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福島汚染水、大阪放流って、実現性あるの?
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2019/09/22(日) 19:42:14 めげ猫「タマ」の日記
大阪市長が9月17日に福島汚染水を科学的根拠があれば大阪湾で受け入れもありと発言しました(1)。でも、(=^・^=)なりに調べると、福島から大阪まで運べるか?大阪の漁協の理解がえらるかなど、問題があります。
福島第一では地下水が山から流れて来て、原子炉やタービン建屋(以下建屋と略す)に流入しています。あるいは海までに達しています。原子炉建屋にデブリ等がむき出しで放置されています。デブリ等に触れた水は放射能に汚染されます(2)。汚染されれば海に流せないので、これを汲みあげ浄化装置を通した後で海に流しています。ただし全ての放射性物質が浄化できる訳ではありません。東京電力はトリチウムは浄化できないとしています(3)。以下に福島第一汚染水のトリチウム濃度を示します。
トリチウム濃度が下がりだした福島第一汚染水
※(4)(5)にて作成
図―1 福島第一汚染水のトリチウム濃度
図に示す様に最新では1リットル当たり100万ベクレル程度です。国の排水基準は1リットル当たり6万ベクレルですので(6)、20倍弱です。このままでは、海に流せないので東京電力は福島第一構内に汚染水タンクを作り保管しています。
増え続ける福島第一汚染水
※(7)(8)を集計
図―2 どんどん増える福島第一汚染水
福島第一の敷地の広さには限界があり、何時かは行き詰るとの見方があります。これを避ける為に、経済産業省は「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(以下小委員会と略す)を立ち上げ、処分方法の検討を進めています(9)。そして昨年(2018年)8月末に公聴会が開かれました(10)。公聴会の資料(11)には「トリチウムは、水素の仲間で、弱い放射線を出す物質。自然界にも存在し、大気中の水蒸気、雨水、海水、水道水にも含まれている。」等のトリチウムの安全性を強調する文言は記載されており(無論、リスクを示す内容はありません)、さらに5つの処分方法を提示した後で
「海洋放出、水蒸気放出については、規制基準が存在し、国内外において放出の実績があるが、地層注入については適用される既存の基準がなく、長期モニタリングの方法も確立されていない、水素放出については、前処理やスケール拡大について研究開発が必要といった課題がある。なお、地層注入、地下埋設についてはモニタリングが将来にわたり必要な可能性あり。」
と海洋放出の優位性を強調しています。資料を見る限り、公聴会で「海洋放出」のお墨付きを得て、一気に海洋放出に進むつもりだったようです。
ところが「海洋放出」に反対する意見が続出して(10)目論見はとん挫してしまいまいた。汚染水の海洋放出は福島の皆さんにも不評です。福島県民を対象した世論調査では反対が65%と多く、賛成は19%でした(12)。
公聴会後の3回ほど小委員会が開かれたのですが、結論には至らなかったようです。そして昨年12月28日の第12回を最後に8月9日まで、7ヶ月以上開かれませんでした(9)。ところが8月9日に開かれました(13)。ここに、東京電力は2022年夏には、タンクがいっぱいになるとの資料を提出しました(14)。
3年後に福島第一の汚染水タンクが一杯となるとする東京電力資料
※1(14)を引用
※2 ALPS処理水は「汚染水」の最終形態(3)
図―3 2022年夏には、タンクがいっぱいになるとの東京電力資料
これについて大阪市長は9月17日に
、「科学的根拠があり、自然界レベルと比べて全く影響がないなら、政治家が(受け入れを)決断すべきことだ」と述べ、無害であるという根拠を国が示せば、大阪湾への放出を認める考えを示しました(1)。
大阪市長の汚染水の大阪湾放出言及を報じる福島県の地方紙・福島民報
※(15)を9月18日に閲覧
図―4 大阪市長の汚染水の大阪湾放出言及を報じる福島県の地方紙・福島民報
福島第一に保管されている汚染水の総量は東京電力の発表を集計すると
2018年9月13日時点 1,157,391立方メートル(16)
2019年9月12日時点 1,207,391立方メートル(17)
です。364日間で50,000立方メートル、1日当たり137立方メートル増えています。海に捨てるなら、増える分は確実に捨てなくてはなりません。余裕を見れば1日当たり200立方メートルは海洋に投棄する必要があります。
図―1に示す様に福島第一汚染水のトリチウム濃度は1リットル当たり100万ベクレルです。一方で法定限度(告示濃度)は6万ベクレルです(18)。最低でも20倍弱、余裕をみれば40倍に薄める必要があります。薄めた後の量は1日当たり8,000立方メートルです。薄める作業は福島で実施する必要があります。第一に大阪に薄める施設を作る場合は、用地の確保、周辺住民の同意などが必要ですが、福島第一構内ならその必要はありません。福島第一では日々汚染水タンクを作り続けていますが(14)、増設の度に立地する大熊町(19)の了解を取ったとのニュースを(=^・^=)は知りません。残り時間は3年なのでスピードを重視すれば、福島第一構内に作るしかありません。第二に輸送途中の事故です。事故で汚染水が漏れても薄めてあれば、法定限度以下で安全だと強弁ができます。すると毎日8,000立方メートルの希釈汚染水を福島から大阪に運び続ける必要があります。
理想はタンカーだと思います。だだし、タンカーは直ぐにはできません。2008年に受注したタンカーの納期は2012年との例があります(20)。4年係っています。これでは間に合いません。タンクローリーで運ぶ事になると思います。
容量20立方メートルの大型のタンクローリ(21)が1日当たり400台(8,000÷20)必要です。以下に福島第一から大阪湾までのルートを示します。
10時間かかる福島・大阪間
※Google Mapで検索
図―5 福島第一から大阪までのルート
10時間程度かかります。日程的は1日目に福島から大阪(泊)、2日目大阪から福島で3日目は休息でしょうか?概ね3日で1往復になります。すると1,200台の大型のタンクローリーが必要になります。一方で、大型のタンクローリーは3,204台(白油3,163、黒油41)です(22)。日本の3分の1以上のタンクローリーを集められるか(=^・^=)は疑問です。
東京都内を避けるとしたら、福島第一から常磐道で茨城県に、そこから北関東自動車道で栃木県を通過して群馬県、そこから関越道、上信越自動車道を経て長野県、中央道で岐阜県、そこら名神で岐阜県、滋賀県、京都府、大阪府になります。起点と終点の福島県と大阪府を除いても、茨城県、栃木県、群馬県、長野県、岐阜県、愛知県、滋賀県、京都府の7件1府の了解が必要です。了解をとるのも簡単ではないと思います。
