http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/708.html
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菊池誠・大阪大物理学教授の「福島の甲状腺検査は即刻中止すべき」という朝日新聞「論座」の記事に対し、
多くの反論があったようで、今度は医師の名郷直樹氏による記事が掲載されている。
長い記事なので、最後の結論だけを引用する。
「がん 早期発見・早期治療が善であるとは限らない 一臨床医から見たがん検診の一般的な問題点」
(名郷直樹 「武蔵国分寺公園クリニック」院長 朝日新聞・論座 2019/7/7)
https://webronza.asahi.com/national/articles/2019070300008.html
「
最後に福島の甲状腺がん検診に関して、私自身の意見を述べておきたい。
被曝量の推定が信じられない、被曝による甲状腺がんの予後がいいとは思えないという中で、もしそうした状況であれば早く見つけて早く治療したいというのはもっともだ。私自身が外来でがん検診の相談に乗るのも似たような状況である。自分が乳がんになりやすいかどうかわからない。もし乳がんになりやすいほうだとしたら乳がん検診を受けて早期発見、早期治療を受けたいというのは、日々の診療で日常的な問題である。もちろん、被曝したという特殊な状況と一緒にするわけにはいかないが、もともと乳がんになりやすい遺伝子を持っているかどうか知りたいというような特殊な状況もあり、同じように考えてみるのは案外役に立つ。
たとえばこの心配を持つ女性が20歳だとしたら、乳がんの危険はかなり低いので検診自体の害を考えると検診は受けないほうを勧めることが多い。50歳になると受けてみてもいいのではということが多いが、必ずがん検診の害の部分について情報提供する。そうすると検診をやめるという人も少なくない。80歳では、おそらく早期乳がんの診断を受けても寿命のほうが早い可能性が高く、受けないほうがいいですよと説明する。全員が乳がん検診を受けたほうがいいというのはあまりにナイーブな意見だ。
これを福島の状況に当てはめると、被曝の可能性が極めて低い人は受けないほうがいいし、被曝の可能性が高い人で迷うという状況である。ただ、少なくとも福島県全県を上げて甲状腺がん検診を受けることを勧めるということは絶対にしないほうがいい。被曝量の多いことが疑われる人、多量の被曝の可能性を心配する人に限って、害の可能性まできちんと説明したうえで、がんを探しに行くかどうか相談するというのがいい。
すべての女性に乳がん検診を勧めるのが「非」であるように、県全体を対象にした無差別な甲状腺がん検診は、福島の個別性を考慮しても「非」であることは明らか、それが私の結論である。
」
早期発見・早期治療が善であるとは限らないという名郷直樹氏の主張は一般論としては正しいと
思うし、異論はない。
ただ、福島原発事故以降、福島を中心に深刻な放射能汚染が拡がり、すでに無視できないほどの
健康被害が起きている「原発事故以後の世界」では、そういった一般論は全く通用しない。
現に、事故後5年間で福島では1000件以上の甲状腺がん手術が行なわれている。
その大半は、今までに見られなかった進行が速く、すでにリンパ節などに転移している
深刻なケースである。
福島には「被曝の可能性が極めて低い人」はいない。
いや、日本国民全員が程度の差はあれ被ばくしている深刻な状況である。
手遅れにならないためにも、甲状腺がん検診に力を入れるのが常識であろう。
甲状腺がんだけではない。あらゆるがんが激増している。
従来のがんと異なり、被ばくで生じるがんはふるまいが異なり、ひっそりとしかも非常に速く進行する。
闘病ブログを読んでいると、健康には自信があったのに、ちょっと体調不良になり病院に行ったら、
すでにステージIVの末期がん、余命宣告を受けたという人が驚くほど多い。
また良性腫瘍、あるいは他の疾患だと診断されたものの、実はがんだったとというケースも多い。
こういった誤診は、医師や医療に対する信頼を根底から揺るがすことになる。
きちんと、被ばくによるがんが増えていることを認め、それに応じた対策を早急に取らないと
これから大変なことになるだろう。
今のままでは、医師は誤診したと患者からは恨まれ、大勢の末期患者を抱えて
どうにもならなくなる。
被ばくを無視して、最後にツケが回ってくるのは医師なのだ。
がん検診を中止し、何の異常も起きていないふりをしたところで、がん患者は増える一方であり、
その深刻な状況が国民に知れ渡るのは時間の問題である。
そしてその先には悲惨な医療崩壊が待っている。
医療崩壊を防ぐためにも、これからはしっかりとがん検診を行ない、早期発見、早期治療に
努める必要がある。
(関連情報)
[1] 「福島の甲状腺検査は即刻中止すべきだ (菊池誠・大阪大学教授 朝日新聞・論座)」
(拙稿 2019/6/30)
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/686.html
[2] 「被ばくで隠れたタイプのがんが激増か 小林麻央さんは再検査で複数の医師から
乳がんを否定された」 (拙稿 2016/9/15)
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/472.html
[3] 「デザイナー・広林依子さん 29歳で逝去 見つかったときはすでにステージ4
内部被ばくで静かに進行するがんか」 (拙稿 2017/12/3)
http://www.asyura2.com/17/genpatu49/msg/189.html
[4] 「『がんではない、心配ない』と診断されたが実はがんだった 誤診が増えているのはなぜか」
(拙稿 2019/4/10)
http://www.asyura2.com/19/genpatu51/msg/340.html
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