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福島第一汚染水、漁業者と合意できなければ大気放出
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2019/12/25(水) 19:43:12 めげ猫「タマ」の日記
東京電力福島第1原発でたまり続ける汚染水の処分方法などを議論する政府の小委員会の会合が12月23日に開かれ(2)、「海洋放出」、「大気放出」または両者の併用の3案に絞り込みました(3)(4)(5)。汚染水の海洋放出については、東京電力は福島の漁協である「福島県漁業協同組合連合会」(以下県漁連と略す)と同意なしには海洋放出したと約束をしています(6)。「大気放出」を残すことで、福島第一汚染水の環境放出を県漁連の同意なしに実現する道をつけました。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋(以下建屋と略す)に流入しています。あるいは海までに達しています。原子炉建屋にデブリ等がむき出しで放置されています。デブリ等に触れた水は放射能に汚染されます(6)。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(7)。以下に福島第一汚染水のトリチウム濃度を示します。
100万(Bq/l)程度で推移する福島第一汚染水のトリチウム濃度
※(8)(9)にて作成
図―1 福島第一汚染水のトリチウム濃度
図に示す様に最新では1リットル当たり100万ベクレル程度です。国の排水基準は1リットル当たり6万ベクレルですので(10)、20倍弱です。このままでは、海に流せないので東京電力は福島第一構内に汚染水タンクを作り保管しています。
どんどん増える福島第一汚染水
※(11)(12)を集計
図―2 どんどん増える福島第一汚染水
最新の発表(13)を集計すると、東京ドーム一杯分の容積124万立方メートル(14)とほぼ同じ122万立方メートルの汚染水が溜まっています。
福島第一の敷地の広さには限界があり、何時かは行き詰るとの見方があります。
福島第一に保管されている汚染水の総量は東京電力の発表を集計すると
2018年12月20日時点 1,157,081立方メートル(15)
2019年12月19日時点 1,217,214立方メートル(13)
です。364日間で60,133立方メートル、1日当たり165立方メートル増えています。
行き詰まりを避ける為に、経済産業省は「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下小委員会と略す)を立ち上げ、処分方法の検討を進めています(16)。そして昨年(2018年)8月末に公聴会が開かれました(17)。公聴会の資料(18)には「トリチウムは、水素の仲間で、弱い放射線を出す物質。自然界にも存在し、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれている。」等のトリチウムの安全性を強調する文言は記載されており(無論、リスクを示す内容はありません)、さらに5つの処分方法を提示した後で
「海洋放出、水蒸気放出については、規制基準が存在し、国内外において放出の実績があるが、地層注入については適用される既存の基準がなく、長期モニタリングの方法も確立されていない、水素放出については、前処理やスケール拡大について研究開発が必要といった課題がある。なお、地層注入、地下埋設についてはモニタリングが将来にわたり必要な可能性あり。」
と海洋放出の優位性を強調しています。資料を見る限り、公聴会で「海洋放出」のお墨付きを得て、一気に海洋放出に進むつもりだったようです。
ところが「海洋放出」に反対する意見が続出して(17)目論見はとん挫してしまいまいた。汚染水の海洋放出は福島の皆さんにも不評です。福島県民を対象した世論調査では反対が65%と多く、賛成は19%でした(19)。
8月9日開催された小委員会で(20)東京電力は2022年夏には、タンクがいっぱいになるとの資料を提出しました(21)。
3年後に福島第一の汚染水タンクが一杯となるとする東京電力資料
※1(21)を引用
※2 ALPS処理水は「汚染水」の最終形態(22)
図―3 2022年夏には、タンクがいっぱいになるとの東京電力資料
9月27日に開かれた福島第一原発の汚染水の処分方法を検討する委員会(23)で東京電力は海洋放出や気中放出する場合の概略を示しました(24)
福島第一からの海洋放出を説明している東京電力資料
(a)海洋放出
(b)大気中の放出
※(21)を引用
図―4 汚染水処分方法法を示しす東京電力資料
11月18日に15回の委員会が開かれました(25)。そこで東京電力は福島第一原発の汚染水中のトリチウムが856兆ベクレルとの推計を発表しました(26)。
これを元にしたかは分かりませんが、経済産業省は860兆ベクレルのトリチウムを1年間で放出した場合の被ばく線量は海洋放出で0.052〜0.62マイクロシーベルト、大気放出で1.3マイクロシーベルトの試算を発表しました(27)。
ただ、海洋放出には大きな問題があります。東京電力は福島の漁協である県漁連に
「検証等の結果については、漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします。」
と約束しています(6)。すなわち、県漁連の同意なしには海洋放出しないとしています。そして、公聴会では県漁連は
「ALPS処理水の取扱については、広く国民的な議論を経て国が判断し、国がその責任を負うことを明確にすべきものである。国民的議論が行われておらず、国民の理解を得られていない現状では、福島県の漁業者として、ALPS処理水の海洋放出に強く反対する。」
と海洋放出に反対する意見を出しました(28)。この姿勢は今も変わっていないとも報じられました(5)。仮に処分案として「海洋放出」を選択しても、県漁連の同意が得られなけば実行できません。でも、大気放出なら「県漁連」の同意は必要ありません。
政府の小委員会の会合が12月23日に開かれ(2)、「海洋放出」、「大気放出」または両者の併用の3案に絞り込みました(3)(4)(5)。
福島第一汚染水の処分について海洋放出と大気放出の併記を報じる福島県の地方紙
※(29)を12月24日に閲覧
図―5 汚染水の「海洋放出」または「大気放出」を報じる福島県の地方紙・福島民報
「大気放出」なら福島県の漁協の同意は必要ありません。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
1979年にメルトダウン事故を起こした米国のスリーマイル原発では(30)、汚染水の大気放出が行われました(31)。経済産業省の資料(17)はこれを「実績」としているようでうすが、トリチウムの総放出量は24兆ベクレルで、福島第一のトリチウム総量860ベクレルの約16分の1です。これを実績といえるのか(=^・^=)は疑問です。
(=^・^=)は汚染水の海洋放出が良いとは考えていません。中間貯蔵施設に新たな保管場所を確保し、自然減衰や希釈(新たに外部から水が浸入するので薄まる)で、濃度が下がり基準値を下回った段階で、環境中に放出するのが良いと考えています(32)。
