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福島甲状腺、被ばくに関連性なしと報告書、密室で決まりました。
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2019/06/03(月) 19:46:00 めげ猫「タマ」の日記
今日(6月3日)に第13回甲状腺検査評価部会が開かれました(1)。そこで、福島の甲状腺検査で2巡目の検査で見つかったがんと被ばくに関連性がないとする中間報告(2)が了承されました(3)。ただし、5月30日には決まった旨の報道がなされています(4)(5)。会議前の5月30日までに結論が出ていたようです。先回(12回)の議事を見ると(7)(8)、中間報告の内容について特段の議論があったわけではありません。先回終了後、5月30日の間に議論が公表される事がないまま、密室で決まりました。
チェルノブイリ原発事故で子供の甲状腺がんの多発が見つかりました(9)。これを受けて福島でも事故当時18歳以下だった子供を対象にした甲状せん検査が実施されています(10)。当初の想定は100万人当たり2,3人です(11)。これまでの発表(13)(14)(15)を集計すると累積で
約30万人の検査で221人
の悪性ないし悪性の疑いの方が見つりました。1万人当たりにして7人です。当初の想定に比べ極めて高い割合です。以下に推移を示します。
どんどん増える福島小児甲状腺がん
※(16)を集計
図―1 どんどん増える福島の甲状腺癌
これについて福島原発事故の為とも(17)、そうでないとも主張があります(18)。
甲状腺がんはヨウ素131の被ばくによって生じる物とされていますが(19)、ヨウ素131は半減期(量が半分になるまでの時間)が8日です(20)。摂取制限などで、ヨウ素131による被ばくを抑制するには、半減期に比べ短い期間内に対策が実施されていなければ効果はありません。
以下に福島県県北地区産野菜と原乳の2011年3月中の検査結果を示します。
基準超のヨウ素131に汚染されていた福島産
※1(21)を集計
※2 基準値(当時)は(22)による。
※3 日付けは検査完了日
図―2 福島県県北地区産野菜と原乳の2011年3月中の検査結果
図示すように最初の検査結果が出るのに数日を要しました。福島産原乳の出荷制限が出たのは事故から10日後の3月21日(23)、野菜は12日後の3月23日です(24)。この間、高い濃度のヨウ素131に汚染された福島産が流通し、福島の子ども達が食べたかもしれません。
福島県二本松市放射線専門家チーム アドバイザーの木村真三氏(25)は
「飲料水や食べ物を通じて取り込まれたヨウ素131 による甲状腺への被ばくに関しては詳しいことがわかっていない。呼吸から取り込まれた分も考慮すると,少なくとも福島県中通り地方でのヨウ素131 の内部被ばくは,これまで予想されているものよりも高いと考えられる。」
と指摘しています(26)。
東京電力福島第一原発事故の直後、福島県双葉町にいた十一歳の少女の頸部に簡易的な放射線測定器であるGM管(27)を当てたら、1分間当たり5〜7万個の放射線が観測されたそうです。これを甲状腺被ばく線量に換算すると推計で100ミリシーベルトの被ばく線量になるそうです(28)。100ミリシーベル以上の被ばくでは、癌に罹患する割合が増加することが観測されています(29)。
一方で、福島医大特任教授坪倉正治(医師)さん(30)は、福島県の地方紙・福島民友に寄稿した記事で
「早期に避難や食品管理が行われた福島」
と述べています(31)。すでに述べている通り、出荷制限が行われたの事故後10日以上で。ヨウ素131の半減期(8日(20))に比べ長く、これを「早期」と言えるかは疑問です。
放射線の身体的影響には、早期効果と晩発効果の二つに分けられます。早期効果は、一度に大量の放射線を被曝した後数週間以内に現れてくる障害です。晩発効果は、被曝後しばらく症状の現れない潜伏期間があるものをいいます。発癌も晩発効果に含まれます(29)。甲状腺癌も直ぐに現れる訳ではありません。以下にチェルノブイリでの甲状腺がんの発症率の推移を示します。
1990年位から増えたチェルノブイリの甲状腺癌
※1(9)にて作成
※2 年齢は発症時の年齢
※3 チェルノブイリ原発事故は1986年(32)
図―3 チェルノブイリ原発事故での甲状腺癌発生率
図に示す通りチェルノブイリ原発事故では事故の4年目以降から増加が見られます。
福島県の甲状腺検査は2011〜13年度に開始された1順目(先行検査)(13)、2014、15年度開始の2順目(本格調査1回目)(14)、2016、17年度開始ないし開始予定の3順目(本格調査2回目)(15)が実施されます。甲状腺検査は1次検査と詳細な2次検査に分かれています。2次検査が完了して検査が終わったことになります。以下に2次検査完了者÷現時点(6月3日)までの発表で集計した2次検査完了率を示します。
概ね事故4年で確定した1順目検査
※1(16)を集計
※2 3順目の()内は実施年度
図―4 2次検査完了率