大阪府でも漁業が行われています。年間40億円程度の漁獲があります(23)。事故後(2016年)の福島が79億円なので(24)、かなり小規模です。それでも、海洋放出となれば大阪のお魚は多く方に避けられるようになり、売れなくなるはずです。補償交渉をまとめておく必要です。でも、大阪の漁師さんは18日、大阪市長、大阪知事に発言撤回を求める緊急抗議文を提出しました(25)。大阪の漁師さんが補償交渉に入ることはないと思います。
大阪市長が9月17日に福島汚染水を科学的根拠があれば大阪湾で受け入れもありと発言しました(1)。でも、
・福島から大阪まで汚染水を運びきれるか
・大阪の漁師さんの同意が得られるか
などの問題があり、実現は難しそうです。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
経済産業省は福島第一汚染水の処分について「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」を立ち上げて検討しています。ただし、この「小委員会」は今年は1回しか開かれていません(26)。議論は進まないようです。図―2に示す様に、福島第一汚染水は日々増え続けています。このままでは、そのうち溢れてします。この問題で担当の経済産業大臣は「(処分方法を検討する政府の)小委員会で議論しており、その結果を見ながら判断していく」と述べるにとどめました(27)。
経済産業大臣の「小委員会の結果を見て判断」との発言を報じる福島のローカルTV局・FTV
※(28)をキャプチャー
図―6 経済産業大臣の「小委員会の結果を見て判断」との発言を報じる福島のローカルTV局・FTV
(=^・^=)には当事者意識を欠いていると見えます。こんな大臣では福島の皆様は不安だと思います。
福島を代表する果物にナシがあります(29)。今、福島県会津若松市ではナシ狩りが楽しめます(30)。福島はナシの季節です。福島のナシはおいしいとの事です(31)。福島県は福島産ナシは「安全」だと主張しています(32)。でも、福島県会津若松市のスーパーのチラシには福島産ナシは無しです。
他県産はあっても福島産ナシが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
※(33)を引用
図―7 福島産ナシが無い福島県会津若松市のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県会津若松市の皆さまを見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-3024.html
(1)原発処理水、大阪湾で受け入れ=科学的根拠あれば−松井大阪市長:時事ドットコム
(2)汚染水対策の状況 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(3)汚染水の浄化処理 - 廃炉プロジェクト|廃炉作業の状況|東京電力ホールディングス株式会社
(4)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果|アーカイブ|東京電力中の「水処理設備の分析結果⇒水処理設備の放射能濃度測定結果 」
(5)福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果アーカイブ|データ|東京電力ホールディングス株式会社の「水処理設備の分析結果」
(6)周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社
(7)プレスリリース|リリース・お知らせ一覧|東京電力ホールディングス株式会社ちゅの「福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について」
(8)福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について - 廃炉プロジェクト|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社
(9)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(10)多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会 (METI/経済産業省)
(11)(10)中の・多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会 説明・公聴会資料(pdf:5518KB)
(12)復興への道筋「ついた」52% 福島県民対象の世論調査:朝日新聞デジタル
(13)多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第13回)‐配布資料(METI/経済産業省)
(14)(13)中の多核種除去設備等処理水の貯留の見通し
(15)>福島民報社
(16)2018年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒9月⇒ 18日
(17)>2019年のアーカイブ|公表資料|東京電力ホールディングス株式会社⇒9月⇒ 17日
(18)周辺の分析結果ー分析結果 - 廃炉プロジェクト|データ|東京電力ホールディングス株式会社
(19)福島第一原子力発電所 - Wikipedia
(20)現代重工/タンカー9隻受注。納期12年、1隻9220万ドル|日本海事新聞 電子版
(21)タンクローリーの容量はどのくらい?大型・中小型のサイズ別に解説 | DriverHacker[ドライバーハッカー]
(22)調査の結果|石油設備調査|資源エネルギー庁
(23)大阪府の漁獲量・漁獲金額 | 大阪府立環境農林水産総合研究所
(24)福島県の水産業 - 福島県ホームページ
(25)大阪湾への処理水放出発言で抗議 地元漁業組合が市長と府知事に | 共同通信
(26)福島第一原子力発電所における汚染水対策 (METI/経済産業省)
(27)経産相、廃炉作業を見学 就任後初の福島入り | 河北新報オンラインニュース
(28)ローカルTime FNN被災地発...
(29)ふくしまイレブンエッセイ - 福島県ホームページ
(30)フルーツランド北会津
(31)食の宝庫ふくしま | ふくしま満天堂(ふくしまプライド。)
(32)安全が確認された農林水産物(公開用簡易資料) - 福島県ホームページ
(33)アピタ会津若松店│「イイこと、プラス。」 アピタ・ピアゴ
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