トリチウム
東京電力は日本国民の電気を供給する公的使命を持った巨大企業でありながら、国民を見下し、小馬鹿にし、ウソで誤魔化す体質が身についた組織である。
半世紀前に原発運営に着手して以来、マスコミに公表する内容は、すべて自分たちに都合の良いウソばかりと断言してもよい。
都合の悪いことは公表しないか、数十分の一に矮小化し、みんなが忘れた頃になって、さりげなく、小出しにアリバイ証明のように流す。
フクイチ事故の報告も、矮小化に次ぐ矮小化、ウソにウソを塗り重ねて、自分たちでさえ真実がどこにあるのか分からなくなっている。
事故処理能力など存在しないのに、やってるフリだけをして時間稼ぎをしている。
ウソをついても時間が経てば世間が忘れてくれるとでも勘違いしているのだろう。
私は、最初から原子炉格納容器が破壊され、メルトダウンした核燃料が大気放出されたと予想していたが、東電は御用学者と工作員を総動員して
「メルトダウンは起きていない」
「原子炉は無事に冷やされてる、格納容器は健全だ」
と見え透いたデマカセを言い続け、真実の情報ををデマ扱いしてきたのだ。
だが、彼らは、原子炉が完全破壊されていることなど、事故の瞬間から、とっくに知っていた。それは事故直後のフクイチ所長や東電役員の涙の会見を見れば分かる。
それを公表すれば2011年3月の消防隊や自衛隊を導入して決死の冷却を行ったことが完全に徒労であり、作業被曝者たちは、これから無駄死にを強いられることが暴露されてしまう。
たくさんの命を犠牲にしたことも、原子炉の破壊を食い止めるために設置されていたはずのECCSや防爆安全弁など、すべての機能がまったく作動しなかったことも認めねばならなくなる。
すなわち、フクイチが壮大なガラクタにすぎず、安全対策が、ほとんど行われていなかった事実を認めねばならなくなるのである。
ドバイに逃げた東電フクイチ事故総責任者、勝俣恒久を刑事被告人として強制送還させねばならなくなるのである。
そして2015年12月、さりげなく小さな報告として格納容器破壊を垂れ流した。
だが、このことでフクイチ事故は、それまでのレベル7ではなくレベル8を考えるべき未曾有の巨大事故を意味するものに変わったのである。
そして、東電とマスコミ、政府が必死になって隠蔽してきたフクイチ地下から噴出する蒸気の正体も明確に理解することができるようになった。
それは莫大なトリチウムを含んだ水蒸気であった。
地下では溶融核燃料が再臨界している。その証拠が、ヨウ素131やテルル129mなど短寿命核種の検出である。
臨界し発熱する核燃料に地下水が接触して猛烈な蒸気が地面の割れ目から噴き出していて、これには膨大なトリチウムが含まれている。
これがフクイチの真実の姿であって、お笑いタレント安部晋三の軽薄すぎるデマ「フクイチ、アンダーコントロール」は、世界中の笑いものにされるべき妄想にすぎない。
連日連夜、フクイチから大気に放出されている莫大なトリチウム蒸気は、いったい、地球と人間社会にどのような影響を与えているのか?
この先、子供たちの未来は、どうなるのか?
佐野千遙博士によって、フクイチのトリチウムは気象に重大な影響を与えると昨年、はじめに報告された。
http://ameblo.jp/allahakbar231/entry-12013183585.html
結果として佐野氏の予告通り、夏場、不可解な日照不足になって、米などの品位等級を大幅に落としてしまった。
また、気象史に例を見ない、異様な湿度100%の多発も、トリチウムの影響と指摘する声がある。
今の段階で、これらのメカニズムについて解明されているわけではないが、フクイチのトリチウム放出は、おそらく地球規模で大きな異変をもたらす疑いが十分にある。
【トリチウム】
トリチウムが初めて発見されたのは、1931年、コロンビア大学のハロルド・ユーリー教授によってだが、当初、これが放射能を持つことは分からなかった。
半減期12.3年の水素同位体は、わずか18.6Kevのベータ線を放出し、3ヘリウムに変化するが、18.6Kの微弱ベータ線を検出することは技術的に困難だった。
GM管はエネルギー特性により低すぎるエネルギーのベータ線には感応しないし、そもそも検出器の窓を突破できるほどのパワーも存在しない。
これを測定するためには、電離箱の中にトリチウムガスを送り込むしかなかった。
現在でも、トリチウムのベータ線を通常の測定器で測定するのは不可能。シンチレータ検出器の入った厚い遮蔽箱に気体か液体を流し込んで測定するしかない。
このように、あまりに微弱なベータ線しか出さないトリチウムは、当初から無害安全だと思われたのも当然であった。
だが、真実は逆であった。
エネルギーが低いと生体内で電子(=ベータ線)の親和性が高まり、電離密度が高エネルギー核種の10倍も高くなり、細胞の破壊力が大きくなっていたのだ。
