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「水素で延命?原子力業界 大洗、高温ガス炉運転再開へ 大量生産目指す」
(東京新聞 2020/4/16)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/list/202004/CK2020041602000157.html
大洗町にある日本原子力研究開発機構の「高温工学試験研究炉(HTTR)」で、十一年ぶりの運転に向けた手続きが進められている。HTTRは発電と同時に水素を製造する高温ガス炉の実験炉で、機構は将来的に原子力による水素の大量生産を目指す。ただ、「クリーンエネルギー」のイメージがある水素を隠れみのに、原子力業界の延命を狙う思惑も透ける。(宮尾幹成)
◆目玉政策
「大きな被害を受けた福島から、未来の『水素社会』に向けた新しい一ページが開かれようとしている」
安倍晋三首相は三月七日、東京電力福島第一原発事故で全域に避難指示が出た福島県浪江町を訪れ、新たに建設された世界最大級の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」の開所式で、そう胸を張った。
かつて原発建設予定地だった十八万平方メートルの土地に敷き詰めた約六万八千枚のソーラーパネルで発電。水を電気分解し、一日に燃料電池車(FCV)約五百六十台を満タンにする水素を製造できるという。
安倍政権は二〇一七年、「世界に先駆けて水素社会を実現する」とした「水素基本戦略」を策定し、「水素社会」を政権の目玉政策として掲げている。
◆用地確保
太陽光などの再生可能エネルギーだけで「水素社会」に必要な水素を確保できるなら、「クリーン」かもしれない。だが、実現性はあるのか。
「『走る原発』エコカー 危ない水素社会」の著書がある上岡直見・環境経済研究所代表の試算では、FCVが最大限普及した場合、宮城、秋田、山形三県の全水田面積に相当する土地にソーラーパネルを設置しなければならない。大規模な産業利用を想定すれば、全国の宅地面積の二倍以上の土地が必要になる。
そこで浮上するのが高温ガス炉だ。民主党政権時代のエネルギー基本計画では姿を消していたが、安倍政権が改定した現行の計画で、水素製造などの産業利用が見込める新型炉として復活。原発の再稼働や新増設が進まない中、原子力業界の期待を集める。
高温ガス炉では核燃料の冷却に、通常の原発で用いる水より高温の熱を伝えられるヘリウムを使う。高効率のガスタービン発電と、一〇〇〇度近い熱を利用した「熱化学法」による水素製造を両立する構想だ。
HTTRは高温の熱を安定して作る研究などを目的とした熱出力三万キロワットの実験炉で、タービンや水素製造設備を持たないが、実用化に向けた次の研究に備え、建設用地は確保している。
機構は、六十万キロワットの実用炉ができれば、一基でFCV六十三万台を日常的に動かせる水素の供給力があるとアピールする。
◆福島以前
高温ガス炉では、ヘリウムが漏れても核燃料は自然冷却し、原発のような炉心溶融事故は起きないとされる。
だが、核分裂するウランを燃やすことに変わりはない。使用済み核燃料は海外で再処理し、取り出したプルトニウムなどを再利用する方針だが、それに伴い発生する高レベル放射性廃棄物の処分先は未定だ。
高温ガス炉に固有のリスクも。水素製造設備では、原子炉内で生じたトリチウム(放射能を帯びた水素)が製品の水素に混入する恐れがあるほか、水素漏えいによる爆発事故で原子炉施設を傷つける可能性も指摘されている。
上岡氏は、高温ガス炉の開発に突き進む原子力業界を「『水素社会』のプラスのイメージだけを膨らませ、舞台裏では原子力の温存に結び付けて福島以前の状態に戻そうとしている」と批判する。
◆24日まで意見公募 実験炉では異例
HTTRを巡っては、原子力規制委員会が三月二十五日の定例会合で、安全対策の内容をまとめた「審査書案」を了承。事実上の新規制基準「適合」となった。四月二十四日まで、審査書案についてパブリックコメント(意見公募)中だ。
実験炉では、原則として意見公募をしないが、複数の委員から「高温ガス炉は初めてなので行うべきだ」との声が挙がり、実施することにした。
応募手段はインターネット、郵送、ファクスの三通り。いずれの場合も、規制委のホームページの「手続き・申請」から「パブリックコメント」にアクセスし、リンク先の「電子政府の総合窓口」に入る。
ネットでは「意見提出フォームへ」をクリックし、必要事項を記入して送信。郵送やファクス=03(5114)2191=の場合は、「意見提出用紙」をダウンロードして印刷する。宛先は〒106 8450 東京都港区六本木一の九の九 六本木ファーストビル 原子力規制庁研究炉等審査部門へ。
規制委は意見公募を終えてから、審査書を正式決定する。日本原子力研究開発機構は必要な工事を完了させた後、二〇二一年一月の運転再開を目指している。
------(引用ここまで)----------------------------------------
例によって原子力ムラの連中は都合のよいことしか言わないが、この高温ガス炉も
問題だらけである。
1000℃近いヘリウムに耐えられる原子炉や配管の設計は非常に難しい。
300℃前後の冷却水を扱う軽水炉ですら漏洩などトラブル続きなのだから、推して知るべしだ。
しかもヘリウムは非常に軽い気体なので、漏れがあればあっという間に全部抜けてしまう。
そして空気や水がはいりこみ爆発炎上する可能性がある。
また核燃料の損傷によって汚染が拡がる可能性もある。
炉心溶融は起きないと言っているが、軽水炉も炉心溶融は絶対に起きないと
福島原発事故の直前までさんざん言われてきたわけで、全く信用できない。
また高温ガス炉は大型化が難しく、100万キロワットの発電出力を得るには5基も必要となる。
つまり、あちこちにいくつも小さな原発を建設しなければならない。
分散すれば安全管理の問題があり、第一、新たに原発誘致する自治体はもうないだろう。
水素製造を売りにしているが、競合する化学工学手法にくらべてコスト等で勝てるのか
不明であり、ましてやトリチウムが含まれるとなれば問題外である。
もちろん、ウラン採鉱、核廃棄物処理などで引き起こされる環境汚染の問題は、
現行の軽水炉と全く一緒である。
高温ガス炉は目先を変えただけで、原子力がかかえる本質的に問題点は
軽水炉と何ら変わりはない。
(小)水力発電を始め再生可能エネルギーに注力すれば、原子力はなくても
十分に電力需要は満たせる。
大金を要するだけで無意味な高温ガス炉の研究開発はただちに中止凍結すべきだろう。
4月24日まで意見を募集しているので、ぜひあなたの意見を送って下さい。
「パブリックコメント:意見募集中案件詳細」 (e-Gov)
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=198019227&Mode=0
(関連情報)
「<高浜のプルサーマル・40年期間延長・高温ガス炉・福島第一原発>
小出裕章氏12/31報道するラジオ年末特番(文字起こし)」
(みんな楽しくHappy?がいい 2015/1/1)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-4041.html
「シロウトでもこれくらいはわかる高温ガス炉の「危なさ」と「おかしさ」:
高速増殖炉「もんじゅ」に代わる原子力ムラの食いぶち=高温ガス炉で
税金を取れるだけしゃぶり取れ」 (いちろうちゃんのブログ 2014/9/24)
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-74c4.html
「高温ガス炉の利点と問題点」 (福島原子力災害を経た原子力のあり方 2014/7/23)
http://oceangreen.jp/Arikata/140723-KouonGasRo-RitenMondaiten.html
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