トリチウムの別名は3重水素です(33)。言い換えれば放射性水素です。東京電力によれば概ね水として存在します(34)。ただし、光合成によって植物に取り込まれ(35)、食べることもあります。東京電力は飲んでも大丈夫と主張していましが、食べても大丈夫をは言っていません(34)。危険性を指摘する方がいます(36)。(=^・^=)はリファレス(37)に示す通り「安全」とは考えていません。今は福島産を購入自粛の対象にしていますが、汚染水の大気放出が始まれば、宮城産、茨城産、栃木産および千葉産も購入自粛の対象に加えます。
もう一つの問題は、経済産業省が信用できるかです。経済産業省の組織であった旧原子力保安院(38)、事故前は福島第一は安全だ主張していました(39)。でも、大事故です。同じように福島第一汚染水も「安全」だと「嘘」を言っているかもしれません。少なくとも福島の皆様は信用していないようです。
福島県棚倉町辺りの牛乳は「美味しい」との事です(40)。福島県は福島産原乳は「安全」だと主張しています(41)。でも、福島県棚倉町のスーパーのチラシには福島産牛乳はありません。
県外産はあっても福島産牛乳が無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
※(42)を引用
図―6 福島産牛乳が無い福島県のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県棚倉町の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3120.html
(1)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第16回)‐配布資料(METI/経済産業省)
(2)(1)⇒議事次第(PDF形式:0KB)
(3)福島第1原発処理水放出 政府小委「海洋」「大気」「両方」3案提示 | 河北新報オンラインニュース
(4)処理水放出、海洋と水蒸気 政府小委二つの方法軸に議論 第一原発 | 福島民報
(5)福島第1原発の処理水処分に3案 政府小委、長期保管含まず:震災・原発関連ニュース:福島民友新聞社 みんゆうNet
(6)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する福島県漁業協同組合連合会からの要望書への回答について|東京電力
(7)汚染水対策の状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(8)汚染水の浄化処理 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(8)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中の「水処理設備の分析結果⇒水処理設備の放射能濃度測定結果 」
(9)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果アーカイブ|データ|東京電力ホールディングス株式会社の「水処理設備の分析結果」
(10)周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社
(11)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社中の「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(12)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社
(13)2019年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒12月⇒ 23日
(14)東京ドーム (単位) - Wikipedia
(15)2018年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒12月⇒ 25日
(16)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(17)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会 (METI/経済産業省)
(18)(17)中の・多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 説明・公聴会資料(pdf:5518KB)
(19)復興への道筋「ついた」52% 福島県民対象の世論調査:朝日新聞デジタル
(20)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第13回)‐配布資料(METI/経済産業省)
(21)(20)中の多核種除去設備等処理水の貯留の見通し
(22)汚染水の浄化処理 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(23)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第14回)‐配布資料(METI/経済産業省)
(24)(23)中の資料5 多核種除去設備等処理水の処分方法と風評抑制(PDF形式:415KB)
(25)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第15回)‐配布資料(METI/経済産業省)
(26)(25)⇒資料5 多核種除去設備等処理水の貯蔵・処分の時間軸
(27)(25)⇒資料3 ALPS処理水の放出による放射線の影響について(PDF形式:0KB)
(28)(17)⇒1.説明・公聴会の開催日時及び会場等⇒≪富岡会場≫⇒当日表明する意見の概要
(29)福島民報社
(30)スリーマイル島原子力発電所事故 - Wikipedia
(31)東京新聞:スリーマイル島事故40年 原発延命論 不安続く:社会(TOKYO Web)
(32)めげ猫「タマ」の日記 汚染水・長期保管は問題の先送りではない
(33)三重水素 - Wikipedia
(34)福島第一原子力発電所でのトリチウムについて 平成25年2月28日 東京電力株式会社
(35)光合成 - Wikipedia
(36)DNAの中にまで入り込むトリチウムの特別な危険性
(37)めげ猫「タマ」の日記 トリチウムは危険・安全?
(38)経済産業省 > 産業保安 > 審議会 > 旧原子力安全・保安院の審議会情報 > 審議会・研究会一覧
(39)福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所の耐震安全性
(40)ミルク工房オープン | JA東西しらかわのブログ
(41)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(42)エコス棚倉店
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