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日本の放射能汚染水百万トン 本当に海へ放出?
人民網日本語版 2019年10月09日10:31
日本の福島第一原子力発電所が2011年3月に放射能漏れ事故を起こして以来、国際社会からは日本の原子力の安全性に対する疑問の声が絶えず聞こえてくる。最近は、日本の原田義昭・前環境大臣が、「福島原発から出た100万トンの放射能汚染水は太平洋に放出するしかない」と発言し、国際社会の大きな注目を集め、日本の原子力の安全性がまたもや世界の注目点になった。人民日報海外版が伝えた。
▽放射能汚染水の量は100万トン超える
9月10日、英国紙「インデペンデント」は、「福島第一原発から出た放射能汚染水の量はすでに100万トンを超えており、貯蔵タンクの容量は2020年に限界を迎え、それ以上は放射能汚染水を貯蔵しておくことは出来なくなる」と伝えた。放射能汚染水をどのように処理するかについて、原田前環境大臣は退任直前の記者会見で、日本は将来、福島第一原発から出た放射性物質を含む放射能汚染水を「太平洋に直接放出するしかない」と発言した。
その後、菅義偉官房長官は別の記者会見で、「原田氏の発言は個人的見解に過ぎない」とコメントした。福島第一原発の運営を担当する東京電力の責任者は、「当社はこのことについて自ら決定する権利をもたない。政府が決定を発表するのを待ってそれを執行する」と述べた。
実は日本が放射能汚染水を放出するのはすでに初めてではない。11年4月4日、東京電力は福島第一原発から出た低濃度の放射性物質を含んだ汚染水1万1500トンを海に放出している。当時の枝野幸男官房長官の説明は、「他に選択肢がない」だった。
オンライン新聞「アジア・タイムズ・オンライン」は、「東京では長年にわたり放射能汚染水の放出問題が研究されてきたが、何らかの公式な約束はなされていない。放射能汚染水の処理方法は海に放出するほか、蒸発処理して大気中に放出する、地中深くに埋設するなどがある」という。韓国・聯合ニュースは、「放射能汚染水処理の各種プランの中で、海に放出するのが最も低コストで最も簡単な方法だ」と伝える。
▽海に放出すれば海洋環境を破壊する
日本は本当に放射能汚染水を放出するのか。それはどんな影響をもたらすのか。米AP通信の報道によると、「現在、日本は2020年の東京五輪開催までに福島産食品の輸入を解禁するよう各国に働きかけようとしているが、日本が放射能汚染水を海に放出すると決定すれば、新たな信頼の危機をもたらすことは確実だ。今もなお中国や韓国を含む22ヶ国・地域が福島産食品の輸入を規制している」という。
日本の漁業関係者もこれに不満を表明している。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は英国紙「ガーディアン」の取材に答える中で、「私たちは放射能汚染水を海に放出するいかなる計画にも断固反対する。福島県の漁業は放射能事故の後、ずっと発展できずにいた。福島の魚の安全性を不安視する人は多く、もしまた汚染水の放出が行われれば、消費者は福島の食品をもっと買いたがらなくなるだろう」と述べた。
日本のお隣の韓国では、汚染水の問題がかねてより注目されてきた。韓国紙「朝鮮日報」は、「9月16日にオーストリア・ウィーンで行われた国際原子力機関(IAEA)総会では、放射能汚染水の放出問題をめぐり、韓国と日本が激しい論戦を交わした。韓国科学技術情報通信部の文美玉第1次官は基調演説の中で、「福島の放射能汚染水管理はもはや日本の国内問題ではなく、世界の海洋環境全体に影響を与える深刻な国際問題だ」と述べた。総会に出席した日本の竹本直一科学技術担当大臣は、「科学的根拠がまったくない」と応酬した。
韓国だけでなく、朝鮮もこの問題に懸念を表明した。韓国アリラン・テレビの報道によると、朝鮮では最近、日本は太平洋への放射性廃棄物の放出計画をただちに取り消すべきであり、計画が実施されれば朝鮮半島と世界全体にとって大きな災難になるとの見方が伝えられたという。
▽国際社会は力を合わせて対処すべき
放射能汚染水を本当に海に放出できるだろうか。米経済誌「フォーブス」は、「できる」とし、「放射能汚染水処理の一番の近道は海に放出することで、汚染水に含まれるトリチウムは確実に無害だ」と伝えた。AP通信は、「IAEAと日本の原発の監督管理を担う当局の科学者の一部も、放射能汚染水を海に放出するのは最も科学的かつ経済的な選択であるとの見方を示した」と伝えた。
しかし「アジア・タイムズ・オンライン」は、「たとえ今すぐに放出を始めようと思っても、東京電力はおよそ1年をかけて希釈設備と放出用のパイプラインを建造しなければならない。よって、東京電力が20年までに放出を完了できないことは明らかだ」と伝えた。
西安交通大学エネルギー・動力工程学院原子力科学・技術学部の張斌准教授は、「原発ごとに状況は異なるため、一概に論ずることはできない。通常は原発から出た廃液は特定の汚染排出システムを通じて排出されるが、その前に専門的な設備で処理、貯蔵、モニタリングを行う必要がある。海には一定の自浄能力や希釈能力があるが、放出の過程にはなお大きな不確定性が存在するといえる」と述べた。
文第1次官は、「こうした不確定性にIAEAと他の加盟国は力を合わせて対処しなければならない」と述べた。
ただ、このたび新たに就任した日本の小泉進次郎環境大臣の態度が転機になる可能性がある。ロイター通信の報道によれば、小泉大臣は就任後初の記者会見で、「日本が原発事故の再発を避けるため原子炉を閉鎖することを願う」と発言。日本の共同通信によれば、小泉大臣は福島県を訪問した際、前大臣の発言について現地の漁業関係者に謝罪し、「放射能汚染水の処理方法は現在検討中」と述べたという。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年10月9日
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