(矢ヶ崎克馬琉球大教授)
被曝法則には有名なベルゴニー・トリボンドーの法則と、もう一つペトカウの法則がある。
これは、同じ累積線量を浴びても、短時間で高線量を照射されるのと、長時間で低線量を照射されるのとでは、低線量の方が、はるかに細胞破壊効果が大きいというものである。
トリチウムにおける低エネルギー被曝が、実は高エネルギー核種による被曝よりも電離作用が大きく、深刻な事態を引き起こすという事実は、ペトカウ効果に共通するもので、いずれも長らく原子力産業におけるタブーとして隠蔽されてきた。
現在ですら、これを否定する無知な学者や核産業関係者が多い。NHKを筆頭に、報道も一切されていない。
トリチウムのベータ線は測定できないほど微弱で、したがって安全であるという見え透いたウソを、いまだに原子力産業は押し通そうとしている。
もしトリチウムの恐ろしい真実が知られてしまったなら、年間数千兆ベクレルというトリチウム放出が人類の未来を奪う極悪行為であると世間に認識されてしまうのだ。
だが、それどころか、トリチウムを有機化したOBTという形態だと、桁違いに生物毒性が高まることが発見されたのである。
トリチウム水が植物・藻類に吸収されると光合成を経て、有機型トリチウムOBTに変化する。
これは普通のトリチウムとは、まったく挙動が異なり、造血組織や遺伝子に対して激しい毒性を示すようになる。
トリチウム水HTOの生物半減期は十日ほどで、継続摂取がなければ、三ヶ月もあれば体内から消えてしまうが、OBTの場合、生物半減期が40日前後、消えるには一年以上を要する。
トリチウム水が体内に入った場合、内部被曝の危険度はガンマ線より大きい。
セシウムが体内に入った場合の吸収率と似ていて、トリチウムは、ほぼ100%吸収される。皮膚からも吸収されてしまう。
その後、すみやかに体組織に均等に分布し、2%がDNAの構成要素となる。
DNAの水分子になった場合、本来は永久不変の細胞水として機能すべきものが、次々と壊変し、ヘリウムに変わってしまうのだから、DNAにとってはたまったものじゃない。基本的な機能が失われ、遺伝情報が崩壊してしまう。
この結果、ダウン症が起こりやすくなり、ガンや白血病のイニシエーションともなる。
カナダのオンタリオ湖岸にあるピッカリング原発で1991年に行われたグリーンピースの調査で、トリチウムが原因で、周辺住民の新生児にダウン症が85%増加したことが疫学的に証明された。
この原発は特別に多くトリチウムを放出するタイプで、その放出量は、年間1000兆ベクレルにも達するため、トリチウム影響調査に選ばれたが、他の原発でも厳密な疫学調査を行えば必ずダウン症などの増加を発見できるだろうと担当者は述べている。
この調査で特記されるのは、トリチウムの放射線エネルギーは極めて低いので、シーベルト=線量等量に一般化されたICRPの評価では健康被害はありえないほど小さいという結論が最初から出てしまう。
このためICRP評価基準を避けて、グリーンピース調査団は、トリチウムの化学的毒性からアプローチし、ダウン症の有意発症を証明してみせた。
放射線被曝は、化学毒性、生物毒性、物理毒性を加えて総合的な評価が欠かせないことを示すものとなった。
イギリス、セラフィールド核燃再処理工場周辺において、子供たちの白血病増加の原因についても、疫学調査の結果、トリチウムが原因であろうと疑われている。
水素は、普通の水素(軽水素)、重水素、三重水素の三種類あるが、同位体の化学的性質を決定するのは原子核の質量ではなく、外殻電子の数なので、いずれも同じ化学的性質を持つ水素であり、すべて水になる。
ところが、いくつかの実験によれば、トリチウム水を飲用させたマウスや、水中に泳がせた魚は、すべて死に絶え、植物は、まったく発芽しなかったと報告されている。
ピッカリング原発での被害アプローチは、放射線物理学・生物学ではなく、化学毒性の立場から行われたが、生物体組織にとってトリチウムは極めて有害であることが明らかになり、その割合が増えると生物は死滅してしまう。
トリチウムの全毒性は、いまだに未解明であって、被害は一部しか知られていないことを知っておく必要がある。
トリチウムは元々、自然に生成される核種だが、人類が核開発を始めたことで激増し、自然に存在していた量の5倍以上に増えている。
1962年の大気圏核実験後には100倍以上に増えたとの報告もある。
当初、トリチウムを無害核種と勘違いした核兵器国家米ソは、これを莫大に放出する核融合兵器でさえ「核汚染をひき起こさないクリーンエネルギー」と宣伝し、水爆実験を重ねた。
