
■レオパレスの経営危機で連鎖倒産が発生?
――『「レオパレス21 国内取引状況」調査』の概要について教えてください。
坂田 レオパレスとレオパレスグループと直接取引のある1次、間接取引の2次の取引先数を調査しました。取引先総数は仕入先合計が2364社(重複除く)、販売先合計は306社(同)でした。直接取引している1次仕入先(615社)のうち、建設業が335社(構成比54.4%)と過半数を占めています。1次仕入先の本社地は、東京都151社(同24.5%)、大阪府51社(同8.2%)、神奈川県47社、愛知県と千葉県が各37社と、都心部に集中しています。レオパレスグループの取引先を資本金別で見ると、1次仕入先(615社)では1000万円以上5000万円未満が330社(構成比53.6%)と最多です。
――建設業の335社というのは工務店が多いと思われますが、今度はどう動くのでしょうか。
坂田 工務店側とすれば、値引きがなく案件が増えるとなれば積極的に受注し、一時的に潤う可能性があります。一方で、今のレオパレスの案件にはリスクも大きい。そのため、工事を断ったりレオパレス以外の受注確保に動いたりする工務店も出てくると思います。その場合、実際に新規の受注を確保できるかどうかが経営にかかわってきます。一社傾注型の工務店は元請の方針変更などに伴い受注がなくなってしまうケースもあり、実際にレオパレスの専属下請工事会社で倒産した事例があります。
――その倒産例を具体的に教えてください。
坂田 奈良県の企業が18年5月7日に奈良地裁に破産を申請し、同月18日に破産決定を受けました。レオパレスが関西地区で建築請負から賃貸事業をベースとしたビジネスモデルに転換したことから、関西地区での受注が減少したことが原因です。レオパレス以外の受注確保にも努めましたが状況は改善せず、最終的には実質的に代表者ひとりで運営していたようです。この事例を踏まえて考えると、工務店がいきなりレオパレス以外に「下請けにさせてください」とお願いしても難しいのが現実でしょう。
――工務店としては、どのような対応を取るべきでしょうか。
坂田 リスクを最小限に抑えるため、レオパレスの仕事を受注する場合は前受金でもらうのがベターです。「前受金を払ってもらえなければ受注しない」という選択肢もあるでしょう。また、支払いサイトを通常より短くしてもらうなど取引形態を工夫する必要があります。ただ、レオパレス側が「設計仕様書に問題はなく、工務店の工事に問題があった」と強調するのであれば、レオパレスが工務店を訴えるケースもあり得ます。
――仮にレオパレスの事業継続が困難になれば、大量の連鎖倒産が発生するのではないでしょうか。
坂田 今は工務店の代表者が高齢化しているため、その場合は休廃業や解散を選択するかもしれません。ただ、工事費用の焦げ付きなどで倒産する例は出てくる可能性があります。
――今後、レオパレスはどうなるのでしょうか。
坂田 入居者は確実に減少し、現オーナーやオーナー希望者が手を引くことで物件数も減少する可能性があります。レオパレスの収入が減ることで取引先などに負の連鎖が起き、それを乗り切れるかどうかがカギとなるでしょう。
(構成=長井雄一朗/ライター)
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。