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東日本大震災9年:福島第1原発事故 放射性ちり、廃炉の壁 - 毎日新聞 https://t.co/mV8dv7jc7x
— 西村佳能(新党憲法9条) (@nishiy2006) March 7, 2020
今の技術では見えない放射線物質を防ぐことはできない。
全てが手探り状態。廃炉は100年経ってもできないかもしれない。
東日本大震災9年
福島第1原発事故 放射性ちり、廃炉の壁
毎日新聞 2020年3月7日 東京朝刊
破損した東京電力福島第1原発1号機の天井部分=福島県大熊町で2020年1月、吉田航太撮影
東京電力福島第1原発事故から間もなく9年。廃炉作業に立ちはだかるのが、放射性物質を含んだちりだ。水素爆発の影響で、原子炉建屋内には今も放射能を帯びたちりやほこりが、がれきや床などを覆うように付いている。地元住民が避難先から戻る中、政府や東電はちりが原発周辺に飛散するのを防ぐため新たな対策に乗り出すが、廃炉作業の一部が先送りされ工程表に影響が出ている。【斎藤有香、荒木涼子、岩間理紀】
福島第1原発、工程遅れ 歩くだけで飛散
「ピーピーピー」。2019年6月4日、福島第1原発敷地内のマシンの遠隔操作室に放射性物質を含むちりやほこりを観測する装置の警報音が鳴り響いた。
1号機の原子炉格納容器の扉に調査用の小穴を開けようと、遠隔操作で動くマシンから扉を目掛けて高圧の水を噴射した際、水圧の勢いで放射性のちりが舞い、基準値を超えたためだ。
政府や東電が廃炉計画の見直しを検討していた中での出来事だった。この時、1号機の外に設けられた観測装置の値に大きな変化はなく、東電は「原発周辺に飛び散っていない」とみている。
しかし、経済産業省の関係者は「舞った量は東電の予想以上だった」と明かし、見直し作業を決定づける形になった。
福島第1原発の敷地内は、放射線量が下がって防護服を着なくても過ごせる場所が増えてきた。だが、今なお国が定める作業員の被ばく限度(年間50ミリシーベルト)を超える所も多い。
1号機の原子炉建屋内に限っても、1時間当たり600ミリシーベルトに上る地点もあり、放射性物質が混じったちりやほこりがあちこちに付着している。場所により、歩くだけで舞い上がるという。
ちりが厄介なのは、布などで拭き取れる液体と違い、空気中に広がってしまえば回収が困難な点だ。
この出来事から半年後の12月に改定された廃炉の工程表「中長期ロードマップ」で、ちりの飛散を防ぐため、天井部分を覆うような大型カバーを23年度ごろに設置することが示された。2号機の使用済み核燃料の取り出しも、飛散を防ぐ工法に改められた。こうした追加対策により、使用済み核燃料を取り出し始めるのが最大5年遅れるなど、廃炉の作業計画に影響した。
廃炉の山場となる作業も、ちりの飛散に細心の注意を払う。東電は21年中に2号機でロボットを遠隔操作して、核燃料などが溶け落ちた「燃料デブリ」を取り出し始める。最難関の作業とされるが、経産省関係者は「ロボットの誤作動でちりが万が一、屋外に漏れるようなことになれば廃炉作業は10年間止まりかねない。それだけは避けたい」と危機感をあらわにする。
作業員保護に課題
一方、廃炉の作業員も、ちりに神経をとがらせている。現場では年間1万人程度の作業員が働く。作業に携わる鹿島の岡田伸哉・東電福島建築統括事務所長は、口の周りを覆う半面マスク姿で作業ができる所でも、作業員に顔全体を覆う全面マスクを付けさせていた。「普通の建設現場とは違い、作業員が汗をかいて顔に触れるなどすれば、ちりが付着して被ばくの危険性が出てくる」と話す。
東電によると、それでもちりを吸い込み、被ばくする作業員はいる。2月には2人が相次いで内部被ばくした。2人とも顔を全面マスクで覆うなどしていたが、取り外す時に鼻や口の周りにちりなどが付着してしまったとみられる。被ばく線量はともに低かったものの、被ばくと隣り合わせの作業は今後も続く。