1954年のアメリカによる水爆実験は2京ベクレルのトリチウムを大気放出し、加えて1962年の膨大な大気圏核実験によって、地球上の水はリットルあたり100ベクレルを超したといわれ、カナダなどで行われた核融合実験も莫大な汚染を引き起こしたとされるが、その後、半世紀の時を経て、やっと環境汚染が減少した段階だった。
原発の運転によっても、加圧水型で年間200兆ベクレル、沸騰水型で年20兆ベクレルのトリチウムが生成され、全部を大気放出している。
核燃料処理施設では桁違いに深刻で、六ヶ所村処理場の場合、年間2000兆ベクレルの大気放出が計画されている。
日本の54基の原発から放出されるトリチウムの総量は400兆ベクレルに達し、もし六カ所再処理施設が稼働すれば、年間2400兆ベクレルという莫大な量が大気放出されてしまうことになる。
これらの核開発の結果、元々の自然界の雨水中に存在するトリチウムは、リットルあたり0.2〜1ベクレルだったものが激増し、今ではリットルあたり1〜3ベクレルになっている。
トリチウムの半減期は12.3年であり、百年もすれば、ほぼ消える。
半世紀以上を経て、やっとリットル数ベクレルまで低下したところにフクイチ事故が起きた。
東電は徹底した隠蔽体質で真実を一切公表していないが、大気放出されているトリチウムは、再処理工場なみの莫大な量になっている疑いがあり、この結果、環境水資源中のトリチウム桁数が増える可能性が指摘されている。
さらに土岐市などで核融合実験が行われるようになり、これも莫大なトリチウムを除去しないまま環境に放出し、周辺住民の健康被害やダウン症児激増が懸念されている。
気体水素としてのトリチウムの分離は容易である。トリチウムガスと空気を混合して触媒を通せば、そのまま水になってしまう。これをシリカゲルで集めるだけだ。
土岐市核融合研では、9割を水にして処理するというが、年間、数百兆ベクレルのトリチウムの全量を保管することなど不可能で、どこかで環境に垂れ流すしかない。
具体的には、土岐市の大気と土岐川(庄内川)に流されるのである。
おまけに、この施設では年間50万シーベルトという中性子が発生する。
東海村JCO臨界事故の例では中性子を浴びたナトリウム24が20キロも離れた場所で発見されていることから、土岐市全域に、もっとも危険な中性子照射が発生してしまう可能性を示している。
この完全遮蔽には、幅が10mもの水プールの遮蔽壁で施設全体を覆う必要があるが、そんな計画は存在しない。
トリチウムガスからトリチウム水を作るのは極めて容易だが、トリチウム水からトリチウムを分離するのは絶望的に困難である。
アレバ社あたりが東電に売り込んでいるようだが、アルプス同様、ほとんど成功していない。いわば高額の処理費をせしめる詐欺の一種と見た方がよい。
ひとたび水になったトリチウムを元のガスに戻すのは原理的にも不可能に近く、気体拡散法や遠心分離法などを使っても、コストが凄まじいものになるだろう。
外殻電子の数が同じなら化学的には同じものである。質量が異なれば物理的に違うもので、質量差を利用して分離するわけだが、重水の分離は容易だが、三重水素の分離は極度に困難だと考える必要がある。
酸化マンガンがトリチウムを選択的に吸着する性質があるとされ、分離技術が公開されたが、これも本当に実用化できるのか疑わしい。
トリチウムは水であって、すべての水に拡散平均化する性質(エントロピー増大)を持っている。
すべての生物の細胞内に情け容赦なく入り込んでDNAを破壊して回るのである。
トリチウムが自然消滅するには、生成から百年を要する。
この間に、どれほど多くの子供たちがダウン症や白血病で残酷な悲劇に見舞われるか想像もつかない。
こんな危険な物質を作り出しながら電気を供給することに何の知性が存在するというのだろう?
そこにあるのは、自分たちが最先端の科学技術を手にしているという、愚かな自己陶酔、優越感だけだ。
他の放射能ばらまき集団と同じで、子供たちの未来を何一つ考えないで、目先の金儲けと権力欲だけに奔走する愚劣きわまりない利己主義者の姿である。
電気を売るとの名目だが、本当はは戦争の技術開発に過ぎない。核融合の研究とは、すなわち水爆開発以外ありえないのである。
原子力を扱うことの意味は、国家という虚構の自己肥大、自己陶酔、自分たちが選ばれた人間であるとの愚かな優越感、他国を圧倒したいと考える優越妄想、他国の脅威という被害妄想であって、人間の愚かさの究極の姿だと知るべきなのだ。
こんなゴミのような低俗な権力者ばかりがのさばり、ウルグアイのムヒカ前大統領のような人間愛に満ちた人を見ることは滅多になくなってしまった。
核開発あるかぎり子供たちの未来は残酷の一語である。
この世界の究極の法則は「因果応報」=与えたものを受け取るという意味であるとすれば、こうした、あまりに愚かな原子力開発は、同時に我々に内在する思想と人間性の反映といえるかもしれない。