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旧ソ連核実験場「ポリゴン」のあったカザフスタン・セミパラチンスクの放射能被ばく被害に関する本を
地元出身の女性が昨年出版した。
「核実験地に住む カザフスタン・セミパラチンスクの現在 アケルケ・スルタノヴァ著」
(花伝社)
http://www.kadensha.net/books/2018/201807kakuzikkenti.html
著者のアケルケ・スルタノヴァさんは1983年、セミパラチンスク生まれ。
1980年代末の核実験による地揺れを覚えているという。
テレビでアニメ「はだしのゲン」を見て衝撃を受け、広島・長崎のことを知った。
そして広島・山陽女学園高校に1年留学、帰国後、大学を卒業し、さらに一橋大学大学院に留学。
現在は通訳などで活躍中。
旧ソ連はセミパラチンスクの核実験場「ポリゴン」で450回を越す核実験を実施した。
1986年にチェルノブイリ原発事故が起きてソ連が弱体化、1989年にセミパラチンスクの核実験場の
閉鎖を要求する運動が起き、1991年に正式に閉鎖された。
カザフスタン独立後、それまで極秘とされてきた放射能汚染による被ばく被害の悲惨な実態が
徐々に明らかになった。
その被ばく被害の例を引用しよう。
われわれにはすでになじみのある症状ばかりである。
「
調査の結果、4村の住民に見られた皮膚の破壊や早期老化などの障害、爪のわれ、さかむけ、
脱毛の発症率は、比較地域より30〜40倍多かった。これらの症状の中では脱毛が特に多く、
シュに若い男女に見られた。高齢者は常に帽子やスカーフを被る習慣によってこのような症状を
避けることができたと判断された。
憂鬱状態とだるさもこの地域の住民の特有なものだった。他にも、それまで知られていなかった
独特な病的徴候の複合症状が発見された。その特徴は、無気力状態、貧血、高血圧、白血球減少症、
リンパ細胞症とリンパ球減少症、歯茎、粘膜、鼻、腸の出血などの病気だった。また、住民の
90%に血液凝固因子の減少が見られた(比較地域-10%)。
これらの地域の住民に見られたもう一つの変化は早期老化であった。彼らの内臓器官と神経は、
被ばくの影響を受けていない地域の10〜15歳年上の人のものに相当した。
」 (p.102)
住民の声も多数、掲載されている。
「
(・・・) 私たちは7人兄弟でした。4人が白血病で死にました。1人は食道癌で死にました。
私は耳が悪いです。目も悪いです。子どもたちは若い内から健康が弱いです。
孫もよく病気になります。この村では元気な人はいません。探しても見つかりません (・・・)。
(男性、1939年生まれ)」 (p.121)
「
(・・・) 夫は54歳の時に癌で亡くなりました。1961年に目の見えない長男が生まれました。
孫の手には指が6本あります。私は心臓病に悩んでいます (・・・)。 (女性、1934年生まれ)
」 (p.126)
「
(・・・) 私はXXX村で産婦人科医として働きました。目と鼻のない赤ちゃんが生まれたことを
今も覚えています。母親には見せられませんでした。その赤ちゃんは2時間後に亡くなりました。
他にも、指の数が多い赤ちゃんや口蓋裂など障害を持った赤ちゃんがたくさん生まれました
(・・・)。 (女性、1952年生まれ)
」 (p.126)
さらに、直接被ばくをしていない第二、第三世代に被ばく被害が遺伝することも明らかになった。
「
1980年代後半、物理学者のチャスニコフ(I.Chasnikov)は、1970年代にセミパラチンスク地域で
見られた乳幼児死亡率の増加(1975年にピークに至る)について、大気圏核実験が終わってから
(1963年以降)生まれ、1950年代に外部被ばくした祖父・祖母を、そして大気圏核実験による
放射性降下物によって植物が最も汚染されていた1964〜1965年に内部被ばくした親(第1世代)を持つ、
第2世代に見られる被ばくの影響であったことも指摘した。またこの傾向は、90年代から生まれてくる
第3世代にもっとも強く現れることを推測した。
彼の推測は正しかった。奇形児、障害児、知的障害児の出生や小児癌、心臓病の発症率は
第3世代に最も多く見られた。1988年にはセミパラチンスク州の乳幼児死亡率は、
同年のカザフスタン全体の乳幼児死亡率を18%上回ったのである。現在の東カザフスタン州では
先天性の障害を持って生まれた子どもは1990年の187.7から2004年に326.4(58%)まで増加した。
」 (p.103)
興味深かったのは、強制的に実験台にされた住民がいたことだ。
カラウルという村では、核実験に先立って離れた土地に住民を一時避難させたが、
軍に選ばれた40人は村に残され、猛烈な被ばくをしてがんや白血病で全員早死にしたという。
悪魔のような旧ソ連軍部に怒りがわくが、福島では40人どころか県民200万人を
モルモットにしているわけで、日本にくらべれば小悪魔程度かも知れない。
広島のABCC(原爆傷害調査委員会)のような、被ばく者のデータを取るだけで全く治療をしない
「第4診療所」という極秘の施設があったことも興味深い。
これから日本で何が起きるかを知る上でも非常に興味深い内容である。
ぜひ一読をおすすめする。
(関連情報)
「カザフスタン核実験場跡『18年後のセミパラチンスク』 (全て文字起こし) 」
(みんな楽しくHappy?がいい♪ 2011/11/25)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-791.html
「核実験場の羊飼い ソ連・セミパラチンスク 1989」 (42分 YouTube・MrKz1011xx 2014/6/22)
https://www.youtube.com/watch?v=YCsVtQoR5l8
「封印された核実験の実態:セミパラチンスク・サハラ」
(14分 YouTube・LunaticEclipsNuclea2 2010/10/11)
https://www.youtube.com/watch?v=av2SoQ8BuoY
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