http://www.asyura2.com/19/genpatu52/msg/481.html
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5年ほど前の記事ですが、米国フロリダ州アクレッジの小児脳腫瘍多発事件を紹介します。
興味深い内容なので、英語が得意な方はぜひ原文を読んでみて下さい。
「Brain Cancer Cases Shot Up in This Florida Town? Is a Defense Contractor to Blame?」
(フロリダのこの町は脳腫瘍訴訟で大騒ぎ 防衛関連企業は非難の対象?)
(by Sharon Lerner The Nation 2014/10/14)
http://www.thenation.com/article/182099/brain-cancer-rate-girls-town-shot-550-defense-contractor-blame
--------(要約ここから)------------------------------
* フロリダ州アクレッジで、州平均の5.5倍の頻度で小児脳腫瘍が発生、大騒ぎになった。
* 患者の家はお互い1000フィートも離れていないところに集中していた。
* この地域の家庭はどこも井戸水を飲料水に使っており、その放射能汚染が疑われた。
ある家では、井戸から水がくみ上げあられるたびに線量計が鳴った。
* パームビーチ郡保険所は、携帯電話や電子レンジなど他にも発がん原因があるため、
脳腫瘍多発の原因特定には及び腰。
* 事実、化学物質が癌多発の原因であると証明するのは非常に困難で、1990年以降、
全米で428件のうち、わずか3件だけが汚染と発病の関連が認められた。
* アクレッジの70の井戸水、いくつかの水路からの水、35軒の家の土壌サンプルを取り、
200以上の化学物質を調査した結果、環境基準を上回るラジウム226、ベンゼン、
その他の発がん物質が見つかり、被害者たちは憤慨したが、決定的な証拠は
見つからなかった。他の住民は飲み水は安全との結果に安堵した。
* 2010年の11月には、アクレッジの調査は公式に終わった。
* このがん多発事件と住宅バブル崩壊でアクレッジの不動産価格は暴落。
家を売却できず放棄する人も出た。
* 一部の住人は「子どもの腫瘍をだしに大企業から金をせしめようとした。
不動産暴落はおまえたちのせいだ」と、被害者家族を非難・攻撃した。
* ここで話は終わるはずだったが、カリフォルニアの地下水汚染訴訟を扱った
映画「エリン・ブロコビッチ」の影響で、被害者家族が訴訟に立ち上がった。
* しかし13人の被害者の訴訟と不動産価値下落に関する2つの集団訴訟で勝訴するのは難しい。
* マサチューセッツ州ウーバーンの小児白血病多発訴訟は、裁判は長びき、莫大なお金と
労力がかかり、原告は不満な示談に応じざるを得ず、弁護士は破産した。
この訴訟は「シビル・アクション」という題名で出版・映画化された。
* ニュージャージー州トムズ・リバーの訴訟でも、10年以上の歳月と莫大な費用がかかった。
そのため政府の公衆衛生機関は税金を浪費するこういった調査には消極的である。
* アクレッジの訴訟では、エリン・ブロコビッチの法律事務所が2011年に手を引き、
地元の法律事務所だけが7人の子供と5人の大人の脳腫瘍患者のために働くことになった。
* ガン多発の原因を特定するのは非常に難しい。
われわれはいくつもの発がん物質に囲まれて生活しているからだ。
* 汚染源として考えられるのは二つ。一つは道路工事用石灰岩を採掘するパームビーチ・アグリゲート社。
同社の浚渫プールから流れ出した汚染水がアクレッジの水路や地下水に流れ込んでいる可能性がある。
しかし同社はそれが汚染源であることを強く否定。
* もう一つは、1958年に同地に進出した有名な航空機エンジン・メーカーのプラット・アンド・ホイットニー。
エンジン開発のために使った有毒物質が疑われている。同社はラジウムやセシウムなど
10を超える放射性物質の使用許可を得ており、放射性物質、PCBなど有害物質の汚染問題を
フロリダや他州で起こしている。
* 同社は機密を理由にデータを公表することを拒否。
防衛関連産業は自社の敷地内の汚染を公表したがらない。
* 2013年には、アクレッジの土壌と水から非常に高い放射能汚染が見つかった。
P&W社の弁護士は、チェルノブイリ事故由来だと反論。
* P&W社のような防衛関連企業は環境問題を軽視しがちであり、また裁判所もそれに甘い。
「国家を守るため」という言いわけが通ってしまう。
テロリストが故意に地下水を汚染したら社会は激怒するが、防衛産業が同じことをしても
目を閉じてしまう。
* P&Wとの訴訟は数年かかるだろう。
* アクレッジでは脳腫瘍多発事件はすでにタブーになりつつある。
* いじめもあり、被害者の家庭の大半は他州へ引っ越していった。
被害が出ていないが、アクレッジから引っ越すかどうかでもめる家庭もある。
--------(要約ここまで)------------------------------
がん発病率が州平均の5.5倍で大騒ぎになる。これが世の中の常識です。
甲状腺がんが数十、数百倍になっても異常ではないとシラを切るどこかの国の政府が
いかに異常であるかわかるというものです。
米国の裁判所は日本とはくらべものにならないほど公正中立ですが、それでも企業を相手に
環境汚染・健康被害訴訟に勝訴するのは大変です。
なぜなら原因の立証責任が原告側にあり、専門家を雇って調査するのに巨額の費用と時間が
かかるからです。
しかも被告が大企業なら裁判の資金はいくらでもあります。
原告の住民側がお金が無くなって裁判を継続できなくなり、敗訴するか不本意な示談に終わる例が
非常に多いのです。
裁判所の判断は「疑わしきは罰せず」であり、明確な証拠が得られないかぎり、原告が勝訴することは
ありません。
もし米国の環境汚染訴訟に興味があれば、記事の中で引用された2つの映画をご覧下さい。
1つ目は「エリン・ブロコビッチ」(監督:スティーブン・ソダーバーグ 主演:ジュリア・ロバーツ 2000年)
カリフォルニア州でPG&E社が起こした地下水の六価クロム汚染により健康被害を受けた住民側が勝訴、
3億3300万ドルの和解金を得た訴訟で、これは数少ない勝訴の例です。
2つ目は「シビル・アクション」(監督:スティーヴン・ザイリアン 主演:ジョン・トラボルタ 1998年)
これはマサチューセッツ州ウーバーンで起きた環境汚染に対する損害賠償訴訟で、
専門家による調査等に巨額の費用がかかり、弁護士が破産、原告はわずかな示談金しか
得られなかった"よくある例"の一つです。
米国ですらこういった状況ですから、三権が分立どころか完全に癒着している日本では、
福島第一原発事故による放射能被ばく被害を訴えても、どんな証拠を揃えたところで
絶対に勝訴することはないでしょう。
下手に勝訴させたら、次から次へと裁判が起き、政府・東電は巨額の補償金を負わされ
破産してしまいます。あり得ないことです。
政府・東電が被ばく被害を認めるとしても、広島・長崎や水俣で行われたように厳格な条件を設定し、
ごくごく一部の甲状腺患者だけが十分とは言えない補償の対象となるでしょう。
(関連情報)
「エリン・ブロコビッチ」 (ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%81
「エリン・ブロコビッチ (映画)」 (同上)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%93%E3%83%83%E3%83%81_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
「シビル・アクション (映画)」 (同上)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
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