東京労働安全衛生センターの飯田勝泰事務局長は「計画通りにいかなかった時、ちりなどの放射線からどのように作業員を守るかが課題だ」と指摘した。
過去の「汚染米騒動」教訓
政府や東電がちり対策を強化した背景には、復興への影響だけでなく、原発から北へ10キロ以上離れた福島県南相馬市であった放射性セシウムによる「汚染米騒動」がある。
13年8月、東電が3号機のがれきを撤去していた時、敷地内の観測装置が基準を超えるちりを感知した。その年の秋、南相馬市の2地点でセシウムの濃度が国の基準(1キロ当たり100ベクレル)を超えるコメが収穫され、原因として3号機のがれきの撤去作業が疑われた。原子力規制委員会は独自の試算結果から「がれき撤去による汚染でないことは、ほぼ確実」との認識を示した。
しかし、インターネット上で騒ぎになるなどの影響が出た。事故直後から、地元の農水産業は風評被害に苦しめられており、騒動は追い打ちをかける形になった。県内では、県産米の全袋検査や厳しい独自基準による検査など、風評を拭い去るための地道な努力を積み重ねている。角山(つのやま)茂章・県原子力対策監は「騒動による不信は払拭(ふっしょく)されないままで、ちりが原発周辺に舞うようなことになればパニックになりかねない」と懸念する。
避難指示が出されていた原発周辺の自治体では、一部地域で避難指示が徐々に解除され、仮設商店や災害公営住宅の完成など復興への動きは進んでいる。その中で、福島第1の1〜4号機が建ち、全町避難が続いていた大熊町の一部でようやく避難指示が解除された19年4月の2カ月後に、1号機の格納容器内で東電の予想以上のちりが舞ったことも、政府や東電にちり対策の重要性を再認識させた。
会津若松市に避難している大熊町の橘秀人さん(70)は「東電が安全と言っても信用できないのが本音だ。この状況でちりが舞うなどすれば住民が戻る意味はない」と話す。地元では「ちり対策が廃炉計画の遅れの言い訳に使われているのでは」という声がある一方、福島県選出の国会議員は「廃炉のスピードは二の次、三の次。安全が一番というのが住民の気持ち」と語った。
「30〜40年」なお維持
中部電力の浜岡1、2号機(静岡県)など既存の原発では、核燃料の取り出しから更地にするまで廃炉に30〜50年かかる。一方、福島第1の廃炉工程表では、11年12月を起点に「廃炉措置終了」までの期間を30〜40年とする。しかし、燃料デブリを取り出し始めるのは21年中とこれから。更地にするのかも決まっておらず、30〜40年での廃炉完了は極めて厳しい状況だ。
既存の原発の廃炉計画は(1)使用済み核燃料の取り出しや建屋などの汚染状況の調査、除染(2)放射性物質による汚染が少ない周辺設備の解体(3)原子炉などの解体(4)原子炉建屋などの解体――の4段階を経る。(1)と(2)の作業をしながら放射線量が下がるのを待ち、汚染状況に応じて解体を進める。
ところが、福島第1では水素爆発により、放射性物質が敷地内外に飛び散った。加えて、汚染水から放射性物質を取り除く過程で生じた汚染ごみの処理など、既存の原発の廃炉では想定されていない作業もある。使用済み核燃料の取り出しも遅れており、ある電力会社幹部は「(既存の原発の廃炉計画に照らせば)スタートライン上か、それにすら立てていない」と話す。
工程表は、大きく3区分されている。冷温停止状態になった11年12月から13年11月の使用済み核燃料の取り出し開始までが「第1期」、21年12月の燃料デブリの取り出し開始までが「第2期」、それ以降が「第3期」で、現在は第2期の終わりに当たる。
これまで改定される度に、目標として掲げていた燃料デブリの取り出し完了時期の記載がなくなるなど、作業計画が相次いで先送りされている。だが、廃炉終了まで30〜40年という期間は維持されたままで、ゴールラインの時期がいつ見直されてもおかしくない。
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