図に示すように1順目の検査では図―6との比較においてチェルノブイリでは発祥が増加する以前の事故後4年以内の2014年3月末に概ね終わっています。2順目の検査は同じくチェルノブイリでは増加がみられた4年目以降に確定しています。チェルノブイリの例を習うなら1順目の検査に比べ、2順目以降の検査は事故の影響を強く受けた結果が出ます。 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)(33)は、福島事故での甲状腺被ばく線量の推計値を出しています(34)。以下に示します。
甲状腺被ばく線量推定値
※(34)にて作成
図―5 甲状腺被ばく線量推定値
以下に市町村別の2順目の悪性または疑いと診断された方の割合(以下罹患率とする)を示します。
三春町では見つからい2順目の罹患者
※(14)を集計
図―6 2順目(本格調査1回)での甲状腺罹患率
(=^・^=)には似たように見えます。ところが福島県立医大の結論は
「震災時年齢が 6-14 歳の対象者および 15 歳以上の対象者において,線量依存性の悪性あるいは悪性疑い発見の性・年齢調整オッズ比の上昇傾向は認められなかった。」
です(34)。
4分割して統計的な差ナシと主張する福島県立医大
※(34)を引用
図―7 罹患率は甲状腺被ばく線量には関係ないとする甲状腺検査評価部会資料
よく見ると年齢で15歳未満と以上の2分割、線量で4分割、合計で8分割で評価しています。統計はサンプル数が多いほど精度が上がります(35)。そこでサンプル数を稼ぐ為に2分割で評価してみました。すると
被ばく線量20mGy未満 検査 86,679人中14人が悪性ないしう疑い(罹患率0.016%)
被ばく線量20mGy以上 検査183,837人中57人が悪性ないしう疑い(罹患率0.031%)
で、罹患率に倍近い差がありました。このような事が偶然に起こる確率を計算したら、統計的な差がある5%(36)を下回る2.5%でした。以下に偶然に起こる確率の計算結果を示します。
表―1 偶然に起こる確率の計算結果
※計算方法は(=^・^=)の過去の記事(37)による。
有意差検定表
ここでmGy(ミリグレイ)は、今、問題にしているのがヨウ素131の放射線ですが、ベータ線やガンマ線なので、シーベルトへの変換係数は1です(38)。mGyはミリシーベルト(mSv)に読み替えできます。
福島県立医大の解析を元に議論するなら、福島県立医大が実施した解析方法が妥当なの、もっと精度が高い解析方法は無いか議論が必要です。しかし、そのような議論はな聞き取れませんでした(3)。そして、この福島県立医大の報告(34)を根拠に、今日(6月3日)に開かれた福島県県民健康管理調査・第13回甲状腺検査評価部会(1)で福島の甲状腺検査で2巡目の検査で見つかったがんと被ばくに関連性がないとする中間報告(案)(2)概ね了承されました(3)。。ただし
「東京電力福島第1原発事故後当時18歳以下だった福島県内全ての子どもを対象とした甲状腺検査で、2014、15年度に実施した2巡目の検査で見つかったがんと被ばくに関連性がないとする中間報告を、専門家による部会がまとめたことが31日、関係者への取材で分かった。」
との報道が5月31日にありました。
福島の甲状腺は被ばくとは無関係の結論が出ると報じる福島民友
※(39)を5月31日に閲覧
図―8 福島甲状腺がんと被ばくとの関連が無いととの報告が6月3日出ると報じる福島県の地方紙・福島民友
検討会前の5月31日には、すでに結論が決まっていました。前回(12回)には、福島県立医大の解析妥当性についてはあまり議論がありませんんでした(6)(7)。それが、5月31日までに、採用が決まり「被ばくに関連性がないとする中間報告」になりました。先回終了後、5月30日の間に議論が公表される事がないまま、密室で決まりました。
<余談>
図表が小さいとご不満の方はこちら、図表をクリックしてください。
2012年に福島県県民健康管理調査で「秘密会」が開催され、そこで擦り合わせた内容に基づき公開の席での話し合いが進められたことがありました(40)。そして、今回も不透明です。
福島県の地方紙・福島民友はこの件について
「2巡目の見解が初めてまとまったことで、今後の検査の在り方に影響を与えそうだ。」
と報じていました(5)。福島の甲状腺検査の見直しが、主張されています(40)。もし、中止になれば、福島事故との因果関係はウヤムヤになり、多くの方が安心すると思います。安倍出戻り総理は、原発は事故っても「安全」が主張でき、再稼働がしやすくなります。福島県は「風評被害」を主張し続けることができます。東京電力は、甲状腺がんと放射能汚染との因果関係証明されなければ、証明された時に支払わなくてはならない賠償を逃れられます。多くの方にとって、福島・小児甲状腺がんと因果関係を否定し続け、甲状腺検査を中止に追い込む事が利益になります。これでは福島の皆様は不安だと思います。
6月になり福島はブロッコリーが最盛期になりました(42)。福島のブロッコリーは花蕾の食感が良く柔らかいそうです(43)。安倍出戻り内閣は福島産は「安全」だと主張しています(44)。でも、福島県棚倉町のスーパーのチラシには福島産ブロッコリーはありません。
他県産はあっても福島産ブロッコリーが無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
