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現役とOBで大違いに…! ソニーの「企業年金」を見てわかること 会社が社員の老後を守る時代は終わった
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58332
2019.02.11 週刊現代 :現代ビジネス
企業が一括で運用する「確定給付年金」から個人の投資がキモになる「確定拠出年金」への移行を決めたソニー。「企業が社員を見捨てた」とも取れる話だが、現実には仕方のない事情も山積している。
会社側の負担は軽くなる
平成最後の年、ソニーが絶好調だ。
'18年3月通期、グループ連結での売上高は約8兆5440億円、営業利益は約7349億円と20年ぶりの最高益を更新。
ソニーの「本丸」でありながら大赤字を垂れ流していた、カメラやテレビなどのエレキ部門は黒字回復し、映画や音楽事業なども劇的に業績を伸ばしている。
「その一方で、『金融会社が片手間に家電製品を取り扱っている』と言わしめるほど、不動産や保険などの金融部門が大きく稼ぎ、今回の華々しい数字が出来上がりました。2012年から経営を握ってきた平井一夫氏の花道を飾った格好です」(ジャーナリストの立石泰則氏)
平井氏から後継者に指名され、2017年4月から社長のイスに座るのは吉田憲一郎氏だ。'18年度の第1四半期決算で吉田社長は「2年連続の最高益更新」を明言した。
日本メーカーのリーディングカンパニーとしての威信を取り戻す「悲願」を叶えようとしている。
そんなソニーが、どうしても達成したいもうひとつの「悲願」があった。それが、自社の「企業年金」の見直しである。
現在報じられているのは、エレキ事業の社員約3万人が加入する企業年金のシステムを「確定給付年金」から「確定拠出年金」へ完全に移行するというものだ。
ここで、確定給付年金と確定拠出年金の違いを整理しておこう。確定給付年金は、あらかじめ将来の給付額を確定させ、企業が一括して運用するしくみだ。
かつては年率5.5%、現在では3%前後で運用しているところが多く、社員は会社に任せておくだけで老後の年金の見通しを立てることができた。
「一方、確定拠出年金は企業が掛け金を出し、加入者である社員が自己責任で運用する。定期預金や投信などさまざまな金融商品を組み合わせていき、運用次第では高い利回りで年金給付が受けられます」(ファイナンシャルプランナーの山中伸枝氏)
一度掛け金を設定すると60歳まで引き出せないが、所得税や住民税などに控除を受けられるのがメリットだ。
「確定給付年金の場合、運用に失敗すれば不足分を企業側が補填しなければなりません。逆に確定拠出年金の場合、企業は一定の運営経費を負担するだけなので、経営陣にとっては将来の負担が軽くなる仕組みといえるでしょう」(社会保険労務士の大曲義典氏)
巨額の「手切れ金」
会社に任せきりだった年金の運用を、個人がそれぞれ自己責任のもとやっていきましょう――。徹底的なコストカットでV字回復を達成した経営陣による非情な選択とも取れるが、確定拠出年金への移行は別段変わった施策というわけではない。
2010年以降、パナソニックや東芝をはじめとする大手電機メーカーでは年金制度の移行が積極的に進められてきた。そして、実際にソニーも'12年入社の社員から確定拠出年金を導入してきた。
格付投資情報センターの調査によると、確定拠出年金における大手運用管理会社の'17年度の平均運用利回りは3.25%となっている。だが実際には、一部の人を除き、初期設定では2%前後の運用にとどまっている人が多い。
個人の裁量次第だが、確定給付年金から確定拠出年金への移行で将来もらえる年金額が下がるという社員も出てくるだろう。
ただソニーが「異例」なのは、年金の移行に際し、これまで積み立ててきたおカネの平均4割を、補填金として社員に支払うという破格の条件である。
ちなみに企業側から従業員への財産の受け渡しがあった場合、「賞与」として支払われ所得税がかかることになる。
「具体的な補填総額や方式は決まっていない」(広報)というが、社員平均の約40歳で1000万円の積立額があったとして、企業側の支払総額は400万円×3万人=1200億円。巨額の「手切れ金」プロジェクトだ。
「ソニーが確定拠出年金を一部社員に導入した'12年のときに、本当なら全社員まとめて制度移行したいという思いは経営陣にあったはず。ですが、このときソニーの経営は厳しく、社員の積立金に上乗せしてまで切り替える余裕がなかったのです」(獨協大学経済学部教授の森永卓郎氏)
日本の年金制度は国民年金、厚生年金、そして企業年金の「3階建て」といわれるが、この3階部分には大きな差がある。
厚生労働省の調査によると、確定給付年金の1人あたりの平均年金月額は約7万円。企業年金がない企業もある一方で、大手のOB世代では月額30万円以上を企業年金から得ている人も多い。
この年金額が大幅に変わるかもしれないとあって、企業年金を老後資金のアテにしている現役世代は気もそぞろだろう。
ではなぜこれだけの大金を社員に支払ってまで、ソニーは社員の年金制度を切り替えたいと考えているのか。それは、ソニーに限らず、日本中の企業が抱える「退職給付債務」という大きな悩みのタネに起因する。
退職給付債務とは、将来の年金や退職金の支払いに向けて用意しておくべき金額のことだ。これがソニーでは'18年3月末の時点で約1兆106億円もの巨額に膨れ上がっているのだ。
百年コンサルティング代表の鈴木貴博氏が次のように解説する。
「年金は、いわば企業にとってバランスシートに載らない『隠れ債務』なんです。ソニーに限らず他企業でも、その借金の金利も含めた返済財源が確保されていない問題が表面化してきている。
マイナス金利や景気停滞の影響を受け、想定の運用を達成できない可能性が高まったからです」
人生100年時代、OBの数が増えればそれだけ企業が支払う年金総額も増加する。そんななか、ひとたび業績が悪くなり、退職給付債務が追い打ちをかければ「年金破産」する企業も出てくる。
これまで主流だった確定給付年金の場合、たとえ会社が利益を上げていなくても、OBには年金を払い続けなくてはならない。
OBの年金は減らせない
かつて終身雇用が謳われていた時代、年功序列の給与体系と退職金、そして企業年金は安心して働くための必須条件だった。それがいまや、社員に補填金を上乗せしてでも解消しておきたい財務上のリスクとして扱われるようになったのである。
経済評論家の山崎元氏はこう語る。
「今後、日本企業の年金制度は間違いなく確定拠出年金へと移行が進むでしょう。そもそもソニーのようなモノづくりを生業とする企業は、資産運用の専門家ではなく、何兆円もの金額を運用していくことは大きな不安でしかないわけです。
今回ソニーが積立金の4割という高いキャッシュを払って制度の移行を進めましたが、これは世界的な流れを汲み、日本ではいち早く実施したもの。これに追随する企業は増えてくると思います」
国内社員の6割が確定拠出年金に完全移行するソニーだが、OBは従来どおり、確定給付年金に基づく給付を続けるという。OB世代では、いまでは考えられないような高い利回りでの年金給付を受けている人もいる。
元本割れのリスクもある現役世代からすれば、OBの給付額を据え置くのはどうなのかと考える人もいるかもしれない。
とはいえ、大手企業にとってOBの年金は「聖域」と化している節がある。それが明らかになったのが、NTTグループだ。
'05年、NTTはOB約14万5000人に対し、企業年金の減額を計画した。月額1万円前後の減額はOBの猛反対を受け、その結果、'10年の最高裁判決で経営陣の減額申請は却下された。
「松下電器産業(現パナソニック)も年金の支給額を下げてОBが騒いだことがありました。最終的に訴訟になり、減額は認められましたが、企業にとってもこうした騒動で企業イメージを下げたくないと思っているはずです」(経済評論家の片山修氏)
ほかにOBの年金減額が受け入れられたのは、経営破綻に追い込まれた日本航空の例がある。
現役5割、OB3割カットというあまりにもシビアな要求が経営陣から突き付けられた。「会社が潰れたら年金もゼロになる」、OBはそれくらいの事態でなければ減額を飲まない。
長らく財務を務めてきたソニーの吉田社長だからこそ、社内の経営リスクの芽は早めに摘んでおきたいと考えたのかもしれない。
この方針で得をしたのは、やはりソニーOBだろう。年金がもらえなくなるリスクも減り、かつ高い利回りの企業年金を維持できるかたちとなったからだ。
老後の面倒は見られない
今後、現役世代が運用していく確定拠出年金もうまく投資先を考え、定期的に見直しをすれば10%以上の高配当を望むことができるかもしれない。だが果たして、どの社員もみなバラ色の投資生活を送れるのだろうか。
神戸大学大学院経営学研究科准教授の保田隆明氏はこう懸念する。
「確定拠出年金の場合、初期設定の段階から投信、株式、外貨といった投資先を自分で設定していくことで、はじめて高い利率を得られるわけです。
ところがこれまで投資を経験していない人たちが、いきなり高利回りのポートフォリオを組むのは難しい。結果、国債など一番リスクも利回りも低い設定のままで放置している人が多いのが現実です」
ソニーとは別の大手メーカー幹部がこう言う。
「うちの会社も数年前に年金制度が移行しましたが、若い世代は投資もよくわかっていないみたいで、一番リスクの低い金融商品を買いっぱなしにしたままの人もいる。
給付型だと放っておけば年利2.2%だったのに、拠出型で1.1%になってしまった人もいると聞いていますよ」
確定給付年金にくらべて1%も利回りが低くなったまま運用≠オている社員たち。
いまは気づかないかもしれないが、年金ほどの大きな掛け金となると、最終的に給付額が月額万単位で変わってくることになる。
J−401kオフィス株式会社代表取締役の佐々木信司氏はこう言う。
「いちばんのポイントは企業がいかに投資の教育をするかです。1000人を超える企業では、確定拠出年金を導入したものの、社員はなにも考えずに入れっぱなしという人も出てきている。なかには会社から制度をよく聞いていないという人もいるわけです。
忙しい会社員の人からしたら、投資を毎年見直していくのは面倒くさい作業かもしれません。だからこそ、ただ『こういう制度を導入します』とアナウンスするだけでなく、きちんとした投資教育をする必要があるのです。
『笛吹けども踊らず』ではないですが、社員がうまく年金を運用できない事態は企業にとってもデメリットでしょう」
年金まで自己責任。仕方のないこととはいえ、会社が社員の老後を守る時代ではなくなったというのは、少し寂しい気もする。
「週刊現代」2018年11月3日号より
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— nakagwake_3go (@nakagawake_3go) 2019年2月11日
私の会社も加入していた年金基金が事業をやめているから人事ではない
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— ソニーニュース (@Sony_News2) 2019年2月10日
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— anineko (@ANINEKObySYSTER) 2019年2月11日
「いまは気づかないかもしれないが、年金ほどの大きな掛け金となると、最終的に給付額が月額万単位で変わってくることになる。」
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— Y_U (@yuooo11) 2019年2月11日
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— まさかじ (@masa1980_k) 2019年2月11日
ウチもこの制度だけど、いちいち目を通して運用する手間が大変。
利益なくても、下がらなきゃいいと思ってる。
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