※(45)を引用
図―9 福島産ブロコッリーが無い福島県棚倉町のスーパーのチラシ
(=^・^=)も福島県棚倉町の皆様を見習い「フクシマ産」は食べません。
―参考にしたサイト様および引用した過去の記事―
http://mekenekotama.blog38.fc2.com/blog-entry-2914.html
(1)第13回甲状腺検査評価部会(令和元年6月3日)の開催について - 福島県ホームページ
(2)(1)中の 資料3 甲状腺検査本格検査(検査2回目)結果に対する部会まとめ(案) [PDFファイル/273KB]
(3)【ライブ配信】第13回甲状腺検査評価部会 3日13時半〜 | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー
(4)原発事故とがんの関連否定 子ども甲状腺の本格検査 | 共同通信 ニュース | 沖縄タイムス+プラス
(5)原発事故とがんの関連否定 子ども甲状腺の本格検査:主要:福島民友新聞社 みんゆうNet
(6)第12回甲状腺検査評価部会(平成31年2月22日)について - 福島県ホームページ
(7)(6)中の 第12回甲状腺検査評価部会 議事録 [PDFファイル/490KB]
(8)甲状腺検査は「益」か「害」か〜同意書をめぐり平行線 | OurPlanet-TV:特定非営利活動法人 アワープラネット・ティービー
(9)放射線被曝とがんとの関連性3 | トピックス | 日本臨床検査薬協会
(10)県民健康調査について - 福島県ホームページ
(11)第3回「県民健康調査」検討委員会(平成23年7月24日開催) - 福島県ホームページ中の当日配布資料
(12)第31回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成30年6月18日)の開催について - 福島県ホームページ
(13)(12)中の 資料3-1 県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要 [PDFファイル/969KB]
(14)(12)中の資料3-2 県民健康調査「甲状腺検査【本格検査(検査2回目)】」結果概要<平成29年度追補版> [PDFファイル/8.77MB]
(15)第34回「県民健康調査」検討委員会(平成31年4月8日)の開催について - 福島県ホームページ中の 資料3-1 県民健康調査「甲状腺検査【本格検査(検査3回目)】」実施状況 [PDFファイル/1.1MB]
(16)「県民健康調査」検討委員会 - 福島県ホームページ
(17)「福島の子供の甲状腺がん発症率は20〜50倍」 津田敏秀氏ら論文で指摘
(18)福島県における小児甲状腺超音波検査について
(19)ヨウ素131 - Wikipedia
(20)半減期 - Wikipedia
(21)報道発表資料 |厚生労働省
(22)放射性物質に関する基準値等について ? 放射能情報サイトみやぎ
(23)食品の出荷制限について |報道発表資料|厚生労働省
(24)食品の摂取制限及び出荷制限について(福島県及び茨城県) |報道発表資料|厚生労働省
(25)放射線学習会を開催します | 二本松市公式ウェブサイト(26)新潟県:新潟県原子力発電所事故による健康と生活への影響に関する検証委員会中の・会議資料(PDF形式 2015 キロバイト)
(27)GM管 - ATOMICA -
(28)東京新聞:11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告:社会(TOKYO Web)
(29)一般社団法人 日本臨床検査薬協会 | 臨床検査からわかるトピックス | 放射線被曝・がん | Q2
(30)坪倉先生の放射線教室:福島民友新聞社 みんゆうNet
(31)甲状腺の被ばく量に違い :坪倉先生の放射線教室:福島民友新聞社 みんゆうNet
(32)チェルノブイリ原子力発電所事故 - Wikipedia
(33)原子放射線の影響に関する国連科学委員会 - Wikipedia
(34)(6)中の参考資料5 UNSCEAR2013年報告書【抜粋】 [PDFファイル/1.47MB]
(35)大数の法則 - Wikipedia
(36)有意水準とは - 統計学用語 Weblio辞書
(37)めげ猫「タマ」の日記 偶然に起こる確率の計算方法について
(38)シーベルト - Wikipedia
(39)福島民友新聞社 みんゆうNet −福島県のニュース・スポーツ−
(40)福島健康調査:「秘密会」で見解すり合わせ (毎日新聞 10/3〜10/6) - 新・静かな町
(41)『過剰診断』の指摘も 甲状腺検査4巡目、見直し・縮小求める声:甲状腺検査:福島民友新聞社 みんゆうNet
(42)福島産野菜この5年震災前と現在 アスパラガス、ブロッコリー、ピーマン、キュウリ
(43)特産品情報 | 地区別くらし情報 そうま地区 | JAふくしま未来
(44)風評に立ち向かう|福島|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
(45)エコス棚倉店
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